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UTグループ(2146)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

UTグループとは

UTグループ株式会社は、東京都品川区東五反田に本社を構える、日本を代表する製造系人材サービスの大手企業である。2007年に日本エイムとエイペックスの株式移転によって設立された持株会社で、製造派遣、請負、技術者派遣など、製造業を軸とした多様な人材ビジネスを全国で展開している。グループ会社も多数抱えており、UTエイム、UTテクノロジー、UTコネクトなどの主要子会社を中心に、半導体・電子部品・自動車・環境エネルギーといった日本の基幹産業向けに幅広いサービスを提供している。

同社の大きな特徴は「工程一括型請負」と呼ばれるアウトソーシングモデルにある。通常の派遣のように個人単位で人材を送り込むのではなく、生産工程そのものを丸ごと受託し、チームとして請負うスタイルである。これにより、メーカー側は生産の変動に柔軟に対応でき、教育や管理の負担が大幅に軽減される。またUTグループ側も長期雇用と育成を前提とした正社員モデルを取ることで、安定的に労働力を確保できるというメリットがある。同社の社員の約7割が全国転勤を前提とした正社員で、残りを契約社員が構成する形となっており、派遣業界の中では安定雇用を重視する会社として知られている。

製造派遣・請負を主力としながらも、同社は技術者派遣・エンジニアリング領域にも積極的に進出している。機械・電気・IT分野の技術者をメーカーに派遣する事業を拡大しており、半導体装置メーカーや自動車関連企業からの需要は年々高まっている。また、グループ内で研修センターを持ち、未経験者を技術者として育成する教育プログラムも充実させており、人材育成を強みとする総合人材サービス企業としてポジションを高めている。

さらに、UTグループはM&Aを積極的に行う企業としても知られている。設立以来、多くの人材系企業を買収し、事業領域を広げてきた。これにより、単なる製造派遣会社にとどまらず、エンジニア派遣、建設技術者派遣、障がい者雇用支援、中高年向け就労支援など、多角的な人材プラットフォームを構築している。特に製造業界では人手不足が長期化しており、同社のようなアウトソーシング企業の存在感は年々増している。

働き方の面では、正社員としての安定雇用を打ち出している点が大きな特徴で、全国転勤型の採用であるため、日本各地の製造拠点へ柔軟に社員を配置できる。また、生産調整などメーカー側の変動要因にも対応しやすく、グループ全体としてリスク分散がしやすい構造になっている。派遣・請負の現場で働く社員に対してはキャリア支援制度も用意され、製造職から技術職、リーダー職へとステップアップできる仕組みも整備されている。

一方、事業環境としては、円安を背景とした国内製造業の活性化や、半導体関連投資の拡大など、同社に追い風となる要素も多い。特に半導体工場や自動車工場での人手不足は深刻であり、工程単位で請け負う同社のモデルとの相性が良い。また、AIやDX化の進展により、新たな工程の立ち上げや機械オペレーションの需要も増えており、UTグループとしてはこれらの需要を取り込むことでさらなる成長を狙っている。

このようにUTグループは、製造派遣・工程請負を軸にしつつ、多角的な人材サービスを展開し、安定雇用と育成力を武器に成長を続けている企業である。日本の製造業の構造的な人手不足を背景に、今後も需要が継続する可能性が高い業界であり、同社はその中でも大手として確固たる地位を築いている。

UTグループ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益EPS(円) 一株当り配当(円)
連23.3 170,631 8,914 8,834 3,831 94.9 0
連24.3 167,030 9,344 9,397 6,361 160.4 96.15
連25.3 194,748 8,074 8,268 8,965 225.3 134.98
連26.3予 196,200 11,700 11,800 7,700 201.1 162.72
連27.3予 215,000 13,000 13,000 8,300 216.8 176〜180

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF 投資CF 財務CF
2023 13,004 -2,139 -4,748
2024 3,987 -210 -6,434
2025 5,681 5,867 -9,140

