株価
リンクアンドモチベーションとは

株式会社リンクアンドモチベーションは、東京都中央区に本社を置く経営コンサルティング企業であり、組織のモチベーションを科学的に可視化・改善するサービスを強みとする企業である。2000年の設立以来、同社は経営学・社会システム論・行動経済学・心理学などの学問領域を統合して開発された独自の基幹技術「モチベーションエンジニアリング」を経営コンセプトに据え、企業や個人の成長を支援する多角的な事業を展開してきた。
この技術は、社員や組織のモチベーション状態を診断・分析し、組織課題を特定したうえで改善施策につなげる仕組みであり、リンクアンドモチベーションの根幹をなす考え方でもある。2016年には、この技術をクラウド化した国内初の組織改善クラウド「モチベーションクラウド」をリリースし、多くの企業のエンゲージメント向上や組織改革のプラットフォームとして利用されるようになった。
同社の事業は主に四つの領域で構成されている。「組織開発Division」「個人開発Division」「マッチングDivision」「ベンチャーインキュベーション事業」である。
企業を対象とする「組織開発Division」では、創業時から提供している組織コンサルティングと、企業向けクラウドサービスをセットにした「コンサル・クラウド事業」に加え、組織活性化をテーマにしたイベント・メディア事業も展開している。社員のモチベーションを企業成長の原動力と捉える企業を「モチベーションカンパニー」と呼び、その実現を支援する役割を担っている。
一方、個人を対象とする「個人開発Division」では、キャリア自立を促すためのキャリアスクール事業や、学習塾事業を展開し、自らキャリアを切り拓く人材を「アイカンパニー」と位置づけ育成を支援している。こうした個人向け教育領域の展開により、組織と個人両方の成長を支援する独自のエコシステムを形成している。
さらに「マッチングDivision」では、企業と個人をつなぐ採用支援サービスや人材マッチングサービスを展開し、組織と個人の最適配置をサポートする役割を果たしている。2013年にはベンチャー企業の上場支援事業も開始し、スタートアップの成長支援や資本政策のサポートなども行うことで、新興企業の育成と市場拡大にも貢献している。
総じて、リンクアンドモチベーションは組織のエンゲージメント改善と個人のキャリア開発を両輪とする、国内でも独自性の高い経営コンサルティング企業であり、モチベーションという概念を科学的な技術として体系化し、企業の組織づくりや人材育成に深く関わるビジネスモデルを展開している。
リンクアンドモチベーション 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020.12 | 35,278 | 241 | 58 | -996 | -9.5 | 7.2 |
| 2021.12 | 32,644 | 2,066 | 1,903 | 918 | 8.7 | 7.4 |
| 2022.12 | 32,776 | 3,627 | 3,501 | 1,941 | 17.4 | 7.7 |
| 2023.12 | 33,969 | 4,623 | 4,567 | 2,842 | 25.5 | 11.3 |
| 2024.12 | 37,458 | 5,485 | 5,420 | 3,691 | 34.4 | 12.2 |
| 2025.12(予) | 41,200 | 6,200 | 6,200 | 3,900 | 35.2 | 16 |
| 2026.12(予) | 44,000 | 6,800 | 6,800 | 4,200 | 37.9 | 16.4 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022 | 3,561 | -280 | -2,085 |
| 2023 | 4,342 | 286 | -3,353 |
| 2024 | 5,638 | -1,938 | -2,486 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 13.6% | 27.9% | 9.2% | ― | ― |
| 2024 | 14.6% | 32.7% | 11.1% | 33.1倍/15.5倍 | 3.78倍 |
| 2025(予) | 15.0% | 34.5% | 11.7% | 14.51倍 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
リンクアンドモチベーションの直近 3 年の業績推移を見ると、売上・利益ともに非常に綺麗な右肩上がりになっており、成長企業としての強さがはっきり表れている。売上は 339 億円 → 374 億円 → 412 億円(予想) と伸びており、2025 年度にはついに 400 億円台を突破する見通しとなっている。
営業利益は 46 億円 → 54 億円 → 62 億円(予想) と、売上以上の伸び率を示している。これは主力のクラウドサービス「モチベーションクラウド」を中心としたストック型収益が増え、利益率が改善していることを意味する。実際、営業利益率は 13%台から 15%台へ上昇しており、年々稼ぐ力が強まっている状態といえる。
純利益も28 億円 → 36 億円 → 39 億円(予想)と安定した増加が続いている。EPS(1株益)も 25 円 → 34 円 → 35 円(予想) へ伸びており、株主が受け取る価値が年々積み上がっている点が評価できる。さらに配当も 11 円 → 12 円 → 16 円(予想) と着実に増配しており、利益成長に伴う株主還元の強化が見られる。
