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ハウス食品グループ本社(2810)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ハウス食品グループ本社とは

ハウス食品グループ本社は、1913年に大阪で生まれた浦上商店を起点とし、粉末カレーの製造開始から長い時間をかけて日本の家庭に浸透してきた食品企業である。1928年に「ハウスカレー」を生み出したことが大きな転換点となり、その後、国民食ともいえるカレー文化の拡大とともにハウス食品も成長してきた。戦後の法人化、社名変更、そして2013年の持株会社化へと経営形態を進化させながら拡大を続け、今では「ルウカレー国内首位」という強い存在感を持つ。東京と大阪に拠点を構え、伝統的な食品メーカーでありながら現代的な経営体制を備えたグループ企業となっている。

事業領域はカレーだけではない。バーモントカレー、ジャワカレー、こくまろなどのルウ商品を軸に、ククレカレーやフルーチェ、香辛料、デザートベース、レトルト食品まで商品ラインは幅広い。健康食品や機能性飲料も強化しており、「C1000」「ウコンの力」「メガシャキ」といったブランドはテレビCMの記憶にも残る知名度を持つ。香辛料ブランド「GABAN」、でんぷん食品のマロニー、セブン-イレブン向け惣菜メーカーのデリカシェフなどを抱え、原材料から調理加工、最終商品までを多層で持つ食品グループとしての厚みがある。家庭用・業務用の両市場に深く入り込んでいることも強みで、スーパーの棚・外食厨房・コンビニのバックヤードまで、生活圏のあらゆる場所でハウス食品を見つけることができる。

海外展開も積極的で、米国では豆腐や大豆食品の企業を傘下に収めプラントベースフード領域に踏み込んでいる。欧州でもPBF製品を展開し、東アジアや東南アジアでは香辛料・加工食品・飲料など地域の食文化に合わせた商品展開を行う。カレー文化そのものを輸出するだけでなく、大豆や植物性食品といった海外需要の強い分野で新市場を取りに行く姿勢が印象的だ。成熟した日本の食品市場に対し、海外の伸びしろを新しい成長原動力に変えようとしている構図である。

さらにこの企業の特徴的なポイントとして、外食事業を持っている点がある。それが「CoCo壱番屋」だ。ルウメーカーが外食チェーンまで持つことで、食品製造から小売・飲食までバリューチェーンが繋がり、ブランドを商品棚だけでなく店舗という形で顧客に届けている。壱番屋は国内外に店舗を広げており、カレーというカテゴリーを「家庭の味」「外食の味」の両面で押さえられるのは競争上の大きな優位性だ。

一方で、課題がないわけではない。国内市場は人口減少や食品価格高騰の影響を受けやすく、内食需要が安定していても市場の伸びは大きくない。そこで海外食品事業と健康食品の成長が中長期の鍵となる。豆腐や植物性食品は健康志向の世界的潮流に乗りやすく、成功すれば第二の柱に育ち得るが、海外展開は文化・嗜好の壁もあるため決して簡単ではない。国内ブランド力は圧倒的だが、それをどう海外で価値化していくか、今後の成長曲線の傾きはそこにかかっている。

総じてハウス食品は、「伝統」「ブランド」「生活密着」「多角展開」「海外成長余地」という複数の顔を持つ企業だ。カレーで築いた土台の上に健康食品、惣菜、プラントベース、外食を積み上げ、成熟市場と成長市場を複線で走っている。100年企業でありながら次の100年を見て動いています。

ハウス食品グループ本社 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当
連23.3 275,060 16,631 18,253 13,703 140.0 46
連24.3 299,600 19,470 21,085 17,580 180.5 47
連25.3 315,418 20,004 21,388 12,493 131.9 48
連26.3予 333,000 20,800 21,700 12,600 135.6 48〜49
連27.3予 350,000 22,000 23,900 13,900 149.6 48〜49

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 19,483 -21,467 -12,739
2024 25,571 -2,299 -7,382
2025 26,568 -12,281 -9,060

