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HOYA(7741)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

HOYAとは

HOYAは、日本を代表する光学・医療・IT素材の複合企業であり、世界でも数少ない「光学技術 × 医療 × 半導体 × データストレージ」という4分野を高いレベルで兼ね備えたグローバルメーカーである。創業は1941年、東京でガラス研磨業としてスタートし、その後に光学ガラス、レンズ、医療機器、そして半導体関連材料へと事業を拡大してきた。従来の光学ガラスメーカーの枠を超え、現在では世界140か国以上で事業を展開する巨大企業へと成長。医療・ライフケアの“安定的な収益”と、半導体やHDD(データセンター向け)などの“成長分野”を両輪とする強固なポートフォリオを築いている。

HOYAの特徴は、とにかく“利益率の高さ”と“収益の安定性”にある。光学ガラスや半導体フォトマスクブランクスなど、高精度・高純度が要求される素材を扱うため参入障壁が極めて高く、競合が少ない分野で存在感を示している。加えて、眼鏡レンズやコンタクトレンズ、内視鏡など医療系の製品は景気の影響を受けにくいため、好況でも不況でも会社全体の収益が大きく崩れにくいという安定感もある。特に内視鏡や眼科医療機器は世界的にもシェアが高く、医療現場の必需品として強固なポジションを確保している。

事業は大きく「ライフケア(医療・ヘルスケア)事業」と「情報通信(IT)事業」の2本柱で構成されている。

まずライフケア事業では、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼科診断機器、内視鏡、医療処置具などを展開しており、高齢化や医療ニーズの増加が追い風となる中で着実に収益を伸ばしている。HOYAはもともと光学ガラスの磨き技術に強みがあり、それが眼鏡レンズや医療レンズに応用されている。眼鏡レンズは世界各国でブランドを展開し、コンタクトレンズ事業では専門店や医療現場との連携も強い。医療内視鏡の領域では、細径で画質性能の高い機器を提供し、外科手術や消化器分野で高い評価を得ている。

一方、情報通信(IT)事業はHOYAの成長エンジンであり、半導体向けフォトマスクブランクス、HDD向けガラスディスク、各種光学ガラスなどを世界に供給している。中でもフォトマスクブランクスは、半導体の露光工程で使われる極めて高精度なガラス基板で、AI半導体や高速ロジックの微細化が進むほど需要が増える。世界的に見てもHOYAは圧倒的に競争力のあるメーカーとして知られ、先端プロセスを支える重要部材を提供している。また、HDD向けガラスディスクではシェアの大部分を占めており、データセンター需要の拡大によりこの分野も引き続き成長が期待される。高温に強く反りが出にくいガラスディスクは、高密度記録が求められるクラウド・AI時代に欠かせない素材となっている。

さらにHOYAは、研究開発投資にも積極的で、光学技術・ガラス加工・微細加工技術を組み合わせた独自製品を次々と生み出してきた。近年はAI・医療DX・先端半導体などの分野への投入を強化し、事業の多角化と技術深化を同時に進めている。安定収益を生む医療事業と、成長力の高いIT事業のバランスが非常に良く、世界的に見ても“安定と成長を兼ね備えた優良企業”として高く評価されている。

HOYA 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当
22.3 661,466 210,652 210,706 164,507 446.5 110
23.3 723,582 209,982 215,832 168,638 469.8 110
24.3 762,610 222,210 236,564 181,377 515.5 110
25.3 866,032 244,984 259,965 202,101 581.5 160
26.3予 900,000 270,000 280,000 216,000 631.0 250〜255

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 201,829 -47,496 -194,593
2024 222,802 -35,808 -110,892
2025 235,113 -33,192 -190,352

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA 実績PER(倍) 実績PBR(倍)
2023 29.0% 20.6% 16.3%
2024 29.1% 18.7% 15.0%
2025 28.2% 20.7% 16.3% 高値平均:36.5倍
安値平均:26.0倍
7.80倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

HOYAの直近3年間の数値を見ると、この企業の強さが非常に分かりやすく表れている。まず営業利益は毎年増加しており、22.3期の2,106億円から25.3期には2,449億円へと着実に積み上がっている。売上も拡大している中で営業利益率は29%前後という非常に高い水準を維持しており、24.3期には29.1%、25.3期でも28.2%とほとんど崩れていない。ここまで利益率が安定して高い製造業は少なく、HOYAが扱うフォトマスクブランクスやHDDガラスディスク、内視鏡など高付加価値の製品が、競争の少ない領域で圧倒的な収益力を発揮していることを示している。

経常利益も22.3期の2,107億円から25.3期には2,599億円と増加しており、財務負担に左右されずに安定して利益を稼げる体質を作れている。純利益も1,645億円→1,686億円→1,813億円、そして25.3期には2,021億円へと伸びていて、EPSも446円→469円→515円→581円と堅調に積み上がっている。ROEは20%前後を安定して維持しており、25.3期には20.7%と非常に高い水準に戻っている。資本効率の観点でも極めて優秀で、ROE15%以上が“優良”と言われる中、HOYAは20%台を安定してキープしており、日本企業としてトップクラスの収益性を備えている。ROAも15〜16%台と極めて高く、総資産全体からこれだけ効率的に利益を生み出す企業は国内でも稀有な存在といえる。

一方で、株価のバリュエーションは明らかに高く、プレミアム銘柄として扱われている印象が強い。25.3期の実績PERは高値平均36.5倍、安値平均でも26倍、そしてPBRは7.8倍という水準になっており、投資家からの期待がかなり高く織り込まれている状態だ。利益率や安定性、グローバル市場での競争優位性を考えればこの評価は決して不自然ではないが、短期的には“割高に見える局面”が多くなる点には注意が必要である。

総合して見れば、HOYAは極めて高い利益率と安定した収益構造、高成長と安定収益の両輪を持つ“質の高い成長株”であり、長期保有に向いた企業であることは間違いない。医療分野とIT素材分野のバランスにより景気変動にも強く、さらに半導体やデータセンター需要の構造的拡大という追い風もあるため、中長期では安定して成長する可能性が非常に高い。一方、既に高く評価されているため、短期的には株価が重くなりやすく、押し目や調整局面を拾って積み上げていく投資スタイルが最も適していると言える。

まとめると、HOYAは「高収益・高効率・高安定性」を兼ね備えた日本屈指の優良企業で、長期投資との相性が抜群の銘柄である。ただし現在の株価水準はプレミアムが乗っているため、タイミングを選んで少しずつ買い下がるのが最も賢いアプローチになるだろう。

配当目的とかどうなの?

