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三菱商事(8058)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

三菱商事とは

三菱商事は、日本を代表する総合商社の中でも最も存在感の大きい企業で、世界中の産業に深く関わりながら幅広く事業を展開している会社です。もともとは三菱グループの中核企業として成立し、現在では90カ国以上、1700拠点を超える巨大なネットワークを持ち、エネルギー、資源、食料、機械、化学品、デジタルまで、日常生活から国家規模の産業まであらゆる領域に関与しています。単純に「モノを仕入れて売る商社ではない」というのが三菱商事の特徴で、売買だけでなく、事業そのものに投資して育てていく“事業投資型の総合商社”として世界的にも珍しいビジネスモデルを構築しています。

例えばエネルギー事業では、石油や天然ガス、LNGなどの資源開発に深く関わり、世界最大級のLNG事業を展開しています。資源国と消費国を結ぶ巨大なプロジェクトに投資し、長期的にキャッシュを生む仕組みを持っています。また近年は再生エネルギーにも注力し、風力、太陽光、水素、蓄電など、脱炭素社会に向けたプロジェクトも増えています。資源価格が上がった時に収益が爆発的に伸びる一方、資源安の局面では他の事業が下支えするという“強固な収益の柱”を作っているのも特徴です。

金属資源分野では、鉄鉱石、石炭、銅、ニッケルなどの鉱山開発に参画しており、日本の製造業や世界の産業に欠かせない金属資源を安定供給する役割を担っています。三菱商事が関わっている鉱山やプロジェクトは世界中に広がり、ここでも資源価格のサイクルに合わせて利益が大きく動く特徴があります。

一方で、食料や生活分野ではローソンをはじめとした小売り事業、食品原料、農業ビジネス、物流など、私たちの生活に直結した事業を広く展開しています。商社の中でも消費に近い領域に強みを持っており、景気変動に左右されにくい“安定収益源”として三菱商事のポートフォリオを強く支えています。食品分野では農業の生産から加工、流通、販売までサプライチェーン全体に関与し、世界の食料供給に深く関わっている点も特徴的です。

機械やインフラ事業では、自動車販売や建機、航空機、船舶の取引だけでなく、海外の発電所や都市開発、交通インフラなど国家プロジェクト級の案件にも参加しています。鉄道や電力インフラを海外で展開したり、工場のスマート化やモビリティサービスなど未来型インフラにも積極的に投資しています。

また近年はデジタル関連事業にも注力しており、AIやデータ事業、スタートアップ投資、スマートシティ構想、物流のDXなど、新しい領域への展開も加速しています。環境問題や脱炭素社会に向けた取り組みも強化しており、エネルギー構造の変化に合わせた新規投資を継続しています。

こうしたさまざまな事業を支えているのが、三菱商事の強固な財務基盤と非常に高いキャッシュ創出力です。稼ぐ力が圧倒的に強いため、景気の良い時には一気に利益を積み上げ、不況の時でも生活関連事業やインフラ関連事業が安定的に利益を出し続けるため、総合商社の中でも特に“収益の安定×成長力”のバランスが取れた企業といえます。資源、食料、機械、デジタルなどすべての分野で世界規模の事業に関わっており、単純な商社という枠を超えた巨大な事業投資会社として発展しているのが三菱商事の最大の特徴です。

三菱商事 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
EPS
(円)
配当
(円)
2023/3 21,571,973 1,092,186 1,680,631 1,180,694 269.8 60
2024/3 19,567,601 803,976 1,362,594 964,034 230.1 70
2025/3 18,617,601 883,966 1,393,425 950,709 237.0 100
2026/3(予) 17,500,000 550,000 1,030,000 700,000 184.7 110

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2023/3 1,930,138 -177,466 -1,766,638
2024/3 1,347,380 -205,761 -1,086,233
2025/3 1,658,349 -273,945 -1,530,703

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023/3 5.0% 14.6% 5.3%
2024/3 4.1% 10.6% 4.1%
2025/3 4.7% 10.1% 4.4% 高値平均:12.7倍
安値平均:7.1倍
1.53倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

