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円谷フィールズホールディングスとは

円谷フィールズホールディングス株式会社は、ウルトラマンで知られる円谷プロダクション、そして遊技機メーカーとして長く事業展開してきたフィールズを傘下に置く持株会社で、エンタメと遊技機を結びつけるグループ構造を持っている企業である。1988年に東洋商事として設立され、その後2001年にフィールズ株式会社へと商号変更し、2022年には会社を新旧に分割する形で持株会社化が行われ、旧フィールズが現行の円谷フィールズホールディングスとなった。2024年にはソフィアの株式取得を進め、まず連結子会社化、そして9月18日には追加取得により完全子会社化へと移行しており、遊技機開発領域の統合と強化を図る動きが続いている。
事業の軸はパチンコ・パチスロを中心とした遊技機の企画開発と販売であり、代表作のひとつとしてエヴァンゲリオンのシリーズを長く展開してきたことで知られる。ただ、それだけではなく、グループ内には映像制作を行う円谷プロダクションが存在し、映画・ドラマ・配信映像やキャラクターライセンスのビジネスまで担っているため、知的財産の開発から遊技機への活用、メディア展開、グッズ販売という流れまで横断的に利益を生み出せる構造がある。いわばコンテンツと遊技機を一体として運用するモデルで、遊技機だけのメーカーとも映像会社とも違う、二つのエンターテインメント市場を跨ぐビジネスが最大の特徴になっている。
さらに、IPを所有していることは大きな資産であり、今後はアニメ、映画、ゲーム、イベント、海外展開など、広範囲なメディア展開の可能性を持っている。ウルトラマンは国内外で知名度が高く、海外放映権や商品化権、ファンコミュニティの形成など、遊技機以外の収益源として長期的な拡張余地があることも強みのひとつである。フィールズ由来の業態は景気や規制に左右されやすいが、円谷プロの映像コンテンツビジネスは比較的異なるサイクルで動くため、複数の波を組み合わせた事業運営が可能になっている。
持株会社化により経営構造は整理され、遊技機事業と映像・コンテンツ事業の運営がグループ下で分離されているため、今後はIP活用と遊技機の収益をどのように連動させていくかが企業価値の伸びに直結しそうなテーマになっていく。ソフィアの完全子会社化もその一環と見れば、開発力とラインナップ強化、コンテンツ活用の幅を広げる布石と解釈できる。
円谷フィールズホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益 (EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 117,125 | 10,950 | 11,218 | 8,221 | 126.7 | 30 |
| 連24.3 | 141,923 | 11,827 | 12,947 | 11,551 | 176.6 | 40 |
| 連25.3 | 140,581 | 15,295 | 16,462 | 11,158 | 178.8 | 50 |
| 連26.3予 | 160,000 | 17,500 | 17,700 | 12,300 | 197.7 | 50〜55 |
| 連27.3予 | 170,000 | 19,500 | 19,600 | 13,600 | 218.6 | 50〜60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) | 投資CF (百万円) | 財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 12,561 | -7,642 | -725 |
| 2024 | 5,563 | -4,101 | -3,145 |
| 2025 | 7,779 | 1,100 | -13,520 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER (高値〜安値) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 9.3% | 21.0% | 10.1% | – | – |
| 2024 | 8.3% | 24.2% | 11.7% | – | – |
| 2025 | 10.8% | 21.8% | 11.2% | 17.3倍〜5.2倍 | 2.03倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
円谷フィールズHDの業績推移を見ると、売上は1419億→1405億→1600億予想と増加傾向で、特に26年予では大きく伸ばす計画となっている。営業利益は118億→152億→175億予、経常利益も129億→164億→177億予と順調に拡大しており、利益の成長スピードは売上以上の伸びを見せている。純利益も115億→111億→123億予測となっており、安定しつつ再増加に転じる形で評価しやすい。特に利益率が改善しているのがポイントで、営業利益率は9.3%→8.3%→10.8%と一時低下後に大きく回復。ROEは21.0%→24.2%→21.8%と20%超えを維持しており、資本効率はトップクラスの水準と言っていい。ROAも10.1%→11.7%→11.2%と一貫して高く、事業の収益体質は強固。
株価水準を見ると、PERは2025年で高値17.3倍・安値5.2倍と幅が大きく、相場環境や業績期待で評価が変動しやすい銘柄と読み取れる。平均的には妥当〜やや割安な位置も存在していた可能性がある。PBRは2.03倍で資産価値比ではやや高めだが、ROE20%超を維持できている企業としては十分許容範囲。PBR2倍台は成長企業として普通に評価されているゾーンで、過熱感は限定的。
結論として、円谷フィールズHDは売上・利益ともに伸長し、利益率とROEが高水準で推移していることから、定量データだけ見れば投資対象として魅力的。収益性が高く、進行期・次期とも増益を見込む点もプラスで、長期的なEPS成長と株主還元に期待が持てる。一方でPERの変動幅が大きく、市場環境により株価が振れやすい銘柄であるため、上昇余地と下振れリスクが共存するタイプとなる。高ROEを維持できるなら中期成長シナリオで買いで考えられ、弱含む場合は割高感が意識されやすいので監視しながら押し目で拾う戦略が適切と言える。
配当目的とかどうなの?
