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キーエンス(6861)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

キーエンスとは

キーエンス株式会社は、1974年に設立された日本を代表するFA(ファクトリーオートメーション)総合メーカーで、本社は大阪市東淀川区にあります。工場の自動化や生産効率を高めるためのセンサーや計測機器、画像処理システムなどを中心に、産業界の“自動化・省力化”を支える高付加価値製品を世界中に展開している企業です。キーエンスは製造拠点を持たず、開発・マーケティング・販売に特化する独特のビジネスモデルを採用しており、製造は外部パートナーに委託するスタイルをとっています。この「ファブレス経営」により固定費を抑え、高収益な経営構造を実現している点が大きな特徴です。

キーエンスの強みは、何よりも“技術開発力と営業力”の2つにあります。同社は売上の約30%を新製品が占め、そのうち約70%が「世界初・業界初」という非常に高い技術革新性を持っています。新製品の投入サイクルが非常に早く、かつ製造現場のニーズに寄り添った製品開発を徹底することで、常に市場の最前線に立ち続けています。また、営業スタイルは“コンサルティング型”を採用し、問題解決を前提にした提案営業を行うことで、生産性向上・品質改善・コスト削減といった具体的な効果を提供し、強い顧客基盤を築いています。

事業内容は大きく分けて、センサ・測定機器・画像処理機器・レーザーマーカー・変位計・PLC(制御装置)・顕微鏡・解析装置など、多岐にわたります。FAセンサでは、工場の設備・ロボットの制御に欠かせない光電センサ、近接センサ、レーザーセンサなどを展開し、自動化の心臓部ともいえる領域を支えています。画像処理システムでは製造ラインの外観検査や不良品検出を自動化する高度なソリューションを提供しており、自動車・電子部品・食品・医薬品など幅広い産業で利用されています。

また、研究用・開発用の高度な解析装置や顕微鏡も展開しており、大学・研究機関・先端技術企業などから高い評価を得ています。さらにキーエンスは、工場向けに限らずビジネス情報機器の分野でも製品を開発・供給しており、その技術力の幅は非常に広いことが特徴です。

グローバル展開にも積極的で、世界100以上の拠点を持ち、60カ国以上でビジネスを展開しています。製造業が盛んな国・地域への積極的な展開により、世界の産業オートメーション市場でも確固たる地位を築いています。海外売上比率も高く、日本企業でありながら“世界規模のFAソリューションカンパニー”として評価されています。

さらにキーエンスは、高収益企業としても世界的に知られており、売上高利益率・ROEは世界でもトップクラスの水準です。特に営業利益率は50%近い年もあり、日本企業の中では突出した収益性を誇る超優良企業です。これはファブレス経営、効率的な営業体制、研究開発への集中投資、そして圧倒的な新製品開発力が組み合わさることで成立している、唯一無二のビジネスモデルです。

総合するとキーエンスは、製造業の自動化・先端化を支える不可欠な企業であり、世界中の産業を根本から支える存在です。新技術開発力・高収益体質・高い営業力・強力なブランドを持ち、長年にわたり圧倒的な成長を続けている、日本が誇るグローバルメーカーの一つです。

キーエンス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 922,422 498,914 512,830 362,963 1,497 300
連24.3 967,288 495,014 519,295 369,642 1,524 300
連25.3 1,059,145 549,775 561,010 398,656 1,644 350
連26.3予 1,100,000 580,000 600,000 430,000 1,773 350〜360

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 302,628 -283,487 -63,666
2024 387,916 -242,792 -76,306
2025 409,522 -280,612 -83,430

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR(実績)
2023 54.0% 14.5% 13.6%
2024 51.1% 13.1% 12.4%
2025 51.9% 12.8% 12.1% 46.0倍 32.0倍 4.12倍

投資判断

キーエンスの直近3年間の数字を見ると、まず目につくのが“とにかく利益率が異常に高い”という点です。営業利益率は2023年が54.0%、2024年が51.1%、2025年も51.9%と、50%を超える水準を安定的に維持しています。世界中を見ても営業利益率50%超の製造業はほぼ存在せず、キーエンスは利益率だけで言えば世界トップクラスの収益力を持つ企業です。この利益率を見るだけで「超優良企業」であることは明らかで、一般的な日本企業の営業利益率が5〜10%程度であることを考えると、もはや別次元と言ってもいいレベルです。

ROE・ROAも非常に優秀で、ROEは2023年14.5%、2024年13.1%、2025年12.8%を維持しており、資本効率の良さをはっきり示しています。ROAも12%台と極めて高い数字で、「少ない資産で大きく稼ぐ」効率型ビジネスモデルが完全に機能していることが分かります。ファブレス経営で無駄が少なく、加えて高付加価値製品を売り続けることができるからこそ、このような水準が可能になっています。

利益自体も年々増加しており、営業利益は2023年4989億円→2024年4950億円→2025年5497億円と再び増加基調。純利益も36.2→36.9→39.8と右肩上がりで、売上・利益とも安定した成長を続けています。特にテクノロジー投資(自動化・省力化・検査工程のデジタル化)が世界的に増加しているため、キーエンスに対する需要は今後も確実に続く構造になっています。

一方で株価指標に目を向けると、2025年のPERは高値平均46.0倍、安値平均32.0倍と、明らかに割高水準です。PBRも4.12倍と決して低くはありません。これは市場がキーエンスの収益力の高さ・新規事業開発力・グローバル展開力を織り込んでおり、“優良株は常に高い評価を受ける”典型例です。つまり、バリュー株ではなく完全にプレミアムが乗った“超高収益グロース株”として見られているわけです。

