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スズキ(7269)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

スズキとは

スズキ株式会社は、静岡県浜松市に本社を置く日本を代表する自動車メーカーで、特に軽自動車とコンパクトカーに強いのが特徴です。創業は1909年と歴史が非常に長く、当初は織機メーカーとしてスタートしましたが、その後に二輪車、四輪車へと事業を拡大し、現在では世界170カ国以上で事業を展開するグローバル企業に成長しています。

スズキの最大の強みは、小型車に特化した独自の開発力とコスト競争力です。国内では長年にわたり軽自動車シェアのトップクラスを維持しており、「ワゴンR」「アルト」「スペーシア」「ハスラー」など、誰もが街中で見かける定番モデルを数多く持っています。燃費の良さや実用性の高さに定評があり、軽自動車というジャンルそのものを牽引してきたメーカーと言えます。

さらにスズキを語る上で欠かせないのがインド市場です。スズキは1980年代からインドに進出し、現地企業「マルチ・スズキ・インディア」を通じてインド国内で圧倒的な存在感を持っています。インドは世界最大級の自動車市場で、その中でスズキは乗用車シェア40%以上を長年確保している“国民車メーカー”です。スイフト、アルト、ワゴンRなどがインドでも圧倒的に売れ続けており、海外売上高の柱に成長しています。

事業内容は大きく分けて、四輪車事業、二輪車事業、マリン事業、その他の生活支援機器などがあります。主力の四輪車事業では、軽自動車から小型SUVまで幅広い車種を展開し、国内だけでなく欧州やアセアン各国でもコンパクトカーが人気です。二輪車事業では、スポーツバイクの「GSX-R」「隼(ハヤブサ)」など世界的に知られるモデルを保有し、レース活動も積極的に行っています。マリン事業では船外機を中心に提供しており、世界中のレジャー市場や漁船市場で安定した需要があります。また、電動車いすや産業用機器といった生活支援機器も手がけており、高齢化社会のニーズにも対応しています。

近年は自動車の電動化・自動運転化が進む中で、スズキもハイブリッド技術の強化やEVの導入を積極的に進めています。特にインド市場では政府方針に合わせてEV戦略を強化しており、EVの生産体制の構築やバッテリー工場への投資も進んでいます。グローバルでの需要変動に柔軟に対応しながら、“小さなクルマで大きな価値を提供する”というスズキらしい路線を維持しているのが特徴です。

さらにアジア各国での販売網強化、燃費性能の改善、低コスト生産の効率化など、中長期的に収益基盤を安定させる取り組みが続いています。国内は軽自動車の競争が激しく、海外はEV争いの中でライバルが増えているものの、スズキの「小型車特化」という明確な戦略は長年揺るがず、独自のポジションを築いています。

スズキは大手自動車メーカーの中でも堅実な経営を貫く企業で、過剰な大型投資よりも着実な利益確保と実需に合わせた車種展開を得意としており、国内外で安定した需要が続くことが期待されています。

スズキ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3* 4,641,644 350,551 382,807 221,107 113.8 25
連24.3* 5,374,255 465,563 488,525 267,717 138.4 30.5
25.3 5,825,161 642,851 730,220 416,050 215.7 41
26.3予 6,050,000 540,000 620,000 340,000 176.2 45

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 286,626 -302,674 31,568
2024 446,045 -433,855 -81,225
2025 669,784 -475,605 -185,978

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 7.5% 10.6% 4.8%
2024 8.6% 10.7% 4.9%
2025 11.0% 14.0% 6.9% PER:11.7倍(高値平均)/7.4倍(安値平均) 1.41倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

スズキの直近3年間の業績推移を見ると、まず明確に言えるのは「収益力がしっかり改善している」という点です。営業利益は 3,506億円 → 4,655億円 → 6,428億円 と非常に順調に伸びており、とくに2025年の伸び方はかなり力強いものがあります。営業利益率も 7.5% → 8.6% → 11.0% と右肩上がりで、低価格帯・小型車中心のメーカーとしては十分に高水準です。コストコントロールの上手さとインド市場での販売好調が収益性の底上げに直結している形です。

経常利益と純利益の推移を見ても、同様に安定して上昇しており、本業の強さが数字に表れています。特に純利益は 2,211億円 → 2,677億円 → 4,160億円 と伸びており、稼ぐ力が大幅に向上しています。純利益の積み上がりは株主還元や財務の強化に直結するため、長期投資としての安心感は十分です。

ROE(10.6% → 10.7% → 14.0%)とROA(4.8% → 4.9% → 6.9%)を見ても、効率性が高まっていることが明確で、特にROE14%という水準は自動車メーカーとしては高く、株主資本を十分活かせている状態です。守りの経営を基本とするスズキがここまで数字を伸ばしているのは、事業の底堅さと海外展開(特にインド)が非常に効いていると言えます。

V字回復や一時的な特需ではなく、着実に利益率が改善している点も評価できます。もちろん円安メリットも多少ありますが、インドの圧倒的シェア拡大、アセアンの販売回復など“実需ベース”で利益が伸びていることが大きく、短期的なブレで作られた数字ではありません。

