株価
りそなホールディングスとは

りそなホールディングスは、東京都江東区に本社を置く大手金融グループで、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行を傘下に持つ銀行持株会社だ。三菱UFJや三井住友、みずほと並ぶ大手グループだが、その立ち位置はメガバンクとは少し異なり、「地域密着型」と「信託機能の強さ」を両輪とした独自のスタイルを築いてきた点が特徴になる。
りそなグループの中核を担うりそな銀行と埼玉りそな銀行は、個人向け金融サービスに強みを持ち、住宅ローン、預金、投資信託、iDeCo・NISA、保険、資産形成、相続といった生活に直結する金融サービスのラインナップを幅広く展開している。特に相続や資産承継の分野での相談需要が高く、信託機能を持つ銀行ならではの総合的なサポートを提供できる点は他行との差別化ポイントだ。
こうした個人向けサービスの強化の背景には、りそなが業界に先駆けて導入した「オープン店舗」という改革がある。従来の銀行窓口のような“奥に長いブース”ではなく、気軽に相談しやすい開放的な店舗デザインを採用し、顧客の滞在・相談のハードルを下げた。この施策は業界でも珍しく、銀行のサービス満足度向上に貢献してきた。
法人向けでは、中小企業金融に強いのがりそなの特徴だ。中堅・中小企業の資金繰りサポートから、設備投資、事業承継の相談、経営改善のアドバイスまで、地域企業の“身近な金融パートナー”としての立場を築いている。関西みらい銀行をグループに加えたことで、大阪・兵庫・滋賀など西日本エリアでのネットワークも強化され、関西の中小企業との関係も深まっている。
さらに、りそなは「信託銀行としての側面」を持つことが大きな武器となっており、年金信託、不動産信託、資産管理業務、遺言信託など、資産に関する専門性の高いサービスをワンストップで提供できる。メガバンク以外で信託機能をフルに活かしている銀行は珍しく、この特性がりそなグループの独自性を際立たせている。
デジタル化にも積極的で、スマホアプリは利用者からの評価が高く、オンライン完結型の取引や決済サービスの利便性を高めている。銀行の中では比較的早い段階からシステム投資に力を入れており、店舗とデジタルを融合させたサービスモデルを進めていることは大きな特徴だ。効率化と顧客サービスの両立を図る経営スタイルは、他の銀行と比べてもバランスが良い。
総じて、りそなホールディングスは「メガバンクにはない柔軟さ」と「地域金融機関にはない総合力」を併せ持った、独自色の強い金融グループだと言える。信託を軸にした資産管理、個人向けサービスの強さ、中小企業支援、そして関西・関東の広いネットワークによって“地域を支える総合金融グループ”として日本の金融市場で確かな存在感を放っている。
りそなホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 業務純益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連25.3 | 1,117,491 | ‥ | 292,160 | 213,324 | 92.4 | 25 |
| 連26.3予 | 1,250,000 | ‥ | 340,000 | 250,000 | 109.9 | 29 |
| 連27.3予 | 1,310,000 | ‥ | 365,000 | 265,000 | 116.5 | 29〜32 |
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | -5,207,582 | -390,365 | -64,034 |
| 2024 | -733,790 | -711,473 | -74,964 |
| 2025 | -293,370 | -1,045,466 | -88,998 |
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | ― | 6.3% | 0.2% | ― | ― |
| 2024 | ― | 5.7% | 0.2% | ― | ― |
| 2025 | ― | 7.8% | 0.2% | 高値平均 14.0倍 安値平均 8.3倍 |
1.21倍 |
投資判断
りそなホールディングスの直近の業績を整理してみると、売上高・利益ともに着実な改善傾向が見えてくる。売上高は1兆1,174.9億円まで拡大し、経常利益は2,921.6億円、純利益は2,133.2億円という水準に達している。ここ数年と比較すると確実に伸びており、銀行としての収益体質が少しずつ強くなってきている印象だ。
収益性の指標に目を向けると、ROEは6.3% → 5.7% → 7.8%と回復基調にあり、着実に資本効率が改善していることが分かる。ROAも0.2%台で安定している。大規模な銀行のROAはそもそも低く出やすいが、その中では安定感があると言える。
営業利益率は公表値が「―」となっており、営業利益そのものの開示が見えにくい点は気になるものの、経常利益・純利益が伸びていることを考えると、全体の収益効率は上向いているとみるほうが自然だろう。
株価評価の面では、2025年のPERが高値平均14.0倍、安値平均8.3倍、PBRが1.21倍という水準に位置している。銀行株としては標準的〜やや上の評価で、極端に割高という印象はない。むしろ、収益改善が評価され始めている兆しとも読める。
これらの数字を踏まえると、りそなホールディングスは「改善フェーズに入った金融株」として、長期保有を検討しやすい銘柄だと言える。売上や利益がしっかり伸び、ROEも改善してきているため、収益基盤は確かに強化されている。
ただし、注意点もある。ROE7.8%はメガバンクのトップ水準(10〜15%)にはまだ及ばず、ROA0.2%も大手銀行として標準的。銀行という業種の特性上、金利環境や景気動向、信用コストの増減で収益が大きく左右されやすいため、外部環境次第では収益改善のペースが鈍るリスクもある。
営業利益率が非開示である点も、収益構造の透明性という意味ではやや気になる部分だ。
総合すると、りそなホールディングスは「底打ちから緩やかに復調してきた銀行株」という位置づけで、長期的な改善と安定した配当を期待しながら持ち続けるタイプの銘柄だと言える。派手な成長は見込みにくい一方、着実に積み上がる利益と改善傾向のROEを背景に、中期〜長期の値上がりと配当の両面を狙える、堅実な投資対象になりやすい。
配当目的とかどうなの?
