株価
日本リーテックとは

日本リーテックは、総合電気設備工事を中核事業とするインフラ系の工事会社で、2009年に千歳電工と保安工業が統合して発足した。鉄道、道路、電力、通信といった生活や産業の基盤となる社会インフラを幅広く支える工事を一貫して手掛けることができる総合力を持っており、特に鉄道関連の電気設備工事において高い専門性と実績を誇る。JR東日本向けの工事比率が高く、首都圏の鉄道ネットワークを支える重要な電気設備を長年担当してきたことから、信頼性の高い技術力が同社の強みとなっている。
鉄道分野では、信号システムやポイント設備、踏切制御設備、駅構内の照明・案内表示設備、電源設備、さらに近年需要が高まっているホームドア設置工事など、鉄道の運行安全と効率性に直結する工事を幅広く施工している。鉄道インフラは一度設置したら終わりではなく、定期的な更新・保守が必ず必要な分野であるため、一過性でなく継続性の高い受注が期待できる構造になっている。
道路分野では、トンネルの照明設備、避難誘導設備、道路情報表示、非常通報設備、自動車専用道路の監視カメラシステムなどを手掛けており、交通インフラの安全性・維持管理に欠かせない工事を行っている。都市部や高速道路では電気設備の老朽化が進んでおり、更新工事の需要が今後も継続する見込みがある。
屋内外電気設備工事では、公共施設、病院、オフィスビル、商業施設、工場、物流施設など、多種多様な建築物の電気設備工事に対応している。新築だけでなく、既存建物のリニューアル、省エネ化対応、設備更新工事も多く、都市部のインフラや建築設備の整備に大きく関わっている。建物の照明設備や電源設備は寿命があり、必ず更新の需要が発生するため、景気に左右されにくい安定性を持つ分野でもある。
送電線設備工事においては、送電線の建設、鉄塔の建て替え、配電設備の更新、点検・補修工事などを手掛け、電力インフラの維持に欠かせない役割を担っている。電力設備は全国で老朽化が進んでおり、今後も長期的に更新投資が続くため、同社にとって安定した収益源となりやすい。
日本リーテックはこのような「鉄道・道路・電力・通信」という社会基盤の中核にあるインフラ工事を広くカバーしているため、景気変動の影響を受けにくい強固な事業基盤を持っている。鉄道関連で培った高度な技術と厳格な安全管理体制は、道路や電力、通信工事にも応用できるため、総合電気工事会社としての競争力を下支えしている。
さらに同社は、受注の安定性を高めるために鉄道頼みの構造から脱却し、電力会社向け工事や情報通信設備工事の拡大にも取り組んでいる。通信インフラの高度化、デジタル化の進展、災害対策工事の増加といった国の政策テーマとも親和性が高く、今後も成長機会が期待される。
同社の掲げる理念である「工事を通じてインフラを支える」という姿勢は創業以来変わらず、社会の変化に合わせながらも公共性の高いインフラ整備を担い続ける企業である。鉄道・道路・電力・通信といった、社会が止まらないために必要な設備を支え続けることで、長期的に安定した事業基盤と収益を確保している点が、日本リーテックの大きな特徴となっている。
日本リーテック 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 53,745 | 2,688 | 3,081 | 2,137 | 85.1 | 27 |
| 連24.3 | 58,542 | 3,432 | 3,910 | 2,770 | 111.4 | 35 |
| 連25.3 | 68,669 | 5,199 | 5,955 | 4,733 | 191.2 | 77 |
| 連26.3予 | 72,300 | 5,330 | 6,000 | 4,200 | 169.5 | 82 |
| 連27.3予 | 74,500 | 5,800 | 6,400 | 4,450 | 179.6 | 85〜92 |
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 2,168 | -830 | -1,327 |
| 2024 | 3,864 | -1,849 | -960 |
| 2025 | 2,040 | -1,185 | -1,442 |
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値/安値) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.0% | 3.7% | 2.5% | ― | ― |
| 2024 | 5.8% | 4.6% | 3.1% | ― | ― |
| 2025 | 7.5% | 7.4% | 5.0% | 12.6倍 / 7.1倍 | 0.82倍 |
投資判断
日本リーテックの業績推移を見ると、23.3期から25.3期にかけて売上・利益ともに着実に伸びており、特に25.3期の利益成長は非常に強い。23.3期の営業利益は約26.8億円、24.3期は約34.3億円、25.3期は約52億円と大きく増加しており、鉄道・道路・電力関連工事の受注が順調に積み上がっていることが分かる。経常利益も同様に30億円前後から約59.6億円まで伸びており、インフラ工事全般の採算改善が進んだ点は評価できる。
純利益も23.3期の約21.3億円から25.3期の約47.3億円まで増えており、収益体質の強化が顕著である。利益率も改善傾向で、営業利益率は23.3期の5%程度から25.3期には7%台に上昇しており、工事の高採算化や効率性改善の成果が出ている。ROEも23.3期の3〜4%台から、25.3期には7%超へと上昇し、株主資本の稼ぐ力が着実に高まっている。ROAも同様に上向きで、総資産の収益力が改善している点もポジティブな材料となる。
26.3期予想では売上が約723億円、営業利益53.3億円、経常利益60億円、純利益42億円と、25.3期から若干の調整は見られるものの、全体としては高い水準を維持している。利益率が大きく落ちるわけではなく、鉄道・道路・電力などのインフラ需要は安定性が高いため、業績は長期的に底堅さが続く見込みが強い。
評価面では、25.3期のPERは高値平均12.6倍、安値平均7.1倍、PBRは0.82倍となっており、業績成長の割に株価が割安に放置されやすい水準と言える。インフラ電気工事というディフェンシブな業態であるにもかかわらず、利益成長が明確で、ROEも改善傾向にある点を踏まえると、PERが10倍前後で推移する現在のバリュエーションは比較的魅力的だと判断できる。
