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森永製菓(2201)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

森永製菓とは

森永製菓株式会社は、東京都港区芝浦に本社を構える日本を代表する大手菓子メーカーで、創業100年を超える歴史を持つ老舗企業である。森永乳業とはルーツを同じくする兄弟会社の関係にあり、両社を中心として「モリナガグループ」を形成している。企業理念として掲げる「おいしく たのしく すこやかに」は、単なるスローガンではなく、商品の開発方針から企業としての在り方まで一貫して貫かれており、長年にわたり幅広い世代に親しまれてきた背景には、こうした姿勢が根付いていることが大きい。

同社の主力は、ビスケットやソフトキャンディーを中心とした菓子事業で、とくに「森永ビスケット」シリーズは国内でも特に認知度が高いロングセラーブランドである。「マリー」「ムーンライト」「チョイス」といった定番商品は世代を超えて愛される国民的ビスケットとなっており、家庭用菓子としても業務用としても幅広く利用されている。また、森永製菓を語る上で欠かせないのが「ハイチュウ」で、同社が長年培ってきたキャラメル製造技術を応用して生み出されたソフトキャンディーは他社が模倣できない独特の食感と品質を誇る。特にグレープ味は定番中の定番として長年トップの人気であり、国内だけでなく海外でも販売数を伸ばしている。

さらに、「キョロちゃん」で知られる「チョコボール」シリーズも森永製菓の象徴的なブランドで、子どもだけでなく大人のファンも多い。長く続く「おもちゃのカンヅメ」キャンペーンは日本の菓子業界でも屈指の歴史を持つ懸賞企画で、商品そのものだけでなく“買う楽しみ”を提供してきた点も特徴的である。このほかにも「ダース」「小枝」「カレ・ド・ショコラ」「パリパリバー」など、数多くのヒット商品をもつ総合菓子メーカーとしてブランド力は高い。

商品群はキャンディー・チョコレート・ビスケットといった菓子に加えて、アイスクリームなどの冷菓も展開しており、「板チョコアイス」「チョコモナカジャンボ」なども高い人気を持つ。さらに近年では健康志向の高まりを受け、プロテインバーやプロテインパウダー、機能性表示食品など、健康食品領域にも積極的に参入している。また、自社通販(EC)にも力を入れ、ギフト商品や健康関連商品のオンライン販売が伸びつつあるなど、新たな売上チャネルの確立も進んでいる。

海外展開にも積極的で、特にアメリカ市場でのハイチュウ人気は非常に高く、日系スーパーのみならず一般の小売店でも広く販売されるようになった。現地での生産体制も構築しており、アメリカを中心とした海外市場で着実に売上を伸ばしている点は、今後の成長余地の大きさを感じさせる。またアジア圏や欧州でもブランドの浸透を広げており、菓子メーカーとしての国際競争力を高めている。

総じて、森永製菓は日本国内で強固なブランド力と歴史を持ちながら、海外展開・健康食品領域・EC事業などでも成長余地を持つ企業で、伝統と進化を両立させている点が特徴である。安定した定番ブランド群に支えられながら、新しい市場にも果敢に挑戦する姿勢が評価されており、今後も国内外でのさらなる事業拡大が期待される。

森永製菓 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2023.3 194,373 15,235 15,757 10,059 104.4 50
2024.3 213,368 20,273 21,039 15,154 165.6 55
2025.3 228,957 21,266 22,304 17,710 200.9 60
2026.3(予) 240,500 22,400 22,700 18,600 221.4 65
2027.3(予) 253,000 23,600 23,900 19,600 233.3 65〜70

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023.3 -2,966 -14,209 -7,348
2024.3 30,174 -5,345 -14,073
2025.3 10,763 -9,837 -18,008

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 7.8% 8.0% 4.9%
2024 9.5% 11.5% 6.7%
2025 9.2% 13.5% 8.4% 高値平均:17.9倍
安値平均:13.5倍
1.72倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

