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レーザーテック(6920)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

レーザーテックとは

レーザーテック株式会社(Lasertec)は、神奈川県横浜市に本社を置く、光学技術とレーザー技術を用いた半導体検査装置の世界的トップ企業です。特にEUV(極端紫外線)リソグラフィー向けのマスクブランクス検査装置で世界シェアほぼ100%を握っており、世界の半導体製造の微細化を支える“唯一無二のメーカー”として知られています。

同社は創業以来、レーザー顕微鏡や光学検査装置の開発を手がけてきましたが、特に2000年代以降は半導体向けの高精度検査装置に事業を集中させ、ファブレスの半導体装置メーカーとして急成長を遂げました。競合が入りにくい超高精度領域を専門にしているため、装置1台あたりの単価が非常に高く、高収益体質を築いているのが特徴です。

レーザーテックの主力製品は、半導体の製造工程に必要な「マスク(回路パターンを転写する原版)」や「ウェハ(半導体の基板)」の欠陥を検査する装置で、ナノレベルの欠陥を見つけるために高度な光学技術が使われています。特にIntel、TSMC、Samsungなど世界のトップ半導体メーカーが導入しており、“同社の装置がないと最先端半導体が作れない”と言われるほど重要なポジションを確立しています。

またEUV領域では、ASMLが露光装置で世界一のシェアを誇るのと同じように、レーザーテックはEUVマスク検査領域で圧倒的独占企業となっており、世界的にEUV投資が進むほど同社の収益も伸びる構造です。半導体の微細化が進むほど検査装置の性能要求は上がるため、性能で先行し続けるレーザーテックは中長期でも優位性が高いと見られています。

さらにFPD(フラットパネルディスプレイ)向けの検査装置やレーザー顕微鏡の分野でも存在感があり、製品ラインナップは決して多くはありませんが、全てが高付加価値・高収益領域に集中しているのが強みです。製品は1台数億〜数十億円するものが多く、売上に占める研究開発比率も高いため、技術先行型の企業らしい攻めの投資を続けています。

レーザーテックは社員数も数千人規模と比較的小さな企業ですが、世界市場を相手に独自技術で勝負しており、規模ではなく技術力でグローバルポジションを築いている典型的な技術スペシャリスト企業です。半導体の需要が増えるほど検査工程も増えるため、“半導体製造の成長とともに伸び続ける企業”という見方が一般的です。

今後はEUV以降の次世代露光技術「High-NA EUV」関連装置への投資も進んでおり、次の10年に向けても新しい成長ドライバーを確保している点が市場から評価されています。半導体設備投資は景気サイクルの影響を受けやすいものの、最先端領域に限って言えば継続した投資が続くため、レーザーテックも中長期では堅調な成長が見込まれています。

レーザーテック 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
23.6 152,832 62,287 63,668 46,164 511.9 180
24.6 213,506 81,375 82,021 59,076 655.1 230
25.6 251,477 122,843 119,444 84,652 938.6 329
26.6予 205,000 89,000 89,000 62,000 688.2 329

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 40,548 -20,570 -15,557
2024 33,317 -3,571 -23,145
2025 77,874 -2,420 -24,568

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023 40.7% 42.3% 16.9%
2024 38.1% 39.0% 21.7%
2025 48.8% 40.3% 25.6% 55.2倍 22.8倍 12.27倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

レーザーテックの直近3年間の業績指標を見ると、この企業が「半導体EUVマスク検査装置という唯一無二の領域で勝ち続けている」ことが数字からもはっきり読み取れます。まず注目すべきは営業利益率で、2023年40.7%、2024年38.1%、2025年48.8%と、製造業とは思えない異常なほどの高収益体質を維持しています。一般的な半導体製造装置メーカーですら営業利益率20%前後が限界である中、レーザーテックはその倍以上の利益率を叩き出しており、極めて高い参入障壁と独自技術を武器にしていることが数字に表れています。

ROEも非常に強力で、2023年42.3%、2024年39.0%、2025年40.3%と、3年連続で40%前後という驚異的水準を維持しています。利益効率の高さを示すROAも16.9%、21.7%、25.6%と年々上昇しており、企業の稼ぐ力は国内上場企業の中でもトップクラスです。「稼いだお金をしっかり利益につなげる企業」という点では、レーザーテックはまさに日本の製造業の中でも別格の存在と言えます。

一方でバリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均55.2倍、安値平均22.8倍、実績PBRは12.27倍と、一般的な基準から見ればかなり割高です。ただし、割高だからといって簡単に売られる銘柄ではなく「高収益・独占企業ゆえに高い倍率が許されるタイプ」です。EUVマスクブランクス検査装置の世界シェアほぼ100%という極めて強固なポジションがあるため、市場は将来の成長をかなり高い倍率で織り込み続ける傾向があります。

加えて、売上・利益の成長ペースも高く、2023年〜2025年の間に売上高は1528億円 → 2514億円へと一気に拡大、純利益も461億円 → 846億円へと短期間で倍近くに伸びています。これは半導体の微細化が進み、EUV技術の採用が世界的に加速している背景が強く関わっており、この流れは今後も続くと見られています。さらに次世代の「High-NA EUV」時代に向けた装置開発が進んでいるため、中長期の成長ドライバーが継続して存在する点も強みです。

総合的に見ると、レーザーテックは“収益性・成長性・市場独占力”の三拍子が揃った数少ない企業であり、日本株の中でもトップクラスのプレミアムがついている銘柄です。PERやPBRが高いのは事実ですが、それは単なる割高というより「圧倒的な独自技術への成長プレミアム」と言えます。バリュエーションだけを見て判断するべき企業ではなく、成長し続ける限り高倍率が維持されるタイプの成長株です。

結論としてレーザーテックは、短期の値動きに一喜一憂する銘柄ではなく“長期の技術トレンドに賭ける成長株”として持つべき企業です。リスクは半導体設備投資のサイクル変動ですが、それでも最先端の検査工程を担うレーザーテックはサイクルの下でも需要が残りやすい特性があります。将来の半導体微細化やEUV拡大を信じる投資家にとって、非常に魅力的な中長期向き銘柄と言えます。

配当目的とかどうなの?

