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関電工(1942)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

関電工とは

株式会社関電工は、関東地方を中心に全国で電気設備工事・空調設備工事・給排水衛生設備工事・通信工事・電力インフラ工事を手掛ける総合設備企業であり、日本の電設業界でもトップクラスの規模を誇る。本社は東京都港区芝浦に置かれ、都市再開発が集中する首都圏を主要市場として、大規模開発・再開発・オフィスビル建設・商業施設・マンション・公共施設・工場などの幅広い分野で電気設備工事の中核を担っている。

同社はもともと東京電力系列の工事会社として発足しており、現在でも東電グループとの結びつきは非常に深い。長年にわたり送電線工事、配電工事、保守・点検など電力インフラの根幹に関わる業務を担ってきたため、電力関連工事に関しては国内で最も豊富な施工経験と技術力を持つ企業の一つとされている。現在は一般向け設備工事の比率が拡大し、東電向け工事は売上全体の3割弱となっているが、それでも電力インフラ事業は同社の安定した収益基盤として機能している。

事業範囲は非常に広く、受変電設備、配電設備、照明設備、非常電源といった電気設備工事に加え、携帯電話基地局、光ファイバー通信網、データセンター内の電源・通信設備など、情報通信インフラの構築でも存在感が大きい。また空調設備や給排水衛生設備、消防設備など建物のライフラインに関わる設備工事も手掛けており、都市型インフラに必要な設備工事をほぼワンストップで対応できる体制を持つ。こうした幅広い施工領域は、建設需要の変動があっても売上が大きく崩れにくいという強みにつながっている。

さらに関電工は、再生可能エネルギーや省エネ設備への取り組みも積極的に進めている。太陽光発電設備の構築や、エネルギー管理システム(EMS)関連の工事、EV充電設備の整備など、エネルギー転換に対応した新しい分野を強化している。これにより、従来の電気工事企業から「エネルギーソリューション企業」へと進化する方向性も見えている。また、既存建築物の更新需要が高まるなか、リニューアル工事にも注力しており、老朽化した建物の設備入れ替えや省エネ改修の需要が今後さらに増えることが予想される。

関電工は、首都圏の都市インフラに深く関わる企業として、大規模ビル・再開発・データセンター・商業施設・駅・病院・学校など、生活基盤を支える多くのプロジェクトに携わってきた。この豊富な施工実績と技術力、安全管理体制の強さが評価され、民間企業、自治体、電力会社のいずれからも安定した受注を獲得できる体質になっている。電設工事業界の中では「東の関電工、西のきんでん」と並び評されるほどの規模と存在感があり、業界内でのリーディングカンパニーのひとつと言える。

総合すると、関電工は電力インフラに根ざした強固な基盤を持ちつつ、都市再開発や通信・ICT需要の拡大を背景に成長している会社であり、再エネやデジタルインフラの普及が進むほど事業機会がさらに広がる企業である。総合設備企業としての幅広さと、東京電力グループとの強い関係を併せ持つ、極めて安定した経営基盤を特徴とする企業となっている。

関電工 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当
連23.3 541,579 32,748 34,059 21,167 103.6 32
連24.3 598,427 40,934 42,648 27,345 133.8 41
連25.3 671,888 58,326 59,498 42,380 207.4 82(記念含む)
連26.3予 730,000 68,000 69,000 49,000 239.7 96
連27.3予 790,000 76,000 77,000 54,000 264.2 105

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 7,455 -6,635 -7,319
2024 19,841 -19,077 567
2025 18,263 -10,168 -12,625

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER(実績) PBR(実績)
2023 6.0% 4.3% 7.0%
2024 6.8% 4.8% 8.1%
2025 8.6% 7.0% 11.5% 高値12.1倍/安値7.4倍 2.51倍

