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日東電工(6988)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日東電工とは

日東電工株式会社は、1918年創業の日本を代表する高機能材料メーカーで、本社は大阪府大阪市にあります。もともとは電気絶縁材料のメーカーとしてスタートしましたが、現在では粘着テープ、電子部品材料、光学フィルム、医療関連材料など、多岐にわたる高付加価値素材を展開するグローバル企業へと発展しています。

事業内容は大きく「工業材料」「オプトエレクトロニクス」「ライフサイエンス」「その他」の4つに分かれています。工業材料分野では、建築・自動車・家電などあらゆる産業に使われる粘着テープや保護フィルム、絶縁材料などを製造し、世界的に高いシェアを持っています。オプトエレクトロニクス分野では、スマートフォンやテレビに使用される偏光フィルム・タッチパネル材料・透明光学フィルムが主力で、特に偏光フィルムは世界市場トップクラスのシェアを誇ります。さらに、日東電工の光学材料は高い耐久性と透明性が評価され、液晶パネル・有機ELディスプレイ向けの重要な素材として採用が進んでいます。

医療・ライフサイエンス分野では、創傷ケア製品、抗菌フィルム、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、医療用粘着材など、医療用途の高機能製品を手がけています。また、水処理膜(RO膜)や電池材料など、環境・エネルギー関連素材にも注力しており、脱炭素や省エネといった社会課題に応える製品を提供しています。

日東電工は世界中に生産拠点や販売網を持ち、グローバル企業として50カ国以上で事業を展開しています。特にスマートフォン・タブレット・車載ディスプレイといった電子機器メーカーとの取引が多く、技術的な信頼性と供給能力の高さが評価されています。また、付加価値の高い製品開発に力を入れており、材料化学・粘着技術・光学技術を組み合わせた独自技術で、他社には真似しにくいニッチトップ製品を生み出すことを特徴としています。

総じて日東電工は、「高機能材料の総合メーカー」として、電子機器・自動車・建材・医療・環境と幅広い分野に製品を提供する企業であり、グローバル市場で高い競争力と技術力を持つ日本の代表的な素材メーカーです。

日東電工 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
連23.3 929,036 147,173 146,840 109,173 147.8 48
連24.3 915,139 139,132 138,901 102,679 143.9 52
連25.3 1,013,878 185,667 185,329 137,237 195.7 56
連26.3予 984,000 170,000 170,000 125,000 185.6 60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 181,702 -159,906 -57,627
2024 155,521 -67,927 -90,784
2025 217,908 -115,105 -78,890

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 15.8% 12.1% 9.4%
2024 15.2% 10.4% 8.2%
2025 18.3% 13.1% 10.3% 高値 16.3 / 安値 10.3 2.55

出典元:四季報オンライン

投資判断

日東電工の直近3年の業績・収益性・指標を見ると、電子材料・光学材料・粘着テープなど幅広い素材・部材事業を展開しており、収益力・利益率ともに安定感のある企業です。具体的に見れば、営業利益率は2023年で15.8%、2024年15.2%、2025年予想で18.3%と、15%台後半から18%近くまで改善傾向にあります。ROE(株主資本利益率)も12.1%→10.4%→13.1%と、一時的に落ち込んだものの再び13%台へ戻る可能性を示しており、ROA(総資産利益率)も9.4%→8.2%→10.3%と資産効率も良好です。これらの数字は、部材・素材メーカーとしてはかなり競争力のある収益体質を示しています。

さらに、2025年の指標としてPER(実績ベース)高値平均16.3倍、安値平均10.3倍という水準が提示されており、PBR(株価純資産倍率)2.55倍という評価もあります。これらを見ると、市場はこの企業を「割高ではないが、特段の割安というほどでもない」の範囲内で評価していると読み取れます。

こうした背景を踏まて投資判断を下すと、日東電工は “安定収益+技術・素材優位という強みを持つ企業” であり、投資対象として十分に検討できる銘柄です。特に素材・部材という産業の根幹をなす分野を担っているため、景気や設備投資サイクル、電子機器・通信・車載などの成長分野において恩恵を受ける可能性が高いと言えます。

ただし、過度な期待をして「短期で爆発的な株価上昇を狙う」ような銘柄ではありません。理由は次の通り:まず、市場評価がすでにそれなりに乗っており、PER・PBRの水準が極端に低いとは言えません。つまり「今から急激な改善を織り込んだ割安買い」という構図にはやや乖離があります。また、素材・部材産業ゆえに、スマホ減速、車載投資の遅延、為替の影響、原材料価格の上昇といった外部リスクを受けやすい構造でもあります。これらが業績を足踏みさせる要因となった過去もあり、景気サイクル・需要サイクルに敏感な点を投資家は意識しておく必要があります。

結論として、日東電工は “中長期保有に向いた優良銘柄” という位置づけが妥当です。収益体質がしっかりしており、利益率・ROE・ROAともにまとまっていますので、設備投資や電子機器・車載といった成長ドメインに期待したうえで買う価値があります。一方で、配当利回りや割安度の観点で“短期のリターン狙い”には向いておらず、「底値から大きく上がる」というタイプではない可能性があります。もしこの銘柄を買うのであれば、景気回復期、スマホ・車載機器の設備投資が本格化し始めた局面を狙って「ゆっくり持つ」スタンスが良いでしょう。

配当目的とかどうなの?

