株価
ダイダンとは

ダイダン株式会社は、管工事および電気設備工事を中心とする総合設備工事会社で、旧社名である「大阪電気暖房」を略した「大暖」が現在の社名「ダイダン」の由来となっている。明治期にルーツを持つ老舗企業で、戦前から戦後の復興期、高度経済成長期を通じて建築設備分野の技術を磨いてきた歴史を持つ。現在の本社は大阪府大阪市西区江戸堀1丁目9番25号に構え、創業以来関西を基盤としながらも、近年では東京圏での受注も大きく伸ばしており、事業の広域化が進んでいる。みどり会の会員企業として三和グループに属し、大輪会にも加盟していることから、大手企業グループとの繋がりが深く、安定した経営基盤を持つ点も特徴の一つである。
事業内容は、電気設備工事、空調設備工事、給排水衛生設備工事など建物のインフラ構築に関わる領域が中心であり、オフィスビルや商業施設、工場、病院、学校、データセンター、研究所など、多岐にわたる建築物に設備を提供している。ダイダンは電気・空調・水道衛生といった建築設備の総合力を持っており、設計から施工、保守までを一貫して行える点が強みとなっている。長年培われた施工技術の高さ、安全管理の徹底、省エネ設備の提案力などに定評があり、環境技術についても近年力を入れており、建築物の高効率化・省エネ化に貢献するインフラづくりを進めている。
特に近年注目されているのがデータセンター関連工事で、関西を中心に需要が急拡大していることから、ダイダンもこの分野の受注に積極的に取り組んでいる。データセンターは電力容量や高度な空調設備が必要となるため、電気と空調の両方に強みを持つ同社は相性が良く、安定的な成長が見込まれる領域である。また、前期に子会社化した設備工事会社は民間工事に強みを持っており、官庁工事に強いダイダン本体と補完関係が生まれている。これにより、従来以上に幅広い顧客層に対応できるようになり、企業としての総合力がさらに高まっている。
歴史的に見ると、ダイダンは大阪を中心として発展してきた企業だが、近年では首都圏シフトが進んでおり、関東エリアでの大型案件への取り組みも増えている。また、海外ではアジア地域に拠点を持ち、電気設備や空調設備の需要が増える新興市場での成長も視野に入れている。建築設備業界全体が省エネ化や環境配慮を重視する方向へ進んでいることから、同社も環境建築設備、省エネソリューション、再生可能エネルギー関連設備といった時代のニーズに合わせた技術開発を進めている。
このようにダイダンは、空調・電気・衛生設備といった建物のインフラを幅広く支える総合設備企業として、伝統と技術力を武器にしながら、データセンター需要や民間・官庁の双方の受注拡大、環境対応型設備といった新たな成長分野にも積極的に取り組んでいる。老舗でありながら事業の拡大基調が続いており、今後もインフラ整備の高度化や省エネ化の流れの中で堅実な成長が期待される企業である。
ダイダン 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益EPS(円) | 一株配当DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3* | 185,961 | 8,428 | 9,288 | 6,626 | 154.8 | 50 |
| 連24.3* | 197,431 | 10,877 | 11,918 | 9,087 | 212.1 | 75.5 |
| 連25.3 | 262,732 | 23,037 | 23,479 | 17,443 | 406.8 | 163 |
| 連26.3予 | 269,000 | 29,000 | 29,300 | 21,500 | 498.9 | 165〜200 |
| 連27.3予 | 270,000 | 29,500 | 29,800 | 22,000 | 510.5 | 165〜205 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 15,941 | -4,729 | -2,218 |
| 2024 | 596 | -603 | -2,829 |
| 2025 | 12,402 | -832 | 16,044 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.5% | 8.0% | 4.4% | – | – |
| 2024 | 5.5% | 9.6% | 5.6% | – | – |
| 2025 | 8.7% | 16.2% | 8.1% | 10.2倍(高値平均) 5.7倍(安値平均) |
2.67倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ダイダンの直近業績を見ていくと、まず売上は23.3期1,859.6億、24.3期1,974.3億、25.3期2,627.3億、26.3期予想2,690億と、ここ3年で明確な成長軌道に乗っている。特に25.3期の伸びが大きく、データセンター向けを中心とした電気設備・空調設備工事の大型案件が貢献していることがうかがえる。営業利益も23.3期が84.2億、24.3期108.7億、25.3期230.3億、26.3期予想290億と急伸しており、利益率が大幅に改善している点が強い。経常利益もほぼ同様に伸び、23.3期92.8億、24.3期119.1億、25.3期234.7億、26.3期予想293億と、成長性と収益性の両立ができている。
純利益も23.3期66.2億、24.3期90.8億、25.3期174.4億、26.3期予想215億と順調で、利益の質が安定していることが分かる。EPSも154円→212円→406円→498円と急速に伸びており、これだけEPSが伸びている企業は建設・設備工事業界でも珍しい。配当も50円→75.5円→163円→165〜200円と増配傾向で、株主還元姿勢の強さも評価できる。
収益性の指標を見ると、営業利益率は23.3期4.5%、24.3期5.5%、25.3期8.7%と大幅改善。ROEも23.3期8.0%、24.3期9.6%、25.3期16.2%と高水準に到達しており、同業他社と比較してもトップクラスの効率性になってきている。ROAも4.4%→5.6%→8.1%と上昇しており、資産を使ってしっかり利益を生んでいる構造が見える。
株価バリュエーションを見ると、25.3期の実績PERは高値平均10.2倍、安値平均5.7倍と、業績急伸の割にまだ市場からの評価が追いついていない印象がある。PBRは2.67倍で、利益の伸びを考えれば割高とは言えず、むしろ今後の成長を織り込み始めている段階と見ることもできる。
総合的に考えると、ダイダンの業績は売上・利益ともに右肩上がり、利益率改善、ROEの急上昇、EPSの急伸と、まさに成長期にある企業の姿であり、設備工事業の中では特に強い。背景にはデータセンター向けの電気工事需要の拡大、首都圏シフト、子会社との技術補完効果などがあり、今後もしばらくプラスの成長トレンドが継続する可能性が高い。
急激な伸びをすでに示しているため短期的な調整はあり得るが、中期〜長期で見ると、利益水準の底上げが続き、配当の増加余地も十分残しているため、成長株としても配当株としても魅力のある銘柄といえる。割安放置の段階は過ぎつつあるが、業績が想定通り進めば、まだ評価が上がっていく余地は大きい。安定性よりも成長性を求める投資家に特に向いている企業と判断できる。
配当目的とかどうなの?
