株価
ユアテックとは

ユアテックは、東北電力グループの中核を担う総合電気工事会社で、東北電力向け売上が全体の4割を超えるなど、電力インフラ分野で非常に強固な基盤を持っている。送電線・配電線工事、変電所設備の新設・更新・保守といった電力供給の根幹を支える事業を長年にわたり担っており、地域の電力インフラ維持に不可欠な存在として位置づけられている。電力会社グループとしての技術水準の高さや安全性へのこだわりは業界内でも評価されており、とりわけ災害時の緊急対応力や復旧工事の実績は信頼を支える大きな要素となっている。
一方でユアテックは、電力関連工事にとどまらず、一般の建築設備工事にも幅広く展開している。都市ビル、病院、ホテル、商業施設、文化施設、工場、さらには個人住宅まで、幅広い建築分野で電気設備、空調設備、給排水設備、情報通信設備などを手掛け、自社で企画・設計から施工、保守・管理までを一貫して提供する総合設備エンジニアリング企業としての体制を築いている。この「ワンストップ対応」が高い評価を受け、民間需要の取り込みにも成功している。
設備の更新・改修にも強く、省エネ化や老朽化対策といった継続性の高い需要への対応が可能で、建物やインフラのライフサイクル全体を支える総合力は同社の大きな強みである。特に東北地域では老朽化した施設やインフラの改修が増えており、長期的な需要の裏付けとなっている。
再生可能エネルギー分野にも積極的で、風力発電設備工事や太陽光発電設備工事の実績が多い点もユアテックの特徴のひとつである。再エネ拡大が加速する中で、発電設備の建設だけでなく、送配電設備の強化や制御機器更新など、電力インフラ全体の最適化に関わる工事が増加しており、同社にとっては長期的な成長機会となっている。
また、東北だけでなく首都圏でのプレゼンスを高めていることも注目される。東京や神奈川などの都市部で、大規模オフィスビルや商業施設、ホテルの設備工事を積極的に手掛けており、これにより同社は電力依存度の高さを緩和しつつ、安定した民間需要を取り込むことに成功している。この全国展開は売上の分散効果を生み、業績の安定性に寄与している。
総合するとユアテックは、電力インフラという「景気に左右されにくく、長期需要が続く領域」を基盤にしながら、建築設備工事や再エネ関連工事という成長分野も取り込む、守りと攻めのバランスが取れた企業となっている。災害復旧、老朽化対策、再エネ拡大、都市部での設備更新といった日本全体のインフラ課題と強く結びついた事業を展開しているため、長期的に安定成長しやすい体質を持つ点が大きな魅力といえる。
ユアテック 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 227,366 | 9,538 | 10,501 | 6,561 | 91.7 | 28 |
| 連24.3 | 243,171 | 10,523 | 11,885 | 7,510 | 104.8 | 42 |
| 連25.3 | 257,204 | 16,185 | 17,302 | 11,982 | 169.9 | 68 |
| 連26.3予 | 267,000 | 18,000 | 18,800 | 13,000 | 189.3 | 72〜76 |
| 連27.3予 | 272,000 | 19,000 | 19,800 | 13,800 | 200.9 | 74〜80 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 9,692 | -5,303 | -5,450 |
| 2024 | 7,798 | 4,318 | -3,368 |
| 2025 | 15,078 | -5,803 | -6,836 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.1% | 4.8% | 2.9% | ― | ― |
| 2024 | 4.3% | 5.2% | 3.2% | ― | ― |
| 2025 | 6.2% | 8.1% | 5.1% | 高値平均 11.5倍 安値平均 7.1倍 |
1.23倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ユアテックの業績推移を見ると、23年から25年にかけて売上高・利益ともに綺麗な右肩上がりを示しており、とくに25年の営業利益が161億円と前年度比で大幅に伸びている点が目立つ。電力インフラの設備更新需要が強く、変電・配電設備工事の大型案件が増えていることに加え、再生可能エネルギー関連工事の受注増や、首都圏での建築設備工事の伸長が利益を押し上げたと考えられる。
営業利益率は23年の4.1%から25年には6.2%まで上昇しており、工事採算が改善しつつあることが読み取れる。電力インフラ工事は安定性が高い反面、利益率が上がりにくい傾向があるが、その中で6%台まで利益率が上昇しているのはポジティブな変化であり、今後の収益体質の改善にも期待できる。
純利益も23年の65億円から25年には120億円にほぼ倍増しており、EPSは91円から169円へと伸びている。ROEも4.8%から8.1%へ改善しており、資本効率という観点でも明らかに成長過程にある。この規模の工事会社としては、ROE8%超えは評価されやすいラインで、株価の見直し余地につながりやすい。
指標面では、実績PERが高値で11.5倍、安値で7.1倍と、割高感のないリーズナブルな水準にある。PBRも1.23倍と過度に割高ではなく、安定成長する設備工事会社としては妥当、もしくはやや割安と評価できる水準だ。売上も安定して増加しており、26年予想では営業利益180億円・純利益130億円とさらなる増収増益が見込まれているため、業績を織り込めば今後PERが10倍台半ばまで評価される可能性もある。
ユアテックは、東北電力向け工事という安定した基盤を持ちつつ、再エネ工事や首都圏の民間設備工事が成長要因となっており、「安定と成長の両方がある」工事会社として位置づけられる。電力網の老朽化対策、災害復旧対応、再エネ拡大など長期テーマに沿った工事需要が続くため、中期的にも業績は堅調に推移しやすい。
総合すると、ユアテックは堅実に利益を伸ばしており、利益率・ROEの改善も進んでいることから、中長期で安定成長を期待できる銘柄といえる。株価指標も割安感が残っており、業績と配当成長を重視する投資家にとって魅力的な選択肢になりやすい。
配当目的とかどうなの?
