株価
フジオフードグループ本社とは

株式会社フジオフードグループ本社は、大阪市北区に本社を置く持株会社で、東証プライム市場に上場している。中核子会社である株式会社フジオフードシステムが事業運営の中心を担っており、日本全国および海外で多数の外食ブランドを展開する。代表的なブランドは「まいどおおきに食堂」「串家物語」「つるまる」「手作り居酒屋かっぽうぎ」などで、これらを含む約37業態の直営店とフランチャイズ店を組み合わせたビジネスモデルで成長を続けている。
創業者・藤尾政弘が1979年に個人事業として藤尾実業を始め、その後実家の食堂文化に着想を得て1988年に「まいどおおきに食堂」1号店を開店したことが始まりである。2006年には中国・上海へ進出し、同年中に47都道府県すべてに店舗を展開した実績も持つ。さらに台湾でも駅構内での弁当販売を含む店舗展開を行い、アジア圏への拡大も試みてきた。高齢者の雇用にも積極的で、特に50〜60代の女性従業員が多く働き、40代以上の従業員比率が4割を超えるなど、飲食業界の中でもシニア人材活用に積極的な企業としても知られる。
主力ブランドのひとつである「まいどおおきに食堂」はカフェテリア式一膳飯屋として全国に広がっており、店舗名は地域名+食堂とする方式で展開。関西圏では直営店が比較的多い一方、他地域ではFC展開が主体となっている。2006年時点で47都道府県制覇を果たしたが、現在では青森県・秋田県には店舗がなく、沖縄は一時撤退後、沖縄料理中心の店として再出店している。ファミリーマートと協業した店舗を一時展開するなど、他業態との連携実験も行っていた。店舗の特徴として、米は毎日精米し卵焼きは必ず注文後に調理するなど、家庭的で温かみのある食事を手頃な価格で提供し、常時60種類前後のメニューを揃えるスタイルが基本となる。
「串家物語」はテーブルごとにフライヤーが設置されたセルフ式串揚げビュッフェで、30種程度の串ネタから自由に揚げて楽しむ形式を採用し、デザートやサラダ、パスタなど幅広い料理を揃える。「つるまる(つるまる饂飩)」はセルフ式うどん業態で、国内に加え台湾・中国・タイにも展開され、海外ではフランチャイズ方式を採用するケースもある。このようにブランドごとに提供スタイルが明確で、ロードサイド型・駅ナカ型・都心型など立地戦略を柔軟に使い分けながら市場拡大を図っている。
企業全体としては、国内外に複数業態を持つことで景気状況や食文化の変化に対応できる分散型ポートフォリオを構築し、直営とFCの両輪による収益確保が特徴となる。食文化と外食習慣の多様化が進む中、熟練スタッフを活かした調理、人の温度が伝わる店舗作り、地域密着型の価格と味を強みに、長期的なブランド価値構築を目指している企業である。
フジオフードグループ本社 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.12 | 26,805 | -2,971 | -2,876 | -4,998 | -115.8 | 2.5 |
| 連21.12 | 25,453 | -3,343 | 1,785 | -489 | -11.2 | 2.5 |
| 連22.12 | 26,530 | -1,886 | -722 | -3,402 | -77.2 | 0 |
| 連23.12 | 29,756 | 389 | 296 | -706 | -15.7 | 0 |
| 連24.12 | 31,324 | 1,217 | 1,030 | 459 | 10.0 | 2 |
| 連25.12予 | 32,300 | 620 | 470 | 50 | 1.0 | 3 |
| 連26.12予 | 35,400 | 900 | 750 | 300 | 5.9 | 3 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022 | 851 | -834 | -2,332 |
| 2023 | 1,739 | -587 | -753 |
| 2024 | 2,153 | -732 | 4,892 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 1.3% | -50.1% | -3.5% | – | – |
| 2024 | 3.8% | 5.3% | 1.7% | 高値平均153.3倍 / 安値平均115.5倍 | 6.86倍 |
| 2025予 | 1.9% | 0.5% | 0.1% | 予想PER1,154.0倍 | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
フジオフードグループ本社について与えられた数値だけで判断すると、まず業績面では23年に売上297億、営業利益3.8億、純利益はマイナス7億と赤字だったものの、翌24年には売上313億、営業利益12億、純利益4.5億へと黒字化しており、この1年の改善幅は確かに大きいと言える。ただし25年予想では営業利益が6.2億、純利益0.5億と大きく減速し、利益率も1.9%と23年並みに戻る予想で、成長の力強さというよりは揺れの大きい収益構造が読み取れる。26年予想では営業9億、純利益3億と再び持ち直すが、24年ほどの改善とは言えず、継続的に伸びていく軌道がまだ形成されていない印象になる。EPSも24年10.0から25年1.0へ急減し、26年でも5.9の回復に留まるため、利益の安定性には課題が残る。
収益指標を見ると、営業利益率は23年1.3%、24年3.8%、25年1.9%予と波が大きく、継続改善というより上下を繰り返す形で定着しきれていない。ROEについては23年-50.1%から24年5.3%に急回復した一方で、25年は0.5%予とほぼ消失しており、企業が資本をどれほど効率的に使えているかという視点では良い評価は難しい。ROAも同様で23年-3.5%から24年1.7%までは改善しつつも25年は0.1%予で停滞。利益水準の変動が資産効率にもそのまま跳ね返っている状況で、現時点では「利益が安定して積み上がる構造」とは言いにくい。
株価指標に目を向けると、24年のPERが高値153倍、安値115倍、PBR6.86倍という時点で利益に対する評価が極めて高く、割安とは言えずむしろ期待込みの株価であることが読み取れる。さらに25年予のPERは1,154倍と数値としてほぼ成立していないレベルで利益が小さいことを示しており、つまり株価が高すぎるのではなく利益が極端に薄いために評価倍率が跳ね上がっている状態とも言える。この構造は、利益が改善すれば見かけ上のPERは下がるものの、改善が遅れれば高評価が剥がれ落ちる形でリスクが表面化しやすい。
総合すると、この企業は24年に黒字化し回復の兆しを見せたものの25年予では再び利益が低下しており、収益の安定性に課題が残ること、営業利益率・ROE・ROAが年ごとに大きく動き、まだ持続的な伸びといえる軌道になっていないこと、そして現在の株価評価は利益に対して非常に重く、割安と判断するのは難しいことが数字から読み取れる。成長力が強く確認できれば評価は変わる余地があるが、現時点の数値だけで判断するなら積極的に買い向かうより業績が安定するまで様子を見た方が合理的に見え、投資する場合も短期よりも回復が明確に確認されたタイミングを意識した方がリスクは低いと考えられる。
配当目的とかどうなの?
