株価
キーコーヒーとは

キーコーヒー株式会社は、日本を代表するコーヒー企業の一つであり、コーヒーの栽培・製造・販売まで一貫して手がける総合コーヒー企業である。東京証券取引所プライム市場に上場しており(証券コード2594)、本社は東京都に置かれている。国内のコーヒー豆流通だけでなく、海外の自社コーヒー農園事業も展開しており、原料調達から製造、販売、そしてカフェ事業に至るまで幅広いバリューチェーンを構築している点が特徴である。
同社は自らの事業について「海外におけるコーヒー農場事業から、コーヒーの製造、販売ならびにコーヒー関連事業経営に至るまでのコーヒーに関する総合企業」と位置づけており、企業理念として“コーヒーを究めよう お客様を見つめよう そしてくつろぎのひとときを提供し ゆたかなくらしづくりに貢献しよう”を掲げている。これは創業以来のこだわりである「品質本位」と「顧客志向」を明確に示すものとなっている。
事業内容は非常に幅広く、レギュラーコーヒー、ギフト用加工品、ドリップコーヒー、缶・ボトル飲料、コーヒー関連器具といった商品群を中心に、業務用コーヒーの卸売も大きな柱となっている。とくにレギュラーコーヒーの製造販売では国内トップクラスの地位を持ち、喫茶店やレストラン、ホテルなど業務用チャネルへの供給を長年の強みにしてきた。また、トアルコ・トラジャ、農家限定珈琲、ドリップオンシリーズといったブランド商品は、キーコーヒー独自の味わいや品質で高い評価を受けている。
グループ事業としては「イタリアントマト」の運営も手がけ、飲食店事業にも進出している。これにより、製造業にとどまらず、消費者接点の拡大とブランド価値の強化にも取り組んでいる。上期に利益が偏重する収益構造は、業務用需要や季節要因を反映した特徴的なものとなっている。
総合すると、キーコーヒーは原料調達から販売、店舗運営まで一貫した事業体制を持ち、国内外で“コーヒー文化を支える企業”として確固たるポジションを築いている。商品の幅広さ、ブランド力、製造技術、農園事業まで含めた総合力が特徴で、日本のコーヒー市場を牽引する存在といえる。
キーコーヒー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022/3 | 55,680 | 405 | 1,022 | 742 | 34.7 | 10 |
| 2023/3 | 63,298 | 244 | 349 | 173 | 8.1 | 10 |
| 2024/3 | 73,800 | 764 | 867 | 180 | 8.4 | 12 |
| 2025/3 | 77,783 | 486 | 636 | 214 | 10.0 | 12 |
| 2026/3予 | 85,000 | 700 | 850 | 600 | 28.0 | 12〜13 |
| 2027/3予 | 86,000 | 750 | 900 | 630 | 29.4 | 12〜13 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | -3,095 | -973 | 2,757 |
| 2024 | 481 | -1,689 | 1,741 |
| 2025 | -1,353 | -1,070 | 2,827 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 0.3% | 0.5% | 0.3% | ― | ― |
| 2024 | 1.0% | 0.5% | 0.3% | ― | ― |
| 2025 | 0.6% | 0.6% | 0.3% | 高値平均 247.0倍 / 安値平均 225.4倍 | 1.37倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
キーコーヒーの直近の業績を見ると、まず売上高はしっかり伸びているにもかかわらず、利益水準は非常に薄く、収益性の低さが際立っている。2024年3月期は売上738億円に対し、営業利益は7.6億円、経常利益8.6億円、純利益はわずか1.8億円と、利益率が極めて低い構造になっている。2025年3月期は売上777億円へ増収したものの、営業利益4.8億円、経常利益6.3億円とむしろ減益。純利益も2.1億円程度にとどまり、改善にはほど遠い水準である。
2026年3月期の会社予想では売上が850億円とさらに増えるが、営業利益7.0億円、経常利益8.5億円、純利益6.0億円と、利益はようやく増える程度で、依然として大きな収益力は見られない。ビジネスモデル上、原材料費や物流費の影響を強く受けるほか、ブランド力に比べて利益率が極端に低い点が中長期的な課題となっている。
財務指標を見てもその傾向は明確で、営業利益率は 1%前後しかなく、2025年予想でも 0.6% に過ぎない。ROE や ROA も 0.5%〜0.6% 程度と非常に低く、株主資本を活かしきれていないことがわかる。ところが PER は高値平均で 247倍、安値平均でも 225倍と、ほとんど利益が出ていないにもかかわらず株価は極端な割高水準となっている。PBR が 1.37倍にとどまっているとはいえ、この PER の高さは「利益が小さすぎるため、計算上 PER が異常値になっている」状態で、本質的に割安でも割高でも判断しづらい状況だ。
