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日本国土開発(1887)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本国土開発とは

日本国土開発は、長年にわたり日本の国土インフラ整備を支えてきた総合建設会社で、特に「重機土工事」に強みを持つ企業として知られている。大規模な造成工事や地盤改良、特殊工法を伴う土木工事を得意としており、ダム、道路、トンネル、空港、港湾といった国の基盤となるインフラ整備で多数の実績を積んできた。大型重機を活用した土工事に関しては、国内でも屈指の技術力と施工能力を持つ会社であり、土木分野の中でも専門性の高い領域に強みが集中している点が特徴だ。

同社の“ターニングポイント”となったのが2003年。バブル崩壊後の建設不況の影響を受けて会社更生手続きに入ったものの、2003年に無事終結し、その後は経営再建を進めて再上場を果たした。経営再建を乗り越えた企業だけに、財務管理や採算管理には強い意識が根付いており、無理な受注に走らず堅実な利益体質を維持している点も現在の特徴のひとつとなっている。

東日本大震災においては、同社の持つ地盤改良技術や重機土工の施工力が遺憾なく発揮され、沿岸部の復旧・復興工事で大きな役割を果たした。被災地の地盤改良、かさ上げ工事、インフラ復旧などで多数の実績を残し、国土の再建に深く関わった企業として信頼を高めた。この経験から、災害復旧・防災関連工事でも確固たる実績を構築している。

事業領域は土木工事だけにとどまらず、建築事業にも力を入れており、マンションやオフィスビル、物流施設、公共施設など多様な建築物を手がけている。近年は「超高層建築」の分野にも参入しており、地盤改良・基礎工事の技術力を生かしながら、上物建設の領域でも存在感を強めている。建築と土木の両輪を持つことで、再開発案件など複合的なプロジェクトにも対応できる点が強みとなっている。

不動産開発事業も展開しており、物流施設・商業施設の開発、土地の有効利用の提案など、建設と不動産を横断したビジネスを進めている。また、環境・再エネ関連にも踏み込み、太陽光発電設備の造成・土木、風力発電の基礎工事といった環境インフラ整備でも事業領域を広げている。

海外展開も行っており、アジアや中東を中心にインフラ工事の受注を進めている。特に地盤改良や特殊土木の技術は海外でも競争力があり、国際的なプロジェクトにも参画。国内だけでなく海外も含めて受注基盤の多角化が進んでいる。

総合的に見ると、日本国土開発は「重機土工の専門技術」「災害復旧の実績」「会社更生を乗り越えた堅実な財務」「建築・不動産・再エネまで広がる事業領域」「海外展開の進行」といった複数の強みを持つ、総合力の高い建設企業である。特に地盤改良・土工事という“土木の根幹部分”に独自性があり、他社との差別化が明確な会社と言える。

日本国土開発 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) 配当(円)
連22.5 126,790 7,957 8,398 7,389 84.5 26(特)
連23.5 154,202 4,487 4,639 3,291 39.0 26(特)
連24.5 135,701 -9,404 -9,343 -7,191 -86.2 22(特)
連25.5 123,349 2,318 1,945 1,332 16.6 22(特)
連26.5(予) 131,000 3,500 2,900 2,000 25.1 22(特)
連27.5(予) 134,000 3,700 3,100 2,100 26.4 22(特)

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 -11,062 -6,314 -6,121
2024 -1,263 1,471 -2,092
2025 3,793 -3,876 -3,788

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 2.9% 4.2% 2.0%
2024 -7.0% -10.6% -5.0%
2025 1.8% 2.0% 0.9% 高値平均:24.2倍
安値平均:18.5倍
0.65倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日本国土開発の直近数年間の業績を見ると、まず売上・利益ともにかなり上下のブレが大きい会社だということがはっきり分かる。連23.5では売上高1542億円、営業利益44億円と堅調だったものの、翌期の連24.5では売上が1357億円に減少し、営業利益はマイナス94億円、純利益もマイナス71億円と大幅な赤字に転落している。建設業の中でも土木工事は案件の規模や工期のズレが利益に大きな影響を与えるため、日本国土開発のように重機土工や地盤改良など大型プロジェクト比率が高い会社ほど、どうしても業績の振れ幅が大きくなりがちだ。

ただ、その大赤字の翌期である連25.5では売上1233億円とさらに縮小しつつも、営業利益23億円、純利益13億円と黒字に戻しており、最低限の収益体質は維持できていることが読み取れる。連26.5予でも営業利益35億円、純利益20億円と黒字を維持する見通しで、大赤字だった連24.5が「異常値」であった可能性は高い。

EPSの推移を見ると、39円 → -86円 → 16円 → 25円予想と乱高下しており、やはり収益安定性という観点では物足りない。利益率も営業利益率2.9% → -7.0% → 1.8% と、採算のブレが大きいことがわかる。

ROE・ROAを見ると、連24.5は当然ながら大きくマイナス(ROE -10.6%、ROA -5.0%)で、赤字年度のインパクトが非常に強い。黒字復帰した連25.5でもROE2.0%、ROA0.9%と高い水準とは言い難い。総じて、ROE二桁を安定して出せるタイプの会社ではなく、景気や案件ミックスに利益が大きく左右される構造が続いている。

一方でバリュエーションを見ると、実績PBR0.65倍はかなりの割安水準にある。純資産に対して市場が企業価値をまだ高く評価していない状態で、赤字年度の影響で投資家の警戒感が残っていることが背景にある。PERは高値24倍、安値18倍と一見割高に見えるが、これはEPSが低いためで、本来の企業価値を測るにはPBRを見る方が適切だろう。