フジオフードグループ本社の配当利回りは、予想値で25年と26年ともに0.25%とされており、この数字を見る限りでは配当目的の投資としての魅力はほぼ無いと言って良い水準になる。0.25%という利回りは、銀行預金より僅かに上という程度で、株式投資としてのリスクを取る対価としては非常に低い。また、この銘柄は利益が安定して右肩に積み上がっているわけでもなく、むしろ業績が年度ごとに上下しているため、将来的な増配余地が大きいと断言できる数字にはなっていない。配当のみを目的に買うなら候補としては弱く、そもそも利回りだけで見た場合は他に代替可能な銘柄が多い。
一方で、利回りが低いということは、企業側が配当よりも事業拡大や立て直しへ資金を回すフェーズにあるとも読み取れる。つまり現在は株主還元より業績改善が優先されている段階で、配当を軸に保有する時期ではないという見方が正しい。将来業績が安定し利益が増え続けるなら、今後配当が徐々に増えるシナリオも可能性としては残るが、現時点の利回り水準と利益水準を見る限り、期待先行ではなく「増配の実績が見えるまで待つ」という判断が理にかなっている。安定高配当株としての資質は今はまだ不十分で、配当を求める投資家にとっては現段階では優先度は低い銘柄という評価になる。
配当で稼ぐ銘柄ではなく、もし保有するのであれば「利益回復 → 配当成長」に繋がる未来待ちの長期視点になる。ただしそれは現状の配当利回りではリターンの軸にはならない。配当目的という観点に限定して評価するなら、現状は見送り、もしくは業績定着まで監視に留める方が合理的と結論付けられる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在株価1,154円のフジオフードグループ本社が今後5年間でどのような値動きを辿るかを考えると、まず前提としてこの企業は黒字と赤字を行き来しながら利益が安定しきらない状態が続いており、営業利益率も1〜3%台に収まる低収益型で推移している。そのため上昇シナリオが成立するためには、まず利益の増加が継続的に実現しなければならず、利益が伸びない限りPER1,154倍という極端な指標は改善せず、株価は“期待先行”の高い評価を支えきれなくなる可能性がある。ただ外食チェーンを複数ブランドで展開していること、景気回復や出店増、コスト管理の成功によって利益率が改善していく可能性が残されていることも事実で、数字が変化すれば株価評価は大きく転換する余地を持っている。
良いシナリオでは、食堂・うどん・串揚げといった複数業態が上手く回り、各店舗の客数・原価率・人件費負担が安定し、利益とキャッシュフローが積み上がる形になる。この場合、現在の割高状態も利益拡大によって徐々に中和され、PERが常識的な水準まで戻れば株価は自然に持ち上がる。売上が右肩で伸びて営業利益率が3〜5%程度まで改善し、純利益が年間数億から二桁億に乗れば、投資家は成長性のある外食企業として再評価しやすくなり、株価は5年後に1,500〜1,900円まで上がる未来も現実味を帯びる。海外展開強化やブランド強化、店舗生産性向上などが軌道に乗れば、上値追いのシナリオは十分ある。
中間シナリオでは、黒字化と逆戻りを繰り返しながらも売上が緩やかに増え、利益も小幅ながら改善し続けるものの市場が確信を持てるほどの安定性を評価できず、株価は大きく跳ねずに横ばいで推移する可能性が高い。利益が1桁〜数億の範囲で上下し、営業利益率も2〜3%あたりで落ち着くと、PER・PBRは依然として高く見えるため資金は入りにくく、株価は1,050〜1,300円のレンジ程度で推移することが考えられる。この状態だと、長期保有はできても利益と株価の爆発力は乏しく、投資妙味は価格急変よりも安定観察という位置づけになる。
悪いシナリオでは、再び赤字化または限りなく利益の薄い状態に戻り、 ROE・ROAが低水準で停滞した場合、現在の高いPBR6倍台は修正され、株価は割高解消の方向に圧力がかかる可能性がある。外食業は人件費や原材料コストの影響を受けやすく、不採算店が増えると収益は一気に悪化する。利益が伸びずにPERだけが跳ね上がる状態が続けば投資家はプレミアムを許容しなくなり、株価は700〜900円のゾーンまで調整してもおかしくない。業績が改善しない限り利回りも低いままで、長期保有メリットが薄れるため、資金が抜ければ一段安の展開も十分にあり得る。
結論として、この株価1,154円は明確な成長ストーリーが無いと維持しづらく、今後の5年間は業績が改善すれば上、横ばいなら停滞、悪化すれば調整という3方向に素直に分岐する。上方シナリオは業績の持続改善が必須条件、横ばいは現状維持、下方は割高修正と見れば理解しやすい。未来を決めるのは利益率の改善スピードと再現性であり、投資妙味は「変化の兆しを掴めるかどうか」に集約される銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す