ダイダンの予想配当利回りは26.3期が2.68%、27.3期が2.70%と、だいたい2.7%前後の水準にある。一般的な日本株の平均利回りが2%前後であることを考えると、ほどほどに高い位置にあり、配当を目的とした投資として一定の魅力はある。ただし「高配当株」と呼ばれる3.5〜4%クラスと比べると突出して高いわけではないため、“利回りだけで選ぶ銘柄”というよりは、「成長しながら配当も伸びるタイプの銘柄」として評価するのが正確である。
特徴的なのは、ダイダンがここ3年間で業績を急伸させており、利益の増加ペースに合わせて配当も大きく引き上げてきている点である。実際に配当は50円 → 75.5円 → 163円 → 165〜200円と急激に増えており、企業側が株主還元を積極的に強化していることが分かる。利回りそのものは「やや高め」程度だが、配当の伸びは非常に力強い。
また、ダイダンの業績はデータセンター向け設備工事の拡大や、官庁向け・民間向け両方の受注バランス改善により大きく伸びており、営業利益率、ROE、ROAも急改善している。こうした利益体質の向上は将来の増配余地を大きくするため、「今は利回り2.7%だが、将来的に配当がどんどん増えるタイプの銘柄」として長期保有に向いている側面が強い。
一方で、利回り自体は3%前後の銘柄と比べると突出して高くはないため、「毎年のインカム目的だけで選ぶならもっと利回りが高い銘柄がある」という点は事実である。しかし、ダイダンの場合は業績トレンドが非常に強く、EPSや利益の伸びに引っ張られて配当が長期的に増えていく可能性が高いことから、今後数年かけてトータル利回り(株価上昇と増配の合計)を狙いたいタイプの投資家には向いている銘柄となる。
まとめると、ダイダンは「現時点で利回りが極端に高いわけではないが、増配余地が非常に大きく、将来的に配当が増えていくタイプの銘柄」であり、安定高配当株というより“成長+配当”の中間に位置する。長期で配当を育てたい投資家に向いた銘柄であり、配当目的としても十分検討価値があるといえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
ダイダンの現在値は7,200円で、今後5年間の株価を考える際には、急成長してきた業績がどの程度継続できるか、データセンター向けを中心とした電気工事需要が今後も伸びるか、官庁工事と民間工事のバランス改善が続くかといった点が評価の分かれ目になる。
まず良い場合は、データセンター向けの大型案件が今後も継続し、空調・電気設備工事の受注が右肩上がりで積み上がっていくシナリオである。この場合、営業利益率が8〜9%台を維持し、EPSも500円台後半から600円台に乗る可能性があり、PERも現在の実績で5.7〜10.2倍という低い評価から見直され、12〜14倍程度まで上昇することが考えられる。こうなると株価は8,000円台後半から10,000円付近まで上昇する余地が出てくる。業績がそのまま拡大し続けるなら、5年後に1万円を試す展開も十分あり得る。
次に中間の場合は、現在の強い業績成長が少し落ち着き、売上が2,700億前後、営業利益が290〜300億程度で安定するシナリオである。EPSはおおむね480〜520円くらいで推移し、PERは8〜11倍の範囲に収まっていくと考えられる。この場合、株価は6,500円から8,000円の間で上下しながら推移する可能性が高い。すでに株価は伸びてきているため大きな値上がりは期待しづらいが、業績の底堅さと増配によってトータルリターンは一定程度確保される展開となる。データセンター需要や再開発案件が続く限り、緩やかな右肩上がりを維持しやすい銘柄でもある。
悪い場合は、データセンター向けの設備投資が一服したり、世界的な景気減速で企業の設備投資が縮小したりするケースである。営業利益が250億を割り込み、EPSも400円台前半まで低下するような状態になると、市場評価が下がってPERも7〜8倍程度で推移しやすくなる。この場合、株価は4,000円台後半から6,000円の範囲まで下がる可能性がある。直近の業績が急成長している分、反動での調整局面も起こりやすいため、悪いシナリオでは一定の株価下落は避けられない。ただし、同社は官庁工事にも強く完全に業績が崩れにくい体質であるため、極端に3,000円台まで落ち込むような事態は想定しづらい。
総合的に見て、良い場合は9,000〜10,000円、中間は6,500〜8,000円、悪い場合は4,800〜6,000円あたりが5年間の想定レンジとなる。足元の業績が非常に強いこと、ROEと営業利益率が急改善していること、配当も大幅に増えていることを踏まえると、中間〜やや良いシナリオ寄りが現実的で、長期保有で堅実なリターンを期待できる銘柄だと評価できる。
この記事の最終更新日:2025年11月27日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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