HOYAを配当目的で考える場合、まず利回り水準を見ると26.3期で1.08%、27.3期で1.12%と、かなり低い部類に入る。日本株の平均が2%前後であることを踏まえると、利回り狙いの投資としては物足りない数字であり、「高配当株」としての魅力は正直ほとんどない。ただしHOYAの場合は、この低い利回りだけで投資判断をしてしまうと、本来の価値を見誤る可能性がある。

HOYAはもともと配当よりも“成長”を重視する企業であり、高付加価値の医療機器、半導体部材、HDDガラスなど利益率の高い事業で稼ぎ、その利益を積極的に研究開発や設備投資に回してきた。結果として営業利益率30%近い水準や、ROE20%前後の超高収益体質を維持しており、これが世界で強い競争力を持つ理由でもある。つまり、配当利回りが低いのは単に“その分、成長に回している”という構造的な特徴によるものだ。

配当自体は着実に増えてはいるものの、利回りが伸びない理由はもうひとつある。それは株価の上昇スピードが速いことだ。EPSも利益も伸び続けているため配当は増えているが、株価がさらに早く上がるため、利回りは常に1%前後に押し下げられる状態になりやすい。これは高収益グロース企業の典型的なパターンで、利回りの低さは“人気の高さ”“期待の高さ”“株価の強さ”の裏返しでもある。

結論として、HOYAは「配当目的で買う銘柄」ではない。利回りだけで見れば完全に不向きだが、その一方で「長期的な増配+株価成長を同時に期待するグロース銘柄」としては非常に魅力的である。安定した医療事業と成長性の高いIT素材事業の組み合わせにより、長期保有でじっくりと資産を増やすタイプの銘柄と言える。

もし配当を重視するなら、1%台の利回りは明らかに弱い。ただ、株価成長と増配の両面でトータルリターンを取るという視点では、HOYAは長期投資家と非常に相性が良い企業である。

今後の値動き予想!!(5年間)

HOYAの現在値は23,070円。ここから5年間の株価推移を考えるにあたっては、同社の特徴である「超高収益体質」「景気に左右されにくい医療事業」「成長力の高いIT素材事業」「ブランド力のある精密光学技術」を踏まえる必要がある。営業利益率は約30%、ROEは20%前後と、日本企業としてはトップクラスの収益性を持ち、なおかつ世界的なシェアを持つフォトマスクブランクスやHDD用ガラスディスクなど、極めて参入障壁の高い領域で強みを発揮している。これらを背景に、5年間の成長シナリオを3つに分けて考える。

【良い場合】
AI半導体・データセンター投資が世界的に継続し、HOYAの主力であるフォトマスクブランクスの需要がさらに拡大するシナリオ。HDD向けガラスディスクも、クラウド需要の拡大により高密度ストレージが求められ、売上・利益が継続的に伸びる展開となる。さらに医療機器・内視鏡の販売が堅調に推移し、EPSも右肩上がりで成長していく。この場合は市場からの評価も高いまま維持され、PERは30〜35倍のレンジが続くと考えられる。こうした追い風が揃えば、5年後の株価は 30,000〜36,000円 の領域が現実的になる。HOYAがさらに世界的なブランド力を高め、グロース株としての評価が高まれば、一時的に 3万7,000〜4万円台 に乗る可能性もある。

【中間の場合】
最も現実的なケースで、半導体関連の需要は一定の強さを保ちながらも、年度によって成長ペースにムラが出るシナリオ。医療事業は安定的に利益を生み出し、全体としては着実に右肩上がりに成長するが、株価のPERは20〜28倍程度で推移しやすい。この場合は、EPSの増加ペースに合わせて株価も堅実に上昇し、5年後には 26,000〜30,000円前後 が中心レンジになる。特に急落リスクも小さく、安定した成長株としての姿が続く可能性が高い。

【悪い場合】
半導体関連投資が世界的に鈍化し、フォトマスクブランクスやHDD用ガラスディスクの需要が一時的に減速する場合。医療事業は安定しているため業績が大きく崩れることは考えにくいが、それでもEPSは伸び悩み、市場の評価が下がればPERは18〜22倍程度に縮小する。この場合、株価は5年後でも 20,000〜23,000円 の範囲にとどまり、現在値付近を行き来する形になる。財務体質が極めて健全なため、大きく崩れるイメージは薄いが、半導体投資サイクルの冷え込みが長引くと、上値は重くなりやすい。

【まとめ】
HOYAは医療とIT素材という「不況に強い事業 × 高成長事業」を併せ持つ世界的な高収益企業であり、中長期では成長し続ける可能性が高い。ただし市場からの期待が常に高いため、短期的には割高感から調整が入ることもある。5年後を見据えると、良い場合は3万円台後半、中間なら2万6,000〜3万円台、悪い場合でも2万円前後のレンジに収まる見通しで、総じて“堅実に成長していくタイプの銘柄”と言えるだろう。

この記事の最終更新日:2025年11月18日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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