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トーエネック(1946)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

トーエネックとは

株式会社トーエネックは、愛知県名古屋市中区に本社を置く総合設備工事企業で、中部電力グループの中核を担う設備工事会社として幅広い事業を展開している。中部電力の持分会社であり、売上の約4割を中部電力向けが占めるなど、同グループとの結びつきが非常に強い。業務エリアは愛知、岐阜、長野、三重、静岡といった中部電力管内が中心で、地域の電力インフラの維持・更新における主力企業となっている。

創業以来、東海地域のエネルギーインフラを支える総合設備工事会社として発展してきた歴史を持つ。電気工事業界では大手の一角を占め、配電線や送電線の建設、変電所の改良工事など、電力インフラの中枢を担う工事で豊富な実績を積み上げてきた。

主力事業は、電力関連工事のほか、ビル・工場・商業施設・公共施設などの電気設備工事、空調設備工事、給排水衛生設備工事、電気通信設備工事、防災設備工事など多岐にわたる。施工能力の高さ、現場対応力、人材育成力が強みで、大規模施設から一般企業向けの中小案件まで幅広く対応できる総合力を持つ。また、電力会社案件のような高い安全性・信頼性が求められる工事で培ったノウハウは、他分野の工事でも評価されている。

近年では、一般企業向けの工事にも注力しており、太陽光発電設備、省エネ関連設備、再生可能エネルギー、スマートシティ関連、ICTを活用した設備管理システムの構築など、時代に合わせた新しい領域への進出も進んでいる。特に環境・省エネ分野は需要が拡大しており、企業の脱炭素化ニーズに応える形で受注が増加している。

さらには、中部地域は自動車・製造業の集積地であり、工場の新設・増改築や設備更新の需要が継続的に存在するため、トーエネックにとって安定した工事ニーズがあることも特徴である。地域密着企業として、地元企業や自治体との長期的な関係性を築いており、地域経済に深く根ざしたインフラ企業といえる。

トーエネックは、電力インフラの保守・更新という不可欠な仕事を担いながら、建築設備・通信インフラ・省エネ設備など案件領域を広げており、電力会社グループとしての安定性と総合設備会社としての技術力の両方を備えた企業として存在感を持っている。地域の暮らしと産業を下支えする基盤企業として、引き続き重要な役割を果たすことが期待される。

トーエネック 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当
連23.3 232,053 10,287 8,983 -5,548 -59.4 19
連24.3 252,863 15,910 12,679 9,345 100.0 40
連25.3 270,966 16,041 15,360 10,765 115.7 50(記)
連26.3予 277,000 18,000 17,000 12,000 129.3 52
連27.3予 283,000 19,000 18,000 12,500 134.7 52〜54

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 12,640 -2,119 -8,358
2024 19,118 -2,060 -9,903
2025 19,014 -3,082 -13,670

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER(実績) PBR(実績)
2023 4.4% -1.9% -4.8%
2024 6.2% 3.0% 7.1%
2025 5.9% 3.4% 7.8% 高値11.8倍/安値6.5倍 1.22倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

トーエネックの業績を確認すると、電力インフラ工事会社らしく「大きな成長はしないが、安定的に積み上がるタイプ」の動きを示している。売上は23.3期の2,320億円から24.3期2,528億円、25.3期2,709億円と年々拡大しており、26.3期予想も2,770億円と、ゆっくりながら確実な増収が続いている。中部電力の持分会社で、電力インフラ更新需要に支えられていることが業績の安定性につながっている。

営業利益は23.3期で102億円、24.3期159億円、25.3期160億円と改善が続き、26.3期は180億円の予想。営業利益率も4パーセント台から6パーセント前後まで上がっており、工事採算が改善していることがうかがえる。電力工事分野は人材確保・資材コストの影響が大きいが、それでも利益率が上向きである点は評価できる。

経常利益も23.3期89億円、24.3期126億円、25.3期153億円と順調に増加しており、26.3期予想では170億円。非常に急成長というわけではないが、確実に利益が積み上がっている。純利益は23.3期でマイナス55億円と赤字だったが、これは特殊要因の影響で、本業の力が弱かったわけではない。24.3期で93億円、25.3期で107億円、26.3期予想は120億円と、赤字からしっかり回復し、過去最高益圏へ向かっている。

EPSはマイナス59円から一気に100円、115円、そして129円予想と右肩上がり。配当も19円 → 40円 → 50円 → 52円と着実に増配しており、利益の回復に合わせて株主還元姿勢も強くなっている。

指標面では、ROEが23.3期のマイナス4.8パーセントから、24.3期7.1パーセント、25.3期7.8パーセントと大幅改善。ROAもマイナスから3パーセント台へ回復し、総じて財務体質が明確に良くなっている。PERは高値で11倍台、安値で6倍台と割安寄りで、PBRも1.22倍と市場評価はまだ高くない。

総合すると、トーエネックは電力会社グループの安定需要に支えられつつ、利益改善と配当増加が続いている堅実なインフラ企業である。高成長株とは言えないが、赤字期からの回復が鮮明で、利益率も改善傾向にあるため、今後も安定した業績が期待しやすい。株価は大きく跳ねるタイプではないが、堅調に業績を積み上げていく企業として、中長期ではリスクの低い投資先といえる。

配当目的とかどうなの?