これらの数字を総合すると、キーコーヒーはブランドとしての認知度は高く、売上成長も堅実だが、“利益の低さ”と“効率性の悪さ”が最大のリスクとなっている。利益率が薄く、ROE・ROA も低いままでは株価が大きく上昇する材料になりにくく、業績改善が進まない限り、長期的な株価上昇力は限定的にならざるを得ない。
投資視点では、ブランド価値や長期的な安定性を評価して保有するなら理解できるが、利益面での成長期待を持って積極的に買う銘柄とは言い難い。収益性の改善が見えない限り、株価は大きく上がりにくく、かといって下値を積極的に買われるような魅力も現時点では薄い。総じて、キーコーヒーは「売上は伸びるが利益が非常に薄い企業」であり、投資判断としては慎重な姿勢が求められる銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
キーコーヒーを配当目的で考える場合、結論としては「配当投資にはまったく向いていない」と評価せざるを得ない。まず予想配当利回りは0.59%と極めて低く、日本株の平均利回り(2%前後)を大きく下回っている。高配当株の基準となる3〜4%台とは比較にならず、利回りだけで見れば投資対象から完全に外れてしまうレベルである。
利回りが低い理由としては、同社の利益水準が非常に小さいため、増配余力が乏しいことが挙げられる。営業利益率は 1%以下、ROE・ROA も 0.3〜0.6%にとどまり、利益構造に厚みがない状態では安定的な配当成長も期待しにくい。さらに、PER が200倍を超える水準に位置しているのは、株価が割高というよりも「利益が小さすぎるために理論値が跳ね上がっている」状態で、配当の“割安感”や“投資妙味”も感じにくい。
つまり、キーコーヒーの配当は、金額的にも利回り的にも魅力が薄く、配当目的でこの銘柄を選ぶ合理性はほとんどない。ブランド価値や長期安定性を評価して保有するなら理解できるが、配当狙いでの投資には不向きである。総合すると、キーコーヒーは「配当で稼ぐ銘柄」ではなく、「ブランドや安定性を評価して長期保有する銘柄」に近い性質を持っており、インカムゲインを求める投資家には向いていないと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
キーコーヒーの今後5年間の株価を考えるうえで、まず押さえておくべきなのは「ブランド力は強いが、収益構造に課題が多い」という事実だ。同社は老舗コーヒー企業として高い知名度と安定した需要を持っているものの、営業利益率が1%前後と極めて低く、ROE・ROA も0.5%前後にとどまっている。つまり、売上は伸びても利益が思うように増えない“薄利構造”が続いている状態で、これが株価の上昇余地を制限する大きな要因になっている。
さらに、現在の利益水準が小さいために PER が200倍前後という異常に高い値となっており、これは割高というより「利益が薄すぎて PER が歪んでしまっている」ケースだ。こうした構造的な収益の弱さを抱えている一方で、食品・飲料というディフェンシブ業界であることから、景気後退局面でも需要が急に落ち込むことは少なく、株価が暴落しにくいという特徴も併せ持つ。
良いシナリオとして考えられるのは、業務用市場の回復や、外食向け需要の復調、または海外事業や高付加価値商品の伸びによって利益率が改善するケースである。営業利益率が1.5〜2%台に乗るような、収益面での明確な改善が見られれば、投資家の評価も変わり、株価は緩やかに上昇する可能性がある。この場合、5年後には2,200〜2,600円程度のレンジまで戻してくるイメージで、大きな急騰ではないものの、堅実な回復が期待される。
一方、中間シナリオでは、現在の利益率がほぼ横ばいで推移しつつ、売上だけがじわじわと伸び続ける状態だ。こうした展開では収益構造が根本的に変わらないため、株価の上値は重く、5年後の株価は1,900〜2,200円あたりで停滞する可能性が高い。ディフェンシブ業種ゆえに大きく崩れることは少ないが、割高感が解消されない限り、大幅な上昇は期待しにくい。
悪いシナリオとしては、原材料価格の高騰、人件費負担の増加、業務用市場の弱さなどが重なって利益がさらに薄くなるケースだ。営業利益率が0.5%を割り込むような状態になれば、投資家の見直し売りが広がり、株価が下方向へ振れる可能性が高い。5年後には1,500〜1,700円台まで落ち込むシナリオも現実的に考えられる。PER が高止まりしている企業は、利益が減ると市場の評価が一気に悪化しやすく、下落リスクが相対的に大きくなりやすい。
総合すると、キーコーヒーは「急騰を狙える銘柄ではなく、かといって大きく崩れにくい」という“ディフェンシブ低収益型”の典型であり、株価は緩やかなレンジ内に収まりやすい特性を持つ。ブランド力や安定した需要は評価できるものの、収益性が改善しない限り株価の大幅上昇は期待しづらい。現実的には横ばい〜緩やかな回復程度が中心シナリオとなり、投資を検討する際には「成長期待より安定性」を重視するスタンスが適していると言える。
この記事の最終更新日:2025年12月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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