株価
博報堂DYホールディングスとは

株式会社博報堂DYホールディングスは、東京都港区赤坂に本社を置く、日本を代表する広告代理店グループの純粋持株会社であり、東証プライム市場に上場している。グループ傘下には博報堂、大広、読売広告社といった国内有数の広告会社が名を連ねており、売上・規模ともに国内広告業界では電通に次ぐ第2位のポジションを確立している。広告事業を中核に据えながらも、デジタルマーケティング、PR、コンテンツ開発、データ領域、海外事業など事業領域は年々広がっており、総合マーケティング企業としての存在感が大きい。
近年の戦略として、海外体制の強化を目的としたM&Aを積極的に展開しており、アジア・欧州・北米でのグローバルネットワーク拡充を進めている。日本企業の海外マーケティング支援だけでなく、現地企業向けのマーケティングサービス提供も強化しており、世界規模で競争力を高めている。また、デジタルトランスフォーメーションが加速する中で、生成AIを活用したCM企画や映像自動生成ツールの開発、その効果検証にも着手しており、広告制作の効率化・高度化に向けた投資も進んでいる。韓国企業との共同で女性グループのオーディション番組を制作するなど、エンターテインメント領域とのクロスボーダー施策も積極的。さらに、集英社、講談社、小学館などの大手出版社と連携し、Z世代向けマーケティングソリューションの構築にも取り組んでいる。
同社グループが提供する事業内容は幅広く、テレビ、新聞、雑誌、ラジオといったマス広告の企画・制作・媒体取扱はもちろん、デジタル広告運用、データ分析、アドテクノロジーの導入、運用型広告の最適化など、時代に合わせたマーケティング施策を総合的に提供している。企業ブランディングや商品プロモーション、PR、イベント企画といった領域も強みであり、マーケティング戦略立案や消費者データ分析、CRM支援など、企業活動におけるあらゆるコミュニケーション領域を担っている。メディアビジネス開発やコンテンツビジネス、スポーツマーケティングにも積極的で、国内外企業に対する総合広告サービスとマーケティング支援をワンストップで実施できる体制を構築している。特にデータ×クリエイティブ×メディアを統合した「統合マーケティング」は同社の大きな成長ドライバーとなっており、変化する広告市場に柔軟に適応する力を備えている。
また、社内制度として設けられている「AD+VENTURE(アドベンチャー)」は、博報堂グループ内の正社員から新規事業アイデアを募集し、事業化へつなげることを狙ったプログラムである。同時に、優秀な人材の社外流出を防ぐ役割も担っている。応募されたアイデアは厳正な審査を経て、通過者は自ら会社を興し、1年間のテストマーケティングを行うことができる。1年後に設定したKPIを達成すれば事業継続、達成できなければ博報堂グループ社員として戻ることができるという仕組みで、失敗しても戻れるという点が「過保護な制度」とも言われるが、それゆえに社員が挑戦しやすく、新しい事業の芽が育ちやすいという特徴を持つ。同制度は社内起業家を育成する環境としても注目されている。
このように、博報堂DYホールディングスは広告代理店としての基盤を維持しつつ、デジタル領域・データ領域・コンテンツ開発・AI活用・海外展開・Z世代マーケティングなど、新たな分野へ積極的に進出しており、総合マーケティング企業としての幅と深さを年々増している企業である。
博報堂DYホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 991,137 | 55,409 | 60,378 | 31,010 | 83.2 | 32 |
| 連24.3 | 946,776 | 34,288 | 37,815 | 24,923 | 67.9 | 32 |
| 連25.3 | 953,316 | 37,581 | 42,660 | 10,768 | 29.3 | 32 |
| 連26.3予 | 970,000 | 40,000 | 43,000 | 20,000 | 54.4 | 32 |
| 連27.3予 | 1,050,000 | 44,000 | 47,000 | 22,000 | 59.8 | 32 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 38,035 | -32,792 | -28,839 |
| 2024 | 9,883 | 6,329 | 1,097 |
| 2025 | 82,446 | -13,529 | -45,848 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.5% | 8.5% | 3.0% | – | – |
| 2024 | 3.6% | 6.4% | 2.4% | – | – |
| 2025 | 3.9% | 2.7% | 1.0% | 31.8倍(高値平均) / 21.0倍(安値平均) | 1.12倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
博報堂DYホールディングスの直近業績を見ると、売上は24.3期が9,467億円、25.3期が9,533億円、26.3期予想が9,700億円で、大きな変動はなく安定して推移している。ただし利益面では波があり、特に25.3期の純利益が107億円まで落ち込んでいる点が最も大きな特徴となっている。広告・マーケティング業は景気の影響を強く受けやすく、販促費の抑制や製作関連の費用増などが響いた可能性が高い。
営業利益は24.3期342億円、25.3期375億円、26.3期予想400億円となり、営業利益率は3.6% → 3.9% → 約4%とわずかに改善している。とはいえ広告代理店としては依然として低い利益率であり、電通などと比較しても収益性は高くない。今後マーケティングDXや生成AIを使った制作効率化による利益率改善がどこまで進むかが重要になる。
経常利益は24.3期378億円、25.3期426億円、26.3期予想430億円と安定しており、財務面から見ると大きなブレはない。一方でROEは24.3期6.4%から25.3期2.7%へ急低下しており、企業の収益効率としては物足りない水準となっている。ROAも24.3期2.4% → 25.3期1.0%と大きく低下しており、25.3期は特に収益性の弱さが目立った年といえる。
株価指標では、25.3期の実績PERが高値平均31.8倍、安値平均21.0倍と、業績が落ち込む中で割高感のある水準となっている。PBRは1.12倍と標準的な水準だが、ROEが低い中では積極的に買われる理由も弱い。
総合的に見ると、博報堂DYホールディングスは「売上安定・利益不安定・収益性低下」という構造が続いており、2025年以降の利益回復が本物かどうかが投資判断の最大の焦点となる。広告市場全体は景気に左右されやすいが、一方でデジタル広告比率の上昇や生成AIを活用した制作効率化など、収益改善の余地も残されている。
現時点での投資スタンスとしては、短期的な大幅成長を狙う銘柄ではなく、配当と安定性を重視する投資家向けの「やや中立的な評価」が妥当と考えられる。利益率とROEが明確に改善し始めれば評価見直しが進む可能性があり、26.3期の回復が継続するかどうかを慎重に見極めたい局面である。
配当目的とかどうなの?