円谷フィールズHDの予想配当利回りは 26.3期・27.3期ともに2.65%で横ばい見込み。利回りだけ見れば高配当株とは言い切れず、配当目的で優先的に買われる水準ではない。ただし利益成長が続き、EPSも176.6→178.8→197.7→218.6と伸びていることを踏まえると、配当余力は十分に高まりつつある。現在は配当利回りが突出しているわけではないものの、増配基調と利益拡大が並走すれば、将来的に「利回りが後からついてくる銘柄」になる可能性がある。
現状では配当利回りだけで買う銘柄ではなく、成長とセットで評価するタイプ。利益が伸び続ければ将来の配当引き上げも見込める一方、成長が鈍れば利回り2.6%前後で固定され、魅力は弱まる。特にPER変動幅が大きい分、株価調整が起きれば利回りは相対的に改善し、押し目で買えば「配当+成長」のバランス投資として成立しやすくなる。逆に高値圏で買うと、利回りだけではカバーが効かない点に注意。
まとめると、円谷フィールズHDは利回りだけで買うには少し弱く、配当を主目的とした投資とは言い切れない。一方でEPSが伸びており業績も拡大しているため、今後の成長が継続するなら将来の増配余地は十分にあり、魅力が高まる可能性がある。現状は配当だけで狙うよりも、業績成長と配当の両方を合わせて狙う方が合理的で、総合リターンを期待する投資家にとっては検討余地がある銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在株価1,886円の円谷フィールズHDが、この先5年間でどのように動く可能性があるかを考えると、まず利益が伸び続けてIP需要も強いまま推移する強気シナリオ、利益は維持するものの成長速度が落ち着く中間シナリオ、遊技機市場の循環やコンテンツ収益が鈍化した場合の弱気シナリオという三つの方向が見えてくる。近年は売上・利益ともに堅調で、特にROE20%前後という高水準は市場で評価されやすいポイントだが、業績変動や版権依存性も残っているため、振れ幅は大きくなりやすい銘柄と言える。
良い場合は、ウルトラマンなどのIPを軸とした映像コンテンツ、パチンコ・パチスロのヒット継続、版権展開の拡大によって利益が右肩で伸びていく展開。これに加えて新規タイトル誕生や海外展開、映像やゲーム領域との相乗効果が成功すれば、EPSはさらに積み上がり、市場の期待が高まるたびに株価が段階的に押し上げられる可能性がある。PERが高値寄りに評価される局面が続けば、5年後は3,000円〜3,800円台まで到達していても不思議ではなく、長期保有で報われるパターン。特にIP事業はヒットが出ると利益と評価が同時に跳ねるため、一発で株価リセットが起きる可能性まで含むのが強気筋の魅力。
中間の場合は、利益成長は続くが急拡大ではなく、営業利益・純利益とも年率数%の伸びに落ち着いたパターン。配当は維持、EPSも伸びるが市場の期待は大きくも小さくも動かず、PER水準はやや中間で安定し、株価は5年後に2,000円〜2,500円程度を中心に上下する展開が自然と考えられる。この場合は急騰は望みにくいが底堅く、長期保有でもマイナスになりにくい銘柄として機能する。材料が出たときだけ一時的に跳ね、基本は業績に沿って素直に動く、いわゆるスタンダードな推移。
悪い場合は、版権に依存する構造が裏目に出てヒット作不足、遊技機循環が不調、広告開発費やIP投資だけが膨らむなどで利益率が低下するシナリオ。EPS成長が止まりROEも低下すれば、割高感が意識されやすく、PERが低位評価に置かれたまま回復できない可能性もある。その場合は株価は1,200〜1,500円台まで調整して推移する可能性があり、「利益は出るが伸びない企業」という認識に変わると戻りが重くなりやすい。特にIPやパチンコ機種は波があるため、好調期の反動や供給サイクルに左右されるリスクも無視できない。
結論として、円谷フィールズHDの株価は良い場合には利益拡大とIPシナジーが強く働き、1,886円から2倍近い水準まで視野に入る可能性がある一方、中間ケースでは成長は続きながらも緩やかで、現在の株価付近を中心に大きくは動きにくい展開が想定される。反対に悪い場合は収益の伸びが鈍化し市場の期待が剥落すれば、1,200〜1,500円まで調整余地が生まれるリスクもある。つまりこの銘柄は「IPが継続的に育つかどうか」が将来を左右する軸であり、ヒットが続けば株価上昇余地は大きいが、停滞すれば評価も素直に冷え込む。上昇を狙うならIP展開・海外展開・映像メディア展開など価値拡張の動きを追う必要があり、逆に下振れを避けるにはパチンコ機種の販売状況や開発進行、利益率の維持がポイントとなる。買い時は業績が伸びているにもかかわらず市場評価が落ち着いている局面、つまり業績と株価のギャップが生じたタイミングが入りやすい。
この記事の最終更新日:2025年12月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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