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六甲バター(2266)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

六甲バターとは

六甲バター株式会社は、兵庫県神戸市中央区に本社を置く、チーズおよび乳製品の製造・販売を行う食品メーカーである。Q・B・B(キュービービー)ブランドで広く知られ、プロセスチーズやベビーチーズなどを中心に、日本のチーズ市場でトップシェアを誇る「チーズ専業メーカー」として独自の地位を確立している。同社はみどり会の会員企業であり、三和グループの企業としても位置づけられている。

1948年に神戸で平和油脂工業として創業した六甲バターは、当初はマーガリンの製造を手がけていたが、1958年にオーストラリアから輸入した原料チーズを使ってプロセスチーズの製造を開始し、ここから全国へ広まって知名度が高まっていった。1960年代以降は革新的な商品開発を次々と行い、1960年には世界初となる個別包装のスティックチーズを発売、1971年には日本初の個別包装スライスチーズを発売。さらに1972年にはベビーチーズを発売し、現在まで続くロングセラーブランドに成長した。

1988年には家庭用チーズフォンデュ「ふぉんじゅ亭」やベイクドチーズケーキを発売するなど、チーズ関連商品の幅を広げたほか、スイスの老舗チョコレートメーカーであるリンツの国内総代理店も担当している。チョコレートやデザート事業にも参入しつつ、主力はあくまでチーズであり、自社売上の9割以上がチーズ関連商品で占められている。学校給食向けやスーパーのプライベートブランド商品も多く手がけ、業務用・家庭用の両面で幅広い市場に対応している。

また、社名は「六甲バター」であるものの、創業以来バターを自社生産したことはなく、名称は歴史的な名残である。同社はマーガリンこそ生産しているものの、近年はほぼ完全にチーズ専門メーカーとして事業を展開している。チーズ市場においては長年のノウハウ、商品開発力、小口包装技術、安定した供給体制などを強みにしており、日本のチーズ文化の普及にも大きく貢献してきた企業である。

六甲バターは、長年培ったブランド力と技術力で国内チーズメーカーとして確固たる地位を築きつつ、ナッツやデザートなど関連領域にも事業を広げ、食品市場の中で独自のポジションを確立している企業である。

六甲バター 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度(単位百万) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
単20.12 54,948 1,940 1,667 956 49.1 20
単21.12 55,073 2,366 2,232 2,271 116.6 20
単22.12 41,924 345 359 219 11.3 20
単23.12 44,296 626 652 446 22.9 25(記念)
単24.12 42,924 1,865 1,957 1,041 53.4 20
連25.12予 43,500 1,000 1,000 1,200 61.6 20
連26.12予 54,000 1,700 1,600 1,000 51.3 20

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF 投資CF 財務CF
2022 1,093 -1,250 -2,403
2023 3,238 -995 -1,403
2024 3,668 -1,650 -1,500

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 1.4% 1.4% 0.8%
2024 4.3% 3.3% 2.0%
2025 2.2% 3.8% 2.3% 高値平均 78.6倍
安値平均 61.7倍
0.79倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

六甲バターの直近3年の業績を確認すると、売上は430〜440億円前後で推移しており、大きな成長は見られない横ばい状態が続いている。チーズを中心とした成熟市場を主戦場にしているため、急激な売上拡大は難しく、現状維持が続いている印象だ。

利益面を見ると2023年12月期の営業利益はわずか6.2億円と非常に低く、利益率も1.4%と食品メーカーの中でもかなり低い部類に入る。2024年には18.6億円まで戻り、営業利益率は4.3%まで改善したが、2025年予想では10.0億円と再び落ち込む見通しになっている。利益の乱高下が大きく、原材料価格の高騰や価格転嫁の遅れなど外部環境に強く影響されるため、安定的な収益構造にはなっていない。

純利益も同様で、4.4億 → 10.4億 → 12.0億の推移だが、企業規模に対して絶対額は小さく、利益率の低さが改めて目立つ。EPSは22.9円 → 53.4円 → 61.6円と改善傾向に見えるものの、これも利益水準が低い中での変動であり、本質的な収益改善とは言い難い。

ROEとROAも食品メーカーとしてはかなり低く、2023〜2025年でROEは1〜3%台、ROAも1〜2%台にとどまっている。資本を使って効率的に利益を生み出せていない状況で、投資家から見た“資本効率の弱さ”がはっきり現れている。

株価指標では、PBRは0.79倍と一見割安に見えるが、PERは高値平均で78倍、安値平均でも62倍という非常に高い数値になっている。これは人気で買われているというより、「利益が小さいために見かけ上PERが跳ね上がってしまっている」状態であり、成長株的な評価を受けているわけではない。

総合すると、六甲バターはブランド力が強く家庭で広く浸透した企業ではあるものの、投資対象として見ると収益性・成長性・安定性のどれも高くはない。利益額が小さく、資本効率が低く、利益変動も大きいため、投資妙味は決して高くない。食品株の中でもディフェンシブ性は限定的で、値動きの安定感も他の大手食品メーカーに比べて弱い。

したがって、積極的な買い材料は少なく、無理に長期投資する銘柄ではないという結論になる。業績改善の兆候が見えれば評価も変わるが、現時点では慎重姿勢が妥当な銘柄と言える。

配当目的とかどうなの?

