株価
バンダイナムコホールディングスとは

バンダイナムコホールディングス(BANDAI NAMCO Holdings Inc.)は、東京都港区に本社を置く、日本を代表する総合エンターテインメント企業グループであり、ゲーム・玩具・アニメ・ライブイベント・アミューズメント施設など、多岐にわたる事業を展開している。バンダイとナムコが2005年に経営統合したことで誕生し、キャラクターIP(知的財産)を起点に、グローバルで強力なブランド力を持つ企業グループとなった。「ガンダム」「ドラゴンボール」「ワンピース」「アイドルマスター」「太鼓の達人」など、国内外で巨大な市場価値を持つIPを多数保有しており、ゲーム・玩具・映像・イベントなどあらゆる形で収益を生み出している点が最大の特徴である。
事業は大きく「デジタル事業」「トイホビー事業」「IPプロデュース事業」「アミューズメント事業」の4本柱で構成されている。
まず「デジタル事業」は家庭用ゲーム・スマホゲーム・PC向けコンテンツなどを担当する中核事業で、世界的ヒットタイトルを数多く抱えている。特に「エルデンリング」「ドラゴンボール ゼノバース/カカロット/ファイターズ」「鉄拳」「テイルズシリーズ」など世界市場で人気の高いラインナップを持ち、海外売上比率が非常に高い点が特徴である。デジタル配信による利益率改善が進んでおり、グループの収益の柱となっている。
「トイホビー事業」では、フィギュア、プラモデル、カプセルトイ、カードゲーム、アパレル、雑貨まで幅広く展開している。特にガンプラは世界的な人気を誇るブランドで、生産が追いつかないほどの需要を維持している。また、子ども向け玩具から大人のホビー市場までをカバーしており、近年は海外ホビー市場への進出も強化している。
「IPプロデュース事業」では、アニメ・映像制作、音楽、ライブイベントなどを手がけ、IPを映像・音楽・ライブなど多方面に展開する。サンライズ(現在はバンダイナムコフィルムワークス)が制作する「ガンダム」シリーズは世界的なブランドとなっており、アニメだけでなくプラモデルやゲーム、イベントとの連動を通じて安定した収益源となっている。ライブ事業でも「アイドルマスター」や「ラブライブ!」など大型コンテンツを抱え、国内外でのライブイベントを積極展開している。
「アミューズメント事業」では、ゲームセンター、アーケードゲーム機器、アミューズメントマシンの企画・開発・運営を行っている。「太鼓の達人」や「ワニワニパニック」など、長年愛されるタイトルを多数保有し、さらにVR体験型施設やファミリー向けのアウトレット型施設など、新しい遊びの形にも挑戦している。
同社の強みは、“IP(知的財産)を軸にした全方位展開” にある。ひとつの人気キャラクターをゲーム・アニメ・玩具・ライブ・イベントに連動させ、ファン層を長期的に拡大するビジネスモデルは世界的にも高い評価を受けている。また、自社IPだけでなく他社IPとも積極的にコラボし、世界中で幅広いファン層を獲得する戦略を取っている。
バンダイナムコホールディングスは、国内にとどまらず北米・欧州・アジアなど海外市場にも強いパイプを持ち、グローバル売上比率が年々高まっている。世界中で“IP+商品+体験”をセットで提供できる珍しい日本企業であり、長期的に見るとIP価値の積み重ねによって収益基盤が強化され続けるモデルとなっている。
バンダイナムコホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 990,089 | 116,472 | 128,006 | 90,345 | 136.9 | 68.7 |
| 24.3 | 1,050,210 | 90,682 | 104,164 | 101,493 | 153.9 | 60 |
| 25.3 | 1,241,513 | 180,229 | 186,470 | 129,301 | 197.9 | 71 |
| 26.3予 | 1,210,000 | 150,000 | 154,000 | 103,000 | 159.1 | 50〜55 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 95,625 | -40,878 | -59,524 |