日東電工を配当目的で見ると、まず利回りの面ではそこまで魅力的とは言いがたい銘柄です。予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに 1.51% で、いわゆる“高配当株”とは程遠い水準です。利回りだけを重視するタイプの投資家からすると、候補に入らないレベルと言っていいでしょう。

しかし、日東電工の本質的な強みは「利益の安定性」と「キャッシュフローの強さ」にあります。毎年1500〜2000億円規模の営業キャッシュフローを安定して稼いでおり、財務体質も極めて健全です。このため、多少業績が上下しても減配のリスクが非常に低く、安心して長期保有できるタイプの企業です。「利回りが低いのに買われる理由」はまさにこの安定性にあります。

さらに、日東電工は配当だけでなく 自社株買い に積極的で、株主還元を総合的に考えている会社です。単純に配当利回りだけでは測れないリターンが期待できる点は、長期投資家にとって大きなメリットです。株価が大きく下落したタイミングでは自社株買いが入りやすく、結果として株価の下支えにもなりやすい傾向があります。

一方で、利回りが低いことに変わりはなく、“配当金で収益を得たい”という目的でこの銘柄を選ぶと期待外れになる可能性があります。JTや商社株、銀行株などと比較すると、毎年もらえる配当額はどうしても見劣りします。そのため、配当目的であれば優先順位は下がりますが、日東電工自体が「業績の安定性」や「総還元姿勢」、「ブランド力」「グローバルでの存在感」といった長期的な強みを持っていることから、安定志向の投資家には向いている銘柄でもあります。

まとめると、日東電工は“配当を積極的に狙う銘柄ではないが、安定性と総還元の高さから安心して持てる銘柄”という位置づけになります。配当利回り目当てではなく、長期で緩やかな成長と安定を求める場合の選択肢として評価されるタイプです。

今後の値動き予想!!(5年間)

日東電工の現在の株価(3,968.0円)を5年間のスパンで考える場合、業績の安定性とキャッシュフローの強さから、極端に大きく崩れるリスクは低めですが、成長性が爆発的に高い企業でもないため、比較的おだやかなレンジの中で動く可能性が高い銘柄です。現在値3,968円を基準に、今後5年間の値動きを「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」で整理すると以下のようになります。

まず 良い場合 ですが、電子材料・光学フィルム・5G関連・EV関連の需要が想定以上に伸び、営業利益率が再び18%台を維持できるような強いサイクルに入った場合、日東電工は市場から再び高い評価を受けやすくなります。自社株買いの積極化や配当の増額が続けば、株価の上昇余地はさらに広がります。このシナリオでは5年後の株価は 5,500~6,000円台 まで十分狙える展開で、長期保有のリターンとしても悪くありません。

次に 中間の場合 は、日東電工の過去の傾向を踏まえるともっとも蓋然性の高いシナリオです。売上は年1〜3%程度で緩やかに推移し、営業利益率も15〜17%のレンジで安定する一方、世界的な電子部品市況の波で上下しながらも、最終的には安定成長の軌道に戻るパターンです。この場合は株価も大きく伸びず、しかし大きく崩れもしないため、5年後は 4,300〜4,800円前後 のやや緩やかな上昇に落ち着く可能性が高いでしょう。配当と自社株買いが株価を下支えする形で安定推移しやすい状況です。

最後に 悪い場合 ですが、世界的な半導体調整や電子材料の需要減速、中国・北米の景気悪化などが長期化し、営業利益率が15%を下回る状況が続くと、投資家の評価は一段階下がります。また、為替が大きく円高方向に動くと業績にマイナス圧力がかかり、成長期待も剥落します。この場合は日東電工でも株価は 3,200〜3,500円 程度まで下振れする可能性があります。ただし財務基盤が非常に強いため、「長期的な企業存続リスク」や「急落して戻らないリスク」は低く、下がってもゆっくり戻るタイプの銘柄です。

総合すると、日東電工は“暴騰も暴落も少ない安定型”の株で、上下のレンジが読みやすいのが特徴です。5年間という期間で見れば、堅実な中間ケースに収まりやすい一方で、世界の需要サイクルや自社株買い次第で上振れの余地もあります。長期でじっくり付き合うには悪くない銘柄ですが、大きな利益を狙うというよりは、安定と少しの成長を求める投資に向いていると言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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