株価指標を見ると、2025年のPERは高値平均:11.7倍安値平均:7.4倍となっており、決して割高ではありません。むしろ自動車セクター全体の安定性を考えれば、スズキの利益成長と比較して“割安に放置されている”と捉えることもできます。PBRも 1.41倍 と適正に近い水準で、純利益がしっかり伸びているため今後の自己資本の積み上がりも期待でき、資本効率面のリスクも限定的です。

総合すると、スズキは 収益性の改善、海外需要の強さ、割安な株価指標 の3つが揃った企業で、長期保有に向いたバリュー寄りの銘柄と言えます。特にインド事業が今後も伸び続ける可能性が高いため、中長期では株主還元の強化、配当増、設備投資効率の改善など、株価にプラスに働く要素が数多く見込めます。

結論として、現在のスズキは「業績に対して割安感がある状態」で、足元の業績成長と利益率の改善を踏まえると投資妙味が大きい銘柄です。急騰するタイプではないものの、安定配当+海外好調+収益力改善 の3点から、安心して長期で保有しやすい企業として評価できます。

配当目的とかどうなの?

スズキを配当目的で考える場合、まず最初に見えてくるのは「利回りはそこまで高くない」という点です。予想配当利回りは 26.3期・27.3期ともに1.96% と、一般的な高配当株に分類される3〜4%台には届きません。短期で配当をがっつり欲しいタイプの投資家向けではなく、どちらかといえば業績成長とともに“ジワジワ配当が増えていく”タイプの銘柄です。

ただし、スズキは安定したキャッシュフローと堅実な財務体質を持っているため、減配リスクが比較的低いのが特徴です。特にインド事業の利益貢献が強く、純利益が 2,211億円 → 2,677億円 → 4,160億円 と伸びてきているため、利益の土台が太くなっている点は配当面での安心材料です。年間配当も 25円 → 30.5円 → 41円 と右肩上がりで、今後も業績次第では増配の余地は十分あります。

利回りだけを見れば物足りないものの、業績成長型+中長期的な増配期待型の配当株 としては評価できます。インドやアセアンでの販売が好調な限り、利益の伸びに合わせて配当も上がりやすい構造になっているため、配当の安定性という意味ではかなり強い部類に入ります。

また、スズキは極端な設備投資で財務を圧迫するタイプではなく、軽自動車・小型車中心の効率的な事業モデルを持つため、キャッシュの蓄積力が安定している点も魅力です。投資家に対しては無理のない範囲で還元していくスタンスで、急な減配や配当ブレが起きにくい“安全配当”の銘柄と言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

スズキの現在値は2,285.5円ですが、この5年間の業績推移を見ると、営業利益・純利益ともに確実に伸びており、営業利益率は7.5%から11%まで上昇、ROEも14%まで改善しています。インド市場が絶好調で、アセアンの販売回復も追い風になっており、会社としての収益基盤はかなり強くなっています。こうした状況を踏まえると、今後5年間の株価は「良い場合・普通の場合・悪い場合」でそれぞれ異なる動きを描きそうです。

まず良い場合ですが、これはインド市場の成長が続き、スズキの収益の中心となる海外販売がさらに伸びていくシナリオです。純利益も増え続け、営業利益率が10%台前半を維持できるようであれば、市場は利益成長を評価し株価レンジも上方に移行していきます。このケースでは株価が3,500円〜4,200円程度まで上がる可能性があり、現在値から約50〜80%の上昇が期待できます。インドの増産効果や配当の段階的な増加も株価の下支えにつながり、長期投資家にとっては非常にポジティブな展開となります。

次に中間シナリオですが、これは最も現実的なパターンと言えます。インド市場は堅調、国内販売も横ばいから微増、全体的に営業利益率10%前後を維持しながら利益が緩やかに拡大していくケースです。この場合、株価は2,700円〜3,200円あたりを目指す展開になりやすく、現在値から20〜40%程度の上昇が見込めます。急激な成長は見込みにくいものの、安定した事業構造と継続的な利益の積み上げにより、株価も緩やかに上昇するイメージです。地味ですが最も実現性の高いラインになります。

一方で悪い場合は、世界的な景気後退やインド市場の一時的な停滞、あるいは為替が円高に振れるなどのマイナス材料が続くシナリオです。この場合は営業利益率が現在ほど維持できず、一時的に利益が伸び悩む可能性があります。株価としては1,800円〜2,100円程度まで下落する可能性がありますが、スズキは財務基盤が強く、赤字転落のような極端な悪化が起きにくい会社なので、長期的に見ればダメージは限定的になりやすいです。大きく下がったとしても戻りが期待しやすいタイプの企業です。

総合すると、スズキは下値が硬く、上値は業績次第でしっかり伸びるタイプの銘柄で、長期保有との相性が非常に良いです。特にインド事業の強さが世界の自動車メーカーの中でも突出しており、これがスズキの株価をしっかり支えている大きな理由と言えます。5年間で大きく伸びる可能性も十分ありますし、逆に悪い局面でも極端な下落になりにくい、安定性の高い銘柄として評価できます。

この記事の最終更新日:2025年11月17日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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