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日本甜菜製糖(2108)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本甜菜製糖とは

日本甜菜製糖株式会社は、1919年の創業以来、北海道産てん菜を原料とする国産ビート糖の製造にこだわり続けてきた国内首位のビート糖メーカーであり、100年以上にわたり日本の食料供給を支え続けてきた老舗企業である。寒冷な北海道で育つてん菜は、特有の風味と高い品質を持つ砂糖の原料であり、同社はてん菜の生産、集荷、加工を一貫して手がけることで、国産砂糖の安定供給に貢献してきた。

製糖事業では、上白糖、グラニュー糖、三温糖といった家庭用・業務用の基本的な砂糖に加えて、てん菜糖蜜を活用したパン酵母、オリゴ糖、食物繊維など、機能性食品素材の開発・販売も強化しており、健康志向の高まりを受けた需要にも対応している。てん菜は天候や気温の影響を受けやすく、世界的な砂糖市況も業績に影響を与えるが、同社は事業の多角化によって収益の安定化を図っており、現在の収益基盤は製糖だけでなく、飼料事業と不動産事業が大きく支えている。

特に飼料事業では、反芻胃の科学であるルミノロジーを基盤に長年研究を重ね、乳牛の潜在能力を最大限に引き出す「ニッテン配合飼料」を独自に開発してきた。この飼料は、乳牛が健康的に高い生産力を維持できるよう科学的裏付けに基づいて設計されており、北海道の酪農・畜産業の生産性向上に大きく寄与しているだけでなく、酪農家との信頼関係を築く重要な事業となっている。

また近年は、牛のゲップに含まれるメタン排出量を削減するため、カギケノリ(藻類)の添加によるメタン抑制効果の検証研究も進めており、地球温暖化対策として国際的にも注目度の高い機能性飼料の開発が進行している。農業資材分野では、てん菜産業を支えてきた独自技術の一つである「ペーパーポット®」を提供しており、60年以上の歴史を持つ紙筒育苗技術は、環境にやさしい素材として北海道だけでなく多様な作物で利用されている。

さらに、これらの農業資材は海外市場でも評価され、有機農業分野を中心に輸出が拡大しており、日本の農業技術を世界へ広げる役割も担っている。また、同社が世界で唯一工業化に成功したオリゴ糖「DFAⅢ」を飼料原料として海外に輸出する取り組みも進めており、国内だけでなくグローバル視点での事業展開が強まっている。

不動産事業では、帯広市の旧製糖所跡地約17万㎡を再開発し、道東最大規模の複合商業施設として地域の生活環境向上に貢献しているほか、遊休地を医療機関や保育施設として整備するなど、地域とともに歩む企業姿勢が際立っている。

研究開発部門では、製糖副産物の利活用、バイオ技術、紙筒技術、てん菜の品種改良など、食品・畜産・紙筒・てん菜という4分野で新技術や新製品の創出を進めており、持続可能な農業と食品供給の未来を見据えた研究に積極的である。

財務基盤も非常に強固で、自己資本比率が高く、借入依存度も低いため、砂糖市況の変動や原料作況のブレを吸収できる安定性を備えている。地域農業との強固な連携、環境対応の強化、新素材開発と海外展開、そして好財務体質を背景に、同社は「製糖会社」の枠にとどまらない食、農業、バイオ、環境技術を統合した総合企業へと進化を続けている。

日本甜菜製糖 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当(DPS)
連23.3 65,013 1,506 1,993 1,260 93.6 50
連24.3 69,297 910 1,802 1,811 138.5 55(特)
連25.3 64,796 535 1,124 2,703 215.2 80(特)
連26.3予 71,000 700 1,300 2,000 161.7 80
連27.3予 73,000 1,000 1,700 1,170 94.6 80

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 -1,825 -1,704 2,969
2024 13,044 -1,315 -9,465
2025 -3,090 2,206 -3,605

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 2.3% 1.8% 1.2%
2024 1.3% 2.4% 1.7%
2025 0.8% 3.6% 2.6% 高値平均:18.6倍
安値平均:17.0倍
0.60倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日本甜菜製糖は、ここ数年の業績を見ると売上はほぼ横ばいで推移しているものの、利益面では砂糖市況やてん菜作況の影響を強く受けやすく、営業利益・経常利益は変動が大きい。23.3期の営業利益15億円から24.3期は9億円、25.3期は5億円まで細り、営業利益率は2.3%から1.3%、さらに0.8%へと低下しており、製糖本業の収益力が徐々に弱まっている点は否めない。ただし純利益は一時的な要因もあって25.3期に27億円まで大きく伸び、EPSも215円台と高水準になった。これは継続的な収益力改善というより、タイミング要因が重なった結果であり、今後も同じ水準が続くと判断するのは慎重であるべきだろう。

しかし、同社の強みは収益の柱が製糖だけに偏らず、飼料事業や不動産事業がしっかり下支えている点にある。特に北海道の酪農を支える飼料部門は安定性が高く、こうした事業ポートフォリオがあるおかげで、市況が悪化しても大きく赤字に沈みにくい体質ができている。また財務基盤も非常に強固で、自己資本比率が高く、有利子負債も少ないため、倒産リスクの低い“堅い会社”という評価ができる。PBRが0.6倍前後と株価が純資産価値をかなり割り込んでおり、資産バリュー株としては明らかに割安な水準にある。

ROEやROAは1~3%台と低水準で、株主資本に対する利益効率は高くないものの、そもそも急成長型の企業ではなく、安定運営と資産価値によって評価されるタイプの銘柄である。PERも現在は17〜18倍程度で“中立〜やや割安”の水準にあり、高成長株を買う感覚での投資には向かないが、一定の配当を受け取りつつ長期でじっくり保有するスタイルには相性が良い。実際に配当は80円水準を維持し、利回りの面でも悪くない。

総合的に見ると、日本甜菜製糖は爆発的な業績拡大を期待する銘柄ではなく、砂糖市況のブレを吸収しながら地道に事業を続けるディフェンシブ色の強い企業であり、株価は資産価値が下支えするため大きく崩れにくい。安定性を重視する長期投資家にとっては魅力があり、配当を受け取りながら保有する「資産バリュー型」の銘柄として評価できる。

配当目的とかどうなの?