博報堂DYホールディングスは、長期で安定した配当を維持してきた企業であり、配当目的の投資としては「一定の安心感はあるが、積極的に狙うほど高利回りではない」という評価になる。予想配当利回りは連26.3期・連27.3期ともに2.72%で推移しており、決して高配当株というカテゴリではないが、広告代理店としては比較的安定した配当水準を保っている。
同社の特徴は、業績が多少上下しても配当を大きく減らさない傾向がある点で、25.3期に純利益が107億円まで落ち込んだにもかかわらず、1株配当32円を維持している。これはグループとして内部留保が厚く、キャッシュフロー面に余裕があることを示している。
配当利回りが3%弱という水準は、配当生活を目指すような高配当志向の投資家にとってはやや物足りないが、企業規模や安定感を考えると「そこそこの利回りを着実に受け取りたいタイプの投資家」には向いている。一方で、株価上昇によるキャピタルゲインを狙う投資にはあまり向いていない。営業利益率やROEが低く、利益成長力が限定的なため、株価の大きな上昇は期待しづらい構造になっている。
つまり、この企業を配当目的で保有する場合のポイントは「大きく伸びないが、大きく減らない」という安定感をどう評価するかに尽きる。景気に左右される広告業という特性がありつつも、長年にわたり一定の配当を維持してきた実績は安心材料である。
総合すると、博報堂DYホールディングスは「高配当株ではないが、配当の継続性は比較的高い、守りの銘柄」という位置づけになる。利回り重視で4~5%を狙う投資家には向かないが、安定配当を受け取りながら長期でゆっくり持ちたい人には相性が良い銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価1,174円を基準に、今後5年間の値動きを考えると、博報堂DYホールディングスは「安定感はあるが、大きな成長ドライバーがやや乏しい」という特徴を持つ会社であり、景気と広告市場の影響を受けやすい構造が前提にある。近年は売上こそ安定しているものの、利益面は変動が大きく、特に25.3期に純利益が107億円まで落ち込んだ点は株価に重しとなっている。しかし、26.3期には利益が回復する見通しであり、広告市場の回復やデジタル広告の拡大、生成AIを使った制作効率化など、業績が上向く材料も揃っている。こうした前提をふまえて、5年後までのシナリオを3パターンで見ていく。
まず「良い場合」だが、広告市場が順調に回復し、テレビだけでなくデジタル広告比率が高まることで収益性が改善し、営業利益率やROEが上昇していくケースである。さらに、博報堂グループが力を入れているAIを活用した制作ツールやマーケティングDXが軌道に乗れば、効率化による利益率改善も期待できる。こうしたポジティブな環境が重なった場合、株価は現在値から1,800〜2,200円程度まで視野に入る。これは市場が「収益改善が本物だ」と評価した場合で、PERが適正値まで戻り、PBRも高めに評価される可能性がある。配当も安定しているため、下値不安が小さくなるのも上昇要因となる。
次に「中間の場合」だが、最も現実的なシナリオとしては、売上は現状維持〜微増、利益も横ばい〜小幅改善にとどまり、ROEもそこまで高まらないケースが考えられる。広告市場は大きくは変わらず、景気の波に合わせて出稿が増減しながらも、会社としては安定した経営を続けるイメージである。この場合、株価は1,300〜1,500円程度のレンジに収まり、現在の株価水準から10〜30%程度の上昇余地にとどまる。急騰するような銘柄ではないが、配当利回りが約2.7%であることを考えると、値動きの小さい安定株として保有し続ける選択は十分に成立する。大きく儲かる銘柄ではないが、暴落もしにくい“中庸な銘柄”という評価になる。
最後に「悪い場合」だが、景気後退や広告出稿の縮小、マーケティング費用の削減などが起きた場合、広告代理店は真っ先に影響を受けやすい。とくに博報堂DYは利益率がもともと高くないため、少しの売上減でも利益が大きく落ち込みやすい。ROEやROAの低下が続き、投資家の期待が薄れていくと、株価は800〜1,000円程度まで下落する可能性がある。このレンジは企業規模の大きさや配当の下支えを考えると妥当で、無配になるリスクは現状小さいものの、利益が低迷すれば市場が割安評価を続ける可能性は十分にある。
総合すると、博報堂DYホールディングスは「大きく跳ねる成長株ではなく、安定配当を受け取りながら中長期で静かに持つタイプの銘柄」である。広告市場が安定していれば株価も落ち着いた動きが期待できるし、AI活用やデジタル広告比率の拡大によって利益率の改善が進めば再評価される余地もある。逆に景気が悪化すると業績が重くなりやすいため、外部環境の影響を受けやすい点には注意したい。結局のところ、5年後の株価は“利益率と広告市場の戻り具合”がどれだけ改善するかにかかっており、強い伸びを期待しすぎず、配当と安定性を中心に見ていくのが現実的なスタンスになる。
この記事の最終更新日:2025年12月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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