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NTT(9432)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

NTTとは

日本電信電話(NTT)は、日本最大の通信グループを統括する持株会社であり、携帯電話、光回線、法人向けICT、データセンター、クラウド、AI、IoTなど、多岐にわたる通信・デジタルサービスを国内外で展開している。NTTグループにはNTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTデータなど、膨大な子会社・関連会社が存在し、これらが一体となって「日本の通信インフラそのもの」といえる巨大な事業体を形成している。

もともとは国営企業として全国の固定電話網を整備し、その後1985年に民営化。現在では、5G・光通信・クラウド・AI基盤など、現代社会のデジタル基盤を支える企業へと大きく形を変えている。通信インフラは公共性がきわめて高く、NTTは日本の生活・産業・行政の根幹を支える存在として極めて重要な役割を担っている。

主要事業のひとつであるモバイル通信では、NTTドコモが携帯電話市場で圧倒的なシェアを持ち、全国に安定したネットワークを提供している。5G基地局の整備や通信品質の改善を継続的に進めており、法人領域ではクラウド・IoTデバイス・スマートシティ関連など、通信とITを融合したソリューション事業を拡大している。料金競争が激しい市場ではあるが、ドコモブランドの信頼性とユーザー数の多さが強固な収益基盤を生み出している。

また、光回線事業においてもNTT東日本・西日本が提供する「フレッツ光」は国内最大級の固定通信インフラであり、個人家庭から企業まで幅広い層に利用されている。光回線とデータセンターを組み合わせたサービスや、法人向けのネットワーク構築、セキュリティサービスなども強みで、国内企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える中心的存在でもある。

さらにNTTは、研究開発にも世界トップクラスの投資を行っている企業である。IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)という次世代通信構想を掲げ、光技術・デジタルツイン・量子通信・低遅延AI処理など、未来インフラの開発を進めている。このIOWNは、従来の通信ネットワークより大幅に高速・低消費電力の世界を目指すもので、日本の通信技術を世界レベルでリードする可能性を秘めている。また、NTT研究所では量子暗号通信や先端半導体技術など、国家レベルの研究も進められており、同社の長期的な競争力の源泉になっている。

海外展開にも積極的で、NTTデータを中心に世界の企業向けITサービスを展開。クラウド、システム開発、ネットワーク管理、セキュリティ対策などを世界中で提供しており、グローバルIT企業としての存在感も高まっている。今後は海外売上比率の上昇や海外データセンター事業の拡大も見込まれており、国内市場だけに依存しない成長モデルも構築されつつある。

近年ではスマートシティ、医療ICT、教育ICT、行政DX、自治体向けネットワークなど社会インフラ領域での事業も増加しており、単なる通信会社にとどまらず“日本社会全体のデジタル化を支える総合IT・通信企業”へと進化している企業と言える。

NTT 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) DPS(円)
23.3 13,136,194 1,828,986 1,817,679 1,213,116 13.9 4.8
24.3 13,374,569 1,922,910 1,980,457 1,279,521 15.1 5.1
25.3 13,704,727 1,649,571 1,564,696 1,000,016 12.0 5.2
26.3(予) 14,030,000 1,754,000 1,644,000 1,030,000 12.4 5.3

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 2,261,013 -1,736,912 -590,197
2024 2,374,159 -1,989,235 -234,454
2025 2,364,031 -1,999,644 -343,027

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 13.9% 14.1% 4.7%
2024 14.3% 12.9% 4.3%
2025 12.0% 9.7% 3.3% 高値平均 13.2倍
安値平均 10.8倍
1.38倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

NTTの直近の業績推移を見ると、売上規模は13兆円台と極めて大きく、国内最大級の通信・ICTグループらしい安定したトップラインを維持している。23.3期〜25.3期にかけて売上は緩やかな増加を続けており、26.3期予想でも14兆円に到達する見込みとなっている。通信事業は人口動態に左右されやすい側面があるが、法人向けITサービスや海外事業の伸長が売上の底上げに貢献しており、事業規模の安定感は抜群である。

