株価
サントリー食品インターナショナルとは

サントリー食品インターナショナル株式会社は、東京都港区芝浦に本社を構えるサントリーホールディングス傘下の清涼飲料事業会社であり、サントリーグループにおけるソフトドリンク部門の中核を担う企業である。親会社であるサントリーは洋酒・ビールメーカーとして広い知名度を持つが、グループ規模で見ると清涼飲料事業も世界的に大きな売上を占めており、本会社はその重要な柱として位置付けられている。
企業スローガンは「水と生きる」。水資源を大切にしながら事業を展開するというサントリーグループ全体の理念を共有し、日本国内だけでなく海外でも積極的に事業を広げている。国内ではサントリーフーズをはじめとする関連会社を通じ、茶、コーヒー、炭酸、果汁、機能性飲料など幅広いブランドを展開。自動販売機ネットワークも全国規模を誇り、多くの消費者接点を確立している。
海外事業の歴史は長く、1980年にはアメリカで清涼飲料事業に進出し、ペプシブランドを製造・販売するペプシ・ボトリング・ベンチャーズ社の経営に参画。その後も海外展開を加速し、2009年にはオランジーナ・シュウェップス・グループの経営権を取得するなど、海外ブランドの獲得と販売網の拡大を積極的に進めている。現在ではアジア・欧州を中心にグローバル飲料メーカーとしての存在感を高めており、日本発の清涼飲料企業としては世界的にも大きな規模を誇る。
2013年7月3日には東京証券取引所1部に上場し、サントリーグループの中ではダイナックに続く2社目の株式上場企業となった。証券市場では「サントリーBF」という略称で呼ばれることが多く、新聞やラジオの株式市況でも同様に紹介されている。
主要ブランドは非常に多岐にわたり、長年にわたって愛され続ける定番商品が多い。コーヒーブランド「BOSS」は国内トップクラスのシェアを持つロングセラーであり、「サントリーウーロン茶」(1981年発売)、「伊右衛門」(2004年発売)などの茶飲料も幅広い世代に支持されている。炭酸飲料では「ペプシコーラ」や「C.C.レモン」「デカビタC」などが代表的で、果汁飲料では「なっちゃん」、輸入ブランドとしては「オランジーナ」が知られている。
また、JTから買収した「Roots」や「桃の天然水」、ニチレイフーズから譲受した「アセロラドリンク」など、他社ブランドを引き継ぎ、自社の販売網で継続的に展開する取り組みも行っている。これにより、既存ブランドの再活性化や幅広い商品ラインナップの維持にも成功している。
日本国内では飲料分野で圧倒的な認知度と商品力を持ちつつ、海外においても積極的なM&Aやブランド展開によって存在感を高めるなど、グローバル飲料メーカーとしての地位を確立している企業である。
サントリー食品インターナショナル 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021/12 | 1,268,917 | 118,568 | 117,052 | 68,676 | 222.3 | 78 |
| 2022/12 | 1,450,397 | 139,688 | 139,291 | 82,317 | 266.4 | 80 |
| 2023/12 | 1,591,722 | 141,726 | 141,781 | 82,743 | 267.8 | 80 |
| 2024/12 | 1,696,765 | 160,249 | 161,047 | 93,495 | 302.6 | 120 |
| 2025/12予 | 1,796,000 | 160,000 | 159,500 | 89,400 | 289.3 | 120 |
| 2026/12予 | 1,850,000 | 169,000 | 169,000 | 95,000 | 307.4 | 120〜125 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 150,509 | -42,395 | -92,207 |
| 2023 | 158,292 | -77,798 | -115,404 |
| 2024 | 193,730 | -101,297 | -112,036 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 8.9% | 7.6% | 4.3% | ― | ― |
| 2024 | 9.4% | 7.7% | 4.5% | 20.0倍(高値) / 15.5倍(安値) | 1.20倍 |
