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リガク・ホールディングス(268A)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

リガク・ホールディングスとは

リガク・ホールディングス株式会社は、X線分析装置の世界的メーカーである株式会社リガクを中心にグループ事業を統括する持株会社で、X線回折(XRD)、蛍光X線分析、電子回折装置、ラマン分光器、熱分析装置など、材料研究・品質管理・工程解析で不可欠な高度分析機器を幅広く製造・販売している企業である。リガクは特にX線分析装置の分野で世界トップクラスのシェアを確立しており、その顧客はアカデミア(大学・研究機関)から、大手半導体メーカー、二次電池メーカー、医薬品企業、電子部品メーカーまで多岐にわたり、先端産業の研究開発を支える存在となっている。

同社の大きな特徴は、分析装置に必要な基礎技術や要素部品を外部依存せず、自社で開発している点にある。X線源、光学系、検出器といった主要部品は世界最高水準の技術を誇り、複雑な計測技術を要する材料分析市場で高い信頼性を獲得している。さらに売上の約7割を海外市場が占めており、グローバルな経営体制で各地域のニーズに対応していることから、名実ともに世界規模で事業を展開する国際企業と言える。

企業ビジョンとして掲げる「視るチカラで、世界を変える」は、リガクが材料を“可視化”する力によって科学技術の進歩に貢献し続けるという姿勢を象徴している。実際、同社の製品は産業界の重要テーマである電池、半導体、医薬品、電子部品などの領域で欠かせない役割を果たしており、例えば電池材料では、充放電時の電極構造変化から完成セルの故障解析まで、X線分析が核心技術として用いられている。電池産業の高度化が進む中で、この種の分析需要はますます増えており、リガク製品の存在感はさらに高まりつつある。

半導体分野では、原子レベルの元素分析、薄膜の層構造解析、転位密度のマッピングなど、工程改善・装置開発に直結する高度な分析を行うため、XRD・XRF装置は欠かせない設備となっている。また電子部品分野では、部材の構造解析、材料組成の精密評価、故障メカニズムの可視化など、多様な場面でリガクの技術が利用されており、研究開発から量産プロセスまで幅広い工程で重要な役割を担っている。

さらにリガクグループは、医薬品の結晶構造解析、材料科学の新材料探索、環境測定分野の元素分析など、科学技術の基盤領域にも深く関与している。これらの分野では正確性と再現性が求められるため、同社の精密分析技術が世界中の研究者や製造業者から高く評価され続けている。

リガク・ホールディングスは、X線・分光・熱分析の専門技術を磨き続け、その技術を必要とする産業界の最前線を支える“分析インフラ企業”として成長を続けている。独自技術とグローバル展開を軸に、材料科学や半導体、電池技術の発展とともに需要が拡大する分野で確かな存在感を示している。かな存在感を示している。

リガク・ホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 1株益(円) 1株配当(円)
22.12* 62,701 6,331 3,088 911 4.1 0
23.12* 79,887 15,256 14,826 10,904 48.4 0
24.12 90,652 18,367 17,977 13,615 60.4 3
25.12予 94,100 18,100 17,300 12,300 53.6 18.8
26.12予 100,000 20,000 19,500 13,500 58.8 18.8〜20

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022年12月期 7,363 -2,604 -3,631
2023年12月期 11,723 -2,358 -4,023
2024年12月期 14,604 -6,053 -2,442

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 19.0% 16.6% 6.6%
2024 20.2% 16.6% 7.6% 14.4〜20.9 2.70
2025 19.2% 15.0% 6.9% 18.11

出典元:四季報オンライン

投資判断

リガク・ホールディングスの業績を数字だけで見ていくと、この企業が非常に強い収益体質を持っていることがまず目につく。直近の実績である23.12では売上798億円、営業利益152億円、純利益109億円と、売上規模の割に利益がしっかり出ており、分析装置メーカーとして成熟した収益モデルを持っていることがわかる。翌期の24.12では売上906億円、営業利益183億円、純利益136億円まで伸びており、利益率の改善とともに事業構造が安定している点が印象的だ。

25.12予では売上941億円、営業利益181億円、純利益123億円と、24.12からわずかに利益が落ち込む見通しにはなっているものの、依然として高い利益率を維持している。また26.12予では売上1000億円、営業利益200億円、純利益135億円と再び増益に向かう見通しで、成長の頭打ちというよりは一時的な調整の範囲にあるように見える。

実際に営業利益率を見ると、19% → 20% → 19% と非常に高い水準で推移しており、一般的な製造業とは比較にならないほど収益性が高い。ROEも16%前後を維持し、資本効率も非常に良い。ROAも6〜7%台と、重厚長大型装置メーカーとしてはかなり優秀な数字で、総じて「高収益・高効率の理想的なモデル」を維持していると言える。

こうした収益性の高さは、PERやPBRにも表れており、24年の実績PERは高値平均20.9倍、安値平均14.4倍、PBRは2.70倍と、市場からの評価は比較的高めである。これは、X線分析装置という分野が参入障壁の高い特殊領域であり、代替の効かない高付加価値製品を扱っているリガクに対して、投資家が安定したプレミアムを支払っている証拠でもある。25.12の予想PERが18.11倍という数字も、成長企業としては標準的な水準で違和感はなく、むしろこれだけ利益率の高い企業であれば割高感はない。

この数字の並びを見る限り、リガクは「売上が多少上下しても利益率は崩れにくい」という非常に強い事業構造を持っていることがわかる。電池材料、半導体、医薬品など、世界的に需要が増え続ける分野を顧客に持っているため、長期的にも需要が衰えにくく、企業価値が落ちにくい性格を持つ。特に電池・半導体分野では、構造解析や工程管理に高度なX線分析が不可欠であり、世界的にも代替メーカーが限られるため、リガクは技術的にもビジネス的にも有利な位置にいる。

総合すると、リガク・ホールディングスは利益率・ROE・ROAが極めて高く、事業構造の強さが数字の上でもはっきりしているため、成長株としての魅力が十分にある企業と言える。PERがやや高めなのは収益性の高さの裏返しであり、高付加価値メーカーとしては特に割高ではない。ただし、利益の伸びが急激に加速しているわけではないことから、爆発的な上昇というよりは「高収益を背景にじっくり価値を積み上げていくタイプ」の銘柄になるだろう。

市場環境が安定している限り、中長期では堅実な株価上昇が期待できる企業であり、電池・半導体といった成長産業の追い風が続く限り、企業価値の下支えは強い。数字から判断する限り、同業他社と比較してもリガクは非常に質の高い企業と言っていい。

配当目的とかどうなの?

リガク・ホールディングスの予想配当利回りは、25.12期・26.12期ともに1.94%と、配当株として考えるにはやや物足りない水準にとどまっている。日本株の平均利回りは約2%弱と言われるが、配当を目的に資金を投じる投資家の間では、一般に3%以上を“検討ライン”、4%以上を“魅力的”と感じるケースが多い。したがってリガクの1.94%という利回りは、配当狙いで買うには明確な強みにはなっていない。

さらに注意すべき点は、リガクが比較的“成長企業寄り”の特徴を持っているという点だ。企業の主要指標を見ると、営業利益率は19〜20%と非常に高水準で、ROEも15〜16%と十分に優秀であり、製造装置メーカーとしての収益性はむしろ強みになっている。一方で、配当はここ数年ほぼゼロからスタートし、今ようやく年間18〜20円ほどの水準まで引き上げられた段階で、まだ「安定した配当政策」が確立しているとは言いにくい。配当性向も高くないため、企業としては今後も研究開発や設備投資を優先する方針が強く、配当より成長投資に重心を置いていることが読み取れる。

また、株価指標を見ると2024年時点でPER14〜20倍、PBR2.7倍と、典型的な高収益・成長寄り企業に対して市場がしっかりとプレミアムをつけて評価している状況となっている。これは市場が「利益を成長に再投資していく企業」と見ており、配当で株主に還元するよりも事業拡大に資金を回していく姿を支持していることを意味する。こうした特徴を持つ銘柄は、一般的に高配当にはなりづらく、利回り狙いで投資するタイプではない。