日本国土開発は「重機土工・地盤改良の強み」「東日本大震災での復旧実績」「超高層建築への参入」「再上場を果たした堅実経営」といった特徴を持つものの、実際の利益推移を見る限り、安定成長銘柄というより“波を大きく受けやすい変動型土木会社”としての色が強い。もちろん大型案件を取れた年は利益が大きく跳ねる可能性がある反面、工期ずれ・原価高騰が重なると赤字にもなり得るだけのリスクも併存している。

総合すると、日本国土開発は「技術力の高さと重機土工の専門性は魅力だが、収益安定性には課題が残る銘柄」といえる。資産バリュー(PBR0.65倍)としては魅力はあるものの、長期で安定したEPS成長を期待する銘柄ではなく、市況の波を利用して安く買って値戻りを狙うような投資スタイルに向いた企業になる。安定した配当や着実な利益成長を求める投資家にはやや不向きだが、割安放置の中で業績改善が進む局面では株価の見直し余地は十分にある。

配当目的とかどうなの?

日本国土開発の予想配当利回りは4.00%で、建設株としては比較的高めの部類に入る。利回りだけを見れば“高配当銘柄”としての魅力があり、数字としてはまず悪くない。しかし、この会社の場合は「利回りの高さ」と「業績の安定性」をセットで考える必要がある。

というのも、直近の業績推移を見ると、連24.5の大赤字(営業利益 -94億円、純利益 -71億円)が非常に大きなマイナス材料になっている。翌期に黒字へ回復したとはいえ、まだROEやROAが低めで、安定して利益が積み上がる体質とは言いにくい。配当利回りが高く見えるのは、業績よりも株価が割安に放置されているためで、PBR0.65倍という水準が象徴的だ。

配当額そのものは「22円(特)」を維持しているが、これは過去に特別配が混ざっている形で、純粋に“安定増配を続けている会社”というわけではない。EPSが39円 → -86円 → 16円 → 25円予想という上下の激しい推移を考えると、配当性向がやや高くなる年も出やすく、利益連動型で無理なく配当を出し続けられるかと言えば、やや不安は残る。

ただ、日本国土開発は重機土工や地盤改良という専門性が高く、大型インフラ案件に強いというメリットもある。復旧・防災需要は長期的に底堅いため、収益が完全に崩れるリスクは小さく、一定の黒字基調は維持しやすい。とはいえ、安定成長型のインフラ企業(たとえば道路舗装や水道工事の会社)とは違い、同社は案件ごとの利益ブレが大きいため、配当の“持続力”という意味では他の高配当株と比較して慎重に見たほうが良い。

総合すると、日本国土開発は「今の株価水準では利回り4%で一見魅力的だが、業績の波が大きく、安定配当株として強く推せるタイプではない」という位置づけになる。値下がりリスクを十分に許容しつつ、割安脱却や業績復調での株価見直し+配当を狙うなら選択肢になるが“安心して長期保有して配当を受け取り続ける銘柄”としては慎重な評価が必要だと思われる。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本国土開発の現在株価550円は、PBR0.65倍という非常に低い水準で推移しており、マーケットからの評価はかなり保守的な状態にある。重機土工・地盤改良という強い技術領域を持つ一方、業績の上下が大きく、赤字年度のインパクトも残っているため、株価は割安に放置されているといっていい。この前提のもと、今後5年間の株価シナリオを良い場合、中間、悪い場合で整理すると次のようになる。

まず“良い場合”は、重機土工・地盤改良の需要が安定的に続き、連24.5の赤字決算からの立ち直りが鮮明になり、EPSが継続的に改善していくシナリオだ。港湾・災害復旧・インフラ更新などの公共工事が堅調に推移し、営業利益率が3〜4%台に回復すれば、市場も徐々に評価を改めていく可能性が高い。この場合、PBRが1倍前後まで見直されるだけでも株価は800〜900円が視野に入り、業績がさらに乗れば1,000円台に届く可能性もある。成長株ではないが、割安訂正が起これば株価2倍を狙えるレンジに入ってくる。

次に“中間シナリオ”では、黒字は維持するものの、利益の上下が続き、EPSが20〜30円前後で横ばいとなるケースである。建設業特有の案件ミックスのブレや原価上昇の影響で大きな成長は見込みにくいが、会社更生を乗り越えた堅実経営が続き、極端な赤字には戻らないという状態。この場合、市場の評価も大きくは変わらず、PBR0.6〜0.8倍の範囲で放置されやすいため、株価は550〜700円の箱に収まる動きが中心となる。配当利回りは維持されるため、保有リターンは“横ばい+配当”という形に落ち着く可能性が高い。

悪いシナリオでは、大型工事の採算悪化や工期遅延、資材高騰などで利益が再び圧迫され、EPSが10円前後まで落ち込むケースだ。インフラ需要が底堅いとはいえ、赤字年度が再発すると市場の警戒感が強まり、PBR0.5倍を割り込む可能性もある。この場合、株価は400〜480円あたりのレンジが主力になり、しばらく低迷する展開が続く。ただし事業構造上、業績がゼロ付近まで崩れることは考えにくく、極端な下落リスクは限定的と見られる。

総合すると、良い場合は800〜1,000円、中間では550〜700円、悪い場合は400〜480円といったイメージで、現在株価550円は“中間シナリオの下限付近で、割安感がかなり強い位置”にある。重機土工・地盤改良という専門領域の強みを考えれば、大きく崩れにくく、一方で業績回復が進めば見直し余地は十分に残されている銘柄といえる。

この記事の最終更新日:2025年11月24日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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