株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


日本取引所グループ(8697)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想


株価

日本取引所グループとは

日本取引所グループ(JPX、8697)は、日本の株式市場・デリバティブ市場・商品市場を統括する、日本の金融インフラの中心ともいえる存在です。東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所を傘下に持ち、現物株式、株価指数先物、オプション、コモディティ、ETF、REITなど、ほぼすべての金融商品を取り扱える総合取引所グループとして機能しています。本社は東京・日本橋兜町にあり、日本の資本市場の“心臓部”ともいえる場所に位置しています。

JPXの最大の役割は、投資家と企業をつなぐ取引インフラを提供し、株式や先物取引が円滑に行われるための市場運営を担うことです。具体的には、上場企業の審査、上場維持基準の監理、売買システムの安定運用、取引ルールの整備、清算・決済に関わる機能の提供など、あらゆる面から日本の証券市場の信頼性を支えています。JPXが正常に機能していなければ、株式市場そのものが成立しなくなるほど重要な役割を持つ企業です。

事業内容は大きく分けると、現物株式市場の運営、デリバティブ市場の運営、商品先物市場の運営、そして清算関連業務と情報提供サービスの4つが主軸となっています。現物株式市場では日々数兆円規模の売買が行われ、東証プライム・スタンダード・グロースといった市場区分を管理しています。デリバティブ市場では日経225先物やTOPIX先物などの指標商品を扱い、ヘッジや投機のための重要な金融市場を提供しています。さらに東京商品取引所(TOCOM)を統合したことで、金や原油といった商品先物取引も含めた総合取引所グループとしての地位を確立しています。

また、JPXは単なる“取引所”にとどまらず、清算機関である日本証券クリアリング機構(JSCC)や、市場の公正取引を監視する自主規制法人もグループ傘下に置いています。そのため、取引の受付から約定、清算、規制まで一体で業務を行うことができ、安心・安全な市場インフラを提供する体制が整っています。この「一気通貫の運営体制」は世界でも評価されており、アジアの金融センターとしての日本の競争力を高める要因にもなっています。

さらに近年はデジタル化や国際化に力を入れており、取引システムの高速化、海外投資家向け情報の整備、企業価値向上を促す市場改革、カーボンクレジット市場の検討など、新しい取り組みを積極的に進めています。特に東証の市場改革(市場区分見直し)や上場基準の厳格化など、上場企業の資本効率改善を促す施策は日本経済全体に大きな影響を与えています。

ビジネスモデルとしては、売買代金や取引量に応じて手数料収入が増減する構造になっているため、株式市場が活発になれば業績が伸びやすく、逆に市場が静かになると収益が落ちやすい特徴があります。ただし、情報提供サービス収益や上場関連収益など、景気に左右されにくいストック収益も増えてきており、以前より収益の安定度は大きく高まっています。

日本取引所グループは、日本の市場全体の“入口から出口まで”を管理する、極めて重要な金融インフラ企業であり、株式投資をするすべての投資家や企業にとって欠かせない存在です。市場の活性化や新規上場企業の増加、海外投資家の動きなど、日本経済全体のダイナミズムと連動する企業であり、豊富な資本と高い信用力、そして安定した事業基盤を持つ、日本を代表する金融グループです。

日本取引所グループ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 営業収益 営業利益 税前利益 純利益 1株益(EPS) 1株配当
23.3* 133,991 68,253 68,207 46,342 44.0 31.5記
24.3* 152,871 87,444 87,404 60,822 58.4 45.5特
25.3* 162,230 90,122 90,277 61,092 58.7 45.5特
26.3予 162,000 89,500 89,000 60,000 58.4 43

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 66,878 -8,522 -52,898
2024 79,566 -7,166 -43,195
2025 86,136 -61,223 -54,498

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均/安値平均) PBR
2023 50.9% 14.8% 0.0%
2024 57.2% 18.5% 0.0%
2025 55.5% 17.9% 0.0% 33.5倍/20.7倍 5.53倍

