株価
ブルドックソースとは

ブルドックソース株式会社は、東京都中央区に本社を構える老舗の調味料メーカーで、特にウスターソースや中濃ソースといったブラウンソースの分野では国内でも代表的な存在といえる。ブランドとしての歴史は長く、100年以上続く食品メーカーでありながら、現在も家庭の食卓で日常的に選ばれていることが、この会社の根強い存在感を物語っている。
事業領域は家庭用ソースが中核だが、単にウスターソースだけを作る企業ではない。中濃ソース、とんかつソース、お好み焼き・焼きそば用、用途別ソース、ドレッシング、和風調味、さらにはスパゲティ用材料「まぜりゃんせ」シリーズ、健康志向に寄せた発芽玄米など多岐にわたり、台所に一本置いておけば幅広い料理に使える“万能型の味”を追求してきた。また中濃ソースは実はキッコーマンが開発元で、ブルドックは後発で参入したにも関わらず関東圏を中心に定着し、首都圏ではシェア50%以上。後発でも市場を獲った理由は、日常料理に寄り添った味の調整力と、ブランドの浸透力の高さにあるといえる。
加えてブルドックは買収によるエリア戦略も積極的だ。2005年に関西ブランド「イカリソース」を取得し、西日本の販売網を大きく補強。さらに2019年には広島発の老舗「ミツワソース(サンフーズ)」を傘下に収め、中国地方でのシェアと流通網を広げた。関東では圧倒的存在、関西・中国地方にもグループを通して影響力を持ち、まさに**「ソースは地域で味が違う」日本市場の地形を理解した拡張の仕方**をしてきた企業である。
ブランド刷新にも柔軟で、近年では家庭用ソース普及の起爆剤となった「うまソース」が象徴的だ。調味万能型として提案し、パッケージを大幅リニューアル、さらに派生として「旨塩」を追加するなどライン展開を広げている。古い企業でありながら、パッケージ・味の方向性・顧客提案を時代に合わせてアップデートする姿勢が見える。また業務用領域では人手不足や衛生面に配慮し、卓上ソースや個包装対応を増やすなど、飲食店の現場課題に寄り添う製品導入が進んでいる。家庭用中心でありながら業務用も育てたい段階に入り、収益源の多角化が今後のテーマになると考えられる。
ブルドックの特性は、巨大なイノベーションで市場を取る企業ではなく、生活にしみ込む味を守りながら、少しずつ強く広く深く展開していく企業というところにある。決して派手ではないが、家庭の定番商品としての安定需要、エリア拡張による全国網の強化、レシピ提案型調味料開発、ブランド刷新による若年層訴求など、静かに積み上げる戦い方をしている。長年食卓に定着し続けた企業というのは信頼資産を持っており、それが新商品にも自然と乗る。この“一度家庭に入れば長く残りやすい”食品メーカーならではの強みは、ブルドックにも確かに存在している。
ブルドックソース 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 13,529 | 430 | 1,234 | 595 | 44.6 | 35 |
| 連24.3 | 14,482 | 163 | 674 | 145 | 10.9 | 35 |
| 連25.3 | 14,617 | 223 | 864 | 623 | 46.9 | 35 |
| 連26.3予 | 15,300 | 500 | 1,200 | 2,200 | 169.9 | 45特 |
| 連27.3予 | 16,000 | 600 | 1,000 | 800 | 61.8 | 45〜50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 44 | -3,125 | 4,570 |
| 2024 | 90 | -4,076 | 31 |
| 2025 | 2,330 | 635 | -2,491 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.1% | 2.9% | 1.6% | — | — |
| 2024 | 1.1% | 0.6% | 0.4% | — | — |
| 2025 | 1.5% | 2.9% | 1.9% | PER 高値平均 100.7倍 / 安値平均 81.6倍 | PBR 0.99倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ブルドックソースの数字を見ると、売上は144.8億 → 146.1億 → 153.0億と緩やかに増加しており、規模としては縮んでいない。一方で利益の推移は安定とは言えず、営業利益は1.6億 → 2.2億 → 5.0億と回復傾向はあるが水準はまだ低い。経常利益は6.7億 → 8.6億 → 12.0億、純利益は1.4億 → 6.2億 → 22.0億と、特に純利益は直近予想で大きく伸びている。ただし、営業利益率を見ると3.1% → 1.1% → 1.5%で、収益体質は改善しきれておらず、売上は伸びながらも利益が取りきれていない状態が続いている。
ROEは2.9% → 0.6% → 2.9%、ROAは1.6% → 0.4% → 1.9%となっており、資本効率は全体的に低い。2025年予想で戻してはいるが、過去と比べて突出した改善とは言いにくく、再現性の判断はまだつかない。評価面を見るとPBR0.9倍台で資産価値から見た割高感はない一方で、PERは81.6〜100.7倍と非常に高く、現時点の利益より将来の利益成長を強く織り込んだ株価になっている。つまり数字が伸び続けない場合、評価が縮小する downwardリスクはかなり大きい。
総合すると、売上の伸びと利益回復は確認できるものの、利益率とROEはまだ低水準で、改善が継続する確証は乏しい。PBRから見ると下値はある程度意識されるが、PERの高さは将来利益が前提の価格であり、期待倒れになった場合は調整を受けやすい。数字だけで判断するなら、積極的に買う段階ではなく、利益率改善が継続するのを確認してから検討するのが妥当で、今はまだ様子見寄りの局面と評価できる。
配当目的とかどうなの?
