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エスプール(2471)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

エスプールとは

エスプール株式会社は東京都千代田区に本社を置き、企業や自治体の業務効率化を支援するビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を中心に事業を展開する企業である。同社は「アウトソーシングの力で企業変革を支援し、社会課題を解決する」という理念を掲げ、障がい者雇用の促進、就労が困難な人材の活躍支援、行政業務の効率化、人材サービスなどを幅広く手がけている。

事業構成は「ビジネスソリューション事業」と「人材ソリューション事業」の2つに区分されており、2024年11月期ではビジネスソリューション事業が売上の約58.6%、営業利益の約81%を占めており、同社の稼ぎ頭となっている。

ビジネスソリューション事業はBPO(業務受託)や障がい者雇用支援が中心で、企業や自治体が抱える業務を受託し効率化するサービスを提供している。エスプールプラスが運営する「わーくはぴねす農園」は、農園という環境で障がい者が働ける就労支援モデルであり、企業の障がい者雇用率を満たす仕組みとして広く利用されている。農園区画を企業が契約し、知的障がい者が農作業を行うことで就労を実現するこのモデルは独自性が高く、エスプールの象徴的事業となっているが、一方で「雇用率を金で買っているのではないか」という批判を受け、2023年には共同通信の報道をきっかけに株価が急落し、いわゆる「エスプール・ショック」と呼ばれる事態も発生した。

ビジネスソリューション事業には他にも、シニアやフリーランス人材を活用した経営課題解決(エスプール本体)、経営承継支援(エスプールブリッジ)、環境経営支援サービス(ブルードットグリーン)、自治体向けの広域行政BPOサービス(エスプールグローカル)、物流BPO(エスプールロジスティクス)など、専門性の高いサービスが多数含まれている。脱炭素・人手不足・行政DXなど、社会の大きな変化に対応するソリューションを提供している点が特徴である。

一方の人材ソリューション事業は、エスプールヒューマンソリューションズを主体として、コールセンター、スマホや家電の販売、ホテル・受付などの接客業務に人材を派遣する事業を展開している。特に「グループ型派遣」という、派遣スタッフと専任管理社員(フィールドコンサルタント)をセットで派遣する方式を採用しており、未経験者でも長期的に定着しやすい環境を作ることを強みとしている。人材確保が困難な業界に対して、教育とフォローの仕組みを組み込んだ派遣モデルを提供している点が差別化要因となっている。

エスプール全体としては、単なる派遣会社とは異なり、社会課題解決型のビジネス領域に強みを持つ企業である。障がい者雇用支援・行政DX・環境経営支援・物流BPOなど、持続可能な社会に向けて需要が拡大しやすい分野に事業リソースを集中している。近年は「働き方の多様化」「脱炭素」「行政デジタル化」への企業・自治体の需要を取り込んでおり、外部環境としては追い風が続いている。ただし、一部事業に対する批判報道が株価へ影響を与えるなど、社会性の高いビジネスであるがゆえのリスクも存在する。

エスプール 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連21.11 24,862 2,668 2,673 1,881 23.8 6
連22.11 26,650 3,091 3,118 1,809 22.9 8
連23.11 25,784 2,616 2,684 2,026 25.6 10
24.11 25,554 2,783 2,569 2,099 26.6 10
25.11予 26,800 3,200 3,000 2,100 26.9 10
26.11予 29,000 3,500 3,400 2,300 29.4 10〜12

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022 2,862 -2,839 -748
2023 2,522 -4,572 2,215
2024 5,071 -3,393 -1,242

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 10.1% 22.9% 9.6%
2024 10.8% 21.3% 5.2% 高値平均 38.6倍 / 安値平均 19.6倍 2.14倍
2025予 10.6% 18.7% 4.6% 11.24倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

エスプールの直近の業績を見ると、売上高はやや上下はあるものの全体としては横ばいから緩やかな成長で推移している。営業利益・経常利益は一度鈍化した後に再び回復傾向が見られ、予想値では増益が続く見込みとなっている。特に営業利益は26億→27億→32億と着実に積み上がり、利益成長の軸が戻りつつある点はポジティブである。

同社の特徴は、BPOと障がい者雇用支援を柱としたビジネスモデルで、企業の業務効率化需要や行政DXの進展、そして障がい者雇用義務に関する法律の強化など、外部環境が比較的追い風になりやすい点にある。売上が一気に伸びるタイプの会社ではないが、社会課題解決型ビジネスとして一定の安定需要があるため、景気に左右されにくく、収益が大きく崩れにくいのも強みといえる。

一方で、同社は過去に「わーくはぴねす農園」に対する批判報道を受け株価が急落した経緯があり、レピュテーションリスクは無視できない。実際、障がい者雇用支援という社会性の強い事業を手がける以上、外部からの評価に敏感で、ネガティブニュースが企業価値に直結しやすい点は投資判断として注意点となる。

財務指標を見ると、営業利益率は約10%前後とアウトソーシング企業としては高めの水準で、事業効率の良さがうかがえる。ROEは直近で20%超と非常に高い資本効率を示しており、短期的な株価評価がされやすい要素を持っている。ただし、ROAは5〜9%で推移しており、資産効率については標準的で、成長余地はあるものの過度な期待は禁物といえる。

PERについては2024年の実績が高値平均38倍、安値平均19倍とボラティリティが高く、市場の期待の揺れ幅が大きいことを示している。2025年予想では11倍台まで下がっており、利益成長を織り込めば割安感が出てきている。この水準で利益が着実に成長するなら、中期的な株価上昇へつながる可能性がある。

全体として、売上が大きく伸びる企業ではないが、利益率やROEの高さからみても、事業効率の良いBPO企業としての位置づけは確立している。ネガティブ報道の影響が薄れれば市場の再評価も期待でき、利益成長の継続が株価上昇の鍵となる。安定成長+社会課題解決型ビジネスという性質から、中長期的には堅実な銘柄として評価できる一方、外部要因による株価の振れ幅には注意が必要な企業といえる。

配当目的とかどうなの?