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均/安値平均) PBR(実績)
2023 5.2% 16.8% 5.3%
2024 5.5% 23.2% 9.2%
2025 4.1% 30.6% 13.5% 28.9倍 / 15.9倍 4.24倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

UTグループは売上規模は2000億円前後で安定している。一方で利益面を見ると、23.3期から25.3期までは営業利益が89億→93億→80億と減少しており、25.3期は一時的に利益率が低下した形になっている。ただし26.3期の会社予想では営業利益117億と大きく回復を見込んでおり、利益率も改善する計画になっている。これは半導体・自動車関連の生産回復、及び工程請負の拡大による利益率改善が背景にあると考えられる。

純利益については、23.3期38億→24.3期63億→25.3期89億と右肩上がりで成長しており、EPSも94円→160円→225円と伸びている。これはM&A効果、管理効率化、エンジニア派遣領域の伸びが反映されている。ただし26.3期予想では純利益が77億と減少見込みであり、EPSも201円と若干の後退が見られる。この点は注意が必要だが、営業利益は過去最高水準であり、事業の利益体質自体は悪化していない。

ROEは16.8%→23.2%→30.6%と急上昇しており、25.3期はかなり高い資本効率を示している。ROAも改善しており、派遣・請負業としては極めて優秀な水準。資本収益性という観点では、投資家にとって魅力的な企業と言える。

営業利益率は5.2%→5.5%→4.1%と25.3期は落ち込んだが、26.3期予想では改善する見込みで、収益性が再び強まる可能性がある。

バリュエーションについては、25.3期実績でPERが高値平均28.9倍、安値平均15.9倍とかなり幅があるが、平均的には成長株寄りの評価を受けている。PBRは4.24倍と高く、派遣業としては市場から高い期待を受けていることが分かる。これは安定した正社員派遣モデルや工程請負の強みが評価されているためだが、逆に言うと株価は割安とは言い難い。

総合的に見ると、利益の伸び・ROE改善・派遣業界の構造的需要を背景に、中長期的には成長が続く可能性が高い。一方で、すでにバリュエーションが高めであるため、今後の投資は成長シナリオが継続することを前提とした「成長株としての位置づけ」が妥当。短期的には利益予想のブレや景気敏感要因で株価が上下しやすい点には注意が必要。

結論としては、長期目線なら買い検討、短期的には調整局面を待ちながら慎重に拾うスタンスが適切。派遣・請負分野での強いポジションと利益回復傾向を評価しつつも、すでに割高感があるため、過熱時の追随買いには注意が必要と言える。

配当目的とかどうなの?

UTグループは配当利回りだけを見るとかなり魅力がある水準になってきている。26.3期予想で5.97%、27.3期予想で6.26%という数字は、東証プライム全体の平均利回りが約2%前後であることを考えると、明らかに高水準と言える。いわゆる「高配当株」として分類できるレベルであり、配当目的の投資家から見ると注目に値する銘柄になっている。

また、UTグループは過去に無配からスタートし、その後急速に配当を引き上げてきた経緯がある。利益成長に合わせて積極的に株主還元を強化している企業で、配当性向も無理な数字ではなく、事業のキャッシュ創出力が背景にあるため、「配当を出すために無理をしている企業」とは言いにくい。

ただし注意点として、派遣・請負業は景気敏感業種であり、景気後退局面では受注が減少して利益が揺れやすい。そのため、毎年必ず増配する「連続増配銘柄」ではなく、業績に合わせて変動が出る可能性がある。特に26.3期は純利益予想が一時的に落ち込んでおり、それでも配当額を伸ばしている点は、株主還元を重視している反面、今後の増配余力を慎重に見ておく必要がある。

さらに、PBRが4倍台と高く、株価はすでに“高評価”されている側面もあり、配当利回りだけを見て飛びつくと、株価調整に巻き込まれるリスクもある。ただ、利回り5~6%台というのは非常に魅力的であり、業績が底堅く推移するのであれば、長期で保有する配当投資としては十分検討できる水準。