投資判断

日本取引所グループ(JPX)の業績を見ると、この企業が日本の金融インフラとしてどれほど強固な収益基盤を持っているかが数字にはっきりと表れています。まず営業収益は23.3期の1,339億円から、24.3期は1,528億円、25.3期は1,622億円と、毎年しっかり積み上がっています。そのうえ営業利益も682億円 → 874億円 → 901億円と綺麗に増加しており、金融市場の売買代金に左右されるビジネスでありながら、ここまで安定的に利益を伸ばせている点は非常に高く評価できます。

税前利益も682億円 → 874億円 → 902億円という推移で、純利益も463億円 → 608億円 → 610億円と安定して増加しています。EPSが44.0円 → 58.4円 → 58.7円と伸びていることからも、利益の成長が一時的ではなく企業全体の体力に裏付けられたものだと分かります。26.3期の予想では純利益600億円とやや調整していますが、これは単純に特別配や一時要因が剥落するだけの話で、本業が弱っているわけではありません。

収益性の高さは営業利益率にも表れており、50.9% → 57.2% → 55.5% と、一般事業会社では到底達成できないレベルの高さです。半分以上が利益として残るという収益構造は、取引所という“絶対に必要とされるインフラビジネス”であるJPXならではです。ROEも14.8% → 18.5% → 17.9%と非常に高い水準にあり、資本を効率よく利益へ変換できている点は金融企業として際立った強みです。ROAが0%表記なのは統計上の丸めや会計上の表現で、実質的には十分高い利益率を保っています。

株価指標に目を向けると、2025年の実績PERは高値平均33.5倍・安値平均20.7倍、PBRは5.53倍と、数字だけを見ると一見割高に見えるかもしれません。しかしJPXは一般企業と比較してはいけないタイプの“市場インフラ企業”であり、世界の取引所株(CMEやHKEXなど)と比べればむしろ標準〜割安に近い評価です。収益の安定性、参入障壁の高さ、独占的な市場ポジションを踏まえれば、この水準は妥当な評価と言えます。

さらにJPXの強みは売買代金という変動要因だけではなく、情報サービス収益、清算関連収益、上場維持費など、安定して入ってくるストック収益が確実に増えてきている点にあります。以前のように市況に振り回されやすい“出来高頼み”の体質ではなく、収益構造そのものが強化されてきているため、利益のブレ幅が小さくなっているのも投資家にとって安心材料です。

今後も東証改革、PBR改善要請、海外投資家の日本株買い、ETF市場の拡大など、外部環境がJPXの追い風となるテーマが多く、長期で見れば収益が伸びやすい構造が続きます。倒産リスクは極めて低く、景気の波を受けても“市場そのものが無くなることは絶対にない”ため、長期資産の置き場所として非常に安定した銘柄です。

総合すると、JPXは「長期で利益が積み上がる」「ROEが高い」「配当が安定して増える」「収益構造が強固」「市場全体の成長が追い風」という5つの強みに支えられた優良銘柄であり、短期の値上がりを狙うというより、長期保有で配当と株価の両方をじっくり育てていくタイプの投資先です。現在の事業構造と収益の伸びを見る限り、長期投資・配当目的のポートフォリオに安心して組み込める、非常に堅実な金融インフラ株だと判断できます。

配当目的とかどうなの?

日本取引所グループ(JPX)は、配当目的の投資先として見るとかなり相性の良い企業です。まず、予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに 2.85% と決して高すぎる利回りではありませんが、この企業の特徴は利回りの高さよりも「配当の安定性と増配の継続性」にあります。直近数年間の実績を見ても、JPXは業績に合わせて着実に配当を引き上げてきており、ときには特別配当を実施するほど株主還元の姿勢がはっきりしています。

もともとJPXは、売買代金が増えると収益が伸びる“景気連動型”の部分と、情報サービス収益や上場維持料などの“ストック収益”を併せ持つため、利益のボラティリティが小さく安定しやすい構造があります。これが配当の安定性を支えており、減配リスクが極めて低いというのが配当投資家にとって大きなメリットです。実際、過去を振り返っても大幅な減配はほとんどなく、安定配当を維持しつつ増配してきた実績があります。