| 2024 | 88,906 | 10,136 | -75,237 |
| 2025 | 187,337 | -62,004 | -77,347 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 11.7% | 13.8% | 9.7% | — | — |
| 2024 | 8.6% | 14.5% | 10.4% | — | — |
| 2025 | 14.5% | 16.3% | 11.7% | 高値平均:25.6倍 安値平均:16.5倍 |
3.43倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
バンダイナムコホールディングスは、日本を代表する総合エンタメ企業として、IP(知的財産)を軸にゲーム・玩具・アニメ・ライブイベント・アミューズメントなど幅広い事業を展開している。その強みが業績にも表れており、直近3年の売上推移を見ると、2023年9900億円、2024年1兆502億円、2025年は1兆2415億円と成長基調を維持している。特に2025年はデジタル事業とホビー事業が好調で、大幅な増収となった。また、2026年も売上1兆2100億円と高水準を維持すると予想されており、エンタメ銘柄としての安定感がうかがえる。
利益面でも、2025年は営業利益1802億円・経常利益1864億円・純利益1293億円と、過去最高級の収益を叩き出している。EPSも2023年136.9円 → 2024年153.9円 → 2025年197.9円としっかり伸びており、一株利益ベースでも成長が確認できる。ただし2026年は営業利益1500億円・純利益1030億円とやや調整が入る見通しで、EPSも159.1円に戻る予想となっている。これは主にゲームの大型タイトルの反動、ホビー事業の一服、コンテンツ投資拡大などが理由と考えられる。
収益性の指標を見ると、営業利益率は2023年11.7%、2024年8.6%と一時落ち込みつつも、2025年には14.5%まで急回復している。エンタメ企業として営業利益率10%超は優秀な部類であり、バンダイナムコHDのIP戦略がしっかり利益につながっていることを示す。ROEは13.8% → 14.5% → 16.3%と年々向上しており、資本効率も強化され続けている。ROAも9.7% → 10.4% → 11.7%と順調に改善しており、企業の稼ぐ力がこの数年で確実に高まっているのがわかる。
一方、株価指標はやや割高寄りである。2025年の実績PERは高値平均が25.6倍、安値平均でも16.5倍と水準は高く、PBRも3.43倍と日本企業にしてはかなり高い評価を受けている。これはバンダイナムコが世界的なIP企業であり、ガンダム・ドラゴンボール・ワンピースなど継続的にキャッシュフローを生むコンテンツを多数保有していることが背景にある。つまり、投資家が“将来の安定収益”にプレミアムを払っている状態とも言える。
事業構造を見ると、ゲームのデジタル事業がグローバルで強く、ヒット作が出ると大きく利益を押し上げる。またホビー事業ではガンプラを中心に世界的な需要が高く、アニメ事業・ライブ事業とも連動して高いシナジーを生んでいる。これら複数の事業が相互にIP価値を押し上げ、そのIP価値がまた新しい収益を生む「IP循環モデル」が確立されており、他社には真似できない強固な収益構造を持っている。
総合的に見ると、バンダイナムコHDは“IP資産を生かした強いビジネスモデル”と“高い収益性”を兼ね備えた中長期向けの優良企業と言える。ただしPER・PBRが高く、常に割安で買える銘柄ではないため、株価が調整したタイミングを狙うのが現実的な戦略となる。今後は大型ゲームタイトルの投入タイミング、新規IPの育成、海外展開の強化、ホビー事業の生産体制拡大などが株価の主要テーマとなる。
結論として、7832は「高収益のIP企業として長期保有に向くが、割高評価されやすくエントリータイミングが重要な銘柄」である。成長は継続しやすく、収益の底堅さも抜群なため、長期の資産形成にも適した優良エンタメ株と言えるだろう。
配当目的とかどうなの?
