株価
いちごとは

いちご株式会社は、不動産運用事業とクリーンエネルギー事業を二本柱とするサステナブルインフラ企業で、本社は東京都に置かれている。企業名の「いちご」は、千利休が説いた茶の精神「一期一会」に由来し、「出会いを大切にし、持続可能な価値を創出する」という理念を象徴している。
同社の前身は 2000年に創業したアセット・マネジャーズ・ホールディングス株式会社で、不動産流動化の先駆者として池袋・西武百貨店の流動化などを手掛け、累計の不動産ファンド運用残高は1.9兆円を超える。2002年の上場後は、中国国有投資会社CITICグループとの資本提携を通じて海外進出を図り、不動産・企業投資事業を軸とした国際展開を進めた。
2008年には欧米の年金資金を運用する「いちごトラスト」を引受先とした第三者割当増資を実施し、同グループの支援を受けて事業基盤を強化。経営陣にはモルガン・スタンレー出身のスコット・キャロン氏、フジタ出身の岩﨑謙治氏らが就任し、事業を不動産運用に集中させた。2010年には筆頭株主の名を冠して「いちごグループホールディングス株式会社」へ改称した。
不動産運用事業においては、「心築(しんちく)」と呼ばれる独自のアセットマネジメント手法を採用し、老朽化したビルや商業施設に価値改善を施して再生することで、安定収益を確保している。オフィス、商業施設、住宅、物流施設など多様なアセットを対象に、取得から運用、再生、出口戦略まで一貫して手掛ける。
REIT領域では、2011年にジャパン・オフィス・アドバイザーズ(のちのいちごリートマネジメント)を買収し、J-REIT運用会社を傘下に収めた。さらに同年、FCレジデンシャル投資法人と旧いちご不動産投資法人を合併させ、現在の「いちごオフィスリート投資法人(8975)」として統合。これにより、同社グループはオフィス特化型REITの運用において国内有数の規模と実績を確立した。
また、2012年にはクリーンエネルギー事業会社「いちごECOエナジー」を設立し、太陽光発電・風力発電など再生可能エネルギー分野にも本格進出。2024年2月時点で、全国に64カ所・約200MW規模のメガソーラーが運転開始または開発確定しており、安定した売電収入を得る収益基盤を構築している。
総じて、いちご株式会社は「不動産(心築)× 再生可能エネルギー」という組み合わせで長期的で安定した収益モデルを構築している企業であり、不動産の価値改善と持続可能なインフラ整備の両面で社会に貢献するサステナブルインフラ企業としての地位を確立している。
いちご 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期(単位百万) | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 1株益(EPS) | 1株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.2 | 68,093 | 12,492 | 10,848 | 9,409 | 20.5 | 8 |
| 連24.2 | 82,747 | 12,960 | 10,391 | 12,108 | 26.9 | 9 |
| 連25.2 | 83,576 | 16,309 | 13,764 | 15,187 | 34.9 | 10.5 |
| 連26.2予 | 100,000 | 19,500 | 14,800 | 16,000 | 38.7 | 11.5 |
| 連27.2予 | 103,000 | 20,500 | 15,500 | 17,000 | 41.1 | 11.5〜12 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 254 | 2,635 | -6,582 |
| 2024 | -8,577 | -2,524 | 17,791 |
| 2025 | -28,449 | 5,358 | 19,567 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 18.3% | 9.1% | 2.7% | – | – |
| 2024 | 15.6% | 11.5% | 3.2% | – | – |
| 2025 | 19.5% | 13.6% | 3.7% | 高値17.5倍 / 安値11.9倍 | 1.49倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
いちご株式会社は、不動産ファンド事業からスタートし、その後REIT運用、再生可能エネルギー事業へと事業を拡大してきた企業である。現在のビジネスモデルは「不動産×インフラ×エネルギー」の3本柱が確立しており、特定事業に依存しない構造が大きな強みとなっている。特に2012年に立ち上げたクリーンエネルギー事業は全国で64発電所・約200MWのメガソーラーを展開する規模に成長し、会社の収益における確かな柱となりつつある。
業績推移を見ると、この多角化戦略がしっかりと成果につながっている。売上高は827億→835億→1000億(予想)と増加し、営業利益も129億→163億→195億へ着実に拡大している。純利益も121億→151億→160億と増加傾向が明確で、企業の稼ぐ力は強まっている。EPSも20円台から38円台まで成長しており、収益基盤の強化が進んでいる。
利益率の改善も特徴的で、一時的に低下した営業利益率は現在19%近くまで回復している。不動産運用の収益性改善に加えて、太陽光発電による売電収益が安定化してきたことが背景にある。ROEは9.1%→11.5%→13.6%と改善が進み、資本効率も中堅企業として十分評価できる水準に到達している。ROAは2〜3%台と低めだが、不動産・インフラ系企業は資産規模が大きいため、この水準は業態的に自然だといえる。
株価バリュエーションはPER12〜17倍、PBR1.49倍と、不動産系銘柄としてはやや高めの評価を受けている。しかし、いちごは単なる不動産会社ではなく再エネ事業を持つサステナブルインフラ企業としての成長性が評価されている。売電収入は長期契約が多く、安定した収益が見込める点も株価の支えになっている。
一方でリスク要因として、不動産市況の悪化、金利上昇、再エネ政策の変化などが挙げられる。ただし、いちごは事業が複数に分散されているため、一つの事業が不調になっても企業全体へ与える影響は限定的になりやすい。特に再エネ事業は景気の影響を受けにくいストック型収益であり、業績を安定させる役割を果たしている。
総合的に見ると、いちご株式会社は「中堅ながら成長性と安定性を両立した資産運用・インフラ企業」であると評価できる。短期で急騰するタイプではないが、中期〜長期で見れば業績と株価が着実に伸びていく可能性が高い。REIT運用による安定収益、再エネによる成長性、不動産運用による資産価値向上という3つの要素がそろっており、堅実な成長を求める投資家に向いている。中長期で「安定した成長と配当」を求める投資家にとって、ポートフォリオの安定枠として検討する価値がある銘柄といえる。
配当目的とかどうなの?
