株価
ブロンコビリーとは

株式会社ブロンコビリーは、名古屋を本拠とする炭焼きステーキ・ハンバーグのレストランチェーンで、東海地方を中心に関東・関西へ展開を拡大している企業。郊外型で駐車場完備という家族来店を意識した設計が基本で、休日のファミリー層の強い集客力を特徴とする。店名は「野生馬」ブロンコと少年名ビリーを組み合わせたもので、「荒々しく、常に夢を持った企業」という創業精神が込められている。
開業当初からオープンキッチンを導入し、炭火でステーキと俵型ハンバーグを焼き上げる調理スタイルがブランドの核となった。サラダバーには鮮度にこだわった野菜を揃え、惣菜や季節料理も提供するが、スープバー方式は採らず、あえて従業員が1杯を提供する形にしている点も特徴的で、効率より体験価値を優先する方針が見て取れる。また米は通常より高価格の新潟県中魚沼産コシヒカリを使用し、店内のかまどで炊き上げるなど、素材と提供方法への投資を惜しまない。
しかし一時は低価格競争に参入したことで品質が落ち、客離れとBSE問題の影響で業績が低迷。そこから創業者が原点に立ち返り「低価格でとにかく拡大」ではなく「価値を提供し顧客に選ばれる店へ」と方向転換を行い、セントラルキッチン活用による徹底したコスト管理と品質向上で再浮上。2014年には飲食業界でも異例の経常利益率15.4%を達成し、高収益体質のチェーンとして地位を確立した。この復活経験から、単に安く多く売るのではなく「価格に見合う納得体験」を創り出すことがブロンコビリーの経営哲学となっている。
現在は全店舗直営にこだわる運営体制で、品質コントロールとブランド統一精度が高い一方、拡大速度はFC主体チェーンより緩やか。急成長より長期安定を優先するビジネスモデルで、安売り競争ではなく満足度でリピートを獲得するタイプの外食企業と言える。関東への出店も進んでおり、郊外型の強みが都市圏住宅地で活きれば店舗網はさらに拡大する余地がある。
またブロンコビリーは従業員教育にも投資する企業で、売上高の1%以上を教育費に充てる方針を明言し、パートやアルバイトも含めてアメリカ研修経験の機会を与えるなど、人材育成を「未来への投資」として扱う点が外食企業の中でも際立つ。創業者が社員に株を贈与した歴史もあり、利益を現場に還元しながら組織としての一体感を高めてきた。
総じてブロンコビリーは、名古屋から始まったステーキチェーンでありながら、価格競争より価値提供を軸に成長してきた企業。素材への投資、調理パフォーマンス、人材育成、直営管理による品質維持を武器に、外食業界の波を乗り越えてきたブランドである。今後は関東圏での認知浸透と店舗拡大型の利益成長がテーマとなり、堅実で体質の強い企業として長期的に評価される可能性を持つ。
ブロンコビリー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単20.12 | 17,272 | 162 | 250 | -588 | -39.0 | 10 |
| 単21.12 | 15,773 | -48 | 1,549 | 955 | 63.4 | 16 |
| 単22.12 | 19,508 | 746 | 1,020 | 687 | 46.2 | 16 |
| 連23.12 | 23,377 | 1,644 | 1,708 | 1,003 | 67.5 | 18 |
| 連24.12 | 26,617 | 2,531 | 2,600 | 1,715 | 115.4 | 24 |
| 連25.12予 | 29,500 | 3,000 | 3,080 | 1,870 | 125.6 | 26 |
| 連26.12予 | 30,400 | 3,300 | 3,400 | 2,000 | 134.3 | 26〜28 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022 | 1,621 | -1,440 | -6,116 |
| 2023 | 2,545 | -1,087 | -626 |
| 2024 | 2,668 | -1,391 | -564 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 7.0% | 5.4% | 4.4% | – | – |
| 2024 | 9.5% | 8.5% | 6.9% | PER 高値47.0倍 / 安値35.5倍 | PBR 2.75倍 |
| 2025(予) | 10.0% | 9.2% | 7.5% | PER 31.78倍(予) | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ブロンコビリーは、売上・利益が年ごとに段階的に伸びており、数字だけで見ると安定成長型の企業と判断できる。連23.12の売上約233億・営業利益16億・純利益10億から、連24.12は売上266億・営業利益25億・純利益17億へ増加、連25.12予では売上295億・営業利益30億・純利益18億、連26.12予では売上304億・営業利益33億・純利益20億まで積み上げている。減益期がなく、利益が毎期上方向に進んでいる点は評価できる。
利益率の改善速度も比較的きれいで、営業利益率は23年7.0%→24年9.5%→25年10.0%と10%に届いた。外食企業としては十分良い水準に入ってきており、ROEも23年5.4%→24年8.5%→25年9.2%と10%近いラインまで改善している。ROAも4.4%→6.9%→7.5%と同様に上昇しており、規模拡大と収益効率改善が同時に進んでいると数字上は判断できる。
一方でバリュエーションは高めで、24年の実績PERが高値47.0倍・安値35.5倍、PBR2.7倍前後と、成長ストーリーを既に株価がある程度織り込んでいる可能性が高い。25年予想PERは31.7倍と落ち着くが、それでも一般的な飲食銘柄と比べると割安というよりプレミアム評価に近い。つまり、この銘柄は「伸びているから買われている」状態であり、今後も成長と収益改善が続く前提で保たれている水準と言える。
数字だけでの最終判断としては、ブロンコビリーは利益成長と効率改善が続く限りは強い銘柄で、右肩の業績推移を見ると長期的にはプラスになりやすい。だが、現状のPER/PBRを見ると割安というより期待先行の高評価帯に位置しており、買いに入るなら調整局面や成長がさらに進む場面を待った方がリスクが低い。結論としては、数字だけでは「良い企業だが、価格は安くない」。強く買うより、下げたときに拾う長期型の投資判断が向いていると考えられる。
配当目的とかどうなの?