ユアテックの予想配当利回りは26.3期で2.71%、27.3期で2.79%となっており、配当利回りとしては“中位クラス”の水準に位置する。建設・設備工事セクターには3〜4%台の高配当銘柄も多いため、利回りだけで比較するとユアテックは飛び抜けて高いわけではない。しかし、同社の事業構造や利益成長のペース、配当方針を踏まえると、「安定性の高い成長配当株」としての魅力がある。
まず注目すべきは、利益の伸びに合わせて配当を着実に増やしている点である。配当は23.3期の28円から24.3期には42円へ増配し、25.3期には68円まで大きく増えている。これは、売上・利益が堅調に伸びていることと、利益率・ROEの改善が進んでいることが背景にあり、利益成長に応じて配当還元を強める姿勢が見て取れる。また26.3期と27.3期も72〜80円という水準で、配当水準をしっかりと維持・拡大していく姿勢が感じられる。
事業基盤の安定性も配当の安心材料となっている。ユアテックは東北電力向けの工事が売上の4割を占め、電力インフラの維持・更新という長期的かつ不可欠な事業を担っているため、景気変動による業績の大幅悪化が起こりにくい。災害復旧需要、電力網の高経年化対策、再生可能エネルギー関連工事など、安定かつ継続性のある需要が複数あることも、配当の下支えとなる。
さらに再エネ工事や首都圏の建築設備工事など、成長分野の受注が拡大しているため、利益の伸びが今後も続く可能性が高い。これにより、利回りそのものは3%に満たないが、配当の「持続性」と「増配余地」は十分に備わっているといえる。
総合すると、ユアテックは「高配当でガツンと稼ぐタイプ」ではないものの、電力インフラというディフェンシブな領域を基盤にしつつ、再エネや設備工事の成長で着実に利益を積み上げる“堅実な成長配当株”という位置づけになる。長期で安定して配当を受け取りたい投資家や、増配基調の企業をポートフォリオに組み込みたい人に向いている銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
ユアテックの株価が現在の2,649円から今後5年間でどのように推移するかを考える際、まず押さえるべきなのは、同社が電力インフラ工事を基盤とする安定型の企業であるという点である。東北電力向けの需要が継続して見込めるほか、再生可能エネルギー、送配電設備の更新、変電所改修、災害復旧といった「長期テーマ」の案件を多く抱えており、業績は景気の上下に左右されにくい構造を持っている。また、利益率やROEの改善が25年にかけて明確に進んだこともあり、今後数年の業績トレンドは比較的読みやすい。
良い場合のシナリオでは、送電・配電設備の高経年化対策が全国的に拡大し、変電所更新や再エネ関連工事の大型案件が継続的に増加する展開が想定される。さらに首都圏の民間設備工事も順調に積み上がり、営業利益が180億〜200億円規模へ伸びる場合、株価が市場から再評価され、PERが12〜14倍のレンジで評価される可能性がある。この場合の株価水準は5年後に3,300〜3,800円あたりが視野に入ってくる。電力系設備工事という安定業態のなかでは比較的強い値上がりを期待できる展開だ。
中間のシナリオでは、電力インフラ工事の需要は引き続き安定しているものの、伸び率は穏やかで、営業利益は170億〜190億円程度で横ばいから小幅成長にとどまるケースが想定される。この場合、株価は現在の2,649円を基準に、長期ではやや緩やかに切り上がる形となり、5年後の株価は2,800〜3,200円程度のレンジが現実的なラインになる。配当も70円台が維持される見込みのため、インカムを受け取りながら値動きもそこそこ期待できる、安定寄りの展開となる。
悪い場合のシナリオでは、物価高や人件費上昇で工事採算が悪化し、利益率が低下するケースが考えられる。また、東北電力向けの更新工事が一時的に減少するなど、特定時期における案件の端境期が重なる可能性もある。この場合、営業利益が150億円前後にとどまり、市場からの評価もやや後退しPERが8〜10倍に収縮すると、株価は5年後に2,200〜2,450円あたりまで押し戻される可能性がある。ただしユアテックはインフラ工事を基盤とするため、大きく崩れ続けるタイプではなく、下がっても一定ラインで支えが入りやすい。
総合すると、ユアテックの株価は「大きく上下しづらい代わりに、長期では着実に積み上がるタイプ」の動きをする可能性が高い。電力インフラという安定性の高い分野を軸に、再エネ工事と首都圏の設備工事が成長ドライバーになるため、極端な悲観シナリオが起きにくく、5年間で緩やかな右肩上がりを期待できる銘柄と言える。
この記事の最終更新日:2025年11月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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