総合すると、日本リーテックは鉄道・道路・電力といった継続性の高いインフラ工事を基盤にしながら、利益率と収益力をしっかり伸ばしてきた企業である。株価評価も割安寄りで、業績の安定性と利益成長の両方を兼ね備えているため、インフラ関連の中小型株として安定志向の投資家には十分検討の価値がある銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
日本リーテックの予想配当利回りは26.3期で3.88%、27.3期で4.02%と、電気工事・インフラ工事セクターの中でも比較的高めの水準に位置している。利回り4%前後を安定的に維持できる銘柄は同業他社の中でも多くはなく、配当収入を重視する投資家にとっては十分魅力的な水準だと言える。特に同社は鉄道電気設備を中心に、道路・電力・通信など公共性の高いインフラ工事を広く手掛けており、景気に左右されにくい事業構造を持つことが配当の安定性につながっている。
これまでの実績を見ても、利益の伸びと共に配当を着実に増やしてきた傾向がはっきりしており、23.3期の27円、24.3期の35円、25.3期の77円と大きく増配していることからも、収益力改善がしっかりしていることが読み取れる。26.3期以降は業績が多少落ち着く見通しではあるものの、配当自体は82円から85〜92円と堅調に推移する見込みで、株主還元の姿勢にブレがないことも評価できる。
同社はPBRが1倍を下回る場面も少なくなく、資産価値から見ても割安に評価されやすい傾向にある。インフラ工事というディフェンシブ性の強いビジネスモデルを持つため、急激な業績悪化や極端な減配リスクは比較的低い。鉄道工事の長期的な需要に加え、道路や電力設備の老朽化更新、さらに再エネや送電系統の増強といった、今後も継続する社会的テーマに関わる工事が多い点も、安定的な配当を支える根拠になっている。
総合すると、日本リーテックは利回りが4%近くと比較的高めで、利益成長に合わせて増配してきた実績を持ち、さらにインフラ工事という安定性の高い事業基盤と減配しにくい収益構造を兼ね備えた銘柄である。高配当株として派手さや爆発力を求めるタイプではないが、堅実にインカム収入を得たい投資家にとっては長期保有の選択肢として十分に魅力がある企業と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本リーテックの現在値2,109円から、今後5年間の株価推移を考えるにあたり、まず押さえておくべきポイントは、同社が属する「鉄道・電力・道路」インフラ工事という事業領域が、景気変動に左右されにくい非常に安定的な市場であるという点である。鉄道設備は安全性や精度が求められるため、信号設備の更新、駅の電気設備の改修、ホームドア設置など、周期的な更新工事が絶対に発生する。また、道路やトンネル設備も老朽化が全国的に深刻化しており、照明・非常設備・監視カメラなどの更新案件が長期的に続くことがほぼ確実となっている。電力系統についても、送電線の更新や変電設備の改修、再エネ電源への接続工事など、今後10年以上にわたって継続的な需要が見込まれる分野だ。
こうした背景から、日本リーテックは市況産業ではなく、社会インフラを支える“ベースロード型”の工事を中心に手掛ける企業であるため、景気後退や金融環境の変化による急激な受注減が起きにくい。その一方で、利益率が年々改善し、ROEも上昇傾向にあるなど、収益力の底上げが進んでいる点が株価の評価を押し上げる要因になる。
良いシナリオとしては、鉄道インフラの安全投資が加速し、ホームドアや列車制御関連の更新工事が増えるほか、道路やトンネル設備の更新案件が高速道路会社を中心に継続的に増える状況が想定される。また、再エネ導入拡大に伴う送電線増強工事、自治体の防災・減災投資の増加なども追い風になる。こうした複合的な需要増により営業利益が70億円近くまで伸び、PERも10〜13倍程度の評価まで引き上げられれば、株価は5年後に2,800〜3,300円のレンジへ上昇する可能性が出てくる。この展開では、同社の収益成長とインフラ投資の追い風が強く、業績と株価が連動して徐々に上向くイメージである。
中間的なシナリオでは、インフラ工事の需要は安定的に推移しつつも、利益率の改善がゆるやかなペースにとどまり、営業利益は50〜60億円前後の横ばい〜小幅成長という状況が想定される。この場合、株価は現在の評価水準(PER7〜10倍)を大きく外れず、じわじわと上昇していく形になり、5年後には2,300〜2,600円のレンジが現実的なラインとなる。大きく跳ねるわけではないが、インフラ系らしい堅い株価の動きが続くというパターンである。
悪いシナリオでは、物価高や人件費上昇による工事採算の悪化、鉄道設備の更新周期の谷が来るといった要因で利益が一時的に押し下げられる可能性がある。特に鉄道工事の比率が高い企業は、JR側の投資タイミングが後ろ倒しになると影響を受けやすい。ただし、道路・電力・通信工事といった他のインフラ分野が底堅く機能するため、収益が急激に落ち込むリスクは大きくない。この弱含みのケースでは、営業利益が40億円台へと調整し、PERが6〜8倍程度にとどまることで、5年後の株価は1,700〜1,900円程度まで下押しする可能性がある。それでも、インフラ需要が完全に消えるわけではないため、長期的に低迷し続ける展開は考えにくい。
総合すると、日本リーテックの株価は、「大きく崩れにくく、業績が堅実なら少しずつ上がっていく」という性質を持つ銘柄である。インフラ更新需要が続く限り、下値が固くなりやすく、長期的には緩やかな右肩上がりを期待しやすい。派手さはないものの、安定成長株らしい価格形成を見せやすい企業で、保守的かつ継続的なリターンを求める投資家と相性の良い銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2025年11月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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