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アルコニックス(3036)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

アルコニックスとは

アルコニックス株式会社は東京都に本社を構える非鉄金属の専門商社でありながら、自社グループ内に製造拠点も多数抱えているため、単なる卸売ではなくメーカーとしての顔も持つ企業である。元々は日商岩井の非鉄金属販売会社として始まり、その後メタルプロダクツを統合し、商社の流通機能と製造を一体化させた形で現在のビジネスモデルが形成された。

2006年にジャスダックへ上場し、2008年に東証2部、2010年に東証1部へ指定替え、現在はプライム市場企業として位置づけられている。歴史としては1981年の創業から始まり、2000年の吸収合併や2005年の現社名への変更など節目が続き、M&Aを含めた事業拡大に積極的な企業文化が流れている。2018年には東北化工を傘下に収め、樹脂や特殊素材、摩擦材などの製造領域をさらに広げた。商社として素材を売るだけでなく、自ら加工や製造まで行うことで市場の変化に柔軟に対応し、付加価値の高い収益モデルを築こうとしていることがうかがえる。

扱う商品は電子材料、レアメタル、アルミ銅、チタンなど多岐にわたり、スマートフォン、半導体、自動車、電気機器、建材など産業の基盤となる素材を幅広く押さえることで景気や業界特需の波を取り込みやすい構造になっている。とくに半導体需要やEV化が進む昨今、電池材料や電子部品用金属の重要性は増しており、その領域に深く入り込んでいる点は強みと見られる。

また、リサイクルや再資源化への動きにも積極的で、非鉄スクラップを回収して再生地金を生み出す循環型事業に力を注いでいる。実際に埼玉にリサイクルセンター向けの土地を自己資金で取得したことは、将来需要を見込み長期視点の投資を行っている象徴ともいえる。太陽光パネルや電気機器のリサイクル活用まで視野を広げていることから、脱炭素・資源循環の流れを逃さず事業を育てたい意図が読み取れる。

人材確保にも意識を向け、新卒初任給を連続で引き上げるなど人への投資も惜しまない。事業拡大や製造会社の統合には技術者と現場力が欠かせず、それを理解した経営姿勢が伺える。2024年には「ALCONIX’s BluePrint」というオウンドメディアも立ち上げ情報発信を強めていることから、企業ブランドの強化、採用力の向上、ステークホルダーへの理解促進など広報戦略の深化も進めていると考えられる。歴史・製造・商社・M&A・リサイクル・環境対応・人材育成、これらが折り重なってアルコニックスという企業像を形成しており、非鉄金属の流通から製造、そして再資源化までを一本で扱う珍しい形の企業として成長している。総じて、素材と製造とリサイクルを一体化した持続的な成長モデルを描きながら、時代の変化を掴みにいく姿が感じられる企業である。

アルコニックス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
連23.3 178,333 8,393 8,176 5,488 182.4 54
連24.3 174,901 5,463 5,447 1,598 53.1 55
連25.3 197,004 6,919 7,528 4,805 159.3 74
連26.3予 215,000 8,800 8,200 5,400 180.3 84
連27.3予 240,000 10,000 9,400 6,200 207.0 94

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2023 226 -7,045 5,896
2024 15,215 -2,622 -19,281
2025 7,003 -4,705 -4,799

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 4.7% 8.7% 2.8%
2024 3.1% 2.4% 0.8%
2025 3.5% 6.8% 2.4% PER 高値平均 15.4倍 / 安値平均 12.9倍 0.99倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

アルコニックスの数字だけを見ると、まず売上は1749億から1970億へ、そして2150億予想と素直に伸びており、停滞している企業というよりは回復から拡張へ向かう途中の企業に映る。24年度の純利益は約16億と落ち込んでいるが、25年度には約48億まで戻し、26年度は約54億と利益ベースではしっかり復調の流れに乗り始めている。EPSも53円から159円、さらに180円へと推移しており利益効率の改善が見え、市場が過度な期待をしていない状況の中で業績はじわじわと積み上がっているように見える。また配当も55円から74円へ、そして84円予想と増配姿勢を続けており、株主還元にも前向きな性格がうかがえる。

利益率を見ると営業利益率は4.7%から3.1%へ一度落ち込んだあと3.5%へ反発し、まだ高収益とは言いにくいが底打ち感はある。ROEも8.7%→2.4%→6.8%とV字気味に戻し、ROAも0.8%から2.4%へ改善していることから、資本効率も収益力も悪化から持ち直している最中という印象になる。つまり数字だけを追う限りでは、下降ではなく回復のフェーズに入りかけている企業と読み取れ、業績の向きが上へと変わったことは評価材料になる。

株価指標に目を向ければ、2025年のPERは高値平均15.4倍・安値平均12.9倍と比較的妥当な水準で、成長期待を過剰に織り込んでいるわけではない。PBRは0.99倍と資産価値と株価がほぼ一致しており、割高感はなくむしろ市場がまだ完全に買い戻していない印象も残る。もし利益がこのまま伸び、ROEが10%に接近し営業利益率が4%台へ改善するなら、PBRが1倍台中盤に向けて見直しが入る可能性は十分考えられる一方、利益成長が止まれば現状水準で横ばいもあり得る。市場は期待しすぎず見守る姿勢で、過熱感も悲観もない中立的な評価といえる。

短期的に跳ねる銘柄ではなく、中期でじっくり評価が戻るタイプの株であり、今の数値から判断すれば派手さより安定性を重視する投資家に向く。増収増益と収益性の改善が続く限り報われるが、成長が止まれば株価も止まるという素直な銘柄でもある。配当も増え、利益も戻り、過熱感もないため、中長期で腰を据えるなら選択肢になりうると考えられる。

まとめるなら、株価は割高でなく業績は回復基調、利益率とROEは改善の途中、期待は過剰でない。買うなら利益の伸びを信じて持ち続ける投資が合いやすく、短期より中期で狙う銘柄であると判断できる。

配当目的とかどうなの?

