株価
第一生命ホールディングスとは

第一生命ホールディングス株式会社は、日本を代表する大手生命保険グループであり、国内生保の中でも歴史・規模ともにトップクラスの企業です。本社は東京都千代田区有楽町一丁目13番1号に置かれ、持株会社として生命保険会社を中心とした多くのグループ企業を統括しています。創業から100年以上の歴史を持ち、日本の生命保険の普及に大きく貢献してきた会社です。
同社グループの事業の中核を担うのは「国内生命保険事業」で、個人向けには死亡保障・医療保障・介護・年金といった幅広い商品を提供しています。第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命など複数ブランドを展開しており、訪問型営業、銀行窓口、ネット完結型など、多様なチャネルで国内の幅広い顧客にアプローチしています。特に第一生命は全国に保険外交員(生涯設計デザイナー)を抱えており、圧倒的な販売網を持つことが大きな強みです。
国内だけでなく、海外事業も積極的に展開している点が同社の特徴です。アジア、オセアニア、北米など、人口増加が続く成長市場を中心に生命保険事業を展開しており、現地企業の買収や資本提携を通じてグローバル化を推し進めています。海外事業はグループ全体の収益源として年々存在感が高まっており、国内市場の成熟を補完する役割を果たしています。
また、第一生命は持株会社として、生命保険を中心に金融・ヘルスケア関連の幅広い事業を統括しているのも特徴です。資産運用部門では、国内外の株式・債券、不動産投資などを行い、長期の保険負債に見合った安定的な運用を実施しています。さらに、健康増進・デジタルサービスへの投資にも積極的で、保険とヘルスケアを組み合わせた新しい価値提供にも取り組んでいます。
総合的に見ると、第一生命ホールディングスは「国内生保の巨大市場での圧倒的シェア」「成長余地のある海外事業」「強力な販売網」「安定した資産運用力」を持つ巨大保険グループです。少子高齢化や健康志向の高まりに合わせて、保障ニーズ・資産形成ニーズの両面で幅広い顧客層を取り込み続けており、今後も国内外での成長を期待できる企業となっています。
第一生命ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 経常収益 | 保険料等 | 経常利益 | 純利益 | 1株益(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連24.3* | 11,028,166 | 7,526,357 | 539,006 | 320,765 | 82.4 | 28.3 |
| 連25.3* | 9,873,251 | 6,795,905 | 719,072 | 429,613 | 116.0 | 34.3 |
| 連26.3予 | 9,162,000 | 6,617,000 | 617,000 | 347,000 | 95.2 | 48 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | -132,468 | 310,437 | -325,447 |
| 2024 | 997,377 | -601,649 | -145,763 |
| 2025 | 592,578 | -980,460 | -73,570 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | ― | 6.6% | 0.3% | ― | ― |
| 2024 | ― | 8.2% | 0.4% | ― | ― |
| 2025 | ― | 12.3% | 0.6% | 13.0倍/8.7倍 | 1.16倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
第一生命ホールディングスの直近の業績を見ると、日本の生命保険業界の中でも非常に強固な収益基盤を持つ企業であることがよく分かります。まず経常収益は連24.3期で11兆282億円と巨大な規模を維持しており、連25.3期では市場環境や資産評価の影響で9兆8,732億円にやや減少したものの、本質的な収益力が低下したわけではありません。
保険料収入も7兆5,263億円から6兆7,959億円へとやや調整していますが、生保ビジネスは契約更新や商品構成の変化などで毎年多少の変動があるため、この程度の減少は業界全体でも普通に見られる範囲です。それよりも重要なのは利益面で、連25.3期の経常利益は5,390億円から7,190億円へと大きく伸び、純利益も3,207億円から4,296億円へ増加している点です。EPSも82.4円から116.0円へとしっかり成長しており、利益構造が明確に強化されています。
この利益成長には、資産運用益の改善や海外事業の寄与、新契約価値の回復など複数の要因が背景にあり、生命保険会社としての稼ぐ力が底上げされていることを示しています。
効率性の指標を見ても評価は高く、ROEは6.6%から8.2%、さらに12.3%へと改善を続けています。生保企業でROEが2桁台に乗っているのは相当に優秀で、資本効率が改善し続けていることが株主価値の向上につながっています。ROAも0.3%から0.6%へと伸びており、巨大な資産を抱える生命保険ビジネスの中ではかなり良い水準といえます。
さらにバリュエーション面でも魅力があり、2025年のPERは高値平均13.0倍、安値平均では8.7倍と割安感のある水準に位置づけられています。PBRも1.16倍とまだ低く、利益体質の改善を考えれば十分見直し余地があります。EPS成長やROEの改善が続く限り、PBRが1.2〜1.4倍程度まで評価されても不思議ではありません。
総合して見ると、第一生命ホールディングスは利益が順調に伸びてEPSも拡大し、ROEの改善によって資本効率も大きく向上しています。巨大な生命保険会社としての収益基盤は盤石で、業績の底堅さと利益の伸びがしっかり数字に表れています。現在のバリュエーションにも割安感が残っており、中長期の投資先として非常にバランスが良い銘柄と言えます。
特に純利益の増加と資本効率の改善が同時に進んでいる点は、生命保険株の中でも高評価できるポイントであり、長期的には株主還元の拡大と企業価値の積み上げが十分に期待できる銘柄です。
配当目的とかどうなの?
