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ヤマハ発動機(7272)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ヤマハ発動機とは

ヤマハ発動機株式会社は、静岡県磐田市に本社を構える世界有数の輸送機器メーカーで、二輪車、マリン製品、ロボティクス、各種電動モビリティなど、多岐にわたる事業領域を持つ企業です。1955年にヤマハ株式会社(旧・日本楽器製造)からオートバイ部門が分離する形で設立されました。創業時から「世界の人々に新しい“楽しさ”と“感動”を届ける」を掲げ、デザイン性、技術力、走りの楽しさを重視した商品開発を続けています。

主力の二輪車事業では、スポーツ系の「YZF-Rシリーズ」、ストリート系の「MTシリーズ」、スクーターの「NMAX」や「TMAX」、オフロードの「セロー」「テネレ」など、幅広いカテゴリーに対応したラインナップを展開しています。特にアセアン地域ではスクーターや小型バイクが生活に密着しており、同社にとって重要な市場です。アジア、南米を中心に強い販売網を持ち、レース活動やモータースポーツ文化との強い結びつきにより、ブランド力を世界中で高めています。

マリン事業もヤマハ発動機を語る上で欠かせません。船外機の分野では世界でもトップクラスのシェアを持ち、その耐久性・信頼性・軽量性が高く評価されています。船外機だけでなく、ボート、水上オートバイ「WaveRunner」など、海洋レジャーから漁業用途まで幅広い製品を提供しています。特に北米ではマリンレジャー市場が大きく、収益性の高い事業としてグループ全体の利益を下支えしています。

さらに、産業ロボットを中心とした「ロボティクス事業」も大きな強みを持っています。搬送ロボット、産業用自動化装置、半導体製造関連装置など、製造業の自動化・効率化ニーズに応える製品を展開しており、今後さらに需要拡大が期待される分野です。また電動アシスト自転車「PAS」シリーズやゴルフカー、農業向け無人ヘリ(ドローン)など、独自性の高い製品が多く、多角化が進んでいる企業でもあります。

ヤマハ発動機の強みは「技術力 × デザイン × モビリティ」のバランスにあります。二輪車では高い走行性能と軽量技術、マリンでは信頼性の高いエンジン技術、ロボティクスでは精密制御技術、さらに新領域では電動化・自律制御など、幅広い技術基盤を持っています。この多様な技術がシナジーを生み、既存事業の競争力強化と新規事業の発展につながっています。

近年は、環境規制の強化やカーボンニュートラルの流れに合わせ、EV(電動バイク)や電動モビリティにも積極的に挑戦しています。欧州・日本の電動バイク市場や、アジアにおける電動スクーターの普及など、今後の成長が期待される分野にも取り組んでおり、中長期の収益源として注目されています。

総合的に見ると、ヤマハ発動機は「二輪 × マリン × ロボティクス × 電動モビリティ」という複数の柱を持つ、極めてバランスの良い企業です。二輪車市場の景気循環に左右されやすい面はあるものの、マリンやロボティクスの高収益事業が全体の収益を安定させており、世界的なファンを持つブランド力と強い技術基盤が今後も成長を支えていく構造になっています。

ヤマハ発動機 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
22.12 2,248,456 224,864 239,293 174,439 170.5 41.7
23.12 2,414,759 250,655 241,982 164,119 163.6 48.3
24.12 2,576,179 181,515 183,175 108,069 110.1 50
25.12予 2,570,000 120,000 120,000 45,000 46.4 50

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022 70,921 -74,160 23,103
2023 80,150 -116,972 95,260
2024 176,847 -128,748 -46,426

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 10.3% 14.6% 6.3%
2024 7.0% 9.3% 3.8% 10.1倍(高値平均)/6.6倍(安値平均) 0.97倍
2025(予想) 4.6% 3.8% 1.6% 25.14倍(予想)

出典元:四季報オンライン

投資判断

ヤマハ発動機の直近の決算データを眺めると、2023年には営業利益率10.3%・ROE14.6%と非常に高い収益性を記録し、会社としてかなり好調だったことが分かります。しかしその後は利益率が徐々に下がり、2024年は営業利益率7.0%、ROE9.3%まで低下、そして2025年の予想では営業利益率4.6%、ROE3.8%とさらに落ちる見通しになっています。数字を見るかぎり、ヤマハ発動機は今「利益が下り坂に入った局面」にあるのは明確です。

営業利益、経常利益、純利益の動きを見ても同じ傾向で、2023年までは伸びていた利益が2024年に減少し、2025年にはさらに縮む見通しになっています。二輪車だけでなく、マリンなどの収益性の高い事業も一時的に伸びが鈍っており、全体として利益が一息つくタイミングに来ていることが分かります。円高方向の為替やアジア市場での採算調整なども、利益低下の要因として考えられます。

株価指標を見ると、2024年の実績PERは高値平均10.1倍・安値平均6.6倍と割安水準でしたが、2025年の予想PERは25.14倍と一気に跳ね上がっています。これは株価が急騰したのではなく、純利益が小さくなるためにPERが高く見えてしまう “見かけ上の割高化” が起きているだけです。実際、PBRは0.97倍とそこまで高くなく、株価だけが暴走しているわけではありません。

ただし、ROEやROAの推移を見ると本業の効率性が低下しているのは事実で、企業の稼ぐ力は短期的に弱まっています。ROEが14.6% → 9.3% → 3.8%と落ちているのはかなり大きな変化で“今は力をため直している時期” と捉えるべき状況です。