バンダイナムコホールディングスを配当目的で考える場合、予想配当利回りは26.3期で1.23%、27.3期で1.34%と、日本株全体の中ではかなり低い水準に位置する。現在の日本企業の平均利回りが約2%前後であることを踏まえると、バンダイナムコは“配当株”というよりも“成長株”に分類され、配当収入を目的に投資する銘柄ではない。
利回りが低い背景には、同社が利益の多くをコンテンツ投資、ゲーム開発、IP拡大のための制作費、アミューズメント設備への投資などに回している事情がある。バンダイナムコのビジネスはIPを軸に展開されるため、新しいゲームや映像制作、ホビー商品の開発に投資することで長期的に大きなリターンが見込める。このため、配当を高くするより成長投資を優先する方針をとっている。
また、利益水準は高いものの、EPSが毎年安定して増え続けるタイプではなく、大型ゲームタイトルやホビー事業の反動などで変動が起こりやすい。企業側としては、業績に左右されず安定した配当を維持するために、あえて高配当政策を採っていないとも考えられる。実際、配当自体は安定しているものの「高配当」と言える水準にはなく、利回り1〜1.3%台の低位で推移している。
総合すると、バンダイナムコHDは 配当目的の投資には向かない銘柄 であり、むしろ IP資産の価値上昇やゲーム・ホビー市場の成長による株価の中長期的な上昇を狙う銘柄 である。株価成長によってトータルリターンを得るタイプの企業であり、配当収入そのものを目的とした投資だと満足度は低くなりやすい。
言い換えれば、バンダイナムコは「低配当だが成長性の高い優良エンタメ企業」であり、配当目的ではなく“成長+中長期の株価上昇”を軸に投資するべき銘柄である。安定的な配当収入を求めるなら他の銘柄(任天堂、KDDI、日本特殊陶業、JTなど)の方が適しているだろう。
今後の値動き予想!!(5年間)
バンダイナムコホールディングスの現在値はおおよそ4,468円。今後5年間の株価を考えるにあたっては、同社が「高収益IPを活かしつつ成長フェーズにある」こと、また「コンテンツビジネスゆえのヒット・タイミング」に業績が左右されやすい点を頭に入れる必要がある。利益率・ROE・ROAの改善傾向も確認されており、成長余地は十分存在すると言える。以下に3つのシナリオに分けた予想を示す。
【良い場合】
ゲームタイトルが世界的ヒットを継続し、ホビー・アニメ・ライブイベントもグローバルで拡大。IPの典型例「ガンダム」「ドラゴンボール」「ワンピース」などが新たなフェーズに入り、サブスクリプション・デジタルコンテンツで収益拡大。営業利益率が14〜15%台を維持または上昇し、ROEも16%を超え、ROAも11%台を定着させる。市場評価が上がり、PERが22〜28倍程度、PBRも4倍前後まで拡大。これにより株価は5年で 6,800〜8,000円 レンジに到達する可能性がある。特に新IPの成功やグローバル展開の加速があれば、8,000円超への到達も視野に入る。
【中間の場合】
成長はするが、波が出つつも順調なパターン。ゲーム・ホビーともに堅調だがブレがあり、営業利益率は12〜14%程度、ROEは14〜16%、ROA10〜11%あたりで推移。市場評価もPER16〜20倍、PBR3〜3.5倍程度で安定。株価は5年後に 5,200〜6,200円 付近が着地点となる可能性が高い。配当も手堅く、株価の大きな暴騰にはならないが、堅実に資産を増やしていける展開。
【悪い場合】
ゲームのヒットが出ず、IP活用・ライブイベント・ホビー展開に想定外の逆風が出る場合。営業利益率が10%台を下回るか、ROEが13%前後に停滞し、ROAも9%未満に落ちる可能性。市場評価が下がり、PERが14〜16倍、PBR2〜2.5倍へ縮小されると、株価は5年後でも 3,200〜4,000円 のレンジにとどまり、現在値から大きく伸びない結果となる。ただし、下げシナリオでもIPという強い資産があるため、大きく崩れにくいという安心感は残る。
【まとめ】
バンダイナムコHDは、現在値4,468円から5年を見通すと、良い場合で6,800〜8,000円、中間で5,200〜6,200円、悪い場合でも3,200〜4,000円というレンジが想定される。売上拡大・利益率改善・ROE上昇という成長シナリオを背景に持ちながら、既にその一部が株価に織り込まれている点には注意が必要だ。成長+ブランド価値+グローバル展開を信じて長期保有できる投資家には魅力的な銘柄と言えるが、短期の爆発的なリターンを期待するタイプの銘柄ではない。
この記事の最終更新日:2025年11月18日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す