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リコー(7752)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

リコーとは

リコー(Ricoh Company, Ltd.)は、東京都大田区に本社を置く日本を代表するオフィスソリューション・精密機器メーカーであり、1936年の創業以来「オフィスワークを支える企業」としてグローバルに事業を展開してきた。複写機やプリンターで世界的なシェアを誇り、日本企業の中でも特に海外比率が高いグローバル企業として知られている。近年は従来の「複写機メーカー」という枠を大きく超え、デジタルサービス・産業ソリューション・産業用プリント・光学モジュールなどへ事業領域を広げ、IT企業としての性格を強めている。

リコーの特徴は、オフィス機器の製造だけでなく、ネットワーク構築、システム運用、文書管理、業務改善ソリューションなど「企業の働き方そのものを支えるソリューション」を提供できる点にある。世界200か国以上で事業を展開しており、ビジネスの基盤となるオフィス機器の保守サービス体制が極めて強固で、顧客接点の多さがリコーの大きな武器となっている。

事業は大きく4つの柱から構成される。

まず「デジタルサービス事業」は、複合機・プリンター・ビジネス向けオフィス機器を中心に、ITサービス、クラウド環境の構築、ネットワークセキュリティ、文書管理システムなど幅広い領域を包括する。単なるハードの販売にとどまらず、保守契約・管理サービス・コンサルティングがセットで提供される点が特徴で、長期的な収益基盤として機能している。

「デジタル製品事業」では、オフィス用プリンター、複合機、プロジェクターなどの開発・製造を担い、リコーの基盤技術が集約されている分野となっている。高精度なプリント技術や環境性能に特徴があり、企業・官公庁・教育機関を中心に幅広く導入されている。

「グラフィックコミュニケーション事業」では、商業印刷機、産業印刷機、ワイドフォーマットプリンターなどを展開しており、広告・出版・産業印刷のデジタル化を背景に需要が拡大している。特にプロダクションプリンターは高い品質とカスタマイズ性が評価され、世界市場で存在感を強めている。

「産業ソリューション事業」では、サーマル製品(レシート用感熱紙、ラベル用熱転写リボンなど)、産業用プリントヘッド、光学モジュール、画像処理デバイスなど、製造現場やIoT向けの製品を提供している。リコーの高い光学技術・メカトロニクス技術が活かされる分野で、今後の成長ドライバーとして期待されている。

また、リコーは360度カメラ「RICOH THETA」などの新規事業にも挑戦しており、映像配信、空間データ活用、リアルとデジタルをつなぐソリューション領域にも積極的である。カメラから得た空間データを建設や不動産、製造業に活用するなど、新しい価値創出に取り組んでいる。

全体としてリコーは、「オフィス向けプリンターの会社」から「デジタルサービス・産業ソリューション企業」へと大きな転換を進めている。ハード販売だけに頼らない“サービス+ソフト+機器”のビジネスモデルを強化し、企業の働き方改革、ITインフラ支援、産業用途でのデジタル化など、幅広い領域で存在感を示す企業となっている。

リコー 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当
23.3 2,134,180 78,740 81,308 54,367 88.1 34
24.3 2,348,987 62,023 68,202 44,176 72.6 36
25.3 2,527,876 63,829 70,067 45,709 78.1 38
26.3予 2,560,000 80,000 82,000 56,000 98.4 40

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 66,708 -133,939 35,454
2024 125,617 -97,822 -82,922
2025 136,877 -79,361 -45,568

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 3.6% 5.8% 2.5%
2024 2.6% 4.2% 1.9%
2025 2.5% 4.4% 1.9% 高値平均:18.7倍
安値平均:12.6倍
0.71倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

リコーの直近3年間の数値を見ると、全体として“低収益・低成長の成熟企業”という印象が強い。営業利益は2023年787億円 → 2024年620億円 → 2025年638億円と推移しており、成長が鈍いどころか24年には利益が落ち込んでいる。営業利益率も2023年の3.6%から2024年2.6%、2025年は2.5%と低い水準にとどまっており、利益率は年々下がっている。製造業では営業利益率が5%を下回ると厳しいと言われるが、リコーはその“低収益帯”に長く沈んでおり、構造的な収益改善の難しさが表れている。

経常利益や純利益も同様で、2023〜2025年にかけて大幅な成長は見られず、わずかな変動にとどまっている。純利益も2023年543億円 → 2024年441億円 → 2025年457億円と伸び悩み、EPSも88円 → 72円 → 78円 → 98円と上下しながらで、安定的な成長とは言いにくい。競争の激しいオフィス機器市場では、利益が出てもすぐに価格競争に巻き込まれ、収益が削られる構造が続いている。

ROEは2023年で5.8% → 2024年4.2% → 2025年4.4%と資本効率は低めで、一般に優良水準とされるROE10%に届いていない。ROAも2%台前半と低く、総資産に対する収益力が弱いことが分かる。これらの指標から、事業自体の利益創出力が弱く、構造改革に時間がかかっていることが読み取れる。

一方で、株価指標には魅力的な点もある。2025年の実績PERは高値平均18.7倍、安値平均12.6倍、PBRは0.71倍と、典型的な“割安株”水準である。特にPBR0.71倍は「解散価値(1倍)」を大きく下回っており、市場がリコーに成長期待をほとんど織り込んでいない状態を示している。市場の期待が低い分、下値は比較的固く、資産性に注目した買いが入りやすい位置にもある。