もちろんネガティブ要素だけではありません。ヤマハ発動機は二輪車だけの会社ではなく、マリン、ロボティクス、電動モビリティなど複数の収益源を持っている企業です。特に船外機は世界的に強い競争力があり、景気が戻ればマリン事業は再び利益の柱として存在感を取り戻します。ただ現時点では、好調だったマリンの反動減が利益の重荷になっており、すぐに業績がV字回復する局面とは言いにくい状況です。

総合的に判断すると、ヤマハ発動機は“長期的な企業力は強いが、短期的には調整期に入っている銘柄”という位置づけになります。今すぐ積極的に買い向かうようなタイミングではありませんが、落ち着いた株価水準でじっくり持つには悪くない企業です。業績が反転し始める兆しが見えれば、一気に割安感が強まるタイミングになる可能性もあります。したがって現在は「焦らず様子を見ながら、業績の下げ止まりを待つ局面」というのが正直な評価になります。

配当目的とかどうなの?

ヤマハ発動機の配当利回りは、25.12期と26.12期の予想で 4.49% となっており、これは国内株の中でも「はっきりと高配当株」と言える水準です。4%台後半という利回りは、銀行株や商社株などと並んで十分に魅力のあるラインで、配当収入を重視した投資では候補に入りやすい銘柄です。

ただし注意点として、ヤマハ発動機は今まさに業績の調整局面に入っていて、営業利益率、ROE、ROAが軒並み下がっている状態です。特に純利益が2025年予想で大きく落ちるため、この利回りが高く見える理由の一部は「株価がそこまで高くないから」という面もあります。配当利回りは株価が割安だと自然に高くなりやすいため、“高利回りだから業績絶好調”というわけではなく、今は会社側が配当を据え置く方針で利益が落ちても配当を守る姿勢を取っている状態だと言えます。

それでも、ヤマハ発動機は事業の柱が複数あり、二輪車・マリン・ロボティクスといった分散された収益源を持っています。特にマリン事業は景気の状況次第で大きく稼ぐ事ができる利益率の高い分野で、周期的に強い回復が訪れやすい特徴があります。また、会社全体として財務基盤が弱いわけではなく、キャッシュフローも一定の範囲に収まっているため、無理をしている配当とは言えません。

配当利回り4.49%という水準だけを見ると非常に魅力的で、「高配当株として保有する価値がある銘柄」に分類できます。ただし、中身を見れば、業績は一度落ちている最中であり、利益の底打ちや回復がいつ見えるかが重要なポイントになります。とはいえ、ヤマハ発動機の事業構造を考えると、利益が長期的に崩れ続けるタイプの企業ではないため、配当維持・安定配当という観点では比較的安心できる部類です。

総合すると、ヤマハ発動機は「高利回りで魅力は大きいが、業績が調整期なので直近は慎重に見たい。長期保有の配当狙いなら十分検討できる」というポジションの銘柄です。配当を軸にしつつ、業績が下げ止まるタイミングで買い向かう戦略が相性の良いタイプと言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

ヤマハ発動機の現在値は 1,111.5円ですが、直近の業績を見ると2023年をピークに利益率が低下しており、2024年・2025年と連続で営業利益と純利益が落ちる見通しになっています。営業利益率は 10.3% → 7.0% → 4.6% と下がり、ROEも 14.6% → 9.3% → 3.8% と明確に低下していて、今は完全に“調整局面に入っている状態”です。したがって、5年間の見通しは業績の回復速度によって大きく差が生まれる銘柄になります。

まず良い場合ですが、これは二輪車需要の回復やマリン事業の持ち直し、為替(ドル円)が円安方向に戻るケースなど、プラス材料が複数重なるパターンです。この場合、2026年以降に利益が再び伸び始め、営業利益率が6〜8%程度まで戻ると想定すれば、株価は 1,400円〜1,650円 程度まで上昇する可能性があります。現在値から見ると 25〜50%前後の上昇 が期待でき、業績回復期には市場が一気に評価を戻してくる可能性があります。

次に中間の場合は、二輪車・マリンともに一定の需要はあるものの、大きな成長には至らない落ち着いた展開になるパターンです。このケースでは営業利益率が5〜6%程度まで緩やかに戻るイメージで、株価は 1,200〜1,350円 のレンジで推移しやすく、現在値から見れば 10〜20%程度の上昇 に収まる見込みです。派手さはありませんが、配当利回り4%台と合わせて考えれば総合的には悪くないリターンになります。

最後に悪い場合ですが、マリン事業の反動減が長引き、二輪車もインフレや景気鈍化で需要が弱まり、為替も円高方向に振れるパターンです。この場合、純利益がさらに圧迫され、2026年以降も回復ペースが鈍くなるため、株価は 900〜1,050円 程度まで下落する可能性があります。現在値から見ると 10〜20%の下落 というイメージですが、ヤマハ発動機の財務体質は強く赤字化する会社ではないため、極端な暴落は起こりにくいタイプです。

総合すると、ヤマハ発動機は「事業構造は強いが短期的には落ち込みが続いている局面」で、株価は業績次第で大きく方向が変わる状態にあります。長期目線では反転タイミングを狙える銘柄で、安い時に拾って回復を待つ戦略が相性の良いタイプです。

この記事の最終更新日:2025年11月17日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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