株価
インターメスティックとは

株式会社インターメスティックは、眼鏡レンズやフレーム、サングラスといった主要製品に加え、眼鏡ケースやコンタクトレンズ用ケース、クリーナーなどの付属品まで幅広く手がける眼鏡関連の総合メーカーである。同社は単に製品を製造するだけではなく、企画から販売までを一貫して行う体制を持ち、特に「Zoff(ゾフ)」ブランドの展開によって業界の構造そのものに大きな影響を与えてきた。Zoffの店舗運営は子会社と加盟店が担当し、国内はもちろん海外にも積極的に進出しており、2019年時点では国内237店舗、海外44店舗と、業界でも屈指のネットワークを築いている。
同社の大きな特徴は、SPA方式(製造小売一貫型)を眼鏡業界に持ち込んだ点にある。従来の眼鏡市場ではフレームとレンズが別売りで、結果的に1万円以上が当たり前という価格体系が主流だった。しかしインターメスティックは、輸入フレームやレンズを活用してコストを抑え、自社で企画・製造まで一貫することで効率化を実現し、フレームとレンズをセットにした定額販売を打ち出した。5,000円、7,000円、9,000円という分かりやすい価格設定は、消費者にとって心理的なハードルを大きく下げ、若年層を中心に強い支持を集めた。この成功が業界全体を動かし、他社も同様の低価格セット販売を展開するほど、Zoffが市場に与えたインパクトは大きい。
Zoffブランドは「ロープライスでありながらデザイン性が高い」というイメージを確立しており、ファッション性を意識した商品を多く展開している点も特徴である。トレンドを取り入れた企画開発や、軽量化・耐久性の向上など、技術面でも独自の進化を続けている。季節ごとの新作投入、コラボモデルの展開など、ファッションアイテムとしての価値を強く押し出していることも人気の理由となっている。
さらに店舗戦略として、視力測定やレンズ加工を短時間で仕上げる即日サービスに力を入れており、「眼鏡を買うハードルを下げる」ことに成功している。これもSPA方式ならではのスピード感であり、顧客満足度を高める大きな要因になっている。
総合すると、インターメスティックは「低価格 × デザイン × 迅速なサービス」を武器に眼鏡市場を再定義してきた企業であり、特にZoffブランドは今や眼鏡の大衆化・ファッション化を牽引する存在となっている。業界の常識を変えた価格戦略と、企画から小売までの一貫体制は、同社の競争優位を支える最も重要な要素といえる。
インターメスティック 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12* | 35,885 | 2,847 | 2,664 | 1,266 | 41.8 | 14.6 |
| 連23.12* | 39,875 | 3,497 | 3,427 | 2,562 | 119.6 | 41.9 |
| 連24.12 | 44,845 | 5,012 | 4,878 | 3,515 | 151.3 | 40.2 |
| 連25.12予 | 56,500 | 6,000 | 6,000 | 4,000 | 130.7 | 42.9〜45 |
| 連26.12予 | 80,000 | 7,200 | 7,200 | 4,800 | 156.9 | 54〜55 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022 | 2,776 | -747 | -1,393 |
| 2023 | 2,104 | -1,012 | -585 |
| 2024 | 6,359 | -1,671 | 9,057 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 8.7% | ― | 12.7% | ― | ― |
| 2024 | 11.1% | 15.2% | 10.0% | 18.6倍(高値) 12.2倍(安値) |
2.35倍 |
| 2025予 | 10.6% | 17.3% | 11.4% | 15.37倍 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
インターメスティック(Zoff)は、ここ数年を見る限り非常に勢いのある成長企業で、売上・利益ともに毎年大きく伸びている点がまず目を引く。特に2024年の営業利益は50億と前年比で強い伸びを見せており、営業利益率も11%台まで上昇している。低価格SPA方式を強みに持つZoffブランドが順調に拡大しており、収益体質が年々改善していることが数字から明確に読み取れる。
2025年と2026年の会社予想も強気で、売上は565億→800億へと急拡大予想となっている。もしこの計画が達成されれば、同社は眼鏡業界の中でもトップクラスの成長率を誇る企業へさらに進化することになる。利益も営業利益60億→72億と拡大する見込みで、収益の伸びが売上以上に効率化されていることがわかる。
また、ROEは2024年で15%台、2025年は17%台と日本企業としてはかなり高い水準で推移しており、資本効率の良さが際立つ。ROAも10%前後と、規模の小さめな小売企業としては非常に健全で、収益性が高いビジネスモデルを構築できていることを示している。
一方で、PBRは2倍以上と株価はすでにそれなりに織り込まれており、低評価で放置されているバリュー株という位置づけではない。PERも12〜18倍(実績)、予想では15倍前後で、割安というより「成長企業として適正〜やや割高」くらいの評価になっている。つまり市場はすでに一定の成長を期待しており、今後の株価には業績の継続的な改善が必須となる。
総合すると、インターメスティックは成長性の高さ・収益性の向上・高ROEを兼ね備えた「市場拡大中の優良グロース株」に近い性質を持っている。眼鏡SPA市場では競争が激しいものの、Zoffはブランド力と商品回転の速さ、低価格帯の圧倒的な強みを持ち、海外展開も進んでいるため、中期的にはさらなる成長余地がある。
投資観点では、短期の値上がりというより3〜5年の中期で拡大を狙う成長株投資向きであり、業績のブレが少ない点もプラス材料になる。割安さは求めづらいが、それを補って余りある成長が続いているため、成長期待を持って保有するには十分魅力のある企業と言える。
配当目的とかどうなの?
インターメスティックを配当目的で考える場合、結論としては「完全に配当狙い向けではないが、成長企業としては悪くない」という、やや中間的な位置づけになる。まず予想配当利回りを見ると、2025年が2.13%、2026年が2.68%と、利回りは決して高配当株と呼べる水準ではない。日本株の平均利回りが2%前後であることを考えると、2025年時点では平均並み、2026年でようやく少し上回る程度で、高配当投資を目的とする人にとって魅力が強いとは言いにくい。
ただし、この銘柄のポイントは「成長企業でありながら配当をしっかり出している」というところにある。Zoffを展開するSPAモデルは高い成長性があり、売上も利益も年々伸びている。EPSも119円 → 151円 → 130円 → 156円という流れで推移しており、企業の収益力は明確に強まっている。成長企業は配当をほとんど出さず内部留保を厚くするケースが多いが、インターメスティックは増配にも積極的で、2024年40円 → 2025年43〜45円 → 2026年54〜55円と、順調な配当政策を打ち出している点は特徴的だ。
この“成長+安定配当”という組み合わせは、成熟して高利回りを出すタイプの企業とは性質が異なり、王道のインカム狙いというよりは「成長を楽しみつつ、ついでに配当も受け取れる」というタイプの銘柄に近い。利回りだけを見ると弱いものの、企業の利益成長に応じて増配が続けば、将来的に配当利回りが自然と高まっていく可能性もある。
一方で、現段階の利回りでは配当だけを目的に買うメリットは大きくなく、あくまで“成長企業の株価上昇+適度なインカム”を期待する投資スタンスが自然だろう。Zoffブランドの成長速度が配当に反映されるので、業績が伸び続ける限り配当の安定性は十分確保されると考えられる。
総合すると、インターメスティックは配当利回りだけで選ぶタイプの銘柄ではなく、企業としての成長力を重視しながら、その上で比較的しっかりと配当も受け取れるというバランス型の株になる。純粋な高配当銘柄ではないものの、Zoffブランドの拡大や利益成長が続けば増配の余地も十分にあり、将来的に“育っていく配当”を期待できる点が特徴だ。株価の成長と配当の両方を狙いたい投資家に向いており、単なる利回り目的ではなく、成長性と安定性を組み合わせて長期的に保有する価値のある企業と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
インターメスティック/Zoffの株価が現在の株価(2,009.0円)から今後5年間でどう動くかを考えるうえで重要なのは、この企業が「小売業でありながら高収益」「SPAモデルで価格競争力が強い」「国内外で出店余地がまだ大きい」という成長企業としての特徴を持ちながら、一方で「景気や消費動向の影響を受けやすい」「競合他社も強化してきている」というリスクも抱えている点である。現在の株価は2,009円だが、この水準は同社の成長性と市場の期待をある程度織り込んでいるとはいえ、利益の成長ペース次第で上にも下にも動きやすい位置にある。
まず良い場合は、Zoffのブランド力の向上や海外展開の加速、またECと店舗の双方が順調に拡大し、売上と利益が想定以上のペースで伸びるケースだ。特に近年の同社は営業利益率が10%を超える水準を維持しており、小売業としては異例の高収益性を示している。この収益力が継続し、ROEが15〜18%の高水準を安定的に維持できれば、市場の評価も上向き、PERが20倍台まで上昇する可能性がある。その場合、株価は緩やかな右肩上がりを描き、5年後には3,000〜3,600円ほどまで到達するシナリオが十分に考えられる。
中間的なシナリオでは、国内市場は堅調に推移しつつも、眼鏡市場全体の伸びが落ち着いてくる中で成長速度がやや鈍化するケースだ。売上は増えるものの、営業利益率は10%前後で横ばい、ROEも12〜15%程度に落ち着く可能性がある。この場合、PERは現状に近い12〜18倍の範囲で推移し、株価は大きく崩れず適度な成長を続けるイメージとなる。結果として、5年後の株価は2,200〜2,600円前後のレンジに収まる可能性が高い。大きなサプライズはないが、堅実に推移するシナリオとなる。
悪い場合は、競争環境が一段と激しくなり、JINSなど他社との価格・サービス競争で利益率が低下するケースだ。また、海外展開が計画通りに進まない場合や、景気後退で消費が落ち込んだ場合には、売上こそ維持できても粗利率が下がり、営業利益率が8%前後に落ち込む可能性がある。こうなると市場は成長鈍化を織り込み、PERは10〜12倍の低水準まで落ちることが考えられる。結果として株価は1,600〜1,900円程度まで下がるリスクが出てくる。高収益企業とはいえ、成長期待が失われると株価は反応しやすい。
総合すると、インターメスティックは小売企業としては非常に収益性が高く、成長企業として市場から一定の期待を受けている。したがって、今後5年間の株価は「成長が続けばさらに評価されるし、鈍化すれば市場の期待が一気に冷める」という特徴を持つ。成長性と安定性の両方を兼ね備えているため、投資家によっては魅力的で、一方で競争激化の局面では調整も起こりやすい。こうした点を踏まえると、5年後の株価は1,600〜3,600円という幅の中で動く可能性が高く、どのシナリオを重視するかによって投資判断も大きく変わる銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2025年12月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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