株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


日比谷総合設備(1982)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

,

株価

日比谷総合設備とは

日比谷総合設備株式会社は、空調・衛生・電気・情報通信の4つの設備事業を中心に展開する総合設備エンジニアリング企業である。1950年の創業以来、建物に欠かすことのできない「空気」「水」「電気」「情報」という生活インフラを扱い、建物に“命”を吹き込む設備の設計・施工・保守を手がけてきた。私たちが安全・安心・快適に暮らすための環境づくりに取り組むと同時に、環境負荷の低減やエネルギー効率の向上にも積極的に取り組んでおり、地球環境保全にも貢献している企業である。本社は東京都港区西新橋一丁目2番9号に位置し、オフィスビルや病院、商業施設、データセンター、研究施設など幅広い分野で設備工事を提供している。

同社は空調設備工事を主体としつつ、衛生設備、電気設備、情報通信設備の4本柱をバランスよく展開している点に特徴がある。空調事業では、ビルや病院、研究施設などにおける温度・湿度・空気質の制御技術に強みを持ち、高度な環境制御が求められる施設にも対応している。衛生設備では、給水・排水・消火設備など建物の水まわりインフラを整備し、生活や業務に欠かせない衛生環境を支えている。電気設備では、受変電設備、電力供給、照明、非常用電源、弱電設備など幅広い分野に対応し、建物の重要なライフラインを整備している。情報通信設備では、ネットワーク設備、監視・防災システム、通信インフラ整備なども手がけており、現代のデジタル社会に不可欠な通信基盤の構築にも貢献している。

さらに、日比谷総合設備はNTTグループを最大顧客としており、通信インフラ向けの床下空調システムやデータセンター向けの設備に強みを持つ点が大きな特徴となっている。高度な空調制御が求められるICT関連設備に対応できる技術力は業界内でも評価が高く、情報通信分野での安定した受注基盤を築いている。近年では、環境配慮型設備や省エネソリューション、ZEB対応設備、エネルギーマネジメントなど、脱炭素社会に向けた取り組みも積極的に進めており、建築物の省エネルギー化・環境改善に寄与する事業領域を広げている。

このように日比谷総合設備は、空調・衛生・電気・情報通信という4つのインフラを扱う総合力を持ち、建物の価値を支える技術とともに、環境・省エネの面でも重要な役割を果たす企業として、多様な施設の設備構築に貢献し続けている。

日比谷総合設備 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益EPS(円) 一株配当DPS(円)
連23.3 83,978 5,953 6,617 4,644 200.5 85
連24.3 83,762 5,737 6,446 4,800 211.1 86
連25.3 89,786 7,456 8,138 5,906 265.1 94
連26.3予 93,500 7,800 8,400 6,000 276.2 100
連27.3予 95,000 8,000 8,600 6,150 283.1 100〜102

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 1,116 -2,554 -3,598
2024 4,167 244 -3,385
2025 -616 -1,795 -3,765

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 7.0% 7.3% 4.9%
2024 6.8% 6.9% 4.8%
2025 8.3% 8.3% 5.9% 13.9倍(高値平均)
9.3倍(安値平均)
1.41倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日比谷総合設備の業績を直近4年で見ると、売上は23.3期839.7億、24.3期837.6億、25.3期897.8億、26.3期予想935億と、ほぼ安定的に推移しながら緩やかに成長している。建設・設備工事業の中では比較的ブレが小さく、特にNTTグループを主力顧客とする情報通信分野の工事があるため、設備投資サイクルに左右されにくい堅い収益構造を持っている。

営業利益は23.3期が59.5億、24.3期57.3億、25.3期74.5億、26.3期予想78億と改善基調にあり、営業利益率も7.0%→6.8%→8.3%と着実に上がっている。経常利益も23.3期66.1億、24.3期64.4億、25.3期81.3億、26.3期予想84億と安定成長しており、収益性の底堅さが際立つ。純利益も46.4億、48億、59億、60億と安定して伸びており、利益の質も安定している。

EPSは200円→211円→265円→276円と順調に伸びており、設備工事会社としては優秀な伸びである。配当も85円→86円→94円→100円と増加しており、配当還元姿勢も強い。同社は元々配当性向も高めで、安定的にキャッシュを株主へ返すスタイルを長年継続している点も評価できる。

株価の評価面では、25.3期の実績PERが高値平均13.9倍、安値平均9.3倍で、業績安定型の設備工事企業としては標準的な評価水準と言える。急成長企業のように高いPERが付くわけではないが、安定利益+高い顧客基盤を考えると、9~14倍のレンジは妥当なところで、割高感は強くない。PBRは1.41倍で、同業の中ではやや高めだが、ROEが8%台に乗ってきたことを考えると許容範囲内である。

総合すると、日比谷総合設備は「伸びる企業」というより「安定して堅実に稼ぎ続ける企業」であり、業績のブレが小さく、設備投資の周期に左右されにくい安定感が強い。NTT関連の通信設備、床下空調システム、データセンター向け工事など、長期的な需要が見込める市場を主力としている点も心強い。

高い成長性を求める銘柄ではないが、安定した利益、堅実な財務、連続増配という3点がそろっているため、長期保有でじっくりと配当と株価の両面を期待できる「ディフェンシブ寄りの良質株」と評価できる。大きく化けるタイプではないものの、急落のリスクが小さく、長期投資に向いた優良な設備株という判断となる。

配当目的とかどうなの?