ただここがポイントで、キーエンスのPERは割高であっても「高収益を長期に続けてきた実績」があるため、市場は高い評価を維持し続けます。安い時に買って大きなキャピタルゲインを取るというより、「高くても優良株だから買われ続ける」タイプの銘柄です。つまり“割高で買っても負けにくい銘柄”の代表格で、長期で少しずつ資産を増やしたい投資家に向いている企業です。

まとめると、キーエンスは営業利益率・ROE・ROAのすべてが世界レベルで優秀で、利益成長も堅実、財務も超健全。しかし株価は常に高評価のため割安感はほぼなく、安く買いたい人には不向き。一方、安定した高収益企業を長期保有して確実に資産を増やしたい人にとっては非常に魅力的な銘柄です。“高いけど強い株”という表現が最も当てはまる企業で、短期よりも中長期でじっくり保有していくタイプの優良株と言えます。

配当目的とかどうなの?

キーエンスを配当目的で考える場合、結論から言うと「配当狙いの投資には向かない銘柄」です。予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに0.98%と、東証プライム上場企業の平均利回り(2%前後)よりかなり低い水準にあります。近年こそ配当を増やしてはいるものの、それでも1%を切るかギリギリ届く程度で、インカムゲインを求めて投資するタイプの銘柄ではありません。

とはいえ、キーエンスは配当が少ないから悪いというわけではなく、企業としてのスタンスが“配当より成長を優先する”明確な成長企業型の考え方を採っているというだけです。営業利益率50%超という圧倒的な収益力を維持するために、研究開発費や新製品開発に積極的に投資し、有望な分野に経営資源を集中させています。世界初・業界初の製品を次々に生み出し、高付加価値で利益率の高い商品構成を維持するには、利益を内部留保し、将来の成長に回す必要があるため、配当性向が高くならないのは自然な姿です。

キーエンスは長期で見れば株価成長によるキャピタルゲインのほうが明らかに大きいタイプで、過去20〜30年の株価推移を見ても、配当ではなく価格上昇が投資家に莫大なリターンをもたらしてきました。企業としても“配当で魅力を出すより、成長と収益性で投資家に報いる”というスタンスを徹底しており、世界有数の高収益企業として市場から常に高評価を受けています。

つまり、キーエンスは配当収入を目的に買う銘柄ではなく、「長期で株価が伸びる優良成長株に乗りたい投資家向け」の銘柄です。低利回りであることはデメリットではなく、むしろ世界トップクラスの利益率・高い資本効率を維持するための合理的な戦略の結果です。安定した高配当を求める投資家には向きませんが、長期で資産を増やしたい人には非常に適した企業と言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

キーエンスの株価は、常に「世界トップクラスの高収益企業」というブランドを背景に、市場から高い評価を受け続けています。営業利益率50%超・ROE13%前後という数字は製造業としては異次元の強さで、通常の景気循環銘柄というよりは“高収益プレミアム株”として買われる傾向があります。現在値が55,650円という非常に高い水準にあっても、長期的な企業成長力や世界の設備投資需要を考えると、5年というスパンではまだまだ伸びる余地があります。

まず良い場合のシナリオでは、世界の工場自動化投資がさらに加速し、AIやロボット化、品質検査のデジタル化が一段と広がっていく状況が続くケースです。キーエンスはFAセンサーや画像処理システムで圧倒的な技術力を持っており、自動化投資が増えれば増えるほど売上と利益は伸びていきます。特に北米・アジアの製造業が設備投資を活発化させると、キーエンスは直接的な恩恵を受けるため、株価は右肩上がりで上昇していく可能性があります。この場合、5年後には70,000~90,000円台まで上昇する可能性があり、世界的な自動化ブームが続けば100,000円に迫る局面があっても不思議ではありません。

次に最も現実的な中間シナリオでは、世界景気は好調と調整を繰り返しつつも、中長期では自動化需要が底堅く伸びるケースです。キーエンスは高い収益性を背景に、景気が弱い時期でも大きく業績が崩れにくい企業であり、PERが多少下がっても市場から一定の高評価を維持する傾向があります。この場合、株価は現在値付近をいったりきたりしながら、緩やかに上昇していくと考えられます。具体的には、5年後には60,000~75,000円前後で推移する可能性が高く、安定した成長株としてじわじわと株価を切り上げていく展開になるでしょう。

一方で悪い場合のシナリオでは、世界的な景気後退や設備投資の停滞、さらには急激な円高などによって企業の投資が鈍化するケースが考えられます。キーエンスはファブレスで固定費が少ないため強い企業ではありますが、それでも設備投資が止まれば売上成長には影響が出ます。また、成長株としてのプレミアム評価が落ちると、PERが大きく切り下がる可能性があります。この場合、株価は一時的に45,000~50,000円台まで下落するリスクがあります。ただし、キーエンスは構造不況に陥るタイプの企業ではなく、世界の製造業が再び投資を再開すれば株価は反発しやすい性質があります。

総合すると、キーエンスは短期の値動きはあっても“世界中の工場が自動化していく限り成長が止まらない企業”であり、長期目線では安定した上昇トレンドを描きやすい銘柄です。高値圏ではあるものの、企業そのものの強さを考えると、5年というスパンでは十分に株価上昇の余地が残されています。成長株としての信頼性が非常に高く、長期保有に向いた銘柄だと言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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