総合すると、UTグループは「高配当をもらいながら、ある程度の成長も狙えるタイプ」の銘柄と言える。銀行株や商社株のような“安定配当株”とは少し性質が異なるが、今の利回りが維持されるなら配当目的の投資としても悪くない選択肢。ただし、景気や業績の波を受けやすい業種なので、長期で持つ場合は業績のブレを許容しながら配当を取りに行くイメージが必要。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価2,805円を起点にしてUTグループが今後5年間でどのような値動きをたどるのかを考える場合、まず注目すべき点は製造業全体の人手不足が長期化しており、派遣・請負業にとっては構造的に追い風の環境が続いているということだ。特にUTグループが強みとしている工程一括型請負は、単なる派遣とは違い、生産工程を丸ごと任されるため顧客企業との関係が長期化しやすく、収益の安定性も高い。また半導体関連の設備投資や自動車メーカーの電動化投資が続く限り、製造現場の人員需要は底堅く、業績成長の余地は依然として大きい。

良い場合のシナリオでは、こうした背景がそのまま追い風となり、UTグループの売上と利益が着実に伸びていくパターンが想定される。特に営業利益が過去最高水準を更新し続け、ROEも高水準を維持できれば、市場からは“成長株としての評価”が続き、PERも20〜30倍台と比較的高い水準で推移しやすい。M&Aが成功してグループシナジーが拡大する可能性も考えられる。このような展開であれば、5年後の株価は4,800円から5,800円前後、場合によっては6,000円台に乗る可能性も十分にある。

中間のシナリオでは、製造業の波こそあるものの工程請負の強みが発揮され、業績は安定的に推移するものの、利益成長率は年3〜5%とやや緩やかなパターンを想定する。市場評価は極端に高くも安くもならず、PERは15〜20倍前後で落ち着くため、5年後の株価は3,300円から4,100円あたりが中心になる。株価の上昇ペースはそこまで速くなくとも、UTグループは配当利回りが高く、予想利回りが5〜6%台に乗っているため、株価が横ばい圏でも配当を受け取りながら保有するスタイルが成立する。総収益で考えると、堅実な投資になりやすいのがこのケースだ。

悪い場合のシナリオでは、景気後退や製造業の大幅な生産調整によって派遣需要が弱まり、工程請負の利益率も低下するパターンが考えられる。純利益が伸び悩み、ROEも低下してくると、市場からの評価は下がりやすく、PERが10〜13倍程度まで圧縮される可能性がある。外部環境の影響を強く受けやすい業種であることは事実で、もし半導体市況が悪化したり自動車業界に大きな逆風が吹けば、UTグループの株価も連動して弱くなる。この場合は5年後の株価が2,000円から2,500円あたりまで下がるリスクがある。

ただ、こうしたリスク要因を踏まえても、UTグループには長期投資家にとって魅力的な部分も多い。特に配当利回りの高さは目を引く点で、26.3期予想で5.97%、27.3期予想で6.26%と、東証プライムの銘柄の中でも上位に入る利回り水準となっている。PBRが4倍台と市場から高い評価を受けていることもあり、株価が割安というわけではないが、安定した工程請負モデルと強い労働需要が続けば、この高い配当を維持しながら長期で成長を目指すことは十分に可能だ。

総合すると、UTグループは構造的な人手不足という追い風が続く限り、中長期的な成長が見込める企業であり、株価の上昇と配当収入の両面を狙える銘柄といえる。ただし、派遣需要は景気に左右されるため、短期的な値動きは変動が大きくなる可能性がある。長期保有なら配当を受け取りながら様子を見つつ、業績が安定して伸びるのであれば株価の上昇も自然とついてくる、という投資戦略が現実的だと考える。

この記事の最終更新日:2025年11月29日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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