三菱商事は総合商社の中でも収益規模が最も大きく、本業の稼ぐ力や事業ポートフォリオの広さでは日本企業の中でもトップクラスの企業です。ただ、直近3年の数字を細かく見ていくと、全体的に“強さと弱さが混在している”という印象になります。まず営業利益・経常利益・純利益を見ると、資源市況の影響を受けやすい年はあるものの、基本的には安定した大きな利益を出し続けています。2023〜2025年にかけては1兆円前後の純利益が続いており、総合商社としての規模の大きさと収益基盤の強さが数字に表れています。これは長期安定配当や自社株買いを継続できる要因にもなっており、株主還元の面では非常に心強い企業です。

一方で、営業利益率を見ていくと約4〜5%台と、製造業や高収益サービス企業と比べればそれほど高い水準ではありません。商社というビジネスモデル上、営業利益率が極端に高くなる構造ではないものの、利益率の面だけを見ると“高収益企業”という印象ではなく、あくまで安定型の収益を着実に積み上げているというイメージです。またROEも2023年が14.6%、2024年は10.6%、2025年は10.1%と、徐々に低下傾向にあります。10%台を維持しているのは立派ですが、三菱商事の規模や投資余力を考えれば、もう少し改善が見えてほしいところでもあり、成長というより“維持寄り”の指標になっています。ROAについても4〜5%台で推移しており、こちらも“高成長企業”というより“巨大な総合企業として堅実な効率性”という評価になります。

バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均で12.7倍、安値平均で7.1倍、PBRは1.53倍という水準です。近年の総合商社は世界的に再評価され株価が大きく上がってきた背景がありますが、それに伴いPER・PBRもかつての割安感は薄れています。特にPBRが1.5倍台まで来ているのは、過去の商社株と比較すると割安とは言えない位置で、いわゆる“バーゲン価格”ではありません。資源価格が高い時期に株価が前倒しで上昇した結果、現在の株価にはある程度の期待値が織り込まれているという見方もできます。

総合的に見ると、三菱商事は「長期的に安定した利益とキャッシュフローを生む会社」であり、「株主還元に積極的で、長期保有に向いた銘柄」であることは間違いありません。営業キャッシュフローが安定し、毎年1兆円前後の利益を出せる企業は国内でも数少なく、大型投資を継続できる体質は強力です。しかし、株価の値上がり益を狙う投資として見ると、今後の成長率は鈍化しており、低ROE・徐々に下がる売上高などを含めて“大きな成長ストーリー”を描きにくい面があります。つまり、成長株というよりは「安定と配当を重視する人向けの大型優良株」という位置づけです。

特に配当目的であれば相性が良く、増配傾向・自社株買いの積極性・資源事業によるキャッシュ創出力など、長期保有に向いた材料が多い企業です。一方で、資源価格や為替に左右されやすいこと、事業規模が大きいゆえに急成長は期待しにくいことなど、株価の大幅上昇を狙う人にとってはやや物足りない局面もあります。したがって三菱商事は、“堅実さ・安定配当・大型優良株”として長期保有したい場合に向いた銘柄であり、短期的な爆発力や急成長を期待する銘柄ではありません。

配当目的とかどうなの?

三菱商事を配当目的で見た場合、結論としてはかなり相性の良い銘柄です。まず、予想配当利回りを見ると、2026年3月期で3.04%、2027年3月期で3.31%という水準になっており、現在の株価から考えると高すぎず低すぎず、ちょうど“安定して受け取れる優良配当株”の部類に入ります。総合商社の中でも三菱商事は利益の規模が圧倒的に大きく、資源・インフラ・生活産業など多角化された事業ポートフォリオを持っているため、景気の上下や資源価格に影響されつつも、長期的に見ると安定してキャッシュフローを生み続ける体質があります。この「本業がしっかり稼げてキャッシュが厚い」というのは、配当を狙う上では非常に重要なポイントです。

さらに三菱商事は株主還元に積極的な会社で、配当と自社株買いの両方を継続して行う方針を掲げています。特に商社株は近年、株価が上がっても配当が据え置きではなく、“増配を続ける姿勢”を見せている点が魅力です。実際に三菱商事は、利益が良い時だけ臨時的に配当するのではなく、利益水準に関わらず継続して増配基調を維持しています。これにより長期保有でのトータルリターンが積み上がりやすく、配当目的での投資に適した銘柄と言えます。