投資判断

関電工の業績推移を見ると、まず売上は23.3期の5,415億円から24.3期に5,984億円、25.3期には6,718億円と、非常に安定した増収が続いている。さらに26.3期予想では7,300億円と、設備工事企業としてはかなり強い伸びを維持しており、首都圏の再開発や電力関連工事の堅調さが数字に表れている。設備工事業は景気によって波が出るものの、関電工の場合は東電向け工事と民間ビル設備の両輪で支えられており、売上が大きく落ち込む気配はない。

営業利益は23.3期の327億円から24.3期に409億円、25.3期に583億円と着実に拡大しており、26.3期予想でも680億円と過去最高水準が見込まれている。営業利益率も23.3期の6.0パーセントから24.3期に6.8パーセント、25.3期に8.6パーセントと改善しており、利益率の底上げがはっきりしている。大規模案件の増加や、工期管理・施工効率の改善が利益率の押し上げにつながっていると考えられる。

経常利益も23.3期の340億円から24.3期426億円、25.3期594億円と安定した成長を見せ、26.3期予想では690億円が見込まれている。純利益も同様に23.3期の211億円から24.3期273億円、25.3期423億円へ伸び、26.3期予想では490億円と増益が続く見通しで、利益体質は安定かつ強化されている。

EPSも23.3期の103円から24.3期は133円、25.3期は207円へ上昇しており、26.3期は239円が見込まれるなど、株主価値の積み上げが綺麗に続いている。配当も32円 → 41円 → 82円(記念含む) → 96円予想と、増配傾向が続いており、利益の伸びと連動した形で株主還元を強めている。

資本効率を見ると、ROEは23.3期7.0パーセント、24.3期8.1パーセント、25.3期11.5パーセントと明確に改善。ROAも23.3期4.3パーセントから25.3期7.0パーセントへ上昇しており、利益率と同様に効率性も強化されている。電設業としては十分に高い水準で、企業体質がより強固になっていることを示す。

バリュエーション面では、25.3期実績PERが高値平均12.1倍・安値平均7.4倍と、全体として割安寄りの評価が続いている。PBRも2.5倍とやや高めではあるが、資産の大半が有形・無形の技術力・人材で構成される業種であるため、単純に割高とは言い切れない。利益成長が続く限りは、このPBR水準は許容範囲に収まりやすい。

総合すると、関電工は東京電力向け工事と民間設備工事の両軸で安定した収益を確保しつつ、売上・利益・利益率・ROE・ROAのすべてが右肩上がりの改善を見せている好業績企業。設備工事業は大きく跳ねるタイプではないが、関電工は首都圏の再開発需要やデータセンター・通信インフラ工事など継続的な需要に支えられ、安定的に利益を積み上げやすい体質にある。過度なリスクは少なく、中長期で堅実に成長していくタイプの銘柄といえる。

配当目的とかどうなの?

関電工の予想配当利回りは26.3期で1.86パーセント、27.3期で2.27パーセントと、いわゆる「高配当株」と呼ばれるほど高くはない。日本株の平均利回りが約2パーセント前後であることを考えると、26.3期は平均を下回り、27.3期は平均並みに近づく水準になる。利回りだけで判断すると、配当目的で積極的に買いにいく銘柄というよりは、業績の安定感を追加要素として考えるタイプに分類される。

ただし、関電工の特徴は「利益成長と増配余力がしっかりあること」。23.3期から25.3期にかけて純利益は211億円 → 273億円 → 423億円と右肩上がりで増えており、EPSも103円 → 133円 → 207円と急伸している。26.3期・27.3期もEPSが239円 → 264円と見込まれているため、利益の伸びと配当の余力は十分にある。配当が維持できる“安定性”は高く、減配リスクは低い。

配当性向の面を見ると、EPSに対して配当は96円、105円という水準で、概ね40パーセント前後に収まるラインであり、企業として無理のない範囲。キャッシュフロー面でも営業CFは毎年安定して黒字で、投資CFは拡大しているものの、財務CFはコントロールされており、配当を支払う上での資金的な不安はほとんどない。