総合すると、リコーは「高成長を期待する銘柄」ではなく、「成熟企業の中で構造改革が成果を出した時にリターンが出るタイプ」の株だと言える。現状の収益性は低いものの、産業ソリューション、産業プリント、デジタルサービスといった非オフィス領域が育ち、利益率が改善すれば、PBR0.7倍という低評価が見直される可能性は十分ある。逆に、今の利益率の低さが続く場合は株価の大きな上昇は期待しづらい。

結論として、リコーは「成長株ではないが、割安株としての妙味がある」銘柄であり、収益改善が見えてきたタイミングで投資することでリターンを取りにいけるタイプだ。ただし、本格的な株価上昇には時間がかかる可能性が高く、長期目線・低リスク志向の投資家と相性が良いと判断できる。

配当目的とかどうなの?

リコーを配当目的で考える場合、予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに 2.96% と、悪くない水準にある。日本株全体の平均利回り(約2%前後)と比べてもやや高めで、「最低限の利回りは確保できる配当株」といえる。特に、PBR0.7倍という低評価の中で3%近い利回りを維持している点は、配当面では一定の魅力がある。

ただし、後ろ向きな収益構造に目を向けると注意点もある。リコーは営業利益率が3%前後、ROEも5%未満という低水準にあり、企業全体として高い収益力があるとは言えない。純利益も年ごとの上下が大きく、配当を増やしていけるほど力強い成長は現状では感じにくい。とはいえ、キャッシュフローは徐々に改善しており、現時点で配当が不安定というわけではない。

また、リコーは「配当方針が比較的安定している企業」でもある。景気に左右される部分はあるものの、極端な減配は少なく、一定の水準を維持し続ける傾向がある。成熟企業らしく、急成長は見込みづらいが安定性は比較的高い。そのため、「高すぎず・低すぎず・ちょうどよく受け取れる利回り」を欲しい投資家に向いた銘柄といえる。

ただし、配当利回りが約3%である一方、株価の成長性は限定的で、短期での大幅な株価上昇は期待しにくい。あくまで配当と、企業価値が徐々に見直される可能性への期待が主軸となる。PBR0.7倍という低評価がいつか修正される可能性はあるが、そのタイミングは読みづらく、スピード感は乏しい。

まとめると、リコーは 「高成長は期待しにくいが、安定した3%前後の利回りを受け取り続けたい投資家向け」 の銘柄といえる。長期保有で配当を積み上げたい人にとっては悪くない選択肢だが、配当“だけ”でなく、ゆるやかな株価見直しをセットで期待するくらいがちょうど良いだろう。

今後の値動き予想!!(5年間)

リコーの現在値は1,349.5円。ここから今後5年間の株価を考える際のポイントは、同社が「高成長企業」ではなく、「低収益だが安定性はある成熟企業」であること、そしてPBR0.7倍という割安水準で放置されている点である。営業利益率は2〜3%台、ROEも4〜5%台と低めで成長力は弱いが、安定した事業基盤と配当利回り約3%が下値を支えやすい特徴がある。これを踏まえて3つのシナリオに分けて予測する。

【良い場合】
産業ソリューション、産業プリント、デジタルサービスの成長が順調に進み、オフィス機器関連も大きく落ち込まないシナリオ。この場合、利益率は改善し、EPSも増加傾向に乗る。市場がリコーを“再評価”し、PBRが0.7倍 → 0.9倍〜1.0倍程度まで見直されれば、株価の上昇余地は大きい。PERも14〜18倍程度まで戻る可能性があるため、5年後の株価は 1,700〜2,000円 程度まで上昇するシナリオが考えられる。構造改革が実を結べば、2,100円を超える可能性もある。

【中間の場合】
最も現実的なシナリオで、業績は横ばい〜緩やかに改善。ただし大きな成長はなく、営業利益率は2〜3%台のまま。EPSも増える年・減る年が混在し、PERは12〜15倍の範囲で推移する。この場合、株価は現在値を少しずつ上回りながらも大きくは伸びず、5年後には 1,400〜1,600円 あたりが中心レンジになる。配当利回りがあることで下値は固く、ジリジリとした値動きが想定される。

【悪い場合】
世界的な景気減速や企業の印刷需要縮小が続き、オフィス機器中心の事業構造が逆風を受けるシナリオ。産業ソリューションの成長も遅れ、ROEが4%前後で停滞し、投資家の関心が薄いままPBR0.6倍台へと下落する可能性もある。この場合、PERは10〜12倍程度で割安放置され、株価は 1,150〜1,300円 の範囲で推移する見込み。大崩れはしないが、大きな成長も期待しづらい展開となる。

【まとめ】
リコーの株価は「爆発的に上がるタイプではない」が、「割安水準+3%前後の配当で下値は固い」特徴を持つ。良い場合で1,700〜2,000円、中間で1,400〜1,600円、悪い場合でも1,150〜1,300円に収まりやすく、極端な振れ幅は少ない。高成長株とは言えないものの、配当と緩やかな株価見直しを狙う長期投資家とは相性が良い銘柄と言えるだろう。

この記事の最終更新日:2025年11月18日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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