また、総合商社としては珍しく、事業ポートフォリオのバランスが非常に良いため、資源価格が下がって利益が落ち込む年であっても、食品・生活関連・インフラなどが下支えしてくれる構造があります。この「利益のブレ幅が比較的抑えられる体質」は、配当の安定性につながっており、減配リスクの低さという意味でも評価できます。資源市況に左右される側面はありますが、規模の大きさと収益源の多さがリスク分散になっているため、配当収入を目的とした長期投資の場合、精神的にも安定して保有しやすい銘柄です。

ただし一点注意したいのは、商社株全体が過去数年で大きく株価を上げてきた結果、配当利回りが以前ほど高くなくなっていることです。三菱商事も株価が上がっているため、利回り3%台というのは“今の株価がやや高水準にあるからこその利回り”でもあります。もっと高い利回りを求めるなら、株価が調整したタイミングや、PBRが1.2倍以下に近づく場面などを狙うとより合理的です。逆に、現在の利回りが3%台でも十分と思えば、長期保有による増配・自社株買いの恩恵が積み上がっていくため、始めるには悪くないタイミングとも言えます。

全体として、三菱商事は「配当の安定性・増配傾向・株主還元姿勢・事業規模・キャッシュフローの強さ」のどれを取っても、配当目的の投資と非常に相性が良い銘柄です。短期の爆発的な値上がりを狙うというより“長期で配当を積み上げたい人向けの大型優良株”という位置づけで、守備力の高い配当銘柄として安心して保有できるタイプの企業だと言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

三菱商事の現在値は3,618円ですが、今後5年間の株価を考えると、この会社は急激に伸びる成長株というより、配当や安定感を武器にゆっくりと長期で価値を積み上げていくタイプの銘柄です。総合商社特有の資源価格の波や為替の動きによって利益が上下しやすい一方で、食品・生活産業・インフラなどの安定部門がしっかり支えてくれるため、極端な暴落が起こりにくいのも特徴です。そこで、5年間の株価イメージを良い場合、中間の場合、悪い場合という3つのシナリオに分けて考えると、よりこの銘柄の将来像が見えてきます。

まず「良い場合」ですが、これは資源価格が高止まりし、特にLNGや金属資源の利益が押し上げられるケースです。加えて円安が続くと海外事業の利益が膨らみ、また大型の事業投資がうまく収益化すれば、純利益が再び1兆円を超える流れも十分起こり得ます。三菱商事は増配と自社株買いを継続する企業なので、市場の期待が高まり始めると株価が素直に上昇していき、5年後には4,800円から5,500円くらいまで狙える展開になります。商社株の再評価が続けば、上振れ余地もまだ残っています。

次に最も現実的なのが「中間の場合」です。景気も資源も為替も極端な変化がなく、純利益も9,000億〜1兆円前後を維持していくような安定シナリオです。このケースでは派手な上昇は起きませんが、逆に下値も堅いのが三菱商事の特徴で、株価は3,800円から4,300円の間で推移しやすくなります。配当は100円台を維持し、自社株買いも続くため、長期保有している人ほど恩恵を受けやすいタイプの動きになります。いわゆる“安定配当銘柄として淡々と育っていくパターン”です。

最後に「悪い場合」。これは資源価格が下落し、世界景気が減速し、円高も重なって収益が縮むケースです。資源安が直撃すると総合商社の利益は落ち込みやすいので、純利益が7,000億円台に落ちる可能性もあります。この場合、投資家の警戒感からPBRが1倍前後まで売り込まれ、株価は2,900円から3,300円あたりまで調整する可能性があります。ただし三菱商事は事業規模が大きく、どんな状況でもキャッシュフローが極端に崩れない企業なので、そこから長期的には徐々に戻っていく力があります。悪い場合でも“戻る力”を持っているのが強みです。

総合的に見ると、三菱商事の5年間の着地イメージは、良い場合は5,000円前後、中間なら4,000円前後、悪い場合は3,000円前後という、非常にわかりやすい推移になっていきます。急激に10倍を目指す成長株ではありませんが、安定と配当という確かなメリットを持ち長期でじっくり資産を育てるには向いている銘柄です。株価が極端に下がりにくく、上値もゆっくり狙える“守備力の高い大型株”として長期投資との相性が良いのが三菱商事の特徴だと言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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