アルコニックスを配当目的で見ると、予想配当利回り(2026・2027年度)3.6%台から4%超まで視野に入っており、高配当株としての水準に届きつつあるラインだと言える。日本株の平均利回りはおおよそ2%前後だが、それと比べると明確に上回っており、単純に配当収入を狙うなら候補に入りやすい位置にある。来期予想の4.06%は特に存在感があり、債券より利回りが欲しい人や安定収入を重視する投資家にとっては魅力が出てくる数字だと感じられる。

ただし配当が魅力的に見えるかは、利益が安定して今後も増配または維持されるかどうかが本質になる。これまでのEPSが53円 → 159円 → 180円と伸びていること、純利益も回復基調にあることを考えると、無理に背伸びした配当というより、利益に沿って引き上げている印象が強い。もし業績がこのまま維持または順調に積み上がれば、配当利回り3.5〜4%台を保ちながらさらなる増配という可能性も十分存在する。一方で、営業利益率がまだ高水準とは言えず、ROEも伸びてはいるが絶対値として突出しているわけではないため、業績が止まると配当維持の難易度は上がる。つまり利回り自体は魅力だが、それを支える利益成長が続くかどうかが重要になる。

資産バリュー寄りの銘柄で、株価も過熱しておらず、PBRが1倍前後である点を考えると、大きく割高な状態で高配当を追うリスクは比較的低めと言える。高配当株は株価がすでに買われ過ぎている場合も多いが、この銘柄はまだ評価が戻り切っていないポジションなので、利回り目当てで入る余地はある。特に長期で配当を受け取りながら株価の再評価を待つスタイルなら相性が良い形になりやすく、単純に利回りだけを見るのではなく、業績回復の伴走によって株価上昇+配当収入の両取りが狙える可能性がある。

結論として、数字だけで判断するなら「配当目的で持つのは悪くない、むしろ候補として十分考えられる」。利回りは市場平均を上回り、利益も回復しているため持ち続けるリターンの絵が描きやすい。ただし成長が止まった場合のリスクも残るため、配当狙いで買うなら長期保有でじっくり受け取る姿勢が向いており、短期で荒稼ぎするタイプではない。息の長い銘柄として、配当収入+穏やかな株価評価を期待する投資家にとっては悪くない選択肢になるだろう。

今後の値動き予想!!(5年間)

アルコニックスの現在値は2,311円。ここから5年というスパンを考えると、結局は利益の積み上げ方と市場にどう評価されるかが株価の方向を決める軸になる。売上は回復から成長へ動きつつあり、利益やEPSも戻し、配当も増やしてきたという流れを素直に延長するなら、会社としての価値は少しずつ見直される余地がある。バリュエーションは過熱しておらず、決して割高に買われている状態ではないため、市場がもう一度評価を上げるタイミングが来れば株価は滑らかに押し上げられる形になる。

良いシナリオでは、純利益とEPSの伸びが続き営業利益率が4%台に戻り、ROEも8〜10%を安定させるような展開になると、企業価値評価は上がりやすい。非鉄金属需要が電池材料・半導体・電気機器市場の拡大に乗ることができれば、資源循環型ビジネスの評価も高まる可能性がある。そうなればPBRは1倍を明確に超えて1.3〜1.6倍程度まで許容され、PERも15〜18倍が視野に入り、株価は5年で2,800〜3,400円、地合いが強ければ3,800円まで届いても不思議ではない。配当利回りも3〜4%を維持できれば単純な株価上昇だけでなく、再投資による複利でリターンを積み上げる形になり、長期保有が素直に報われるパターンになる。

中間のシナリオでは、売上は増えても利益率が大きく跳ねずROEも6〜8%で落ち着く展開。PER・PBRは現状の延長線上にとどまり、市場も過度に期待せず評価は緩やかにしか変化しない。株価は2,450〜2,800円あたりを行き来しながら少しずつ底値を切り上げるイメージで、配当を受け取ることによって総リターンを確保していく形になる。値幅は大きくないものの、長く持つことで確実に果実を受け取れるタイプで、上昇期待と下値リスクがバランスした堅実な投資結果になる。

悪い場合は、利益の伸びが鈍り営業利益率が3%台のまま固定され、ROEも6%未満にとどまってしまうシナリオ。市場は評価を上げず、株価は改めて資産価値付近で横ばいまたはじり下げになり、PBRが1倍未満に張り付く展開もありえる。2,100〜1,900円台までの後退は想定範囲内で、外部環境の悪化が重なれば1,700円を割るリスクも排除できない。ただしその場合でも配当はある程度維持される可能性が残り、完全に見捨てられるというより「沈黙の保有期間」が続き時間が利益を生まないという形になりやすい。成長が止まると株価は重く、配当だけが支えになる。

結局のところ、この銘柄は伸びれば報われ、止まれば停滞するという非常に素直な性質を持っている。今の株価位置は加熱でも底値でもなく、ちょうど中間点にある。だからこそ、投資家は5年という時間軸の中で、利益成長が続くかどうかを見極める必要がある。数字が積み重なるなら3,000円超えの未来が見えるし、横ばいなら配当を受け取りつつ静かに持ち続けるだけの銘柄になる。いずれにしても極端なリスクは大きくない一方で、華やかな成長株のように一気に飛ぶこともない。安定と忍耐が報われる企業であり、腰を据えた保有こそがもっとも相性の良い戦い方だと考えられる。

この記事の最終更新日:2025年12月6日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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