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村田製作所(6981)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

村田製作所とは

村田製作所は、京都に本社を置く世界的な電子部品メーカーで、特にセラミック技術を中心とした受動部品の分野で圧倒的な存在感を持っています。創業以来、「ミニチュア化・高性能化・高信頼性」を武器に、携帯電話・スマートフォン・通信インフラ・パソコン・産業機器・医療機器・自動車など、あらゆる電子機器の“心臓部分”を支えてきた企業です。とくにMLCC(積層セラミックコンデンサ)では、世界シェアトップクラスを長年維持しており、グローバルの電子部品サプライチェーンの中で欠かせない企業として位置付けられています。

事業領域は非常に幅広く、主力のMLCCのほか、SAWフィルタ、ノイズ対策部品、センサデバイス、電源モジュール、リチウムイオン電池、無線通信モジュールなど、多様な高機能部品を展開しています。これらはスマホやパソコンだけでなく、EV(電気自動車)やADAS(先進運転支援システム)、IoTデバイス、5G/6G通信インフラでも不可欠な部品であり、市場の成長とともに村田製作所の存在感はさらに大きくなっています。

特に車載向けビジネスは近年急拡大しており、EV化・自動運転化による電子部品の搭載量増加が追い風となって、村田は「スマホ企業」から「車載・産業向けの総合デバイスメーカー」へと事業構造を変革しつつあります。また、電源モジュールや高周波部品は、再生可能エネルギー設備やデータセンターなどの成長領域にも組み込まれており、村田製作所の技術が活躍する場は年々広がっています。

研究開発への投資も非常に積極的で、AI・IoT・6G通信・次世代電池など、未来のデジタル社会を支える基盤技術に強みを持っています。素材開発から製造装置の自動化まで一貫して手掛ける体制を築いていることが、技術優位性の源泉です。さらに、生産拠点は日本国内に加え、中国、フィリピン、タイ、シンガポール、マレーシアなどグローバルに展開しており、世界の大手メーカーに対して安定供給できる体制を整えています。

総じて村田製作所は、スマホ・通信・自動車・産業分野の「電子部品の覇者」ともいえる企業で、技術力と製品ラインナップの広さはトップクラス。電子部品の需要が増え続ける限り、世界中の電子機器メーカーから常に必要とされる存在であり、業界の中心に位置する日本企業の代表格と言えます。

村田製作所 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
連23.3 1,686,796 297,887 314,895 253,690 133.8 50
連24.3 1,640,158 215,447 239,404 180,838 95.7 52
連25.3 1,743,352 279,702 304,404 233,818 125.1 57
連26.3予 1,640,000 220,000 230,000 177,000 96.0 60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 276,278 -157,850 -173,708
2024 489,637 -201,571 -165,321
2025 451,905 -208,070 -242,733

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 17.6% 10.5% 8.8%
2024 13.1% 7.0% 5.9%
2025 16.0% 9.0% 7.7% 高値 28.4 / 安値 20.1 2.18

出典元:四季報オンライン

投資判断

村田製作所の直近3年間の数字を見ると、世界的な電子部品需要の変動にしっかり影響を受けつつも、依然として高い収益力を保っていることが分かります。まず売上は緩やかな上下を繰り返しつつ、2025年に再び1.7兆円を超えています。営業利益は 2978億 → 2154億 → 2797億 と推移しており、2024年こそ落ち込んだものの、2025年にはしっかり回復してきています。営業利益率も 17.6% → 13.1% → 16.0% と、世界的な電子部品メーカーの中でも上位レベルの高さを保っており、価格競争力・技術力・供給体制が強固であることが数字から明確に読み取れます。

純利益も 2,536億 → 1,808億 → 2,338億 と戻しており、2024年の落ち込みはスマホ向けや通信部品の需要調整の影響が大きかったと考えられますが、すでに回復軌道に乗っている点は安心材料です。ROEは 10.5% → 7.0% → 9.0% と推移し、ROAは 8.8% → 5.9% → 7.7%。2024年こそ軟調でしたが、2025年には再び「優良企業のライン」であるROE8〜10%台に戻ってきています。電子部品メーカーの中でも、村田は資産効率が高く、投下資本に対する収益力が強いことが分かります。

PERに関しては、2025年の高値平均28.4倍・安値平均20.1倍となっており、決して割安株とはいえません。しかし村田は世界トップレベルのシェアを持ち、MLCC・高周波部品・車載用部品など成長分野に強みを持つため、こうした“やや高めのPER評価”は中長期的な成長期待を織り込んだ結果と言えます。PBRが2.18倍という数値も、電子部品業界のリーダー企業として妥当な評価であり、むしろ資産価値に対して安定的に高い評価を維持しているとも言えます。

総合すると村田製作所は、「短期で爆発的に伸びる銘柄」というよりは、「世界的に電子部品需要が伸びる限り安定して成長し続ける優良銘柄」という性格が強い企業です。特にEV・自動運転・データセンター・5G/6G・IoTといった中長期テーマと事業構造が完全に合致しており、需要の底堅さが長期視点の投資価値を支えています。2024年にやや落ち込んでもすぐに利益を戻せる点は、同社の“事業の底堅さ”を示すもので、長期で保有するなら十分に魅力があります。

結論としては、「短期で買って短期で売るタイプの銘柄ではないが、中・長期で安定成長を期待できる優等生銘柄」。PERは少し高いものの、業界トップクラスの地位と高い利益体質を考えれば許容範囲で、長期積立や押し目狙いには十分適した企業と言えます。業績のブレが比較的小さく、世界需要の回復局面では強いリバウンドを見せる可能性が高いため“安定成長の本命”として保有候補に入れて良い企業です。

配当目的とかどうなの?