第一生命ホールディングスは、配当目的で長期保有したい投資家にとって非常に相性の良い企業です。予想配当利回りは連26.3期・連27.3期ともに 4.12% と高い水準を維持しており、この利回りは国内の大型株の中でも十分魅力的な部類に入ります。一般的に利回り4%台は“高配当株”として評価されるため、第一生命は安定した収益基盤を持つ企業の中でも、配当面で特に光る存在と言えます。
生命保険会社は巨大な資産を運用するビジネスモデルのため、市場金利や株式・債券価格の影響で利益が上下しやすい側面があります。しかし第一生命はその中でも長期的に安定した利益を出し続けており、純利益もEPSも近年しっかり増加しています。EPSが82.4円から116.0円に伸びているということは、企業としての“稼ぐ力”が確実に強まっており、その分だけ配当の原資にも余裕が生まれているということです。
さらにROEが12%台にまで改善している点も見逃せません。生命保険会社のように総資産の大きい業態ではROEが低くなりがちですが、第一生命はしっかり利益を積み上げることで資本効率を高めています。このROEの改善は企業価値の底上げにもつながるため、配当だけでなく株価面でもプラスに働きます。
また生命保険ビジネスは「ストック収益」で構成されているため、業績のボトムが削られにくいという特徴があります。契約を更新していく仕組みのため、収益の基盤が非常に厚く、一時的な市況変動で利益が大きく落ちこみにくいのです。この構造のおかげで減配リスクが小さく、過去の第一生命を見ても無理な減配をほとんど行っていません。
こうした点を総合すると、第一生命は配当利回りが4%を超える高水準にあり、利益やEPSが伸びて配当余力が増えつつあり、資本効率が改善してROEも上昇していて、さらにストック収益中心で減配リスクが低いという、配当狙いの投資家にとってかなり条件の揃った銘柄になります。長期でコツコツ配当を受け取りながら資産形成をしたい場合、ポートフォリオの中心に据えても遜色のない、非常に優れた安定高配当株だと評価できます。
今後の値動き予想!!(5年間)
第一生命ホールディングスの現在値1,236.5円を基準に、今後5年間の株価がどのように動く可能性があるのかを考えると、同社の業績推移やROE・EPSの改善、そして4%を超える高い配当利回りといった要素が株価の土台をしっかり支えていることが分かります。生命保険会社は金利や市場環境の影響を受けやすいものの、第一生命の場合は契約保有が非常に大きく、ストック収益が安定しているため、短期的な変動はあっても長期では比較的読みやすい銘柄です。
まず 良い場合のシナリオでは、第一生命が現在のROE12%前後を維持し、海外生命保険事業の利益成長が継続し、金利環境も生命保険会社に追い風になるケースが考えられます。EPSは毎年2〜4%程度でも伸びれば、企業価値は着実に積み上がっていきます。また株主還元方針も強化の流れにあるため、配当の増加や自社株買いが加われば、PERが上方見直しされる展開も十分あり得ます。こうした環境が整った場合、5年後の株価は 1,800円〜2,100円 のレンジに達する可能性があります。海外マネーの日本株再評価が続けば、さらに上振れの余地もあります。
次に 中間ケース(最も現実的)を見ると、日本国内の金利環境が大きく変動せず、保険本業と運用益が安定的に推移するパターンです。この場合、利益は大きな成長ではないものの確実に伸びていくため、EPSの増加がそのまま株価の下支えになります。PERはおおむね現在の10倍〜12倍あたりで推移すると想定し、株価は 1,450円〜1,650円 の範囲に収まる可能性が高いと考えられます。配当利回り4%以上を継続しながら、緩やかに株価が上向いていく“安定成長型”のシナリオで、長期投資家にとっては最も心地よい展開です。
最後に 悪い場合のシナリオですが、海外金利の急変動や株式市場の下落、債券評価損、あるいは海外事業の利益鈍化など、生命保険会社に逆風が重なるケースでは、PERが9〜10倍程度に落ちる可能性があります。このときEPSが伸び悩むと株価は 1,050円〜1,200円 程度までの下落が考えられます。ただし第一生命は巨大な契約保有と安定したストック収益を持つため、他業種と比べても底が非常に固く、大暴落的な動きになりにくいのが特徴です。
総合すると、第一生命ホールディングスは大きく跳ねるような銘柄ではないものの、安定的な利益と高配当を背景に、じっくりと資産を増やしていくのに向いた銘柄です。特に配当利回り4%超が続いている点は長期投資として大きな強みであり、株価が中長期的に緩やかに切り上がるシナリオも十分に期待できます。
良い場合は1,800〜2,100円、中間は1,450〜1,650円、悪い場合は1,050〜1,200円というレンジを想定しながら、配当を受け取りつつ長期で構えるスタンスが最も相性の良い投資戦略と言えるでしょう。
この記事の最終更新日:2025年11月21日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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