| 2025予 | 8.5% | 6.9% | 4.1% | 17.80倍 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
サントリー食品インターナショナルの2023年から2026年にかけての売上・利益推移を見ていくと、同社が「巨大でありながら安定成長できる稀有な飲料企業」であることがよくわかる。まず規模が圧倒的で、売上高はすでに1兆円を大きく超え、飲料メーカーとして国内トップクラスの事業規模を持ちながら、年々しっかりと売上を積み上げている。2023年の1兆5917億円から2024年には1兆6967億円へと増加し、その後も2025年には1兆7960億円、2026年には1兆8500億円と着実に伸ばしていく見通しである。成熟産業と言われる飲料市場においてここまで増収が続く企業は多くなく、海外展開とブランド力がいかに強いかが数値面からも読み取れる。
利益面でも基本的には堅調で、2023年の営業利益1,417億円や純利益827億円といった水準はすでに大企業として十分な安定感を持つ。2024年には営業利益が1,602億円、純利益も934億円まで伸びており、この段階で企業としての収益構造が非常に強固であることが確立されている。EPSも300円台に乗り、株主にとっての利益価値も高まっている。配当も80円から120円へ大幅に増配しており、株主還元に対する姿勢の強化が見える点もポジティブだ。
2025年は一時的に利益がやや減り、純利益は894億円まで下がる見通しとなっている。しかし、2026年には再び950億円まで回復する予想で、これは利益が一時的に調整するものの企業の成長基調自体が崩れているわけではないことを示している。大規模企業は為替・海外事業の変動・原材料費の上下によって短期的な利益揺れを起こしやすいが、2026年に再び利益を戻している点を見ると「中長期的には安定成長が続く」タイプの企業だと言える。
投資判断の観点から見ると、この企業は大きく株価が跳ねるタイプではないものの、安定感と成長性を兼ね備えた優良大型株であり、長期保有に向く性質を持っている。飲料市場はディフェンシブ性が高く、景気が悪くなっても消費が大きく落ちにくい。さらにサントリーはBOSS、伊右衛門、ペプシ、C.C.レモンといった定番ブランドを多数抱えており、国内の強固なブランド基盤やアジア・欧州での市場展開が今後も安定した売上の源泉となる。EPSが毎年高い水準で推移している点から見ても、企業価値の積み上げは継続しており、長期投資としては魅力的である。
一方、短期で大きなリターンを狙うような銘柄ではない点は注意が必要だ。株価は企業規模の大きさと安定性から急騰しづらい傾向があり、投資妙味は「急成長株」というよりも「配当も含めて長期でじっくり価値を育てる大型優良株」という位置付けになる。配当120円前後は決して高配当とは言えないが、EPSの高さから見て将来の増配余地はあり、長期保有でインカムゲインも期待できる。
総合すると、サントリー食品インターナショナルは「安定成長 × 大型ブランド × 強い海外展開」という強固な要素を持ち、リスクを抑えながら長期で企業価値の上昇を期待できる銘柄である。短期勝負ではなく、中長期の資産形成を目的としたポートフォリオに向いており、安心して長く持てるタイプの企業と言ってよいだろう。
配当目的とかどうなの?
サントリー食品インターナショナルの25.12期・26.12期の予想配当利回りは2.46%となっており、日本株全体の平均利回り(おおむね2%前後)と比べるとやや高めで、一定の魅力はある水準ではある。ただし、いわゆる高配当株として人気を集める銘柄、例えば3.5%〜5%台の配当を出す通信株や金融株、商社株と比べるとそこまで突出した利回りではなく、「配当目的で全力で買うタイプの銘柄か」と言われると、そこまでではない。
とはいえ、サントリー食品インターナショナルには“配当以外の強み”が多く、その総合力によって利回り以上の安定性を持つ企業であるという点は見逃せない。飲料メーカーという業態は景気変動に強く、生活必需品に近いカテゴリであるため売上が大崩れしにくい。特に同社はBOSS、伊右衛門、C.C.レモン、ペプシなど圧倒的なブランドを持っており、それらが安定したキャッシュフローを生み続ける。その結果、配当がカットされるリスクも小さく、2%後半という利回りでも“安心感”という意味では魅力が高い。