村田製作所の予想配当利回り(2026・2027年度)は 1.92% と、東証プライム平均(約2%前後)とほぼ同レベルです。つまり「配当狙い一本で買う銘柄」としてはそこまで強くありません。では配当が弱いかというとそういうわけではなく、村田はむしろ 安定して配当が出せるタイプの企業 です。

その理由は、村田の収益構造が非常に強く、利益の落ち込みがあってもすぐに戻せる体質にあります。実際、営業利益率は 17.6% → 13.1% → 16.0% と、高いレベルを維持していて、電子部品メーカーとしてはトップクラスです。ROEも 10.5% → 7.0% → 9.0% と、優良企業ラインにしっかり戻しています。この収益体質こそが、村田が“減配しづらい”強さになっています。

村田は事業がグローバルに分散しているため、スマホ需要が悪くても車載が補い、車載が一時的に弱くても通信インフラが伸びる、というように収益源が複数あります。この 「収益源の多様さ」 が、安定配当の土台になっています。加えて、財務基盤も強固で、キャッシュフローも毎年潤沢です。営業CFが27,627億〜48,963億円規模で安定して入るのは、電子部品メーカーの中でもトップのレベルです。

ただし問題は、「利回りそのものは高くない」という点です。1.92%は悪くはないものの、他の高配当銘柄(3〜5%帯)が多い中で、あえて“配当目的専門”で選ぶメリットとしては弱いです。もし配当だけにこだわるなら、金融・インフラ・通信・エネルギー系の方が選択肢としては多いでしょう。

しかし、村田の配当の良さは「安定していて、今後も伸びる余地がある」というところにあります。村田は配当性向がそこまで高くないため、今後の利益成長に合わせて 増配の余地が十分残されている 企業です。長期保有していれば、配当が毎年じわじわ増えていくという“増配メリット”を享受できる可能性があります。

総合すると村田製作所は、「高配当狙いで買う株ではないが、長期で成長+安定配当を狙うならとても優秀」という結論になります。短期で利回りだけを求めるなら向いていませんが、5年〜10年といった長期で見れば、技術優位性と世界シェアの高さを背景に、配当が育っていくことを期待できる“安定成長配当株”と言える存在です。

今後の値動き予想!!(5年間)

村田製作所の現在値が3,109円という前提で、今後5年間の株価がどのように動くかを考える場合、やはりポイントになるのは「世界の電子部品需要がどこまで回復するか」と「村田がその波にどれだけ乗れるか」という2点に集約されます。村田はMLCC(セラミックコンデンサ)や高周波部品、車載向け電子部品などで世界トップレベルの技術力を持つ企業なので、景気や需要さえ戻れば強く反発できる体質を持っています。一方で、電子部品市場は景気敏感で、スマホや自動車の需要によって大きく振れ動くため、5年間というスパンでは“良い・普通・悪い”でシナリオがはっきり分かれるタイプの銘柄でもあります。

良い場合のシナリオでは、世界景気が持ち直し、EVや自動運転向けの電子部品需要が伸び、5G/6Gインフラ投資、データセンター向け部品などが一斉に回復する展開です。この流れが来ると村田の収益は強烈に伸びる可能性があり、営業利益率が再び17〜20%レンジへ戻り、ROEやROAも優良ラインをキープできるでしょう。こうした成長が続けば、株価は5年後に4,500円〜6,000円あたりまで上昇するシナリオが十分ありえます。技術的な優位性やグローバルシェアの高さを考えても、この“高成長シナリオ”が一番魅力的です。

中間のシナリオでは、電子部品の需要回復は進むものの、スマホ市場の成熟、設備投資の遅れ、景気の微妙な停滞などで、回復スピードがほどほどに留まるパターンです。村田は基礎体力が強いので大きく崩れはしないものの、特段強い伸びも出にくいという状況です。この場合、株価は長期的に緩やかに持ち上がっていき、3,500円〜4,200円あたりの守り中心の値動きになりやすいです。今の水準から大きく上にも下にも振れず、“村田らしい安定”が続くイメージです。

悪い場合は、世界景気が停滞し続け、スマホや自動車の需要低迷が長引くパターンです。電子部品は景気敏感なセクターなので、こうなると村田も例外ではなく、営業利益率がさらに押し下げられ、ROEやROAも低下してしまいます。この状況では評価も下がり、株価は2,000円〜2,800円あたりまで下ぶれる可能性があります。3,109円という現在値から見ると、30〜40%程度の下落余地があるため、悪材料が重なった場合はそれなりにリスクがあります。

結局のところ、村田製作所は「優秀だけど景気の波を避けられない企業」であり、だからこそシナリオによって結果が大きく変わります。技術力と成長余力は間違いなく高いので、長期で保有すれば良い局面に乗れる可能性はありますが、短期的にはボラティリティ(株価の振れ幅)が出やすい銘柄です。5年という期間で考えるなら、世界の電子部品需要回復が本格化するかどうかが最大のカギになります。長期で成長を信じるなら保有する価値は十分ありますが、景気の波によっては一時的に大きく下がる場面も覚悟する必要があります。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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