株価
あい ホールディングスとは

あいホールディングスは防犯カメラやレコーダーなどを中心としたセキュリティ機器を主軸に展開している企業で、単に製品を作って売るだけではなく、導入支援から保守・アフターフォローまでを一貫して提供している点が強みです。メガバンクや官公庁のような大規模案件から商店街・小売店・既設マンションまで導入実績は幅広く、特にマンション向けのサービス一体型「安心パック」が好評となっています。
カード機器や事務用機器の分野では診察券発行機や再来受付機など医療機関向けシステムを展開しているほか、ICカードや身分証明書カード発行機、磁気カードリーダーなど幅広い製品を持ちます。さらに鉄構業界向けの鉄骨専用CADも手がけており、操作性と機能性を両立して工程短縮に寄与し、作成データは連携ソフトで活用できるためコスト削減効果も高いとされています。
情報機器分野ではカッティングマシンが主力で、大型業務用から家庭用までラインナップが揃います。大型機は看板業・製造業などで世界トップクラスのシェアを持ち、家庭用は「シルエット」ブランドとして展開され、プロ機の技術を一般向けに落とし込んだ扱いやすい仕様と豊富な消耗品・コンテンツでホビーや教育市場でも評価されています。この分野を担うグラフテック株式会社は同社傘下の主要企業で、カッティングプロッタやデータロガー、計測器のメーカーとして国内主要都市にショールームを持ち、実演・提案ができる体制も整っています。
計測機器事業では電圧・温度・湿度など多様なデータ測定に対応する製品を展開し、自動車工場や大手電機メーカー、大学研究機関など幅広い産業で利用されています。データはクラウド保存にも対応しており、ネットワークを活用した運用も可能です。
情報通信分野では企業向けビジネスホンを販売しており、一般オフィスだけでなく医療・介護施設、工場、量販店など様々な現場で導入されています。IP・クラウド連携、スマホ連携などに対応しており、多様化する働き方に合わせた通信インフラを提供できる点が特徴です。
設計事業では耐震診断・耐震構造設計に強みがあり、意匠設計・設備設計まで対応する総合的な建築コンサルを行います。庁舎、学校、文化施設、産業プラントなど幅広い物件の設計に関与しています。
さらに脱炭素システム事業として、エアコンの電力消費を抑え電気代削減を実現する省エネシステム「Ai-Glies」を展開しています。無線通信やソーラー給電を活用することで配線工事のコストを大きく抑えられ、大規模から小規模施設まで導入しやすい仕様となっており、コスト削減とCO₂削減という両面で貢献しています。
全体としては防犯カメラ・セキュリティ事業を中心に、カード発行機、CAD、カッティングマシン、計測器、ビジネスホン、建築設計、省エネシステムまで幅広く手がける多角経営企業であり、岩崎通信機の買収などM&Aによる事業拡大にも積極的です。セキュリティ × 通信 × 設備 × 工作機器と周辺領域へ事業を広げながら、総合的なインフラ・産業支援企業として成長していることが特徴といえます。
あい ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.6 | 46,219 | 9,447 | 9,879 | 5,863 | 123.8 | 45 |
| 連22.6 | 47,059 | 9,850 | 10,848 | 7,738 | 163.4 | 60 |
| 連23.6 | 46,396 | 9,434 | 10,519 | 8,243 | 174.1 | 80 |
| 連24.6 | 49,812 | 9,853 | 19,856 | 15,681 | 331.1 | 90 |
| 連25.6 | 66,197 | 8,889 | 9,008 | 21,280 | 407.1 | 100 |
| 連26.6予 | 90,000 | 10,700 | 11,400 | 10,300 | 193.3 | 110 |
| 連27.6予 | 103,500 | 12,500 | 11,800 | 10,600 | 199.0 | 110〜113 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 4,541 | -1,314 | -3,184 |
| 2024 | 8,432 | -6,428 | -4,675 |
| 2025 | 7,647 | 7,084 | -5,384 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 20.3% | 12.2% | 10.2% | — | — |
| 2024 | 19.7% | 19.5% | 16.6% | — | — |
| 2025 | 13.4% | 19.4% | 15.1% | PER 高値平均 11.0倍 / 安値平均 7.6倍 | PBR 1.33倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
あいホールディングスは、まず売上規模が順調に伸びている。連24.6で498億だったものが、翌25.6では661億、26.6予想では900億と、3期間で約1.8倍に拡大している。トップライン(売上)だけを見るなら勢いはかなり強い。一方で利益面は波がある。営業利益は98億→88億→107億と一度落ちてから戻す見込み。経常利益も198億→90億→114億と上下が激しい。純利益は156億→212億→103億と特に振れ幅が大きく、収益が綺麗に伸びているとはまだ言い難い。数字だけを見ると「規模は大きくなるが利益は安定しない」状態。
利益率を見ると2023年の営業利益率20.3%から2024年19.7%、そして2025年13.4%と下がっている。売上は伸びているのに利益率が下がるということは、コスト上昇か採算の低い案件が含まれているか、または競争が激しく利益を取りにくくなっているか。ROEは12.2%→19.5%→19.4%、ROAは10.2%→16.6%→15.1%と資本効率は依然高く、会社の回転力自体は悪くない。つまり、利益は波があっても経営効率は高いまま保たれている。投資家目線ではこの点は強みになる。
株価バリュエーション部分では、2025年のPERが高値平均で11.0倍、安値平均で7.6倍と低めで、PBR1.33倍という水準から見るに、「割安寄りだけどまだ決定打には欠ける」という立ち位置。高すぎる株価でもないし、大バーゲンとも言えない。市場は期待半分、不安半分くらいの評価を付けているように見える。利益が安定して伸びていれば5〜7倍台は妥当な割安ラインだが、利益率が落ちている今は市場も慎重。
総合すると、売上の伸びは素直に強いが、利益の上下が激しく、特に純利益が来期予想で弱含みになるため、強気で買うフェーズより「様子を見ながら押し目で拾う」投資の方が合理的。PERは低く魅力はあるので、もし利益率が回復して再び営業利益率15〜20%台に戻るなら評価が一段階変わる可能性は高い。今すぐ飛びつくというより、改善サイン(利益率回復・純利益成長)が見え始めたらベストタイミング。リスク許容度がある人なら先回りもあり、堅めに行くなら待ってから買う方が安全です。
配当目的とかどうなの?
