株価
アイ・ケイ・ケイホールディングスとは

アイ・ケイ・ケイホールディングス株式会社は、挙式・披露宴の企画・運営を行うアイ・ケイ・ケイ株式会社を中心としたブライダル事業グループの持株会社で、東京証券取引所プライム市場に上場している企業である。1995年11月1日に設立され、比較的新しいブライダル企業ながら、地域密着型のゲストハウスウェディングを強みに全国へ事業を拡大してきた。本店所在地は佐賀県伊万里市新天町722番地5で、福岡本部を福岡県糟屋郡志免町片峰三丁目6番5号に構えている。資本金は3億5千万円、連結従業員数は1,026名にのぼり、地方発のブライダル企業としては大規模な体制を維持している。
グループの中核を担うアイ・ケイ・ケイ株式会社は、創業者の金子和斗志が代表取締役社長を務め、創業以来「ゲストハウス型婚礼施設」という新しいブライダルスタイルを広めてきたことで知られる。メインブランドである「ララシャンス」は、九州・四国・東北・北陸・関西などの地方中核都市に展開されており、地域ごとの特色を活かした施設づくりと徹底したホスピタリティを特徴としている。また、同社の旗艦式場ともいえる「ララシャンス博多の森」は、ホテル・ウェディング業界で初めて国際規格「ISO 22000(食品安全マネジメントシステム)」の認証を取得しており、料理の品質・安全性へのこだわりが高く評価されている。
IKKグループの事業領域はブライダルにとどまらず、周辺分野にも積極的に展開している。中心となるウェディング事業では、結婚式・披露宴の企画・運営に加え、ドレス・フラワー・映像演出などの関連サービスも自社で提供し、ワンストップのサービスモデルを確立している。
さらに、介護事業では有料老人ホームの運営やデイサービスなどの介護サービスを提供しており、人生全体をサポートする事業ポートフォリオを構築している。食品事業にも注力しており、オリジナルギフト商品や菓子類、贈答品の企画・開発・販売を行うことで、婚礼需要だけでなく一般消費者市場にもビジネスを広げている。
加えて、フォトウェディングやスタジオ撮影に対応する写真事業、婚活サポート・結婚仲介を手がけるマッチング事業なども展開し、ブライダルを中心としたライフイベント関連サービスを幅広くカバーしている。これらの事業は相互にシナジーを生み、結婚から生活、老後まで、人生のさまざまな場面でサービスを提供する総合ライフサポート企業としての成長戦略を支えている。
アイ・ケイ・ケイホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021.10 | 11,530 | -1,599 | -610 | -411 | -14.0 | 0 |
| 2022.10 | 19,056 | 1,808 | 2,096 | 1,398 | 47.5 | 10 |
| 2023.10 | 21,990 | 1,955 | 2,005 | 1,340 | 45.9 | 24 |
| 2024.10 | 23,263 | 2,490 | 2,525 | 1,702 | 59.4 | 24 |
| 2025.10(予) | 22,900 | 1,800 | 1,800 | 1,100 | 37.9 | 24 |
| 2026.10(予) | 24,000 | 2,100 | 2,150 | 1,300 | 44.8 | 24 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022.10 | 3,497 | -750 | -426 |
| 2023.10 | 1,665 | -1,685 | -874 |
| 2024.10 | 3,950 | -308 | -1,923 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 8.8% | 13.3% | 6.6% | – | – |
| 2024 | 10.7% | 16.0% | 8.2% | – | – |
| 2025(予) | 7.4% | 9.4% | 4.8% |
高値平均:15.1倍 安値平均:11.2倍 |
2.13倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
アイ・ケイ・ケイホールディングスの直近3年間の業績を見ていくと、まず2023年から2024年にかけては売上が219億円から232億円へ増加し、営業利益も19億円から24億円へ伸びており、コロナ禍からの需要回復に伴って企業としての収益力がしっかりと戻ってきたことが分かる。しかしながら、2025年の業績予想では再び売上が229億円へやや落ちるだけでなく、営業利益も24億円から18億円へ減少する見通しとなっており、特に純利益は17億円から11億円へと大幅に落ち込むことが懸念材料となっている。前年の増収増益から一転して減益予想となる点は、投資家が最も気にするポイントといえる。
利益率の面でも、営業利益率は2024年の10.7%から2025年には7.4%へ低下し、ROEも16%から9.4%へ下がるなど、収益性が一時的に悪化する見通しだ。企業の競争力を測る上でROEは重要な指標だが、来期は明らかに水準が落ちる。ROAも4%台に下がるため、資産を使った稼ぐ力も弱まることになる。
バリュエーション面では、PERは11倍から15倍のレンジにあり、割安と言えるほど低いわけではない。むしろ2025年が減益であることを考慮すると、やや割高と見る向きもあるだろう。PBRは2.13倍で、資産に対しては比較的評価の高い株価がついている状態だ。強い成長が続いている企業ならPBR2倍台も妥当だが、減益予想が出ている現状では評価の高さが気になってくる。
配当は3年間連続で24円を維持しているが、利益が大きく減る中で配当を据え置くと配当性向が上昇し、無理をした配当になる可能性もある。安定配当は投資家にとって魅力的ではあるものの、企業側に負担がかかってくる点は注意しておきたい。
総合的に見ると、2024年までは順調に業績が伸びていたものの、2025年が減益予想となっているため、強気で買っていく局面ではないと判断できる。特に利益率の低下と純利益の大幅減は、短期的に株価の重しになりやすい要因だ。長期的に見ればブライダル需要や構造改革などで再び利益が戻る可能性もあるが、現時点では収益性が落ちており、投資判断としては慎重姿勢を取るのが妥当だろう。
配当目的とかどうなの?