森永製菓の業績推移を改めて整理すると、2023年から2026年予想までの間に売上は1,943億円から2,405億円へと着実に拡大し、営業利益も152億円から224億円へ増加している。食品メーカーの中でも成長性と安定性の両方を兼ね備えているタイプで、景気や原材料価格の変動を受けながらも、ブランド力と販売網の強さでしっかり利益を積み上げている。特に2024年以降は営業利益率が9%前後で安定しており、低収益になりがちな食品業界において高い利益体質を維持できている点は評価が高い。

利益率の推移を見ると、営業利益率は7.8%→9.5%→9.2%と、わずかなブレはあるものの全体として改善傾向にある。ROEも8%→11.5%→13.5%と順調に伸びており、企業としての自己資本を効率よく利益に変えていることがわかる。一般的にROE10%が優秀の目安と言われる中で、12〜13%台に乗せているのは成長企業の特徴で、投資家からの評価も高まりやすい。ROAも4.9%→6.7%→8.4%と、資産の運用効率が年々上がっており、成熟企業でありながら収益性を改善し続けている点は、経営の手腕がうかがえる部分でもある。

PERとPBRを見ても割高感はあまりない。2025年の実績PERは高値平均で17.9倍、安値平均で13.5倍と、食品メーカーとしては標準的〜やや割安といえる範囲に収まっている。特に営業利益や純利益が年々伸び続けていることを考えれば、今後の成長を織り込んだPERとしても妥当な水準だと判断できる。PBR1.72倍という値も、ROEが13%前後に上がっている企業としては自然な評価で、いわゆる“割安”ではないが過剰に割高でもない、安定成長株として適正に評価されている領域だ。

配当面でも安定性と成長性の両方を持ち合わせている。配当は50円→55円→60円→65円(予想)と着実に増配を続けており、利益成長に合わせて株主還元を強めている。無理をして配当を増やしているわけではなく、純利益の増加とともに自然な形で増配できている点が強みで、安定したキャッシュフローと財務基盤がうかがえる。食品業界の中でも安定したブランドを多数抱える森永製菓は、景気変動があっても売上が急激に落ち込むリスクが低く、配当目的の長期保有にも向いている。

さらに、商品ブランド力は非常に強く、ハイチュウ・チョコボール・ダース・マリー・ムーンライトなど、ロングセラーかつ高採算の主力ブランドが多い点が利益の安定性を支えている。特にハイチュウはアメリカ市場での需要が拡大しており、海外売上の成長も期待できる。国内では健康志向の高まりに合わせてプロテイン製品や機能性食品などのラインナップを強化しつつあり、菓子メーカーでありながらヘルスケア事業への進出にも積極的だ。

総合すると、森永製菓は「大きな変動は少ないが、着実に成長していく優良安定株」という評価が最も近い。業績・利益率ともに改善、ROE・ROAの効率性も高い、配当も増加傾向、海外需要も拡大中という点を踏まえると、長期での値上がりと安定配当を同時に狙える銘柄といえる。短期で急激に伸びるタイプではないが、5年〜10年の長期投資でじっくり成長を取りにいくには非常に向いている企業だと判断できる。

配当目的とかどうなの?

森永製菓を配当目的で見た場合、予想配当利回りは2026年3月期・2027年3月期ともに2.43%となっており、配当利回りそのものは決して高配当株の分類に入るほど高いわけではない。2.4%台という利回りは、東証プライム銘柄の中ではちょうど平均的な水準であり、「利回りだけを追い求める投資家」にとっては魅力的とまではいかない数字だ。しかし森永製菓の場合、配当だけで判断すると本質を見誤ってしまう可能性がある。

まず注目すべきは、ここ数年の増配傾向である。配当は50円→55円→60円→65円(予想)と、利益の伸びとともに安定して増配が続いている。食品メーカーとしては珍しく、景気の波や原材料高の影響を受けつつも、毎年しっかり増配している点は長期投資家にとって大きな魅力になる。また、利益成長に合わせて自然に増配が行われているため、無理な配当ではなく、財務が健全な状態で還元が実施されているのも安心材料だ。

