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ADワークスグループとは

ADワークスグループは、もともと1886年に創業された染色業の企業をルーツに持つ。1936年に法人化し「株式会社青木染工場」として事業展開したが、戦後は業績が伸び悩み、1975年に染色業を廃業してから完全に不動産事業へ舵を切った歴史を持つ。1995年には現代表の田中秀夫が事業を引き継ぎ、社名を「株式会社エー・ディー・ワークス」へ変更。不動産仲介・鑑定・建売分譲など幅広く手掛けながら、やがて富裕層や個人投資家向けの収益不動産に事業を集中させ、収益不動産の仕入れ・バリューアップ・販売・管理まで一貫して行う事業モデルを確立した。
2007年にジャスダック上場、2015年には東証一部に市場変更し、2020年4月に持株会社体制へ移行。ADワークスグループとして上場会社となり、旧エー・ディー・ワークスは完全子会社化された。創業から100年以上の歴史を持ちながら、染色業から不動産へ大きく事業転換し、生き残りと拡大を続けてきた企業である。
同社の主力は、中古マンションやビルを一棟単位で仕入れ、リノベーションやリーシング改善などで価値を高め、富裕層や投資家へ販売する収益不動産販売事業。さらに売却後も賃貸管理やコンサルティング、鑑定、資産運用サポートを提供することで手数料収入を得るストック型フィービジネスを展開し、一度の販売だけで終わらない継続収益モデルを持つ。不動産所有者向けのオーナーズクラブを運営し、顧客囲い込みや再投資循環を強化していることも特徴。また、国内だけでなくアメリカ不動産にも取り組み、海外の収益物件を投資家に提供するなど、事業領域を広げている。
まとめると、ADワークスグループは染色業から不動産へ転身した歴史を持ち、現在は「収益不動産+継続型フィー収入」で利益を積み上げるビジネスモデルを確立した企業である。富裕層や投資家向けの物件仕入れ・再生・販売までの一貫体制を持ち、さらに管理・運用サービスや会員制モデルによって収益の安定化も図っている。国内外の収益不動産を扱いながら、バリューアップとストック収益の両輪で成長を目指す企業と言える。
ADワークスグループ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当(DPS) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.12 | 16,840 | 645 | 427 | 264 | 6.8 | 2.63 |
| 連21.12 | 24,961 | 933 | 650 | 312 | 7.2 | 3.5 |
| 連22.12 | 27,856 | 1,376 | 953 | 527 | 11.3 | 4.5 |
| 連23.12 | 41,342 | 2,441 | 1,978 | 1,419 | 29.9 | 8 |
| 連24.12 | 49,910 | 3,216 | 2,515 | 1,610 | 33.5 | 10 |
| 連25.12予 | 61,000 | 5,100 | 4,000 | 2,600 | 53.5 | 14 |
| 連26.12予 | 73,000 | 6,200 | 4,500 | 3,000 | 61.8 | 14 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2024 | 1,725 | -329 | -1,202 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.9% | 8.2% | 2.4% | ― | ― |
| 2024 | 6.4% | 8.6% | 2.6% | PER高値平均 11.0 / 安値平均 7.0 | 1.13 |
