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明星工業(1976)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

明星工業とは

明星工業株式会社は、大阪府大阪市に本社を置く建設工事会社であり、特に発電所や化学プラント、LNG(液化天然ガス)関連施設などに代表される工業設備に欠かせない熱絶縁工事を主力とする企業である。1939年の創業以来、配管工事、プラント設備工事、保温・保冷工事など、産業用設備に関わる専門工事会社として発展してきた。

同社の最大の特徴は、2,000度の高温環境となる工業炉をはじめ、LNG運搬船のマイナス160度という超低温環境まで対応できる高度な断熱・保温技術を有している点である。高温・低温という両極端な環境から設備を保護する技術は国内外で高く評価されており、省エネ・安全性・環境保護に大きく貢献している。同社の断熱工事は、エネルギーのロスを大幅に低減し、産業施設の効率運転を支える不可欠な分野であり、海外のLNG出荷基地や関連施設でも豊富な施工実績を持つ。

また、明星工業は熱絶縁工事だけでなく、配管工事、プラント建設、機器据付、保温工事、溶接工事、定期修理、メンテナンス業務など、プラント設備に必要な施工を総合的に手がけている。工場のシャットダウン整備や点検、老朽化設備の補修など、安全性と稼働率を維持するための継続的な需要にも対応しており、安定した収益基盤を築いている。

さらに近年では、環境規制の強化や省エネルギーの重要性が増す中で、構造物補強工事や排ガス処理設備、省エネ関連設備の導入など、環境関連工事にも事業領域を広げている。エネルギー効率の改善や地球環境保全に寄与する設備の提供は、同社の強みである断熱技術と親和性が高く、今後も成長が見込まれる分野となっている。

総合すると、明星工業は熱絶縁工事を中核に据えながら、高温・低温の過酷な環境に対応できる技術を武器に、発電所、石油化学、LNG、化学、製薬などの重要産業を支える総合プラント設備工事会社である。エネルギー・環境分野の需要が継続するなかで、確かな技術と豊富な実績を持つ企業として、国内外で重要な役割を果たしている。

明星工業 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当りの配当(円)
連23.3 55,890 6,830 7,258 4,680 94.0 36
連24.3 60,377 8,061 8,548 6,243 126.1 55(記念)
連25.3 66,283 10,613 11,235 8,454 174.7 60
連26.3(予) 60,000 7,800 8,000 6,200 130.2 60
連27.3(予) 63,000 8,000 8,200 6,300 132.3 60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 4,068 -827 -1,739
2024 7,126 -1,889 -3,088
2025 6,937 -500 -4,692

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 12.2% 7.9% 6.0%
2024 13.3% 9.8% 7.3%
2025 16.0% 12.3% 9.5% 9.5(高値)〜6.3(安値) 1.14

出典元:四季報オンライン

投資判断

明星工業の業績は、直近3年間で明らかに収益力が大きく向上しており、特に営業利益や純利益の伸びが際立っている。売上自体は558億→603億→662億と穏やかな増加にとどまるが、営業利益は68億→80億→106億と大幅に改善しており、利益率の強化が会社の価値を押し上げている最大の要因となっている。営業利益率は12.2%→13.3%→16.0%と上昇し、建設・設備工事会社としてはかなり高水準に達している。

この高い利益率の背景には、同社が得意とする熱絶縁工事の技術力が関係している。工業炉の超高温環境やLNG設備の超低温環境など、専門性が非常に高い工事を手がけられるため、他社と単純に価格競争になりにくく、利益率が落ちにくい体質が強く反映されている。とくにLNGやエネルギー関連施設の需要の底堅さは世界的にも続いているため、利益率の高さは一時的なものではなく、構造的に維持しやすいと考えられる。

純利益も46億→62億→84億と順調に伸びており、EPSも94円→126円→174円ときれいな右肩上がりで推移している。ROEは7.9%から12.3%まで上昇しており、企業の収益性がしっかり改善されている。ROAについても6%から9.5%まで伸びており、資産を有効に使って利益を生む力が強くなっている。

一方で、連26.3予では売上と利益がやや前年比で減少する見込みとなっており、662億→600億、106億→78億と一旦調整が入る形になっている。ただ、これは大型案件の反動やスケジュールの偏りによる可能性が高く、構造的な悪化とはいえない。むしろ、売上が減っても営業利益率が大きく崩れていない点を見ると、企業体質は依然として強いと言える。

市場評価を見ても、PERは6〜9倍と割安で、PBRも1.14倍と低水準にある。利益率が高く、ROEも上昇している企業としては市場からの評価がかなり控えめになっており、財務や業績と比べると株価はまだ割安圏に放置されている印象が強い。業績変動のある建設系の中でも、明星工業は専門技術に支えられた安定した収益力を持つため、PERが10倍前後でもおかしくない企業であり、現状は評価余地が残っている。

総合すると、明星工業は「大幅な成長株」ではないものの、「利益率の高さと技術優位性でしっかり稼ぐ堅実な企業」であり、現在の株価評価は割安に見える。短期的には受注の波で業績が上下する可能性があるものの、中期で見るとエネルギー・LNG・プラント関連の需要は底堅く、今後も安定した利益を積み上げていける可能性が高い。配当も安定しており、成長と収益性のバランスを重視する投資家にとって、十分魅力のある銘柄と判断できる。

配当目的とかどうなの?