日比谷総合設備の予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに2.10%で、日本株全体の平均利回り(約2%)とほぼ同水準にあり、いわゆる“高配当株”とされる3〜4%水準には届かない。したがって、単純に利回りの高さだけで選ぶタイプの銘柄ではない。ただし、日比谷総合設備は長年にわたり安定して利益を確保しており、景気変動の影響を受けにくいNTTグループ向けの通信設備工事を大きな柱としているため、事業の安定性はかなり高い。急成長するタイプではないが、大きく崩れにくい収益構造を持つ点が特徴である。

配当の推移を見ると、85円 → 86円 → 94円 → 100円と着実に増えており、長期の株主還元姿勢はしっかりしている。特にEPSが200円台前半から265円、さらに276円と増加していることから、今後も利益が極端に落ち込まない限りは配当水準を維持、あるいは微増していく可能性が高い。利回りは低めだが、配当の“安定性”は高い部類に入る。

日比谷総合設備は、電気・空調・衛生・情報通信といったインフラ設備に強みがあり、特にNTT関連の工事は通信インフラの維持更新で安定した需要がある。加えて、データセンター向けの床下空調システムのように中長期の需要が見込める分野で実績があるため、利益が急に落ち込む可能性は比較的小さい。配当利回りそのものは2%前後と控えめだが、“安定して配当が出続ける銘柄”としての安心感は強い。

総合的に見ると、日比谷総合設備は「配当利回りの高さ」を求める投資には向いていないが、「景気に左右されにくい安定株を長期保有し、配当をコツコツ積み上げたい投資家」には適している。高配当ではないが、減配リスクが低く、業績も安定しているため、“安心して持てるディフェンシブ系の配当株”というポジションにある。

今後の値動き予想!!(5年間)

日比谷総合設備の現在値は4,750円で、ちょうど年初来高値付近にあるため、短期的には過熱感も意識される局面だが、今後5年間での株価を考える際には、安定した利益構造と通信インフラ工事の需要がどれだけ続くかがカギになる。

まず良い場合は、NTTグループ向けの通信設備更新が継続し、床下空調システムやデータセンター向け設備など、通信インフラ関連の需要が伸び続けるシナリオである。この場合、EPSは280円台から300円台に乗る可能性があり、PERも過去の上限である13〜14倍程度まで評価が戻る。株価としては5,500円から6,000円台が視野に入り、設備投資関連が底堅く推移する限り、年初来高値の更新を繰り返しながら緩やかな上昇トレンドを描くことが期待できる。

次に中間の場合は、現在の業績がほぼ横ばいで推移し、売上は9,000~9,500億円前後、営業利益は75〜80億円程度、EPSは260〜280円台で安定するような展開である。この場合、PERは10〜12倍のレンジに収まると考えられ、株価は4,200円から5,000円程度の範囲で推移する。大きく上がるわけではないが、下値も固く、配当も年100円前後が続くため、トータルで見ればマイナスになりにくい堅実な値動きとなる。景気に左右されにくい通信インフラ工事の存在が、株価の底堅さにつながる。

悪い場合は、通信設備投資が一服したり、NTTグループの設備更新が一時的に減速したりするケースである。設備工事業は受注の波があるため、営業利益が70億を割り込み、EPSが240〜250円程度にまで低下する可能性もある。こうなると市場からの評価が下がり、PERも9〜10倍程度で推移しやすくなる。この場合、株価は3,400円から4,100円程度まで下落する余地があり、現在の4,750円からは一定の調整リスクが出てくる。ただし、同社は長期的に安定した収益基盤を持っているため、急落して2,000円台まで崩れるような可能性は低い。

総合すると、良い場合は5,500〜6,000円、中間は4,200〜5,000円、悪い場合は3,400〜4,100円というレンジが想定される。現在株価は年初来高値にあるが、業績の安定性と増配傾向を考えると、中期的には大きく崩れにくい銘柄であり、通信インフラの需要次第では上値余地もまだ残っている。大きな爆発力はないが、安定と堅実さを評価するタイプの投資家に向いた銘柄といえる。

この記事の最終更新日:2025年11月27日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP