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雪印メグミルク(2270)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

雪印メグミルクとは

雪印メグミルク株式会社は、東京都新宿区に本社、北海道札幌市に本店を置く、日本の大手乳製品メーカーであり、旧・雪印乳業と日本ミルクコミュニティ(メグミルク)が経営統合したことで誕生した企業である。両社は2000年代初頭の一連の不祥事によってブランドイメージが大きく傷つき、再建と信頼回復を目的として事実上のグループ再編に踏み切った。2009年に共同持株会社として発足し、2011年に事業会社として一本化されたことで、現在の雪印メグミルクがスタートした。

商品ラインナップは非常に幅広く、国内の乳製品メーカーの中でも屈指の多角展開を行っている。牛乳・加工乳の分野では「雪印メグミルクおいしい牛乳」や「特濃」「アカディ」が長年支持される定番ブランドであり、北海道バターや「ネオソフト」などのスプレッド類は家庭の冷蔵庫に並ぶ定番商品として知名度が高い。また、ヨーグルト市場では「恵 megumi」「牧場の朝」「プルーンFe」など多くの主力ブランドを抱え、売上規模・市場浸透度ともに業界上位を維持している。

さらに飲料・デザート領域でも存在感が強く、「雪印コーヒー」や「Dole」ブランドの果汁飲料、「農協 野菜Days」シリーズなど、乳製品以外のカテゴリでも幅広く展開。北海道発祥の乳酸菌飲料「ソフトカツゲン」など地域ブランドの強みも併せ持つ。デザート市場では「クリーム&」「栗原さんちのおすそわけ」など、トレンドに合わせた商品開発を継続し、新規層の獲得にも積極的である。また、近年は環境対応やヘルスケア需要の高まりを背景に、植物性ミルク・植物性油脂加工品の「Plant Label」など、次世代食品領域にも参入している点が大きな特徴となっている。

グループ戦略としては、2012年に協同乳業と資本・業務提携を結び、同社を持分法適用会社化することで製造・調達・物流における連携を拡大。全国的なサプライチェーン強化や販売網の拡充を進め、国内乳業市場の中で安定したポジションを築いている。また本社は東京四谷に置きつつ、登記上の本店は創業地である北海道札幌市に構え、全国規模のブランドでありながら“北海道ブランド”の信頼感も維持している点は同社ならではである。

現在の雪印メグミルクは、過去の危機からの復活を経て、品質管理体制や情報開示姿勢を徹底的に強化した企業として知られている。食品安全や品質に関する取り組みは業界内でも高く評価されており、長い歴史と多数のブランド力、そして広い製品ポートフォリオを武器に、国内の乳製品市場で確固たる地位を保ち続けているといえる。

雪印メグミルク 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度(単位百万) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益 EPS(円) 一株配当 DPS(円)
連23.3 584,308 13,054 14,480 9,129 135.2 60
連24.3 605,424 18,460 19,888 19,430 287.7 80
連25.3 615,819 19,125 20,262 13,904 205.9 100記
連26.3予 639,000 18,500 20,100 29,500 470.9 100
連27.3予 666,000 19,500 21,100 14,500 231.5 100〜110

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 26,807 -19,624 -7,286
2024 30,465 -6,308 -15,645
2025 21,100 -18,512 -10,375

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 2.2% 4.2% 2.2%
2024 3.0% 8.3% 4.5%
2025 3.1% 5.6% 3.2% 9.9〜12.9 0.82

出典元:四季報オンライン

投資判断

雪印メグミルクの業績や指標を踏まえて投資判断を平文でつらつら書くと、全体として「安定しているが、成長力は弱め。割安性で選ぶ銘柄」という位置づけになる。売上は6000億円規模で推移しており、年々じわりと伸びているものの、営業利益や経常利益は横ばいで、本業の収益力が大きく向上しているわけではない。営業利益率はたったの2〜3%で、食品メーカーの中でも低めの水準で、コスト構造の重さが常に圧迫している。

純利益は26年予だけ大きく跳ねているが、これは一時的な特別利益の影響が大きく、企業の本質的な利益成長とは別物と考えるべきだ。営業利益の推移を見る限り、雪印メグミルクが急成長のフェーズにあるとは言い難く、むしろ「大きくは崩れないが、大きくも伸びない」典型的なディフェンシブ銘柄と言える。

一方で、株価指標はかなり割安だ。PBRが0.82倍というのは、資産価値より安く買える状態で、食品大手としては比較的珍しい水準にある。PERも10〜13倍と落ち着いたレンジで、これだけを見るとバリュー株としての魅力はそれなりにある。つまり、企業成長ではなく“割安性と安定性”を見て買うタイプの銘柄で、景気に左右されにくい乳製品メーカーとしての防御力が評価される形だ。

ただし、投資家によってはこの「成長しない安定」に魅力を感じにくい場合もある。株価が大きく跳ねる材料が少なく、業績トレンドも派手ではないため、短期で上昇を狙いたいタイプには向いていない。長期で安定した銘柄を組み込みたい、あるいはPBR1倍割れのバリュー株を好む投資家にとっては選択肢になるが、積極的な成長株投資を求める場合は優先度は高くない。

要するに雪印メグミルクは、「攻める株」ではなく「守る株」。派手さはないが底堅い。収益性は低いが潰れない。そのかわり、大きな成長ストーリーを期待するのも難しい。キャッシュフローは安定しており、財務体質も健全で、食品セクターとしての安心感はある。割安な株価で淡々と持ちたい人向けであり、値上がり益よりもポートフォリオの安定化を重視する投資家には十分合うだろう。

配当目的とかどうなの?

雪印メグミルクを配当目的で見ると、結論としては「大きく増えもしないが、安定して受け取れるタイプの配当」という位置づけになる。予想配当利回り(2026・2027年度)は3.26%で、食品株としては悪くない数字だ。キッコーマンや明治などの食品大手は配当利回りが1〜2%台に収まることが多いので、それらと比べると雪印メグミルクはやや高めの利回りを提示していることになる。

ただし、この会社は爆発的な利益成長が見込めるタイプではない。営業利益率は2〜3%と低めで、競合他社と比べても特別に収益性が高いわけでもない。そのため、毎年のように増配していくような強気の配当政策は取りにくく、今の利回りが大幅に改善していくイメージは湧きにくい。安定配当は期待できても、配当成長株のようにどんどん増やしていく銘柄とは性質が違う。

それでも、食品メーカーという業種の特性から不況に強く、売上が大きく落ち込む場面は少ないため、「減配リスクの低さ」というメリットはある。景気が悪化しても牛乳やヨーグルトの消費が急減することはないため、業績の底堅さが配当継続の安心感につながっている。また、PBRが0.82倍という低水準にあるため、株価が標準的なPBR1倍を目指して戻れば、キャピタルゲインを狙える余地もある。

総合すると、雪印メグミルクの配当は派手さがないかわりに堅実で、長期保有で安定収入を得たい投資家に向いている。利回り3%台の食品株というのは珍しいため、守りのポートフォリオを作りたい場合には採用しやすい銘柄だ。一方で、「配当を右肩上がりで増やしてほしい」あるいは「配当再投資で資産を大きく増やしたい」というタイプにはやや物足りないだろう。攻める銘柄ではなく、じっくりと安定した配当を期待するための“サブポジション的な配当株”として扱うのがちょうど良い。

今後の値動き予想!!(5年間)

雪印メグミルクの今後5年間の株価を考えるうえで大切なのは、まずこの会社が「急成長で株価を押し上げるタイプではなく、ディフェンシブな食品株」だという点だ。現在値3,060円は、PBR0.82倍・PER10〜13倍と割安に放置されている状態で、これは「業績が大崩れしない限り、下には比較的強い」という安心感につながる。一方で、営業利益率2〜3%という薄利構造のため、利益が大きく伸びるシナリオは描きづらく、株価が力強く上昇するための材料も多いとは言えない。ある意味、下がりにくいが上がりにくい銘柄の典型であり、その性質が今後5年の値動きにも色濃く反映される。

まず良い場合だが、このパターンでは乳価の落ち着きや物流コスト・原材料コストの改善が進み、営業利益率が3〜4%台に回復し、安定的に利益を出す力が強まることが前提になる。さらに、食品株全体がディフェンシブ資産として見直され、PBRが1倍前後に戻るような流れが起きれば、株価は3,800〜4,400円あたりまで上昇しても不思議ではない。ただし雪印メグミルクは、キッコーマンや明治のような“ブランドで強く評価される株”でもなく、スーパーヒット商品で株価を引き上げるようなタイプでもないため、上昇があったとしてもゆっくりした動きになるだろう。

次に中間の場合。これは最も現実的なシナリオで、業績は横ばい〜微増で推移し、営業利益率も2〜3%台、PER10〜12倍、PBR0.8〜0.9倍と、今とほぼ同じ評価が続くケースだ。この場合、株価は2,900〜3,400円の間でウロウロしながら、ディフェンシブ株らしい落ち着いた動きを見せる。雪印は生活必需品の企業のため景気に左右されにくく、大崩れはしない一方で、大きなテーマがないため株価が跳ねる材料も少ない。そのため5年間の値動きは、おそらく派手さのない“緩やかな横ばい”になる可能性が高い。

最後に悪い場合だが、こちらは原材料高騰が長期化したり、海外需要が伸び悩んだり、国内市場で競争が激化してシェアを削られたりした場合が考えられる。営業利益率が2%を割るような展開になれば、評価はPER8〜10倍、PBR0.6〜0.7倍の“より割安だが人気の出ない株”として扱われ、株価は2,300〜2,700円まで下がる余地がある。ただし食品株は極端な暴落が起こりにくい業種でもあり、構造的な赤字に転落しない限り、株価が大崩壊するようなことは考えにくい。

総合的に見ると、雪印メグミルクは「5年後に2倍になるような夢は見にくいが、長期で持っても大きく減らないタイプ」の銘柄。食品株の中では割安性が高く、ディフェンシブ性も強いため、ポートフォリオの安定感を重視する投資家には相性が良い。一方、「成長で株価を上げたい」「テンバガー候補を探している」ような人には向かず、あくまで堅実・保守的な運用向けだと言える。

この記事の最終更新日:2025年11月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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