リガクは配当を目的に選ぶタイプの銘柄というより、どちらかといえば成長性や収益力を評価して投資する企業に分類される。世界トップクラスのX線分析技術を持ち、利益率も高く、営業キャッシュフローも安定しているうえ、電池、半導体、医薬品といった世界的に需要が拡大している分野で継続的に引き合いがある。こうした背景から、同社は“配当で利回りを取る銘柄”ではなく、“技術力と市場成長を追い風に株価の上昇を狙う銘柄”と言ったほうが近い。

配当利回りは1.9%前後と低めで、配当目的で投資するとリターンのわりにリスクが取りづらい。一方で、独自技術を武器にした高収益体質と、世界的な材料分析需要の拡大が続くかぎり、業績と株価の成長には期待が持てる。総合的に見ると、リガク・ホールディングスは配当狙いには適しておらず、中長期での利益成長や株価上昇を目指して保有するタイプの企業と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

リガク・ホールディングスの現在株価969円を起点に今後5年間の値動きを考えると、この会社は一般的な製造業とは異なり、「技術力」「市場構造」「利益率」が株価を決定する大きな要素となる。リガクはX線回折、蛍光X線、電子回折装置、熱分析装置など、世界でもトップクラスの技術力を持つ分析機器メーカーで、営業利益率は約19〜20%、ROEも15〜16%前後と極めて高い収益性を誇る。電池、半導体、医薬品といった世界的な成長産業を顧客に持ち、売上も年々拡大しているため、本来は高評価されやすいビジネスモデルだ。

一方で、リガクの市場評価はPER14〜21倍と幅があり、まだ上場からの歴史も浅く、株価形成が安定していない段階にある。業績に安定感があるとはいえ、成長期待の織り込み度合いによって市場の評価は変わりやすく、良い時は高PERがつき、弱い時は中小型株として評価が控えめになる。このため、リガクの株価は企業収益そのものよりも「市場がどこまで成長性を織り込むか」でブレが出やすい特徴がある。

こうした背景を踏まえて、5年後の株価を良い場合、中間、悪い場合に分けて整理すると次のようになる。

良い場合は、電池材料、半導体プロセス、医薬品・材料分析などの需要がさらに拡大し、リガクの売上が順調に伸び、営業利益率20%前後を維持しつつ、EPSも70円〜90円の成長レンジに入るケースである。こうなると市場は再び高成長メーカーとして評価し始め、PERも18〜22倍の範囲をつけやすくなる。この場合の株価は1,300円〜1,900円を十分に狙える水準で、特に電池や半導体分野で大口採用が進めば2,000円台に触れる可能性もある。

中間の場合は、売上は伸びるものの、利益率が20%に届かずやや落ち着いた状態が続き、EPSが50〜65円前後に収まるケースだ。この場合の市場評価はPER14〜18倍程度で推移しやすく、株価は1,000円〜1,300円あたりが中心になる。現状の969円から見て多少の上昇余地はあるが、大きく跳ねるほどの材料がなければ横ばい〜緩やかな上昇にとどまる。

悪い場合は、世界景気の後退や設備投資の縮小などにより、電池・半導体向け装置の需要が一時的に弱まるケースで、EPSが50円を割り込み、利益成長が鈍化する状態である。この場合、PERは14倍を下回り10〜13倍程度で評価されやすく、株価は800円〜1,000円のレンジまで押し戻される可能性がある。ただしリガクは営業利益率が高く、財務体質も安定しているため、大きく崩れるというよりは「成長期待の調整」による下落となる。

総合すると、リガクの株価は分析機器メーカーとしての高い技術力と成長市場への適合性を背景に、中長期的には上昇しやすい構造を持っている。ただし、成長株としての市場評価が安定していないため、5年間の推移は「じわじわ上がるが、成長期待が剥落すると戻りも出る」という波形になりやすい。現在の969円という位置は、割高でも割安でもない中間点であり、これより上に行くか下に行くかは、今後の電池・半導体・材料研究向けの設備投資がどれだけ伸びるかがカギとなる。

この記事の最終更新日:2025年12月3日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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