営業利益を見ると、23.3期・24.3期は1.8〜1.9兆円と高い水準を維持していたが、25.3期に1.64兆円へ一度落ち込みが見られる。ただし、これは一過性のコスト増や投資負担の影響が大きく、26.3期予想では再び1.75兆円へ戻る見通しとなっている。通信インフラの維持・更新には一定のコストが発生するが、NTTの強みは「落ちてもすぐ戻せるだけの巨大な収益基盤」を持っている点で、利益が崩れにくい構造が明確に現れている。

純利益も1兆円規模と非常に大きく、23.3期の1.21兆円から25.3期に1兆円までやや縮小しているものの、依然として国内企業の中ではトップクラスの利益体質を維持している。26.3期予想でも1.03兆円が見込まれており、短期的な変動はあっても“1兆円を超える純利益を出し続ける企業”という強みは変わらない。

利益率の面では、営業利益率が23.3期13.9% → 24.3期14.3% → 25.3期12.0%と緩やかに変動しているが、そもそも10%を超える営業利益率を長期で維持している点は通信企業として非常に強固である。ROEも14% → 12.9% → 9.7%と低下は見られるが、依然として高水準。ROAも3〜4%台を維持しており、巨大企業でありながら効率性は十分に確保されている。

バリュエーション面では、25.3期の実績PERが高値平均13.2倍・安値平均10.8倍と、比較的妥当な評価に収まっている。PBRも1.38倍と割安圏ではないが、通信インフラ企業の安定性を考えれば“適正〜やや割安”と見る投資家も多い。NTTは未来技術のIOWN構想などのテーマ性もあり、長期投資家からの信頼を集めやすい銘柄である。

総合的に見るとNTTは、事業規模の大きさ、通信インフラとしての安定性、1兆円規模の純利益、長期でブレにくいキャッシュフローなど、守りの強さが際立つ企業である。一方で、爆発的な成長を期待するのは難しく、株価も大きな値上がりを狙うタイプではない。あくまで長期で安定した収益と限定的な株価上昇を享受する“超大型ディフェンシブ銘柄”という位置づけになる。

変動の少ない収益体質、巨大なキャッシュフロー、安定した利益率を考えると、NTTは長期保有に向いた堅実な銘柄であり、短期の値上がり狙いではなく、将来的な安定収益を期待する投資家に向いた株と言えるだろう。

配当目的とかどうなの?

NTTの予想配当利回りは、2026年3月期で3.43%、2027年3月期で3.50%とされており、日本株全体の平均と比べると明確に高めの水準に位置している。利回りだけを見れば“安定高配当株”といえる範囲に入り、インカム目的での保有には十分に魅力がある数字だ。ただ、この銘柄の特徴は利回りだけでなく、「配当の継続性」「財務基盤の安定性」「キャッシュフローの強さ」といった点において、他の高配当株とは比較にならないほどの安心感を持っているところにある。

まず、NTTは1兆円規模の純利益を安定的に計上し続けており、営業キャッシュフローも毎年2兆円超という国内屈指の巨大キャッシュマシンである。このような強固なキャッシュ創出力があるため、景気が悪化しても配当が維持されやすいという“ディフェンシブ銘柄の強さ”が際立つ。一般的な高配当銘柄は業績変動によって減配リスクがつきものだが、NTTの場合は通信インフラという性質上、景気変動の影響が限定的であり、安定性の次元がそもそも違う。

実際、NTTは長期的に「緩やかな増配」を続けてきた企業で、急激に上げはしないが着実に配当を引き上げる経営姿勢をとっている。これに加え、自己株買い(自社株買い)を積極的に実施する傾向があり、株主還元全体の規模が大きいことも特徴だ。増配+自社株買いを組み合わせることで、株価と配当の両面で株主価値を押し上げる戦略が定着している。

財務面でも、通信インフラの維持・投資などで設備投資額が大きいものの、それを上回る営業キャッシュフローが毎年安定して入り続けているため、財務が大きく悪化するリスクは極めて小さい。仮に投資が重なって利益が一時的に減っても、配当を維持できるだけのキャッシュ余力があるのがNTTの強みである。

もちろん、NTTにもリスクは存在する。携帯料金の値下げ圧力や政府の政策介入、競争激化などが利益を圧迫する可能性はある。しかし、通信インフラ企業の特性として、ユーザー数は簡単に大きく減らないうえ、法人ITや海外データセンター事業の成長など、多角化が進んでいることから収益のブレは小さく抑えられる。高配当株として見たときに、これほど“配当が途切れにくい企業”は国内でも限られている。

総合的に見ると、NTTは明確に「配当目的の長期投資に向いている銘柄」であり、景気に左右されにくい安定収益、継続的な増配姿勢、大型自社株買い、強力なキャッシュフローという4つの安心材料が揃っている。利回り3.4〜3.5%という数字以上に“配当が長期で続く確率の高さ” が最大の魅力で、ポートフォリオの中核に置きたくなる性質を持っている。インカムゲインを狙う投資家にとって、NTTは非常に扱いやすい堅実な銘柄と言えるだろう。

今後の値動き予想!!(5年間)

NTTの現在株価は154.2円。今後5年間を考える上で、この銘柄は日本の通信インフラを支える超巨大企業であり、業績のブレが極めて小さいことから、株価が大きく崩れにくいという特徴がある。通信・光回線・データセンター・法人IT・海外事業など収益源が分散しており、さらに自社株買いや増配を安定的に続けているため、長期では“下値が固い銘柄”としてよく知られている。一方で、急激な成長が期待されるタイプではないため、株価の動きはあくまで緩やかだというのもNTTらしい傾向と言える。

良い場合のシナリオとしては、国内の通信事業が安定を保ちつつ、法人向けITサービスや海外データセンター事業が順調に伸び、業績が素直に拡大していくケース。特にNTTが長期構想として掲げるIOWNの普及が進んだり、AI・クラウド需要の増加が続くと、NTTの収益基盤はさらに強化される。こうした追い風がそろうと、株価はじわじわと上昇し、5年後には180~220円といった水準まで上がっていく可能性がある。テーマ性と安定性が組み合わされれば、長期投資家からの再評価も期待できる。

中間のケースでは、通信事業は堅いものの、料金競争の長期化や政府の政策による値下げ要請、海外IT事業の伸びが平均的にとどまるケースが考えられる。この場合、業績は上下しながらも大きく崩れず、全体としては“横ばい気味の成長”となる可能性が高い。株価も今の水準を軸にして推移し、5年後には145~175円程度の範囲で緩やかに動く展開になりやすい。配当と自社株買いのおかげで下値は固いが、急激な上昇は見込みにくい、いわゆるディフェンシブなボックス相場を形成する。

悪い場合のシナリオとしては、政府の通信料金引き下げ圧力が強まり、メインの通信収益が削られるケースや、大規模な先行投資が利益を圧迫するケースがある。さらに海外事業が伸び悩めば、成長ドライバーが弱まり株価は慎重な動きになりやすい。こうした複数の逆風が重なると、株価がじわじわと下がり、5年後には120~140円ほどの水準にとどまってしまうことも想定される。それでも、NTTは巨大な通信インフラ企業であるため、極端な暴落や一気に2桁台へ突入するようなシナリオは考えにくい。

総合的に見ると、NTTは急騰しにくいが急落もしにくい“ゆっくり上がり、ゆっくり下がる”という性格を持つ銘柄であり、配当と安定性を重視する長期投資家向けの典型的なディフェンシブ株だ。5年間でどのシナリオが訪れるかは外部環境によって変わるが、下値不安は比較的少なく、長期でじっくり持つタイプの銘柄として評価できるだろう。

この記事の最終更新日:2025年11月23日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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