明星工業の予想配当利回りは連26.3期・連27.3期ともに3.61%となっており、建設・設備工事セクターとしては比較的高めの部類に入る。一般的に配当狙いの投資家が目安とする3%を上回っているため、「配当目的で選ぶ銘柄」として十分検討に値する利回り水準だといえる。

特に明星工業は利益率が高く、営業利益率は12〜16%台と、同業他社に比べても際立って高い。熱絶縁工事やLNG関連といった専門性の強い分野に強みを持っており、価格競争になりにくいビジネスモデルを維持しているため、利益が大きく崩れにくい構造がある。この安定した収益性は、配当の継続性に直結しており、配当目的の投資家にとって重要な“安心材料”になっている。

EPSも94円→126円→174円→130円(予)と長期的に見ると伸び続けており、配当余力は十分。連26.3予では一時的に利益が減る見込みになっているものの、これは案件の反動による可能性が高く、配当の水準には影響を与えないレベルに保たれている。配当性向も無理のある高さではなく、今後も安定した配当を維持していけると考えられる。

さらに、市場からの評価がまだ割安で、PERが6〜9倍、PBRが1.14倍と控えめなことから、「株価が極端に落ちにくい銘柄」という点も配当目的の投資家にとっては魅力となる。割安株でありながら利益率が高い企業は、配当を受け取りながら中期的に株価上昇も期待しやすい。

ただし、明星工業は“超高配当株”ではなく、配当利回り4%以上の銘柄を積極的に求める投資家には物足りない可能性がある。また、業績が案件のタイミングに左右されるため、短期的には数値が振れる場合もある。それでも長期的な事業の安定性と技術力の高さを考えると、配当が大きく揺らぐリスクは低い。

総合すると、明星工業は配当目的としては「安定性・持続性に優れた中配当銘柄」であり、3.61%という利回りは業績と財務のバランスから見ても十分実現性が高い。高利回りを求めるというより“そこそこ高い配当を安定して受け取りつつ、株価の底堅さと中期的な成長も狙いたい投資家” に非常に相性の良い銘柄といえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

明星工業の現在株価1,660円を基準にして今後5年間の株価推移を考えると、この企業は熱絶縁工事・LNG関連工事といった専門性の高い分野に強みを持っており、一般的な建設工事会社よりも利益率が高く、業績の安定性も比較的高い点が特徴になる。営業利益率は12〜16%と業界の中では突出しており、EPSも長期的に伸びてきた。一方で、工事の案件規模やスケジュールの偏りで売上や利益が一時的にぶれることもあり、株価の動きはシナリオによって変わりやすい。

【良い場合】
LNG関連設備や発電所・化学プラントの断熱工事が堅調に続き、営業利益率が13〜16%前後を維持するケース。国内外で熱絶縁工事の需要が伸び、明星工業の技術優位性が市場に評価され、PERが10〜12倍程度まで上昇していくシナリオだ。EPSも150〜180円台で安定推移すれば、株価は5年後に 2,100〜2,500円 程度まで上昇する可能性がある。海外LNG案件が増えたり、環境関連の断熱需要が拡大した場合は 2,600円超え も視野に入る。

【中間の場合】
現在の収益性を維持しつつ、緩やかな横ばい〜微増で推移するケース。工事案件は底堅いものの、特に大きなプラス材料もない状況では、PERは7〜9倍程度にとどまり、株価はやや動きづらい。EPSが130〜150円前後で推移するなら、株価は5年後に 1,700〜1,900円 程度と、今の水準から軽い上昇にとどまる可能性が高い。配当利回り3.6%が下支えとなり、株価が大きく崩れにくいのもこのシナリオの特徴である。

【悪い場合】
設備投資サイクルが弱まり、LNGや石油化学向けの工事が減少し、営業利益率が10%前後まで低下するケース。工事の競争が激しくなり、利益率が縮む場合は、市場評価もPER5〜6倍程度まで下がりやすい。EPSが100〜120円台に落ち込むと、株価は 1,300〜1,500円 程度まで下押しする可能性がある。ただし、明星工業は専門技術に強みがあり、価格競争に巻き込まれにくいため、長期的に株価が崩れ続けるタイプではない。配当利回りが高まることで一定の買いも入りやすい。

総合すると、明星工業は「低リスクだが大暴騰はしにくい」タイプの銘柄であり、堅調な技術系設備企業として中期的には上昇余地がある。ただ、一気に株価が2倍・3倍と跳ねるタイプではないため、配当を受け取りながらじっくりホールドすることでリターンを積み上げていく銘柄といえる。値動きは落ち着いていて、配当込みでの総合リターンが期待しやすい中堅の安定株という位置づけになる。

この記事の最終更新日:2025年11月27日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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