六甲バターを配当目的で考える場合、まず注目すべきは配当利回り(2025・2026年度)が1.57%と低めである点だ。食品メーカーの中には2〜3%台の利回りを提供する企業も多く、1.5%台というのは“配当株”と言える水準ではなく、あくまでおまけ程度の利回りにとどまる。単純に配当収入を狙うなら、他により高い利回り・より安定した配当性向を持つ銘柄は多いため、六甲バターを配当目的で選ぶ強い理由は薄い。

配当推移を見ても、ここ数年の配当は20円前後でほぼ変わらず、記念配当が一度入った程度で大きな増配トレンドとは呼べない。EPSも22.9円 → 53.4円 → 61.6円と改善はしているが、利益の絶対額が小さく、業績の変動も大きいため、安定して配当を増やしていけるかどうかは不透明だ。つまり、増配期待を持って長期保有するタイプの配当株ではない。

さらに、六甲バターは利益率の低さや収益の不安定さが特徴で、ROE・ROAも食品業界内で低い水準にとどまる。原材料価格の上昇や為替変動に左右されやすく、収益力が急に落ち込むことが何度も起きているため、配当の持続性という点でも安心感は高くない。ディフェンシブ銘柄に見えながら、実は業績の上下が大きいという難しさがある。

PBRは0.79倍と一見割安に見えるものの、利回りが高いわけでも増配余地が大きいわけでもないため、配当狙いの魅力は強くない。1.57%という利回りであれば、安定性の高い大手食品株やインフラ関連の高配当銘柄の方が“利回り投資”としては適している。

総合すると、六甲バターは配当を目的に据えて保有する銘柄としては優先度が低く、「配当利回りを重視する長期投資」には向いていない。あくまで株価の割安感や将来的な業績回復を期待するのであれば保有の選択肢に入るが、配当自体を主目的にする場合は他銘柄を検討する方が合理的と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

六甲バターの現在値1,270円は、PBR0.79倍と資産価値から見るとやや割安な位置にあるものの、PERが60〜70倍と非常に高く見えるのは、利益水準が小さいために指標が割高に跳ねているだけで、成長期待で高く買われているわけではない。業績は安定性が高いとは言えず、原材料高や為替変動の影響を強く受け、利益が急に落ち込むことも少なくないため、株価は上昇にも下落にも振れやすい構造を持っている。こうした特性を踏まえると、6〜7%ずつ安定して成長していく“王道の長期成長株”とは異なり、業績の上下を織り込みながら細かく値動きするタイプの銘柄といえる。

まず良い場合のシナリオでは、輸入チーズの原材料価格が落ち着き、為替も円高方向に振れるなどコスト面で追い風が吹くケースが考えられる。六甲バターは価格転嫁力が強い企業ではないため、原価低下がそのまま利益改善に直結しやすい。また、ナッツ事業やデザート関連商品の販売が堅調に伸びれば、利益体質の改善も期待できる。新製品のヒットや海外展開の強化などが重なった場合には、市場評価も改善し、株価が1,500円〜1,650円程度まで上昇する可能性はある。市場全体が好調で食品株にも資金が流れ込む局面では、1,700円台まで戻す展開もある。

中間のシナリオでは、売上は横ばい、利益も大きく伸びず、適度に回復と後退を繰り返す“いつもの六甲バター型”の業績が続くケースである。チーズ市場は成熟しており、大きな伸びは見込みにくいため、株価も比較的狭いレンジでの推移が予想される。この場合、株価は1,250円〜1,350円前後で動く可能性が高く、現在値付近を中心にした横ばい圏での値動きになる。特段の材料がなければ、このシナリオが最も現実的と言える。

悪い場合のシナリオでは、再び原材料価格が高騰したり、円安が進行して輸入コストが増加したりすることで、利益水準が圧迫されるケースが想定される。六甲バターは利益率が低いため、原価上昇の影響を大きく受けやすく、営業利益が再び10億円を割り込むような状態になると、市場の評価はさらに厳しくなる。PERも相対的に高く見える構造のため、株価は分かりやすく売られ、5年後に1,000円〜1,100円台まで下落するリスクがある。さらに市場全体が不調で食品株が売られる局面が重なると、900円台に入る可能性も否定できない。

総合すると、六甲バターの5年後の株価は、良くても中程度の上昇、普通なら横ばい、悪い場合は下落という形になりやすい。業績が大幅に伸びるタイプの企業ではなく、事業構造上の制約も多いため、大きな株価上昇は期待しづらい。その一方で、原材料市況や為替動向で利益が変動しやすいため、株価も流動性のあるレンジで動きやすい。

この記事の最終更新日:2025年11月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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