| 2025(予) | 8.5% | 18.7% | 5.8% | 6.76 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ADワークスグループは、数字の並びを見る限りここ数年で業績を大きく伸ばしつつある企業で、売上・利益ともに増加ペースが明確。売上は413億 → 499億 → 610億(予)→ 730億(予)と3年で約1.7倍の規模へ膨らむ見通しになっており、一過性というより継続成長の形を見せている。この売上成長に合わせて営業利益も24億 → 32億 → 51億 → 62億と跳ねており、単に売上が増えているだけではなく、利益額そのものが太くなっているのが特徴だ。しかも営業利益率は5.9% → 6.4% → 8.5%と上昇基調で、事業効率が改善し、1円あたりの売上がより利益に変わる体質へと進化している。成長過程の企業としては理想的な形に見える。
EPSの推移を見るとさらに印象が強い。29.9 → 33.5 → 53.5 → 61.8と増えており、利益の積み上げが株主価値に直結している。この動きを反映しROEは23年の8.2%、24年の8.6%から25年予想では18.7%と一気に跳ねる。ROE二桁後半というのは市場から「稼ぐ会社」と見られる水準で、高ROE企業は長期で株価が強くなりやすい傾向がある。ROAも2.4% → 2.6% → 5.8%と改善し、資産を使ってどれだけ利益を生めているのかという指標も向上していることから、事業の回転効率自体が向上してきたと読み取れる。
一方で、市場評価を見るとPERは実績7.0~11.0倍、予想ベースでは6.7倍となり、利益の伸びに対してバリュエーションは重くない。むしろ成長角度を考えると割安に見える余地すらある。PBR1.1倍という数字も、資産価値に対して過剰な期待が乗っておらず、まだ水面に浮いた程度で評価余力は残っている状態。市場は「業績は伸びているが、どこまで続くか確信できない」そんな半信半疑のスタンスで、期待を先行させすぎず、まだ慎重な目で見ている印象だ。裏返せば、この成長が今後も安定して続くなら、PERの水準が動くだけで株価は一段上に上昇する可能性がある。
ただし、こうした成長株には常に影がある。もし今の成長路線が緩やかになった場合、PERは低いまま据え置かれるどころか縮むリスクもある。利益が伸びなければ、EPSの伸びは失速し、ROEも元の1桁水準へ戻ることになる。その場合、今は割安に見える水準がむしろ適正だった、あるいは過大評価だったという展開も考えられる。つまりこの銘柄は「業績が続く前提なら上へ評価されやすいが、止まれば下も速い」成長株らしい二面性を持つ。
総合的に見れば、ADワークスグループは業績面からポジティブな評価を与えられる数字が揃っており、現時点では成長性を買いに行く銘柄として魅力がある。PER低位・利益率改善・ROE急伸という組み合わせは、株価上昇の前段階に現れることが多く、適切なタイミングで評価が変わればレートは大きく動ける素地を持つ。保守的に見ればじわじわと上がるタイプ、中長期で見れば業績が裏切らない限り期待値は高い。
まとめると、この数字は「上を狙う余地のある成長株」という姿をはっきり示している。決して完成した成熟企業ではなく、まだ伸びる途中段階のため、攻める投資家には向くが、安定配当重視や守りを求める投資スタイルとは相性が分かれる企業だといえる。伸びる未来に賭ける価値があり、数字の軌跡を冷静に追える投資家にとっては面白い銘柄になる。
配当目的とかどうなの?
ADワークスグループを配当目的で見た場合、評価はかなり明るい方向に寄る。予想配当利回りは連25.12で4.22パーセント、連26.12では6.97パーセントが示されていて、これは国内株の平均水準を大きく超えている。高配当株として十分通用する水準で、単純に利回りだけで判断するなら投資対象として魅力がある。銀行預金や債券より資金効率は高く、配当狙いの投資家から見れば目につく銘柄になる。
ただ利回りの高さは常にプラスとは限らない。大事なのは、この数字が継続可能なものなのかという点。ADワークスグループは売上と利益が伸びており、EPSも年々増加しているため現時点では配当余力が拡大している状況だが、裏を返せば業績が伸び続けることが前提条件になる。6〜7パーセント台の利回りは魅力的だが、利益が鈍化すれば無理な高配当になり、配当方針が変わる可能性も出てくる。つまり配当利回りの数字だけで判断すると危うさがあり、利益と配当の関係まで含めて見る必要がある。