財務指標まで含めて考えると、リンクアンドモチベーションの強さはより明確になる。ROE は 30%前後と非常に高く、日本株の中でもトップクラスの資本効率を誇る。ROA も 10%を超える水準にあり、総資産に対して効率よく利益を生んでいる。営業利益率の改善、ROE・ROA の高さ、ストック収益の積み上げなどを踏まえると、もはや単なる「人材・教育系」企業ではなく、SaaS 系に近い高収益型ビジネスに進化しているといえる。
にもかかわらず、現在の予想 PER は 約 14〜15 倍 と、業績の成長速度に対して割安感のある水準にある。本来 ROE 30%の企業であれば PER 20〜30 倍をつけてもおかしくないため、今の株価は成長性を十分に織り込んでいない面がある。
総合的に判断すると、この会社は短期で急騰を狙うタイプではなく、中長期でじっくりと利益を積み上げていく優良銘柄である。事業分野が景気に左右されにくく、さらにクラウドのストック収益で安定性が高い構造のため、業績が崩れにくい点も魅力。EPS が増え、配当も増え、利益率も改善しているという三つの評価ポイントが揃っており、長期保有や資産形成を目的とする投資家には相性が良い銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
リンクアンドモチベーションは成長株のイメージが強いが、直近の配当実績と予想配当利回りを見ると、配当株としての魅力も徐々に高まってきている。予想配当利回りは2025年が3.13%、2026年が3.20%と、国内株としては標準以上の水準になっており、いわゆる高配当株とまでは言えないものの、成長企業としては十分に魅力のある利回りと言える。
ポイントは、同社の配当が単なる「高めの利回りを出すための施策」ではなく、業績の安定した成長に裏付けられた自然な増配である点だ。EPS は毎年のように伸びており、利益が伸びているからこそ配当も増やせるという健全な構造になっている。実際、配当は11 円 → 12 円 → 16 円(予想)と順調に増えており、今後も利益成長に合わせて段階的に増配を続ける可能性が高い。
また、事業モデルがストック型収益中心に移りつつあり、利益の安定性が高まっている点も配当目的の投資家にとってはプラス材料。景気に左右されやすい人材業とは異なり、「組織改善」「エンゲージメント向上」という分野は企業の恒常的な課題であり、契約が長期化しやすい。これにクラウドのサブスク収益が加わるため、配当の持続性が高く、減配リスクも比較的低い企業といえる。
総合的に見ると、リンクアンドモチベーションは高配当株として選ぶタイプではないが、「成長 × 配当」のバランスが良い銘柄であり、今後も安定した増配を見込むなら配当目的としても十分検討の価値がある。利回り 3%台前半で、しかも EPS が毎年伸び続けている企業という点を考えると、長期投資でじわじわ配当を積み上げたい人には相性がよいタイプの銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
リンクアンドモチベーションの株価は現在511 円だが、同社の業績動向や財務指標の改善度合いを考えると、今後5年間の株価推移にはいくつかのシナリオが想定される。まず前提として、同社は「モチベーションエンジニアリング」を基軸とした組織改善コンサルティングと、モチベーションクラウドに代表されるストック型ビジネスを持っており、利益の伸びが非常に安定している点が特徴である。営業利益率は年々改善し、ROEは30%前後という高い資本効率を誇り、成長と収益性のバランスが優れている。こうした背景があるため、株価の評価指標であるPERが過去には20~30倍まで買われたこともあり、将来的な再評価の可能性は十分にある。
良い場合のシナリオでは、業績が今のペースで順調に拡大し続け、モチベーションクラウドの契約数や解約率の改善が続き、ストック収益の割合がさらに増えるケースが想定される。この場合、利益率はさらに改善し、ROEも30%台後半まで高まる可能性がある。PERが20〜25倍前後まで見直されれば、株価は5年後に 1,000〜1,200 円に達しても不思議ではない。成長性が継続し、企業の組織改善投資が社会的に必要性を増していることを考えると、長期での2倍化シナリオは十分に射程に入る。
中間の場合は、成長自体は続くものの、企業の人材投資の波や景気動向に多少の影響を受け、売上・利益の伸びがやや落ち着く展開。とはいえ、ストック収益が基盤にあるため業績の下振れは小さく、安定感は維持される。この場合、PERは現在の14~17倍程度の範囲に収まり、株価は 650〜800 円程度で推移する可能性が高い。株価自体は大きく跳ねないものの、配当が増加していくため、総合リターンは堅実に伸びるタイプの投資となる。
悪い場合は、景気後退などを背景に企業の研修・組織改善予算が削られ、クラウドサービスの新規契約ペースが鈍化するケース。この場合、利益成長は継続してもペースが落ち、PERが10倍前後まで低下する可能性がある。株価としては 400〜480 円台まで調整してもおかしくない。ただし、組織改善は長期的に欠かせない分野であり、単純に需要がゼロになるわけではないため、大崩れするような事業構造ではなく、あくまで一時的な調整とみられる。
総合的に見ると、リンクアンドモチベーションは「業績の安定成長」「高いROE」「ストック収益の強化」「分野の社会的需要が高い」という4点が揃っているため、5年スパンの長期投資ではポジティブに捉えられる企業である。良い場合では株価2倍、中間でも着実な上昇が期待でき、悪い場合でも致命的な下落リスクは限定的というバランス型の投資対象と言える。短期の値動きを追うより、長期目線でじっくり育てることが向いている銘柄だといえるだろう。
この記事の最終更新日:2025年11月29日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す