ブルドックソースの予想配当利回りは、来期・再来期ともに2.38%前後で横ばいの見通しとなっている。利回りとしては高配当とは言えず、あくまで平均的〜やや控えめな水準で、配当収入を目的として保有するには強い魅力は感じにくい。特にEPSの変動幅が大きく、利益水準の安定性がまだ見えていない中での2%台後半という利回りは、インカム目的単体で選ぶ銘柄としては決め手に欠ける。
ただし悪い材料ばかりではなく、PBRが約1倍前後で資産価値と大きく乖離していない点を踏まえると、株価が大崩れしにくい土台は一定ある。一方でPERは80〜100倍とかなり高く、利益が伸び続けない限りバリュエーションが縮むリスクも大きい。そのため、配当だけを狙って持つなら「大きく増配を期待する銘柄ではなく、現状維持・静かに受け取るタイプ」と見るのが現実的だろう。
結論としては、配当狙い単独で魅力的な銘柄とは言えず、利回りで選ぶなら他に競合候補は多い。むしろ利益改善に伴う株価見直しが起きた時に、値上がりと配当をセットで狙うスタンスなら意味がある。配当だけを軸に据えると弱いが、収益回復を確認できるならインカム+中期の成長余地を合わせて狙える可能性は残されている、そんな立ち位置だと思う。
今後の値動き予想!!(5年間)
ブルドックソースの株価は現在1,889円。ここから5年という期間を見据えた場合、決定権を握るのは売上ではなく利益率の動きで、さらにROEがどの水準まで改善して定着できるかが上昇・横ばい・下落の分岐点になる。過去の数字を見ると売上はじわりと増えている一方で、利益は波があり、営業利益率は3.1% → 1.1% → 1.5%と力強さに欠ける。今の株価はPER81〜100倍と期待を前提にした評価になっているため、利益改善が伴わなければその期待が剥がれる危うさも含んでいる。つまり、この銘柄は未来の数字がそのまま株価に反映されやすいタイプで、伸びれば評価され、伸びなければ素直に止まり、悪化すれば押し戻される、良くも悪くも真面目で正直な動きをする銘柄だと言える。
良い場合の未来を描くなら、営業利益率が今の1%台から2〜3%へ、ROEが3〜5%へ持ち上がり、それが1年で終わらず複数年持続すること。この条件が揃うと、現在の高PERはむしろ「改善を織り込む余地」へ変わる。利益が毎年少しずつでも積み上がれば、投資家は評価を引き下げる理由よりも引き上げる理由を見つけやすく、PERが正常化しても株価が維持・上昇できる。そうなれば1,889円からじわじわと評価が切り替わり、2,200〜2,600円というレンジが現実的な射程に入ってくる。大爆発ではなく、芽吹いた木が年輪を重ねて太るようなゆっくりした上昇だが、継続性があるぶん安心感は強い。
中間の未来は、おそらく最も想像しやすい形。利益は今より改善するが大きく跳ねず、営業利益率は1〜2%台、ROEは3%前後で落ち着き、良くも悪くも安定という位置に収まる。このシナリオでは株価は1,800〜2,100円で膠着しやすい。派手さはないが沈む場面も少なく、配当を受け取りながら待つ時間が続く銘柄になる。短期トレードには向かず、中長期で静かに持ち、暇な銘柄と思われた頃にジワッと評価される、そんな粘り型の推移が想像できる。
悪い場合の未来は、利益の回復が一過性で終わり、営業利益率が1%前後に逆戻りし、ROEが2%未満で固定されるケース。期待が続かなければ今のPERは過剰評価とみなされ、ピーク時の重たい複数倍評価が剥がれ落ちるように縮む可能性がある。そのとき株価は1,500〜1,700円のあたりまで素直に押し込められ、成長を証明できるまでは戻りも鈍くなるだろう。ただしPBRが1倍付近である以上、底抜けるよりは下値が遅く重く抵抗しながら進む展開が多く、崩壊するというよりは沈んでから横に伸びる形になりやすい。
まとめると、利益が伸びれば上へ、伸びなければ横、悪化すれば下へ未来の三方向は数字を見ればはっきりと分岐する。今のブルドックソースはどれにも行ける位置にいて、まだ決まっていない。だから注目すべきはニュースやテーマではなく、ただひたすら利益率とROE。その数字が上向きに傾き始めた瞬間、この静かな株は静かではなくなる。利益率とROEが本当に改善し、EPSが200〜250円程度まで伸びて市場評価がPER18〜25倍で定着すれば、株価は1,889円からおよそ3,600〜6,200円(約2〜3倍)を狙える。ただし、これはかなり爆発的に株価が上昇した場合である。
この記事の最終更新日:2025年12月5日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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