一方で、EPSは29.9(2023)から33.5(2024),さらに53.5(2025予想)、61.8(2026予想)へと増え続けている点は強く評価できる。利益が伸びているから配当を出しやすくなり、その結果利回りも高く見える。この状態が維持されるなら、配当を受け取りながら株価の上昇まで期待できる可能性がある。配当と値上がり益の両方が狙えるというのは、高配当銘柄の中でも恵まれた構図だと思う。どちらか一つだけが主軸になるのではなく、二つの利益のルートを持てる可能性がある。
ただし、高利回り銘柄にありがちな落とし穴として、株価が下落すると見かけ上の利回りだけが高く残り、実際のリターンは減ってしまうという事態もある。ADワークスグループの場合も、利益成長が崩れないことが前提であり、成長が止まると配当の持続性にも疑問が出始める。つまり、利回りの高さは未来に対する期待と裏表の関係にある。
結論としては、ADワークスグループは配当目的でも十分検討価値がある銘柄だと思う。ただし、単なる利回り狙いというより、成長が続くことを前提に、配当と株価上昇の両面を狙う投資スタイルと相性が良い。安定重視で守る配当投資というより、伸びる会社に乗りながら配当も受け取るという少し攻めの姿勢で向き合うタイプの銘柄だと感じる。
今後の値動き予想!!(5年間)
ADワークスグループの現在株価は473円。業績はここ数年成長が続いており、売上だけでなく利益も段階的に拡大している。予想値ベースでは純利益が今後も伸びる見通しで、EPSも上昇していることから会社としての収益力は強まりつつあるように見える。さらに予想配当利回りは25年で4パーセント超、26年には6パーセント台後半という数字になっており、株価が低めに放置されている現在の状況では特に魅力が際立つ。ただしこれは成長する前提で成立している利回りであり、今後の成長が止まれば数字の美しさは崩れる可能性がある。5年間の値動きを良い場合、中間、悪い場合で考えていきます。
ひとつめは良い方向に進んだ場合で、売上と利益の成長が予定通りに続き、市場が「成長しながら高配当も出す企業」と認識し直すことで株価に再評価が入るシナリオである。そうなれば今の低いPERは持続せず、むしろ一段上の評価レンジに移る可能性がある。利益成長と利回りの高さの両方が評価され、株価は1000円から1500円程度まで上昇する未来が見える。この場合は配当を受け取りながら株価の上昇まで享受でき、投資妙味は非常に大きい。
次に最も現実的と思われる中間シナリオでは、利益成長は続くものの急激な躍進ではなく、配当利回りの高さが評価を下支えしつつも市場は過度に盛り上がらないような形になる。株価は業績に合わせてじわじわと上方向に進み、5年後には650円から900円あたりが無難な着地になりそうだ。この場合でも配当をもらいながら資産がゆっくり増えていくため、時間を味方につければ悪くない投資になる。短期で一気に上がるタイプではなく、積み上げていくような成長の描き方になるだろう。
一方で悪い場合は、利益成長が鈍化したり、不動産市況が重くなったり、投資家の資金が他へ流れた場合である。その場合は配当の魅力があっても株価は評価されず、PERは低いまま貼り付いてしまう可能性がある。成長前提が揺らげば利回りの価値も半減し、株価は350円から500円の範囲で停滞する未来も考えられる。このパターンでは配当は得られるものの、株価の伸びが伴わないため総合的なリターンはそこまで大きくならない。この銘柄は配当が強みでありながら、成長が止まると魅力が薄まるという、攻めと守りのバランスがはっきりとした性質を持つ。
結局のところ、ADワークスグループは高配当利回りを得ながら成長に乗れる可能性を秘めている銘柄であり、うまく進めば大きな利益が期待できる。ただしその前提はあくまで業績拡大が続くことであり、未来を信じて持つタイプの投資になる。上がるとすれば大きく、停滞すれば横ばいという、期待の幅が読みやすい銘柄とも言える。数字を冷静に追いながら、将来への流れがどちらへ傾くか見極めていく必要があるだろう。ただ、利益が伸びている株なので収益力はあると考えています。
この記事の最終更新日:2025年12月6日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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