トーエネックの予想配当利回りは、26.3期・27.3期ともに3.50%となっており、電設工事大手の中でも比較的高い水準にある。中部電力グループの企業として、電力インフラの維持・更新という景気に左右されにくい仕事を中心に行っているため、業績が比較的安定し、配当も大きく崩れにくい点が特徴となっている。

配当は23.3期の19円から、24.3期40円、25.3期50円へと増えており、業績回復に合わせて着実に増配が進んでいる。26.3期・27.3期の52円予想も無理のない水準で、利益成長とともに安定した配当還元を続けていることがわかる。EPSがマイナス59円から100円、115円、129円へと急速に改善しているため、配当性向も健全な範囲に収まっている。

また、トーエネックは売上の4割が中部電力向けという事情もあり、電力会社の設備投資と連動して安定した受注が入りやすい。電力インフラの工事需要は、老朽化対策・災害対策・再エネ普及などで今後も一定規模が継続していくため、配当の基盤となる利益が大きく崩れにくい点も評価できる。

ただし、ROEが7〜8%台と極端に高いわけではなく、利益成長も急激ではないため、増配幅が大きく跳ねるような銘柄ではない。どちらかといえば、安定配当を受け取りながら長期で保有するタイプで、キャピタルゲインではなくインカムゲイン重視の投資に向いている。

総合するとトーエネックは、利回り3.5%の安定配当、赤字になりにくい電力インフラ事業、持続的な増配傾向といった点から、配当目的の投資先として十分に魅力がある銘柄といえる。ただし高成長株ではないため、「堅実な配当株」として長期保有していくのが現実的なスタンスになる。

今後の値動き予想!!(5年間)

トーエネックは中部電力グループの中核設備工事会社として、配電・送電・変電設備といった電力インフラの要となる工事を担っている企業であり、売上のおよそ4割が中部電力向けという安定的な受注構造を持っている。電力インフラ事業は景気に左右されにくい特性があり、急成長する銘柄ではないものの、設備更新を中心に長期的な需要が続くため、株価も業績にあわせてゆっくり動くタイプである。近年は再生可能エネルギーや省エネ関連設備の需要が増えており、電力会社以外の一般企業・自治体などからの案件も増えている。そのため、受注構造の裾野が少し広がり始めていることも注目すべきポイントだ。現在の価格である1,855.0円から5年後のシナリオを考えてきたいです。

良い場合は、電力インフラの老朽更新や再生可能エネルギー関連工事、さらには工場や公共施設の設備更新需要が継続して増えていくケースである。中部電力管内は製造業が多く、工場の省エネ化・設備更新の需要が底堅いため、電力会社向け以外でも受注が積み上がりやすい。営業利益率が6パーセント台を維持し、ROEが8パーセント前後で安定すれば、割安感のあるバリュエーションが見直され、株価は2,000〜2,200円程度まで上昇が期待できる。市場全体が電力インフラ関連に再評価を与える局面が来れば、2,300円台までの上昇も視野に入るが、爆発的に跳ねるというよりは、年単位でじわりじわりと上値を切り上げていく動きがメインになる。

中間の場合は、最も現実的な展開で、売上も利益も大きく崩れずに横ばい〜微増を繰り返しながら推移するパターンである。工事業はどうしても年度ごとに受注金額の波が出るが、中部電力向けの安定受注が基盤にあるため、急激に悪化しにくい。こうした特徴から、株価も1,750〜2,000円の範囲で上下しやすく、現在値1,855円に対しても大きなサプライズは起こりにくい。安定配当を受け取ることが主な魅力となり、じっくり持ち続ける投資スタイルに最も相性が良い展開だといえる。

悪い場合は、資材価格の高騰や人件費上昇、電力会社の投資計画の後ろ倒し、設備更新の遅れなどが重なり、利益が伸び悩むシナリオである。特に工事業では材料費の影響が大きく、資材高が長引くと採算を圧迫しやすい。ただし、電力インフラ工事は景気が悪くても完全に止まる性質のものではなく、災害対策・老朽設備更新・地域の送配電網の補強など、必要に迫られる工事が多い。そのため、営業利益率が4パーセント台へ下落する局面があっても、株価は1,500〜1,650円あたりで下げ止まりやすく、長期的に深く売り込まれにくいのが特徴である。

総合すると、トーエネックは急成長で株価が短期間に大きく動くような銘柄ではないが、電力会社グループとしての安定した受注基盤と、再エネ・省エネ・通信インフラなど新しい分野への広がりを背景に、堅実に利益を積み上げていく企業である。株価は業績にあわせて緩やかに動くため、上にも下にも極端に振れにくい。配当利回りも安定しており、中長期でインカムを受け取りながら安定資産として保有するのに適した銘柄といえる。

この記事の最終更新日:2025年11月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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