アイ・ケイ・ケイホールディングスを配当目的で見た場合、予想配当利回りは2025年・2026年ともに3.09%と、東証プライム銘柄としては平均よりやや高めの水準にある。特にブライダル関連企業は景気やトレンドの影響を受けやすく、利益が安定しにくい傾向がある中で、24円という配当額を維持している点は、株主還元の姿勢として一定の評価はできる。
ただし気になるのは、2025年の利益が17億円から11億円へ大きく減る見通しであるのに対し、配当は24円を据え置くため、配当性向がかなり上昇する可能性があることだ。つまり、企業としては「利益が減っても配当だけは維持する」という姿勢を見せているが、それが企業の財務負担にならないかどうかは注意して見ておく必要がある。利益が回復しない状態で配当を維持し続けると、長期的には自社の成長投資や財務体力に影響が出る可能性もある。
配当利回りとしては3%台で安定しているものの、そもそもの利益が落ち込む見通しである点を踏まえると、「高配当で長期保有したい銘柄」というよりは、「しばらくは様子を見ながら、業績の立て直しを確認してから買う方が安全」という印象が強い。業績が再び上向けば、3%前後の配当利回りに加えて株価の上昇も期待できるが、現状では配当だけを理由に積極的に買うほどの魅力はやや弱い。
今後の値動き予想!!(5年間)
アイ・ケイ・ケイホールディングスの株価は現在775円前後で推移しているが、この水準から今後5年間でどのように動いていくかを考えるためには、ブライダル市場の環境、同社の業績トレンド、利益率・ROE・ROAといった収益性指標、そして配当政策など複数の要素を合わせて見ていく必要がある。まず同社の業績を見ると、2023年から2024年にかけては売上も利益も堅調に伸び、営業利益率も改善し、ROEやROAも高い水準にあった。しかし2025年は一転して減益予想となっており、営業利益・純利益ともに前年から大きく落ち込む見通しだ。特に純利益は約17億円から11億円へと三割以上減る予想で、利益率も低下するため、これが短期的な株価の重しとなる可能性は高い。
ただし、結婚式需要というのは一時的に弱含む年があっても、景気回復や個人消費拡大、地方都市での婚礼案件増加などによって再び伸びることも多い。また、同社はブライダル事業に加えて介護事業やギフト事業、フォト事業など複数の収益源を持っているため、これらの事業が軌道に乗れば業績回復のきっかけになる可能性も残されている。特に人口減少時代においては大都市より地方都市の婚礼需要が底堅いという面もあり、IKKの地域密着スタイルが再び評価される場面もあり得る。
こうした背景を踏まえ、株価シナリオを3パターンで考えてみる。
まず良い場合、ブライダル需要の回復が予想以上に進み、加えてコスト管理や付帯事業の強化が成功して利益率が再び上昇するパターン。この場合はROEが二桁台に戻り、EPSも安定して増えるため、投資家の評価も改善される。PERが14〜16倍程度まで買われてもおかしくなく、5年後の株価は1200円から1500円程度まで上昇する可能性がある。配当も増配されればインカムとキャピタル双方で魅力が増す。
次に中間シナリオ。これは業績が大きく崩れもせず、かといって爆発的に伸びることもなく、利益がやや上下しながらも安定圏で推移するパターン。結婚式の件数に波はあっても、地域密着型の運営で底堅さはあるため、このシナリオがもっとも現実的という見方もある。株価は775円を中心に上下しながら、5年後には800〜1000円程度のレンジに収まっている可能性が高い。配当利回りは3%前後が維持されるため、高配当株としての魅力は一定ある。
最後に悪い場合は、ブライダル需要が伸びず、原材料費・人件費の上昇によって利益率がさらに悪化するケース。2025年の減益が一時的ではなく構造的なものになると、ROEは5%前後に低下し、投資家からの評価も下がる。PERは10倍前後に留まり、株価は500〜650円までじりじり下がる可能性もある。配当が維持できなくなれば、利回り目的の投資家の売りが出やすくなり、下落に拍車がかかるリスクもある。
総合してみると、現状のIKKは「成長と停滞の境目にある銘柄」という印象であり、強気で買うには2025年の業績が弱く、明確な回復シグナルが出るまでは慎重姿勢が無難といえる。一方で、配当利回り3%台を維持している点は評価でき、安定配当を受け取りながら中期的な業績回復を待つというスタンスなら選択肢になり得る。ブライダル事業の環境は景気やトレンドで大きく揺れるものの、地方都市に根ざした運営は強みでもあり、5年というスパンで見れば中間シナリオ〜良いシナリオも十分あり得る。
この記事の最終更新日:2025年11月29日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す