株価
トレジャー・ファクトリーとは

トレジャー・ファクトリーは、国内リユース市場の中でも店舗展開力と業態の多角化が突出した企業であり、買取から販売までの循環モデルを幅広いカテゴリーで持っているのが大きな特徴だ。店舗は2024年時点で281店と業界上位規模で、関東と関西に拠点を厚く構えることで物流効率と商品回転を高めている。中古衣料・ブランド古物・家電家具・アウトドア用品・スポーツ用品など領域が多岐にわたり、「必要なくなったモノ」から「欲しいモノ」までを一社で回せる事業構造をつくっている。単一商材依存が少ないため景気やトレンド変動にも比較的強い設計で、これは中古業界では大きな強みと言える。
業態別のブランド拡張が非常に巧みで、総合リユースのトレジャーファクトリーを母体に、古着特化のトレファクスタイル、スポーツ・アウトドア専門のトレファクスポーツ、ブランドコレクト、低価格古着のユーズレット、家具家電特化のトレファクマーケットなど、買い手のニーズごとに導線を分けている。さらに、M&Aで取り込んだカインドオル・キンバリー・ゴルフキッズ・ゴルフキングなど専門業態がグループに加わり、カテゴリカバレッジは国内でもトップクラスになりつつある。多様なブランドがあることで買取商品の行き先を最適化でき、店舗ごとに回転率や粗利率を調整できる点は、SPA型に近いロス抑制の強みにつながっている。
周辺領域への広がりも成長の核で、リユースと引越をワンストップで処理できる「トレファク引越」、不動産売却と残置物処理を同時に扱う「トレファク不動産」など、生活動線の課題に直接入り込むビジネスを展開している。終活や生前整理をサポートするRegacy、フォーマルレンタルを行うCariru、法人向けオークションのライブネットなど、店舗売買だけに依存しない収益源を複数確保している点は、将来の利益安定性を高める要素となる。中古市場は拡大トレンド(循環型社会・若年層のリユース志向・物価上昇による中古需要)にあり、同社はこの追い風を最も受けやすいポジションにいる企業の一つと言える。
一方で、競合はメルカリ・セカスト・ブックオフ・ハードオフなど強力なプレイヤーがおり、特にCtoCが強いメルカリと比較した際は店舗型の運営コストが重くなるため、買取価格や販売回転率を維持しつつ利益を出し続ける運営力が重要になる。とはいえ、店舗型は「プロ査定で売れる」「その場で現金」「現物を見て買える」という強みがあり、CtoC市場と棲み分けできている点は今後の選択肢の幅としてプラスに働く。
総合的に見て、トレジャー・ファクトリーはリユースの需要増という社会の追い風に乗りながら、総合リユース×専門業態×周辺サービス拡張という多層的な事業モデルで成長を続けている企業。売買だけでなく引越・不動産・終活まで含めた生活循環の接点を押さえており、今後店舗数・EC比率・在庫回転がさらに強化されれば、より伸びしろが生まれる可能性が高い。
トレジャー・ファクトリー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | EPS(円) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.2* | 28,212 | 2,565 | 2,622 | 1,710 | 76.3 | 18.5 |
| 連24.2 | 34,454 | 3,348 | 3,390 | 2,241 | 95.9 | 28 |
| 連25.2 | 42,207 | 4,035 | 4,082 | 2,709 | 115.6 | 36(記) |
| 連26.2予 | 46,500 | 4,420 | 4,440 | 3,000 | 128.0 | 39 |
| 連27.2予 | 52,400 | 5,000 | 5,050 | 3,420 | 145.9 | 44 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,764 | -1,123 | 56 |
| 2024 | 1,000 | -1,908 | 431 |
| 2025 | 2,819 | -1,884 | -539 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 9.0% | 25.3% | 11.6% | – | – |
| 2024 | 9.7% | 26.4% | 12.6% | – | – |
| 2025 | 9.5% | 26.0% | 13.0% | 19.0〜9.2倍 | 3.32倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
トレジャー・ファクトリーは、数字だけを見ると非常にバランスの良い成長株だと言える。売上は344→422→465億へと伸びており、それに合わせて営業利益も33→40→44億、純利益も22→27→30億と増加している。規模が拡大しながら利益もきちんと伸ばせている形で、どこかで急失速したり利益率が潰れたりという崩れが見られない。営業利益率は9%台を維持しつつ安定し、ROEは25%前後と非常に高く、ROAも11.6→12.6→13.0%と上昇している。特にROE26%というのは優良株の目安と呼ばれる10%を大きく超え、企業が投下資本に対して効率よく利益を生み出していることを示している。
株価指標に目を向けると、PERは9.2〜19.0倍と評価のレンジが広く、安く放置される局面もあれば強気に買われる場面も想定される水準。PBR3.3倍は低くはないが、ROEがこれだけ高ければやや割高に見えても許容される余地はある。簡単に言えば「業績が伸び続ける限りは評価も維持されやすい株」で、数字の並びを見る限りは伸びが途切れる気配はまだ見えない。
総合して考えると、トレジャー・ファクトリーは利益成長と株価上昇の両方を狙える銘柄であり、短期で割安の瞬間を拾うよりも、成長の持続を前提に中長期でホールドするタイプの投資が向く。逆に成長が鈍化した場合はPERの縮小が起きやすいので注意は必要だが、ROE・ROAの高さ、利益率の安定、売上の伸び方を見ると、今はまだ成長ストーリーが継続している途中という評価が妥当だろう。数字からだけ判断するなら、成長と株価上昇の両方を取りに行ける可能性があり、長く持つほど価値が出る株という印象が強い。
配当目的とかどうなの?