りそなホールディングスを配当目的で考えると、まず目に入るのは配当利回りの控えめさだ。連26.3期で 1.88%、連27.3期で 2.01% と、銀行株の中ではやや低めの水準になっている。三菱UFJや三井住友のような3〜4%台の高利回りと比べると、配当“だけ”を目的に買う銘柄とは言いづらい位置にある。
ただ、りそなが低利回りだから魅力がないかと言えば、そう単純でもない。りそなは、もともと高配当で勝負するタイプの銀行ではなく、「安定配当+利益成長」を組み合わせるスタイルで株主還元を行ってきた企業だ。実際、配当は着実に増加傾向にあり、業績の改善に合わせて段階的に増やしていく方針が見て取れる。
純利益は2,133億円(2025) → 2,500億円(2026年予想) → 2,650億円(2027年予想)という流れで増えており、収益の改善が続けば、配当水準の引き上げも十分考えられる。配当性向も比較的安定しており“業績が伸びれば自然と増配が期待できる銀行”という位置づけだ。
また、りそなは信託機能を持つ珍しい銀行であり、資産管理・相続分野の需要が増えている中で、安定的に利益を生みやすい事業ポートフォリオを持っている。景気の波に左右されにくい収益が一定割合あるため、配当が大きく落ちにくいというのはメリットだ。
とはいえ、現在の利回りが2%前後という時点で、「高配当株としての優先度」はやや低くなる。配当だけを目的にするなら、メガバンクや保険株、商社株のほうが効率はよい。ただ、りそなの場合は「利益成長による将来的な増配」も視野に入るため、配当と値上がりの両方を狙いたい投資家に向いている。
長期で見れば、株価の緩やかな上昇と業績改善の恩恵を受けながら、配当も段階的に増えるという“堅実な育ち方”が期待できる。その意味で、りそなは“高配当重視”よりも“成長+安定配当”を組み合わせて持ちたいタイプの銘柄だと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
りそなホールディングスの株価を、現在の1,541.5円から5年先まで想像してみると、この企業の特性である「安定感のある収益構造」と「派手さのない堅実な成長」がそのまま株価に反映されるような動きになりやすい。メガバンクほど海外事業の爆発力はないが、信託機能や個人・中小企業向け事業が安定しているため、下値が極端に崩れにくい特徴がある。
まず、金利環境の改善や資産運用・相続関連ビジネスの伸びが追い風となり、利益成長が順調に続く“良い場合”の5年後を想定すると、りそなは大きく跳ねるタイプではないにしても、底堅く右肩上がりのチャートを描きやすい。業績の積み上がりが続き、市場からの評価も素直に上向く形になれば、株価は1,800円〜2,000円のゾーンまで十分に届く。着実に利益を伸ばしながらゆっくり成長する、りそならしい上昇シナリオだ。
次に最も現実的な“中間”のケース。国内金利は大きく上がらず、市場環境も良くも悪くもないという、平常運転に近い状態が続くパターン。この場合、業績は堅調でも急成長とはいかないため、株価は現在値の前後で落ち着いた推移となり、1,550円〜1,700円程度のレンジで動きやすい。上値を追う力も弱いが、大きく崩れる気配も薄いという、極めて“りそならしい”値動きになる。
そして景気後退や金利低下、信用コスト増加などが重なり、銀行株全体が売られる“悪い場合”を考えると、りそなも多少は影響を受ける。ただ、りそなは信託機能や個人向けビジネスなど景気の波が比較的緩い分野も多く、急落はしにくいタイプだ。最悪ケースを想定しても、株価は1,350円〜1,450円あたりで踏みとどまりやすく、長期的に見れば過度な下落にはなりにくい。
こうして整理すると、りそなホールディングスの株価は「大勝ちは狙いにくいが、大負けもしにくい」典型的な安定銀行株の動きをする。5年という長い期間で見れば、現在値を軸に“じわっと上向くか、やや横ばい”という見通しが最も現実的で、安心して長期保有しやすい銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2025年11月21日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す