あいホールディングスの配当利回りは、連26.6と連27.6の予想がどちらも3.93%で、ほぼ4%近い利回りが出る計算になる。日本株平均が2%前後であることを考えると、この利回りは魅力的な水準で、配当投資の視点でも十分候補に入ってくるライン。ただ、利回りが高いからといって即決できるかといえばそうでもなく、利益推移を見るとそこには注意点もある。売上は498億→661億→900億と勢い良く伸びているのに対し、利益は98億→88億→107億と上下しており、純利益は156億→212億→103億と乱高下が目立つ。配当は利益から支払われる以上、稼ぎの安定性が弱いと将来の配当維持に対して安心しきれない。
配当目当てで買う場合に一番大切なのは、「利回りが高いか」だけではなく「継続できるか」という部分だが、現状の数字だけを見ると利回りは魅力的、しかし利益には波があるため長期安定配当株と断言するには根拠が足りない。今はインカム目的で持つよりも、利回りの高さを活かしつつ利益の回復・安定が確認できるかを見てから判断した方が安全寄りになる。利益率が再び上がって純利益が成長軌道に戻るなら、この利回りは大きな強みになるし、株価上昇と配当の両取りも狙える。一方で今の段階では「高めの利回りにつられて飛びつく銘柄」ではなく、「利回りは期待できるが利益安定が確認できてからでも遅くない銘柄」というバランスの読み方が現実的になる。
まとめると、配当利回りだけで見れば悪くない。むしろ高め。ただし利益が安定していないため、完全に配当狙いで持つには少しリスクを含んだ条件。様子を見ながら、利回りが維持されるか、利益が回復していくかを確認してから拾うほうが賢い動き。利回りを軸に投資するなら「現時点での安心感より期待と注意が半々」という形になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価2,798円を起点に5年後の値動きを考える場合、まず押さえておくべきなのは、あいホールディングスが売上規模を拡大している一方で利益に波がある企業だという点だ。売上は498億から661億、さらに900億予想と成長基調にあるが、営業利益は98億から88億に一度落ち、107億予想で戻す形。そして純利益に至っては156億から212億へと伸びたあと、翌期予想では103億と大きく下げる見通しになっている。つまり規模は大きくなっているが、利益が綺麗に伴っていない。利益率も20%台から13%台へ低下しており、収益性がやや弱っていることも気になる。とはいえROEやROAは依然として高い水準にあり、資本効率そのものは良好で、経営の回転は悪くない。
そのうえで株価5年予測を置くなら、良い展開を描く場合は、売上拡大に加えて利益率が改善し、純利益も再成長に入る形だ。セキュリティ分野やカッティングマシンの世界シェア、産業用機器需要、脱炭素関連の広がりが追い風になれば、評価はもう一段切り上がる可能性がある。その場合、5年で株価が4,500円〜6,000円ほどに向かう未来は十分考えられる。配当も維持されれば、株価上昇と配当収入の両取りが狙える展開だ。
良くも悪くもなく中間なら、売上は伸びるが利益は大きな成長にはならず上下を繰り返すパターン。配当は維持しつつも大きな増配は期待しづらく、市場評価も上振れしきれない。株価は2,800〜4,000円のレンジで推移し、長期では少しプラス、ただし爆発的なリターンではない。投資としては攻めでもなく守りでもない「中庸な成果」に落ち着く可能性が高い。
逆に悪い方向では、売上は伸びてもコストが増え、利益率が戻らず、純利益が安定しないパターン。競争激化、価格下落、材料費や販管費の増加、M&A後の統合負担なども重なると、投資家は成長より不確実性に目を向け始める。そうなればPERは拡大せず、むしろ縮小方向で見られ、株価は現在より下に評価される可能性が高い。5年後は1,500〜2,500円あたりで推移し、高配当銘柄の魅力も薄れる。いわば「割安ではなくリスク寄り銘柄」として扱われる未来だ。
今の数字だけで判断するなら、「ほどよい利回りと規模拡大は魅力、一方で利益と利益率の揺れがリスク」というバランス銘柄。配当狙いで買うことはできるが、未来の確度を上げるには利益率の回復や純利益の再成長を確認してからでも遅くない。強く買いに走る銘柄というよりは、監視しながら良いタイミングを狙う銘柄。上手く当てれば株価と配当のダブルで報われるし、判断を誤れば利回りだけでは支えきれず値下がりリスクが勝る、その中間に立っている企業という見方になる。
この記事の最終更新日:2025年12月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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