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 6.0% 5.0% 3.4%
2024 6.4% 6.0% 4.0%
2025 6.3% 4.2% 2.8% 21.7〜18.1倍 0.92倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ハウス食品グループの数字を素直に追っていくと、まず目につくのは売上が順調に積み上がっている点。2,750億 → 2,996億 → 3,154億と階段を踏むように増えており、今後予想でも3,300億〜3,500億と緩やかな拡大が続く見通し。食品メーカーとしては教科書のような安定成長で、ブランド力(特にカレー・加工食品)が需要を底支えしているのが見えてくる。トップラインだけ見れば非常に綺麗な伸びで、ここがこの企業の強み。

しかし利益に目を向けると、風景は少し違う。営業利益は166億 → 194億 → 200億と伸びているのに対し、純利益は175億 → 124億 → 126億へ落ち込んでいる。事業は拡大しているのに、最終利益は細っている。このズレはコスト・投資・外部環境による利益圧迫が発生している可能性を示し、今の成長が手放しに喜べる形ではないことを示している。売上だけでなく「どれだけカネが残っているか」を見るべきフェーズに入った感覚。

営業利益率は6%前後で横ばい。悪くも良くもなく、可もなく不可もなく、安定的だけど伸びきれない。この水準は食品大手としては標準的で、超高収益というほどではない。むしろ注目すべきはROEだ。6.0% → 4.2%、ROAも3.4% → 2.8%。資本効率が落ちている。企業規模が大きくなる中で、利益成長が追いついていない。もしこの流れが続くと、市場からの評価がジワジワ縮む未来もある。良い企業だが、投資対象としての「旨味」は現時点では強くはない。

ただ、割安感が全くないかと言えばそうでもない。PBRは0.92倍。資産に対して大きく買われていない、つまり放置に近い評価とも言える。PER18〜21倍は高めだが、利益が戻れば評価は変わる。今の株価は良くも悪くも「期待しすぎず、見放しもされない」中庸の位置。数字はどちらにも転べる。上も下もある。

まとめると、ハウス食品は売上の成長基盤があり、安定感あるビジネスモデルを持つ一方で、利益効率の改善が停滞しているため、市場評価が伸びきらない状態にいる。企業としては優等生だが、株としては今まさに「試されている」段階。利益率とROEが再び上向けば見直されるし、回復が鈍ければ横ばい〜じり安という未来も現実的。

配当目的とかどうなの?

ハウス食品を配当面から眺めると、予想配当利回り(2026・2027年度)はおよそ1.65%。決してゼロではなく、きちんと還元する姿勢は見えるのに、配当を主目的で投資するにはやや弱い数字というのが最初の印象だ。特に最近は3〜4%を超える銘柄も多く、配当利回り単体のランキングで言えば埋もれがちな位置にいる。ただしこの会社は、短期の利回りで勝負するというより「長く持って裏切られにくい会社」という性質が強い。食品という生活必需カテゴリーで、景気に左右されにくく売り上げの土台が崩れない。業績が激しく振れず、急な減配リスクも低い。利回りの数字だけでは測れない“安心感という配当”を持っているとも言える。

配当推移を見ると、46円 → 47円 → 48円と一歩ずつ増えてきており、急激な増配はなくても「切らない・少しずつ積む」という方針が見える。利益が伸び悩む時期でも配当を維持している点は企業としての株主意識が強い証拠で、長期ホルダーにとっては信頼材料になる。一方で、純利益が強く伸びていないため、ここからさらに大きく配当を伸ばす余力があるかと言われると評価は慎重になる。つまり配当だけでこの銘柄を選ぶ場合、「大きく増える未来に賭ける」のではなく、「安定を買う」と考えたほうが腑に落ちる。

もし配当目的で投資するなら理想のスタンスは、「急がず慌てず、押し目で拾って長く持つ」。利回りはそこまで高くないが、企業内容とブランドの強さを考えれば、長期での下値不安が比較的少ない。それは配当利回りの数字以上の価値だ。高配当で大きく稼ぐ銘柄ではないが、生活インフラ型の食品企業として、持っていて眠れる銘柄という安心感がある。セクターとしてもディフェンシブで、景気後退局面でも大きく崩れにくい。利率ではなく“心の平穏”がリターンになるタイプと言っていい。