エスプールを配当目的で見た場合、まず目を引くのは「配当の安定感」である。ここ数年、同社は一株配当10円を継続しており、予想でも25.11期・26.11期ともに10円〜12円レンジを維持している。株価の変動は比較的大きいものの、配当水準は大きく乱れず、安定配当志向が強い企業といえる。

現在の予想配当利回り(2025・2026年度)は3.81%と、東証グロースでは比較的高水準で、配当株としても十分候補に入る利回りとなっている。特にエスプールはBPO事業や障がい者雇用支援といった社会インフラ型の収益源を持っており、景気に左右されにくい業務受託収益が多い。そのため、不況期でも配当が崩れにくい点は、配当投資家にとってプラス材料といえる。

一方で、エスプールの配当が安定している原因は「積極的な増配戦略によるもの」ではなく「当面10円程度を維持し続ける方針によるもの」に近い。つまり、今後も劇的な配当成長を期待するのは難しい。ROEは20%前後と高いが、株主還元の増額よりも事業投資・規模拡大を優先する経営姿勢が強く、増配テンポが速い企業ではない。

また、この企業は過去に「わーくはぴねす農園」事業に対する批判報道によって株価が急落した「エスプール・ショック」の経験があるように、レピュテーションリスクが株価に直結しやすい特徴もある。業績が安定していても、株価が大きく揺れる可能性があるため、その点は配当利回りだけでは読み切れないリスク要因となる。

とはいえ、安定配当・安定利益を背景に、中期での“継続的な配当受取”を狙う投資家には向いている銘柄である。BPO市場や行政DX需要は継続的に伸びており、障がい者雇用支援事業も法律的な追い風が強いため、業績は比較的底堅い。3.8%台という利回りは十分魅力的で、値動きの荒さを許容できるのであれば、配当ポートフォリオに組み入れる価値はある。

総合すると、エスプールは「配当成長株」ではなく「安定配当株」に分類される企業で、利回りの高さと業績安定性のバランスを取りたい投資家に向いている銘柄といえる。長期間で配当を受け取りつつ、業績回復による株価リバウンドも合わせて期待できるタイプの投資先である。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の株価262円を基準に今後5年間の株価を考えると、ポイントになるのはエスプールの事業が人材派遣よりもBPO(業務受託)と障がい者雇用支援に軸足を置いている点である。行政DXの進展や企業の業務効率化ニーズが高まるなかで、BPO市場は長期的には追い風が続いている。また、障がい者雇用支援は法律で義務づけられている領域であり、景気の良し悪しに関わらず一定の需要が存在する。一方で、2023年の批判報道による株価急落、いわゆる「エスプール・ショック」の記憶はまだ市場に残っており、企業イメージやレピュテーションに対する敏感さが株価の重しになる可能性もある。

良い場合のシナリオでは、ビジネスソリューション事業が順調に成長し、行政BPO・障がい者雇用支援・環境経営支援などの新たな需要を取り込みながら営業利益が安定して増えていく。営業利益率が10%前後を維持しつつ利益が積み上がれば、株価は市場から再評価され、PBRが現在の低水準から1.5〜1.8倍まで見直される可能性がある。この場合、株価は5年で400〜480円のレンジまで上昇し、業績の伸び次第では500円超えも視野に入る。特に行政DXや障がい者雇用強化の政策が追い風になれば、株価は大きく戻りやすい。

中間の場合は、売上・利益とも着実に伸びるものの、派手な成長はせず、株価の評価が大きく変わらないケースである。BPO需要は底堅いが、批判報道の影響から完全に脱却するまでに時間がかかり、市場の評価は慎重なまま推移する。PBR1.0〜1.3倍程度が維持され、株価は300〜360円あたりで“少し上がりやすく、少し下がりにくい”安定レンジに入る。配当利回りが3〜4%前後で続くこともあり、長期保有では地味ながらリターンが積み重なるタイプの展開となる。

悪い場合のシナリオでは、BPO市場の成長鈍化や行政関連案件の減少、障がい者雇用支援事業への追加的な批判が出るなど、リスク要因が再び顕在化したケースである。営業利益率が10%を下回り、成長期待が剥落すると、PBRは0.7〜0.9倍程度まで低下する可能性がある。この場合、株価は200〜230円の範囲で推移し、最悪の場合は一時的に200円割れの場面も考えられる。ただし事業構造が社会ニーズと密接に結びついているため、長期的に業績が崩壊するリスクは小さく、底割れは限定的となる。

総合すると、現在の株価262円は「悲観シナリオをある程度織り込んだ水準」であり、業績が改善し続ければ上値余地が大きいポジションにいる。急騰を狙える銘柄ではないが、配当利回りの高さと事業の底堅さを考えると、中期ではじわじわ見直されていく可能性が高い。長期で安定した成長と配当を狙う投資家に向いている銘柄と言える。

この記事の最終更新日:2025年12月2日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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