いちご株式会社の予想配当利回りは、26.2期が2.83%、27.2期も2.83%となっており、ほぼ変わらず2%台後半で安定している。日本株全体の平均利回りが約2%前後であることを考えると、いちごは「低くはないが、高配当株とはいえない」という中間的な位置づけになる。ただ、利回りだけでは測れない強みをいくつも持っている企業で、配当目的での投資を考える上でも評価できるポイントが多い。
まず、同社の配当が比較的安定している理由は、事業ポートフォリオが分散されている点にある。不動産運用、REIT運用、クリーンエネルギー発電という異なる収益基盤を持つため、一つの市場環境が悪化しても業績全体が大きく崩れにくい構造になっている。特に売電収入は長期の固定価格契約が多く、景気変動の影響を受けにくいため、配当の源泉として非常に安定的だ。
次に、EPSが着実に伸びている点も重要だ。企業の稼ぐ力を示すEPSは20円台から30円台後半まで成長しており、配当原資が増えていることを意味する。利益が毎年積み上がっているため、無理な増配をしているわけではなく、企業の実力に裏打ちされた配当になっている。
また、配当性向も極端に高くなく、会社としても配当と成長投資のバランスを取りながら運営している。無理な高配当を掲げて収益が減ってしまうような企業ではなく、地に足のついた還元方針だといえる。
一方で、利回りだけを目的にするタイプの投資家には強い魅力があるとは言いにくい。やはり3%前後という水準は、JTや三菱商事、KDDIのような高配当銘柄には及ばない。しかし、いちごの場合は株価が大きく落ちにくい安定性、事業の分散性、利益の伸びが組み合わさっているため、単純な利回り以上の安心感がある。
総合すると、いちご株式会社は「そこまで高利回りではないが、安定した配当を長期で受け取りたい投資家」との相性が非常に良い企業だといえる。短期で大きな値動きを期待する銘柄ではないが、堅実で、配当を受け取りながらじわじわと株価成長も狙えるタイプの中長期向け銘柄だ。
今後の値動き予想!!(5年間)
いちご株式会社の現在株価は406円だが、同社は「不動産運用」「REIT運用」「再生可能エネルギー発電」という3本柱で事業を展開しており、景気に左右されやすい不動産だけでなく、太陽光・風力といった安定収益型のインフラ事業が収益を下支えしている。そのため、株価は急騰しにくい一方で、急落もしにくい、比較的ディフェンシブな値動きになりやすい特徴を持つ。
いちごは特に「クリーンエネルギー事業」が第二の柱として成長してきており、全国で約200MWの発電設備を展開している。売電収入は長期固定契約や再エネ需要の強さに支えられており、今後も収益に安定感をもたらす要因となる。一方、不動産関連は市況の影響を受けやすく、金利動向や景気に応じて株価が上下する可能性がある。このように、株価は複数要因で動くため、5年間のシナリオは「良い場合」「中間」「悪い場合」に分けて考えるのが自然だ。
まず良い場合は、再生可能エネルギー関連の収益がさらに拡大し、不動産市況も強含み、REIT資金流入も回復するケースである。特に再エネ事業は設備増強によって利益が伸びやすく、売電単価が堅調なまま推移すれば、利益は毎年上積みされる可能性が高い。PERの水準が現在のレンジ上限付近まで評価されると仮定すれば、株価は5年後に650〜800円程度までは十分に視野に入る。大きく跳ねるタイプではないものの、堅調な業績拡大が続く場合は、株価の持続的な上昇が期待される。
中間のシナリオでは、利益が少しずつ増えていくものの、不動産市況が強すぎず弱すぎず、再エネも安定成長という現在の延長線上のケースである。この場合、株価の上昇スピードは緩やかになり、5年後には500〜600円程度に収まる可能性が高い。急成長ではないが、堅実な推移で、現在値から一定の上昇余地は期待できる。
悪い場合のシナリオでは、不動産市況の悪化や金利上昇による投資マインド低下、電力価格の調整、再エネ政策の不透明感といった要因が重なるケースだ。この場合、業績は伸びにくくなり、PERの評価も低下し、株価は一時的に300〜360円程度まで下振れする可能性がある。ただし、同社の収益源が複数に分散されている点や、再エネのストック収益がある点を考えると、長期間にわたって極端な低迷が続くリスクは比較的小さい。
総合的に見ると、いちご株式会社は急騰を狙うタイプの成長株ではないが、不動産・REIT・再エネを組み合わせたバランス型の収益モデルを持つため、5年単位では着実に業績が積み上がり、株価がじわじわと底上げされる可能性が高い。ディフェンシブ性と成長性を兼ね備えた企業で、長期的な資産形成の一角として検討しやすい銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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