また、JPXは設備投資が比較的少なく、ビジネスモデル上キャッシュフローも安定しているため、手元資金に余裕があり、配当性向を高めやすい特徴があります。現在も一定の配当性向を維持しながら、特別配当込みで還元を行うことが多いため、配当収入を主軸とする投資家にとって安心感のある銘柄です。

さらに、JPXは日本市場全体の取引量、海外マネーの流入、新規上場の増加など、長期的な市場成長の恩恵を直接受ける企業です。長期的に利益が積み上がりやすい構造があるため、将来的に配当がさらに増えていく余地も大きいと考えられます。特に市場改革やプライム市場企業のガバナンス強化など、日本市場全体の質が向上している今の流れは、JPXの長期収益にとって追い風になりやすい環境です。

配当利回りそのものは3%弱と中庸ですが、「増配が続きやすい」「減配リスクが低い」「安定収益でキャッシュフローに余裕がある」という3点が揃っているため、配当目的としての相性は非常に良いといえます。高配当株ほど利回りは高くありませんが、長期で保有することで“増配による利回り上昇”が見込めるタイプの企業であり、安定した収益源としてポートフォリオに入れておく価値が大いにあります。

総合すると、JPXは“利回りで稼ぐ銘柄”というより“長期的に配当が着実に育つ銘柄”であり、安定した資産形成を狙う配当投資家と非常に相性が良い企業です。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本取引所グループ(JPX)の現在値1,750.5円という株価は、直近数年間の業績推移やROEの高さ、そして安定した配当政策を考えると、やや割安寄りの評価になっている印象があります。取引所という特殊なインフラ企業であるため、景気の影響は受けつつも長期で見れば市場全体の成長とともに利益が積み上がりやすい特徴があります。そのうえストック収益が増えてきているため、以前よりも収益の安定感は強まっています。この企業特性を踏まえたうえで、今後5年間の株価シナリオを整理すると、全体像が見えやすくなります。

まず良い場合のシナリオでは、日本株市場が引き続き活性化し、海外マネーが継続的に流入することで売買代金が高水準で維持され、取引所収益が大きく伸びるケースです。東証プライム企業のガバナンス改善やPBR1倍割れ問題の解消が進み、日本市場全体の評価が上がると、JPXの事業価値も連動して高まりやすくなります。この場合はPERが上限寄りの水準に評価され、株価は2,400〜2,800円まで引き上がる可能性があります。特に出来高が増える局面が続いたり、新規上場の増加が見られると、株価上昇に拍車がかかりやすい展開です。

中間のシナリオでは、現在の収益力が大きく崩れず、売買代金も高すぎず低すぎずといった平均的な水準で推移するパターンです。JPXはストック型の収益も増えているため、極端に業績が落ち込むことは考えにくく、一定の成長を維持しやすい構造になっています。この場合、株価は1,900〜2,200円あたりを中心に、比較的安定した動きをすることが想定されます。大きく跳ねないものの、配当を受け取りながらゆるやかに評価が上がる“堅実な成長”が期待できる展開です。

悪い場合のシナリオでは、世界的な株式市場が低迷し、出来高が大きく減るケースが考えられます。特に地政学リスクの高まりや米国金利動向によるリスクオフ局面では海外投資家の売買が急減し、それがJPXの収益に直接影響します。それでもJPXはストック収益があるため、業績が急激に悪化する可能性は低く、株価の下落幅も限定的になりやすいのが特徴です。この場合は1,500〜1,650円あたりが下値の目安となり、長期投資家の買い支えも入りやすい水準になると考えられます。

総合すると、JPXは急騰する銘柄ではないものの、5年間というスパンで見れば、よほどの市場不況が長期化しない限り、株価は緩やかに上値を取っていくタイプの企業です。市場全体の取引量や海外マネーの動向と連動しながら、配当と株価の両方で安定したリターンが期待できるため、中長期の資産形成に向いた銘柄と言えます。現在の1,750円台という株価は、長期目線では十分に検討に値する水準になっています。

この記事の最終更新日:2025年11月21日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP