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ハローズとは

株式会社ハローズは、広島県・岡山県・兵庫県・山口県・香川県・徳島県・愛媛県を中心に、24時間営業を大きな特徴として展開しているスーパーマーケットチェーンである。登記上の本店は広島県福山市南蔵王町六丁目26番7号に置かれているが、実質的に本社機能を担う本部は岡山県都窪郡早島町に存在し、東京証券取引所にも本社所在地は岡山として登録されている。1958年(昭和33年)10月14日に設立され、当初は「府中スーパーマーケット」の名称でスタートした。その後事業拡大と共に現在のハローズへと発展している。上場は2002年9月3日で東証プライム市場に所属し、資本金は約54億円規模で、決算期は2月末日となっている。
ハローズは全店が365日24時間営業であり、これは食品スーパーとして全国で初の試みとされている点が大きな特徴である。またこの営業形態は同社のブランド性と存在価値を強く示しており、夜間や早朝でも利用できる店舗という利便性が地域住民に広く支持されている。出店地域は中国・四国に加えて近畿圏(特に兵庫県)にも広がり、2025年時点では109店舗前後を展開しているとされる。長年にわたり増収・増益を続けており、37年連続増収・12年連続増益という数字が企業の成長性を示している。さらに同社は岡山県のサッカークラブ、ファジアーノ岡山FCのスポンサーも務め、地域スポーツ支援にも関わりを持っている。
店舗の基本的なモデルとしては売場面積600坪型の大型店が多く採用されており、前面ガラス張りの外観、天井高約5mの開放感、ゆとりある通路幅を持つ内装設計が特徴である。広い売場を活かして豊富な品揃えを実現し、陳列量を確保しつつ過度な補充作業を不要にすることで作業負担の軽減と在庫管理の効率化が図られている。商品は生鮮食品・惣菜から一般食品、酒類、日用雑貨まで幅広く取り扱い、生活に必要な商品をワンストップで揃えられる店舗づくりが行われている。またPB(プライベートブランド)商品の開発も進み、品質と価格のバランスを重視した商品展開が行われている。
さらにハローズはNSC(ネイバーフッド型ショッピングセンター)という複合型商業施設の開発も進めている。これは「ハローズ〇〇モール」という名称で展開され、ドラッグストア・100円ショップ・衣料品店・クリーニング店・家電量販店・ホームセンターなど来店頻度の近い業態との組み合わせを意図した商業集積である。駐車しやすく出入りがしやすい無料平面駐車場を備え、地域の生活導線に自然と溶け込む施設構造を目指している。近年はエンクローズドモール形態を採用する店舗も出ており、扉で区切らず開放感を重視した構造など施設進化も見られる。具体的なモール開業例としては東広島モール(2017年9月30日開業)、佐古モール(2019年12月6日開業)、今後の予定として西古松モール(2025年6月20日)、西宮山口モール(2025年11月1日)などが挙げられる。
かつてカー用品店チェーンを展開していた「オートハローズ」と名称が類似しているが、これはハローズとは資本・人的関係がなく無関係である。過去にはオートハローズ跡地にハローズが出店した事例があるものの、ブランドの系譜は全く別であり誤解が生じやすい点としてよく説明が添えられる。
総じてハローズは24時間営業、広い売場、複合商業施設展開、地域密着型店舗運営、そして長期的な業績成長という柱を持つスーパーマーケット企業である。今後も瀬戸内圏を中心に店舗数拡大や商業集積進化を続け、地域の生活インフラとしての役割をさらに強めていくと考えられる。
ハローズ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株当り配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単23.2 | 174,107 | 9,052 | 9,141 | 6,201 | 290.3 | 42 記 |
| 単24.2 | 195,444 | 10,870 | 10,896 | 8,589 | 402.1 | 46 記 |
| 単25.2 | 210,752 | 12,270 | 12,301 | 8,913 | 417.0 | 60 記 |
| 単26.2予 | 227,500 | 13,000 | 13,000 | 9,000 | 422.0 | 68〜70 |
| 単27.2予 | 240,000 | 14,000 | 14,000 | 9,600 | 450.1 | 70〜74 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 10,619 | -11,519 | 4,075 |
| 2024 | 13,154 | -7,249 | -5,603 |
| 2025 | 15,892 | -13,757 | -5,245 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.1% | 11.3% | 6.2% | ー | ー |
| 2024 | 5.5% | 13.7% | 8.2% | ー | ー |
| 2025 | 5.8% | 12.6% | 7.8% | PER 高値平均 11.6倍 / 安値平均 8.6倍 | PBR 1.32倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ハローズの直近推移を見ると、売上・利益は24年→25年→26年予と一貫して伸びており、営業利益は108億→122億→130億、経常利益も108億→123億→130億、純利益は85億→89億→90億と増加している。利益の成長は売上の伸びとほぼ比例しており、急成長ではないが安定した増益基調と読める。EPSは402円→417円→422円と増加傾向、配当も46円→60円→68〜70円予と引き上げられており、増配姿勢が確認できる。
収益性を見ると、営業利益率は5.1%→5.5%→5.8%、ROEは11%→13%→12%、ROAは6%→8%→7%となっており、利益率は緩やかに改善している。ROEとROAは直近でやや後退したものの依然として良好な水準にあり、資本効率は十分評価できる範囲。営業利益率が毎年改善していることやROE12%台を維持している点は、長期投資に向く企業特性として捉えられる。
株価指標を見ると、2025年のPERは高値平均11倍、安値平均9倍、PBRは1.32倍。過度な割高感はなく、利益と配当が伸びている点を踏まえると適正〜やや割安寄りの水準とも見られる。PBR1.3倍前後は資産価値と比較して買えない価格帯ではなく、EPSと配当が継続的に増えている現状を考えると、長期保有しながら配当リターンを得る投資戦略が取りやすいバリュー寄りの銘柄と判断できる。
懸念点としては、純利益の伸びが24→25→26年で85億→89億→90億と鈍化しつつあり、成長スピードは少し落ち着きつつあることが挙げられる。営業利益率は改善している一方でROEとROAはピークからわずかに低下しているため、今後の収益力向上が維持できるかは注意深く見る必要がある。利益の伸びが明確に鈍化すれば市場評価が下がる可能性もあるため、EPSの推移と利益率改善が継続するかは重要なチェックポイントとなる。
総合的には、ハローズは売上と利益を積み上げつつ増配も行っており、財務指標から見ても安定成長型の銘柄である。PER10倍前後、PBR1.3倍という評価水準は大きく割高とは言えず、堅実な利益と配当を軸にした中長期投資と相性が良い。短期での急騰よりも、利益成長と増配を積み重ねていくタイプの銘柄として捉えるのが適切であり、今後の利益率改善とROE・ROAの維持が継続するかを確認しながら保有判断を行うのが望ましいと考える。
配当目的とかどうなの?