日本甜菜製糖を配当目的で見る場合、結論としては「高配当株とは言えないが、安定して受け取れるタイプの配当」と評価するのが最も近い。予想配当利回りは連26.3期・連27.3期ともに2.20%で、市場全体の平均を少し上回る程度であり、3~4%台の高配当株と比べれば利回りの魅力はそこまで強くない。ただし、同社は自己資本比率が高く財務の健全性に優れており、業績が市況に左右されながらも赤字に転落するリスクが低いため、配当が極端に落ち込みにくい特徴がある。

日本甜菜製糖の配当は「右肩上がりに増やす成長型」ではなく、「事業の安定性を軸に一定水準を維持する守備型」に近い。製糖事業は砂糖価格やてん菜の作況など外部要因の影響を受けやすく、利益がどうしてもブレやすいが、不動産事業や飼料事業が収益を下支えしているため、配当の維持には比較的強い会社といえる。直近では特別配当が続いたことで配当水準が高く見えるが、今後は80円水準で安定させていく姿勢が読み取れる。

利回りだけで見ると突出した魅力はないものの、PBR0.6倍という割安さが株価の下値を固めているため、配当目当てで長期保有しても大きく損しづらい点は強みになる。大きな値上がり益を狙うタイプではなく、資産バリュー型の堅い企業をポートフォリオに一つ加えておきたい投資家との相性は良い。

まとめると、日本甜菜製糖は「高利回りでガンガン配当を取りにいく銘柄」ではないものの、「財務が強くて配当が比較的安定しており、長期で落ち着いて保有できる銘柄」としての価値は十分にある。安定配当を重視する投資家には悪くない選択肢だが、配当利回りだけで選ぶのであれば、他の高配当銘柄の方が魅力的なケースもある、というバランスの評価になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本甜菜製糖の現在値3,635円を起点に今後5年間の株価の行方を考えると、この企業特有の“資産価値が下値を支え、成長性は緩やか”という性質が強く働くため、急騰・急落というよりは幅を限定した形で推移していく可能性が高い。製糖事業は世界の砂糖市況やてん菜の作況に強く振られやすいが、不動産と飼料事業が利益を底支えする構造になっているため、非常にディフェンシブな値動きをする傾向がある。こうした前提を踏まえたうえで、良い場合・中間・悪い場合の3パターンを考えると、長期投資家のスタンスによって受け止め方が大きく変わる銘柄であることがわかる。

まず良い場合のシナリオでは、近年力を入れているDFAⅢの輸出拡大や、牛のメタン抑制効果を狙った藻類由来の機能性飼料が本格的に事業化し、飼料部門が新しい収益源として育つ展開が期待される。また不動産収益が安定し続け、製糖事業でも世界的な砂糖価格の持ち直しや物流コストの落ち着きが追い風となれば、営業利益率が改善し、EPSが160〜180円台で安定する可能性もある。PBRも現在の0.6倍前後から0.8倍程度まで見直されれば、株価は緩やかに評価が進み、5年後には4,500〜5,000円付近まで到達しても不思議ではない。急成長とは言い難いが“資産バリュー株の再評価”という典型的な上昇パターンである。

中間シナリオでは、製糖・飼料・不動産のいずれも現在の収益水準を大きく崩さず維持するものの、突出した成長要因も生まれず、利益が上下しながら落ち着く形になる。てん菜作況は平年並み、砂糖市況も極端には動かず、EPSが140〜160円前後で推移するイメージだ。この場合、株価は現在値付近で“動きにくい横ばい型”となり、3,500〜3,800円の範囲に収まる可能性が高い。大きく上がらない代わりに大きく下がりにくいという特徴が強く、長期で保有しながら配当を受け取るスタイルには最も相性が良いシナリオといえる。

一方で悪い場合のシナリオでは、世界的な砂糖市況の悪化、物流費やエネルギーコストの高止まり、てん菜の不作といった外部要因が重なり、営業利益率がさらに低下する可能性がある。EPSが100〜120円台に落ち込むと、投資家の評価も慎重になり、PBRが0.5倍付近まで圧縮される局面も想定される。とはいえ財務基盤が非常に強固であるため、極端な暴落は起きにくいが、それでも株価が2,500〜2,800円まで下押しされるリスクは残る。業績の振れ幅に対して株価の下落幅は比較的限定されるため、強い悲観に陥りづらいのもこの企業の特徴だが、成長性を求める投資家にとっては退屈な展開になりやすい。

総合的に見ると、日本甜菜製糖は“急騰を狙う銘柄ではないが、資産価値と財務の強さが下値を守る銘柄”であり、5年スパンでも値動きは一定の枠に収まりやすい。良いシナリオで4,500〜5,000円、中間では3,500〜3,800円、悪い場合で2,500〜2,800円と、上下の値幅は比較的読みやすく、予測のブレが少ないタイプの企業といえる。成長性よりも安定性を重視した長期投資、特に“守りのポートフォリオ”の一角としては十分に検討できる銘柄である。

この記事の最終更新日:2025年11月28日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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