さらに業績面を見ると、EPSが300円前後と高く、120円の配当でもまだまだ余裕がある。将来的に業績が積み上がれば増配のチャンスも出てくるため、「今の利回りは2.46%だけど、将来の増配期待まで含めれば実質的な魅力はもっと大きい」という見方もできる。特に2024年から2026年にかけて見込まれる営業利益1,600〜1,700億、純利益900億前後の安定感は、配当の持続性という意味で極めて高い評価ポイントと言える。
まとめると、サントリー食品インターナショナルは「高配当株」と呼ぶほど利回りが高いわけではないものの、安定的に2.4%台を出しつつ、減配リスクが低く、今後の増配余地もある“堅い配当銘柄”である。配当利回りで攻めるタイプではなく、業績の安定性+ブランド力+将来の増配を期待しながら長期保有するのに向いた企業だと言える。大型で値動きも安定しているため、ポートフォリオの“守り”として持つ選択肢としても悪くない位置づけになるだろう。
今後の値動き予想!!(5年間)
サントリー食品インターナショナルの現在値は4,870円だが、この企業の特徴を踏まえて5年間の株価推移を考えると、短期的な大きな急騰よりも「じわじわとした成長」と「安定感のある下値の堅さ」が同居する、非常にディフェンシブな動きを想定するのが現実的になる。まず、売上規模はすでに1兆円を超えており、BOSSコーヒー、伊右衛門、C.C.レモン、ペプシ、オランジーナなど、国内外でブランド力が極めて強い。飲料市場は景気敏感度が低く、生活必需品に近いため、景気後退局面でも売上が崩れにくい。このため、株価の下落耐性は他の業種と比較して高めだと言える。さらに欧州、アジアを中心に海外展開が広がっていることから、国内市場の成熟を補う形で安定した成長が見込める。
一方で、爆発的な成長をして株価が短期で何倍にもなるタイプではなく、あくまで「緩やかな成長を着実に積み上げていく大型銘柄」である。利益面でもEPSは300円前後の高い水準を維持しつつ、純利益も900億前後を推移しており、事業としての安定性は随一である。ただし、原材料価格の高騰、物流費増加、為替の変動などの外部要因が利益を圧迫する局面もあり、2025年のように一時的に利益が減る年も出てくる可能性はある。つまり、右肩上がりで一直線に成長していくわけではなく、良い年・調整の年を織り交ぜながら長期的には増益していく、非常に堅実なタイプの企業だといえる。
まず良いケースでは、海外事業の伸びが予想以上に進み、欧州市場やアジア市場でシェアを伸ばし、EPSが350円前後まで伸びてくるパターンが考えられる。この場合、PERは18〜20倍まで評価され、株価は5,800〜6,500円と現在値よりしっかり上昇する展開が見えてくる。円安が追い風になれば、さらに業績が押し上げられる可能性もあり、緩やかながら確実に株価を押し上げる力が働く。
中間シナリオでは、売上成長が続くものの利益成長はほどほどで、EPSは300円前後で安定するイメージ。この場合、PERは15〜17倍に収まり株価は現状と大きく変わらず4,800〜5,400円程度に着地する可能性が高い。まさに「大崩れしないが大きく跳ねることもない」という大型ディフェンシブ株の典型的な動きになる。配当が年間120円前後で安定していることもあり、配当込みのリターンを狙う長期保有者に向くパターンだ。
悪いシナリオでは、原材料費の高騰や販促コストの増加、為替の逆風などでEPSが250円台まで落ち込み、市場が割安評価することでPERが12〜14倍まで下がる。そうなると株価は3,200〜4,000円あたりまで下落する可能性がある。ただし、この企業の事業特性上、他の業種のように半値まで一気に崩れるような展開は考えにくく、一定の水準で下げ止まりやすい傾向がある。飲料という事業の安定性が株価の底を支える。
総合的に見ると、サントリー食品インターナショナルは長期で安定的に保有するのに向いた「守りの大型株」であり、劇的な株価上昇ではなく、“配当+緩やかな値上がり”で資産を育てるタイプの銘柄である。リスクは小さく、企業の安定感は高いため、長期投資のポートフォリオに組み入れるとバランスが良くなる。急成長銘柄のような派手さはないが、10年単位で見れば着実に価値が積み上がる可能性が高く、安心して長期保有できる企業と言える。
この記事の最終更新日:2025年12月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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