ハローズの予想配当利回りは単26.2で1.49%、単27.2でも1.49%で横ばいとなっている。2%を割る水準は高配当株とは言えず、配当利回りだけを狙う投資としては物足りないのが正直な評価になる。特に利回りのみを重視する投資方針なら、同程度のリスクで利回り2%〜3%以上が狙える銘柄が他に存在するため「配当目的のみ」で優先的に選ぶ銘柄ではない。
ただしメリットとして、ハローズは増収増益が続いており、EPSも増えているため将来的な増配余地は残されていると考えられる。「今は利回り低いが成長と共に配当が増えるタイプ」を狙う中長期ホールドなら投資価値はある。現在の利回りでインカム狙い一本で買うなら弱いが、「将来の配当成長を取りに行く姿勢」としてなら一定の魅力はある。
結論としては、配当利回りだけで見ると魅力は小さく、純粋な配当銘柄としての選択は優先度は高くない。一方で利益成長と増配傾向が継続するなら、将来の利回り向上とキャピタルゲインを含めてトータルで期待できる可能性があるため、成長+配当を両方取るスタイルなら検討の余地がある。現時点の利回りだけで見ると「可もなく不可もなく」という水準になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在株価4,545円のハローズが今後5年間でどのような値動きを見せるかを想定すると、前提としてこの会社は地域密着型の食品スーパーでディフェンシブな業態であり、極端な業績の乱高下が起こりにくい反面、劇的な急成長が生まれにくいという特徴がある。
そのため株価は企業の利益成長と配当方針に素直に連動しやすく、良い方向へ実績を積み重ねれば株価は着実に評価されるが、伸びが鈍れば市場の反応も緩やかになると考えられる。特にハローズは増収増益が続く企業であるため、今後も利益率やROEが維持されるか、出店戦略に勢いがあるか、配当政策が強気に続くかが株価評価の分岐点になる。つまり5年後の株価は「利益の伸びが継続するか・鈍化するか・後退するか」この3つによって大きく景色が変わることになる。
まず最も良い展開では、これまでの増収増益トレンドが崩れず営業利益もEPSも右肩上がりで推移し、新規出店のペースが鈍らず利益率の改善も続くことが条件となる。店舗数がエリア拡大とともに増え続けて物流効率も向上し、独自PB商品が浸透して粗利率が改善、ROEとROAも高水準を維持できれば市場評価は自然と引き上がり、5年後の株価は6,500円から7,500円程度へと上昇する可能性がある。増配が継続し、投資家が「成長+配当」を同時に見込める銘柄として買い続ければ、キャピタルゲインとインカムゲインの両取りが狙える未来が描ける。特に食品スーパーは景気変動耐性が高くディフェンシブ性があるため、堅調な決算が続くほど株価の評価レンジが上方に切り上がる展開も期待できる。
中間的な展開では、業績は伸びるが勢いは強くなく、営業利益やEPSは徐々に成長するものの伸び率が限定的となり、市場評価が広がりすぎず株価は横ばいか緩やかに上昇する程度に留まる可能性がある。利益成長が鈍ればPERも10倍前後で落ち着き、配当は増配はするが大きな跳ね方は見せず利回り2%未満の水準が続き、株価の反応も落ち着いた展開になりやすい。5年後の株価は4,200円から5,000円前後に収まり、現在値と大きな差が出ない可能性もある。配当利回りは物足りないものの、事業の安定性とディフェンシブ性があるため下値は固いと評価されやすく、価格が動きにくい代わりに安心感のある保有銘柄として扱われやすい。想定リターンは小さくなるが損失リスクを抑えたい投資家にとっては魅力が残る位置付けとなる。
悪いケースでは、新規出店の伸びが止まり競争環境が激化し、価格競争によって粗利率が低下、物流コストや人件費の上昇が重なり営業利益が圧迫された場合に市場評価は大きく後退する。増収増益が止まり利益横ばいから減益に転じればPERは縮小し、PBRも評価低下で1倍付近まで売られる展開になり得る。その場合の5年後株価は3,200円から3,800円程度まで調整する可能性があり、配当余力が低下すれば増配どころか据え置きや減配リスクも出てくるため、利回り狙いでも魅力は薄れ資金流出が進む。ディフェンシブな小売であるため一気の暴落は限定的だが、成長期待が剥落すれば長期保有でも評価損を抱える可能性が十分現実味を帯びる。
総合すると、ハローズは比較的安定性のあるセクターであるため中長期で焦らず保有するスタイルに向き、良いケースでは株価と配当の両面で報われる可能性がある一方、中間シナリオでは大きな伸びは期待しづらく、逆風が重なれば資本効率の悪化から評価減へ繋がる可能性もある。鍵となるのは利益率の改善、ROE・ROAの維持、増配姿勢の継続であり、この3点が揃うか否かで5年後の景色は大きく変わると考えられる。
この記事の最終更新日:2025年12月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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