関電工は設備工事会社の中でも特に「安定した利益が継続するタイプ」で、東京電力向け工事と民間ビル工事の両方を持つため、景気の波に対して比較的強い。設備更新や都市再開発は周期的に発生するため、長期的な需要の底堅さもある。したがって、利回りはそこまで高くないものの、「安定して配当を受け取りたいインカム投資」には向いている銘柄になる。

総合的に見ると、関電工は高配当株というよりは、安定成長+適度な配当を併せ持つ“堅実タイプ”。利回りは控えめでも利益がしっかり伸びており、今後の増配余地もあり、長期保有で安心感のある銘柄と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

関電工の株価は現在4,825円だが、この会社の特徴を踏まえると「急騰しにくく、安定して下値も固い」という、設備工事系の典型的な値動きになりやすい。首都圏の設備工事、特に東京電力向け工事と大規模再開発関連の工事が二本柱となっており、電力インフラという底堅い需要に支えられつつ、都市再開発・通信インフラ整備・データセンター工事など伸びる分野も取り込んでいるため、売上は年々増えている。利益も23.3期から25.3期にかけて211億円 → 273億円 → 423億円と順調に積み上がり、営業利益率は6パーセント前後から25.3期には8.6パーセントまで改善。ROEも7パーセントから11パーセント台へ上がってきており、企業としての収益体質は確実に強くなっている。

設備工事業は景気にある程度左右されるものの、首都圏という巨大市場を地盤とする関電工は他地域の電設企業と比べても需要が非常に安定しており、東電向けの電力インフラ工事は毎年一定量の受注があるため、売上の“底”が非常に強い。この安定部分があるからこそ、大型民間案件が増えた年には利益率が伸びやすい構造になっている。最近では再開発関連に加え、データセンター需要や光ファイバー網の増強、5G基地局の整備など、通信インフラ系の案件も増えており、成長ドライバーは複数ある。

一方で、関電工の株価は爆発的に上がるタイプではなく、急騰する時期は限定的で、多くの場合は業績の伸びに合わせてゆっくりと評価されていく。設備工事企業全体に言えるが、市場の期待が過度に高まりにくく、PBRやPERが急に跳ねることはそこまで多くない。それでも関電工は直近の業績改善によって市場評価はじわじわ上がりつつあり、PER10倍〜12倍が基準値として意識されやすい。

この特性を踏まえて5年間の株価予想をまとめると次のようになる。

良い場合
首都圏再開発、通信インフラ、データセンター、電力設備更新が全て追い風となり、売上が継続的に増え、営業利益率が8〜9パーセント台で安定するケース。ROEも10パーセント以上を維持でき、水準訂正が進む可能性が高い。市場評価がPER12〜14倍に向かえば、株価は5,800円〜6,500円程度まで上昇が見込める。さらに配当も毎年増配されれば、株価上昇+インカムの合計で長期保有のリターンが高まる展開になる。

中間の場合
売上・利益は増え続けるものの、その伸びは急ではなく、通常の推移にとどまるケース。PERは10〜12倍の間を行き来しやすく、株価は4,900〜5,500円のレンジに収まりやすい。現状の4,825円から見れば、若干の上昇余地はあるものの、派手に伸びるというより、安定的にじわじわと底値を切り上げるような展開になる。事業が非常に安定しているため、下落局面でも崩れ方は緩やか。

悪い場合
景気後退や再開発の停滞、設備投資の鈍化などで利益率が低下し、電力向け工事の単価調整なども重なるケース。PERは8〜10倍程度の低評価になり、株価は3,800〜4,300円程度へ調整する可能性がある。ただし関電工は電力インフラと民間再開発の両軸を持っているため、完全に需要が消えることはなく、極端な暴落は考えにくい。

総合すると、関電工は急成長を期待する銘柄ではなく、安定した利益とほどよい増配を背景に、じっくり価値が積み上がるタイプ。配当利回りも今後2パーセント台へ上がる見通しで、インカムと小幅なキャピタルゲインを合わせて“堅実に資産を増やす”のに向いた銘柄と言える。派手さはないが、長期で持つほどメリットが出やすいタイプの株と言える。

この記事の最終更新日:2025年11月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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