トレジャー・ファクトリーの配当利回りは、連26.2で約2.44%、連27.2では2.75%とわずかに伸びているものの、配当を主目的に保有する銘柄としては「やや物足りない」という印象になる。日本株全体の平均利回りが概ね2%前後と言われる中で、3093はそれをわずかに上回る程度で、配当だけで魅力を語れるほどの高さではない。いわゆる高配当株として保有して寝かせる、というタイプではなく、あくまで成長期待の中でついてくるおまけ的な配当と考えるのが近い。
ただし、業績は綺麗に右肩で伸びていて利益率も高水準を維持しているため、将来の増配余地は十分に感じられる。短期で高利回りを狙う株ではないが、EPSの伸び方を見ると配当も後から付いてくる可能性はある。利益成長 → EPSの拡大 → それに伴う配当の漸増、という形で時間を味方にできる銘柄なので、長期的に見れば配当が育っていく余地が期待できる。
要するにこの銘柄は、「最初から利回りで取りに行く株ではないが、成長が続けば結果として利回りも上がってくるタイプ」。配当を目的に買うというより、成長と株価の上昇を軸にしながら、将来的に配当が積み上がっていくことを期待する持ち方が向いている。安定した高配当で守りたい人には向かず、配当が後から伸びてくる未来を信じて保有する人向けだといえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
トレジャー・ファクトリー(現在株価1,595円)は、売上・営業利益・純利益が毎期伸びており、リユース市場という拡大分野を背景に高いROEと利益率を維持していることから、5年間の株価シナリオは成長の持続度によって大きく分岐する。特に同社は総合リユースに加え、古着・スポーツ・ブランド・ゴルフなど専門特化業態も展開しており、リユース引越や不動産サービスまで領域を広げているため、単に中古ショップの会社というより「生活導線に入り込むリユース・流通インフラ」として成長の余地が残っている。M&Aや業態拡張による伸びしろを考えると、株価もそれにつれて緩やかに育つ可能性がある。ただし、リユース事業は景気や需要トレンドに左右されやすく、買取在庫の回転効率が落ちたり店舗投資が重くなれば、成長ストーリーは簡単に鈍化するリスクを含んでいる。そのため未来は3つのパターンで見るのが現実的になる。
まず良い場合。利益が綺麗に伸び続け、営業利益率9〜10%台、ROE25%前後を維持し、成長株として市場が評価し続けるなら、株価は1,595円から2,400〜3,100円を狙えるフェーズに入る。積極出店と専門店ラインの拡張がスムーズに進めば、3,300〜3,500円台も視界に入ってくる。リユース市場の拡大トレンドがさらに進み、買い替え→売却→再利用の循環が社会インフラ化すれば、上昇の余地はまだ残る。短期間に爆発的に跳ねるというよりは、毎年じわじわと積み上がる株価の伸び方を想像するとしっくりくる。
次に最も現実的な中間シナリオ。成長は続くが利益率改善は横ばい、ROEも26%前後で安定、PERは12〜15倍程度に均される形。この場合の株価は1,800〜2,300円前後で、今よりは上にいくが大きなブレイクは起こりにくい。上下を繰り返しながらレンジを切り上げていく動きで、保有して時間を掛けるタイプの報われ方になる。失速しないが跳ねもしない、いわば堅実に伸びる5年だ。
悪い場合は、リユース市場の伸びが鈍化し、在庫回転率の悪化やコスト高で利益が削られ、PERが10倍前後に圧縮される展開。このとき株価は1,300〜1,600円にとどまり、場合によっては1,200円台に沈む可能性すらある。成長前提で買われる銘柄だけに、業績のブレーキは市場評価の低下に直結しやすく、伸びの止まり方次第で下値の形は変わる。
総じて言えば、トレジャー・ファクトリーは短期の値幅狙いより、成長とともに株を育てるスタイルが向いた銘柄で、良い未来では株価は明確に伸びる一方、成長失速時には評価が縮むリスクも抱える。そのため、5年の投資としては「中間〜良いシナリオに賭ける長期保有」が自然な向き合い方で、特に業績・ROEの推移を見ながら押し目で拾う戦略が最もリスクとリターンのバランスを取りやすい。
この記事の最終更新日:2025年12月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す