レーザーテックを配当目的で考える場合、結論から言うと「配当狙いで選ぶタイプの銘柄ではない」というのが実際のところです。予想配当利回りは26.6期・27.6期ともに 1.17% と、東証プライム平均(約2%前後)を下回っており、配当を安定的に受け取りたい投資家にとっては決して高い利回りではありません。

同社は長年にわたり営業利益率40%超、ROE40%前後という日本でもほとんど見られないレベルの超高収益企業ですが、その稼いだ利益を株主に大きく還元するというよりは、次世代EUV・High-NA EUVといった世界最先端の技術開発に積極的に投資していく姿勢の企業です。研究開発費の比率も非常に高く、成長投資にお金を回すことで長期的な企業価値向上を優先しているため、配当はあくまで“最低限の還元”という立ち位置です。

レーザーテックは半導体検査装置の中でも唯一無二の存在であり、世界のTSMC・Intel・Samsungが同社の装置を必要とする状況は今後も続きます。そのため、配当目的よりも「成長プレミアムを享受する株」という性質が強く、株主は主に株価上昇によるリターンを期待する形になります。実際、過去10年間を見ると、株価の上昇幅は日本株トップクラスで、配当よりもキャピタルゲインで利益を得るタイプの銘柄と言えます。

配当利回りは低くても、企業としての成長性・競争優位性・技術的独占性は極めて高く、「配当よりも成長を選んだ方が企業として合理的」という姿勢を明確にしています。つまり、レーザーテックの魅力は高配当ではなく、長期のグロースポテンシャルです。

総合すると、レーザーテックは“配当目的で買う株ではないが、長期成長の恩恵を得たい投資家には非常に強力な銘柄”といえます。配当利回り1%台を補って余りある成長性を持っているため、キャピタルゲイン狙いの長期保有には最適ですが、毎年安定した配当狙いの投資スタイルにはあまり向きません。

今後の値動き予想!!(5年間)

レーザーテックの現在株価は28,095円ですが、この水準はすでに同社の持つ独占的な技術力、圧倒的な収益性、そして半導体の長期成長トレンドを相当程度織り込んだ価格と言えます。それでも、この会社の業績サイクルは通常の半導体メーカーとは違い、最先端のEUV領域に特化しているため、市況が悪い年でも受注が完全に止まるわけではなく、一定の需要が続く特性があります。ゆえに、株価の上下はあっても“中長期で見ると成長方向に戻りやすい”という、特殊な動きをしやすい銘柄でもあります。

良いシナリオでは、半導体の微細化がますます加速し、AIチップやデータセンター向け需要が強まり、世界中が次世代EUVからHigh-NA EUVへと一気に移行していくケースです。レーザーテックはEUVマスクブランクス検査装置においてほぼ唯一のメーカーであるため、世界中の半導体メーカーが設備投資を加速すれば、その恩恵をダイレクトに受けます。もし業績がこのまま上昇トレンドを継続し、新世代の装置が市場に普及すれば、株価は5年で4万〜6万円台まで届く可能性があり、現在の2倍近くまで評価される余地も十分あります。

中間シナリオでは、半導体市場の成長が落ち着いたペースで進み、AI・車載・データセンターなどの需要は伸びるものの、急激な設備投資にはならないケースです。レーザーテックも堅実な成長は続くものの、株価の倍率が一気に伸びるような爆発力は見られません。この場合、5年後の株価は3万円前後から3万8000円あたりのレンジに収まると考えられ、現在値から見ると緩やかな上昇にとどまる展開です。とはいえ、レーザーテックの高収益体質と独占的地位を考えれば、急激に崩れることは少なく、安定的に推移する可能性が高いです。

悪いシナリオは、世界景気の後退や半導体在庫調整の長期化、米中摩擦などの政治リスクが重なって、半導体メーカーの設備投資が落ち込むケースです。最先端投資が滞るとレーザーテックも短期的に影響を受け、受注が鈍化することがあります。こうした局面では市場も高値圏のPERを許容しなくなり、株価が2万円前後まで調整する可能性があります。ただし、レーザーテックは“最先端装置が他で代替できない企業”であるため、長期的な視点では再び需要が戻る確率が高く、大暴落して戻らないような企業ではありません。

総合的に見ると、レーザーテックは短期で上下に大きく振れるリスクがある一方で、中長期では業績とともに株価が再び上昇しやすい“構造的成長企業”です。5年というスパンで考えれば、安定した企業に投資したい人には中間シナリオ、成長を積極的に取りに行きたい人には良いシナリオが期待できます。悪いシナリオでも2万円前後が一つの下限の目安となり、レーザーテックの技術的独占性が強力な防御壁になります。結果として、5年後の株価は2万円〜6万円の幅を想定しつつ、上方向への伸びしろを大きく見ておくべき銘柄です。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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