まとめると、ハウス食品は、高配当狙いで攻める銘柄ではない。だが、安定性を買い、長い時間を味方にしてじっくり保有するには向いている。増えるというより「減らない配当」。大きな花火ではないが、寒い夜に手元で温かく燃え続ける焚き火のような存在だと思う。

今後の値動き予想!!(5年間)

ハウス食品グループ本社の現在株価2,893.5円を基準に5年間の株価を考えると、結局鍵になるのは利益とEPSの伸び、それとROEの戻り方で方向がはっきり変わる。売上は過去から予想まで2750億→2996億→3154億→3330億→3500億と安定して伸びており、食品メーカーとしての規模は綺麗な右肩だが、純利益とEPSは必ずしも並行して上がっておらず、利益の波が存在している。EPSも140.0→180.5→131.9→135.6予→149.6予と揺れが大きいため、成長はしていても「年ごとにムラが出る体質」が株価の重さにも繋がっている。営業利益率が6.0→6.4→6.3%で安定しているのは強みだがROEが5.0→6.0→4.2%と下に触れている点は課題で、資本効率が再び改善できるかどうかで未来が変わる。

今の株価2893.5円は予想EPS135.6〜149.6換算でPER19〜21倍ゾーン。これは2025年基準の市場バリュエーション(高値21.7/安値18.1)と完全に重なるため、現状は割安でも過熱でもなく、ただ真ん中に立っている。同社は安定成長型ではあるものの、高利益体質とは言い切れず、EPSが伸びる年と落ち込む年があるため、市場は強気に大きく評価を上げにくい。だからこの株は上昇のために「利益の成長という明確な根拠」が必要になる。

良い場合は、EPSが150を超えて160〜180のレンジに到達し、ROEが6〜8%まで戻る未来。利益が積み上がる姿が市場に見えればPERは20〜23倍でも違和感なく、株価は3200〜3800円が自然な到達レンジになり、最高なら4000円に触れる可能性も十分ある。値上げ効果の定着、CoCo壱・豆腐事業の収益寄与改善、海外展開の加速、これらが数字で裏付けられた時は株価は動き出す。

中間の場合は、EPS140〜155の間で推移し、ROEは5〜6%に留まり、営業利益は増えても角度が弱い展開。売上は伸びるが利益が太らず、コストも重く、数字だけ見ると見栄えは良くないが悪くもない。こうなると市場評価も今と大きく変わらずPER18〜20倍程度になり、株価は2700〜3100円あたりを中心に横ばいを繰り返しやすい。今の株価はその上限寄りなので、数字が平行線を辿るなら伸び悩む可能性が高く、上に抜けるには業績面でのプラス材料が必須になる。

悪い場合は、EPSが120〜135で止まり、ROEが4%未満に落ちる未来。利益率が下がり、投資回収に時間がかかり、コスト負担が重い構造が続くとPERは15〜17倍まで縮小し株価は2100〜2500円が現実的な落ち着きどころだと思われる。食品はディフェンシブに見えて利益は簡単ではなく、値上げが通らない年や原価高騰が重なると利益は削られやすく、業績停滞が続くなら2000円台前半までは普通にあり得る。

つまりこの銘柄の未来は、利益が伸びれば上、横ばいなら横レンジ、悪化なら素直に下という非常に分かりやすい構造。いまの株価2,893.5円は中間ゾーンの上縁あたりで、ここから先の方向は数字の改善次第で変わる。EPSが150超〜160方向に向かう兆しが見えれば買いに変わる位置だし、逆に業績が重くEPS130前後にとどまるなら上値は重くなる。結局この銘柄は「決算を見て判断するタイプ」であって、期待だけで持ち続ける銘柄ではなく、数字が伸びて初めて評価が変わる。

この記事の最終更新日:2025年12月5日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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