さらに、森永製菓は売上・利益ともに安定成長しており、営業利益率・ROE・ROAといった収益性指標も改善している。高採算ブランド(ハイチュウ、ダース、森永ビスケットなど)に加え、海外市場でのハイチュウの売上拡大や、健康食品・プロテイン領域の伸びもあり、今後も利益が積み上がる可能性が高い。こうした企業は、利回りそのものは高くなくても長期での「株価上昇+安定配当」という2つのリターンを得やすい。

一方で、短期的に利回りを求める人にとっては、森永製菓は“そこまで高配当ではない”という印象になるだろう。利回り重視であれば3〜4%台の銘柄を選んだほうが効率が良いため、森永製菓は純粋な利回り狙いというよりも「安定性・成長性・増配の継続度」に魅力があるタイプの銘柄といえる。

総合すると、森永製菓は配当利回りだけで比較すると目立つ数字ではないが、長期で安定成長しながら増配を続けていく「成長+配当」のバランス型銘柄として非常に優秀であり、長期保有に向いた安心感のある企業だと言える。急激な配当収入を求める人には向かないが、長い目で見て配当を育てていく“育配株”としては十分魅力的な候補になる。

今後の値動き予想!!(5年間)

森永製菓の現在値は2,670円だが、この株価が今後5年間でどのように動いていくかを考えるには、国内菓子市場の安定性、同社のブランド力、海外展開の進み具合、最新の利益成長率、ROEの改善、そして増配傾向など、複数の視点から見ていく必要がある。森永製菓は売上・利益ともに安定して伸びており、ROEが年々上昇していることから企業の稼ぐ力は確実に強まっている。しかし、食品メーカーらしく急激な成長ではなく、堅実に少しずつ積み上げていくタイプの企業で、株価も長期的な成長に素直に連動しやすい。

まず「良い場合」のシナリオでは、高採算商品の販売が拡大し、ハイチュウを中心とした海外売上がさらに伸び、健康食品・プロテイン事業が新しい柱として成長していくパターンが考えられる。原材料高の負担が軽減し、経営効率が改善すれば利益率はさらに上昇し、ROEも高水準を維持する。こうした環境が続けば株価は緩やかに上昇し、5年後には3,500〜4,000円程度まで到達する可能性がある。食品メーカーとしては比較的強い株価上昇となり、安定成長株として高いリターンを期待できる。

次に「中間シナリオ」では、業績は成長するがそのペースは現在と同程度で、急拡大も急減速もなく、国内外で堅実に売上を伸ばす状況が続く。原材料価格の変動や為替の影響で利益率は多少上下するが、全体としては安定し、増配も毎年のように続く。こうしたシナリオでは株価は現在値を中心に緩やかな上昇となり、5年後には2,800〜3,200円程度のレンジに収まる可能性が高い。派手な値上がりはしないが、配当収入も得ながら着実に長期保有が報われるパターンになる。

一方で「悪い場合」のシナリオも考えておく必要がある。もし原材料費の高騰が長期化し、販売価格への転嫁が十分に進まない場合や、景気悪化で消費が弱くなる場合、利益率が低下しROEも押し下げられる可能性がある。また、海外展開が期待したほど伸びず、健康食品事業も軌道に乗らない場合、成長の柱が弱まり、業績の伸びが鈍化する。このような場合、株価は下落圧力を受けやすく、5年後には2,100〜2,400円程度まで下がる可能性もある。ただし、森永製菓は景気敏感株ではないため、下落しても極端に崩れるリスクは相対的に小さい。

総合すると、森永製菓は長期で比較的安定した株価推移が期待でき、極端な急騰・急落が起きにくい銘柄といえる。5年間というスパンで見た場合も、中間シナリオがもっとも現実的で、じわじわと配当と株価の両方を積み上げていくタイプの投資先として向いている。成長性と安定性のバランスが良く、長期保有を前提にすると魅力のある銘柄だと判断できる。

この記事の最終更新日:2025年11月29日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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