ブロンコビリーの予想配当利回りは連25.12が0.66%、連26.12も同じく0.66%と見込まれている。利回りだけを見るとかなり低水準で、日本株の平均(約1.8〜2.2%)と比べても明確に下回る。つまり、この銘柄は配当を目的に保有するタイプではなく、配当収益で回収する投資戦略とは全く噛み合わない。仮に100万円投資しても年間の受け取りは約6,600円程度で、元本の回収に長い時間が必要になるため、キャッシュフロー目的の投資先としては魅力は薄い部類に入る。
ただし、成長性という観点ではプラス面もあり、利益が年々伸びているため将来的な増配余地がゼロではない点は一応押さえておきたい。業績がさらに伸び、還元姿勢が強まれば利回りが上がる可能性はあるものの、現状の配当利回りだけを根拠に選ぶ価値は乏しい。どちらかといえば「株価成長を狙う銘柄」であって、「配当で稼ぐ銘柄」ではないという性質がはっきりしている。
まとめると、ブロンコビリーは利益成長は評価できるが、配当利回りは低く、配当目的で買うメリットは小さい。配当重視の投資家には向かず、あくまで業績の伸びと株価上昇を狙う長期成長投資として保有するのが現実的な使い方になる。配当で収益を得る銘柄を探すなら、別株の方が適性がある。
今後の値動き予想!!(5年間)
ブロンコビリーの現在株価は3,900円。ここから先の5年間の株価を考える場合、鍵になるのは業績がどれだけ積み上がるか、それに市場がどの程度の評価(PER)を与えるかという2軸になる。直近の決算を見ると増収増益が続いており、営業利益率も7%→9.5%→10%へと改善しているため、企業としての稼ぐ力が年々強くなっているのは事実。ROE・ROAも右肩に上がり、資本の効率性も改善している。数字だけ見るなら、経営品質は良い方向に向いている。しかし同時にPERやPBRは高めで、すでに市場から一定の期待が乗っているとも解釈できるため、今後の株価は「企業が期待どおり成長できるかどうか」に左右される。
良い場合は、出店拡大と既存店の収益改善が揃って進むパターン。東海地盤に加え関東圏の店舗網がさらに伸び、ブランド認知が浸透すれば売上の絶対額は着実に増える。また炭火焼き・オープンキッチン・サラダバーなど体験価値の強みは競合と差別化できており、外食単価の見直しが可能なら利益率は10%台前半へも届く可能性がある。利益とEPSが伸び続けるなら、過去のようにPERが25〜30倍評価される場面が再び来てもおかしくない。その場合の株価は5年後に5,500〜7,000円程度まで上値余地が出てくる。短期で跳ねる銘柄ではないが、じわじわ価値が積み上がるタイプの上昇が期待できる。
中間の場合は、増収増益は維持するものの利益率の改善は穏やかで、EPSの伸びも年数%程度に落ち着くケース。既存店の伸びはあるが出店ペースは緩やかになり、競争環境には晒されるが大きな崩れはない。PERは18〜22倍程度で推移し、株価は4,500〜5,200円程度のレンジに収まりやすい。派手さはないが安定した運用ができ、保有期間が長いほど着実に報われるタイプの投資になる。成長株ほどの爆発力はない代わりに、下振れのリスクも比較的抑えられる無難なシナリオ。
悪い場合は、外食特有のリスクが表面化するケース。人件費・仕入れ・エネルギーコストの上昇が利益を圧迫し、メニュー価格に転嫁しきれなければ利益率は低下する。客数が鈍れば既存店成長も止まり、投資回収が遅れれば市場評価は落ち着く。PERが15倍以下の水準に縮むと、株価は3,000〜3,500円まで調整する可能性がある。配当利回りが低いため下値を支える要素が乏しい点は弱みで、苦境時に投資家が積極的に押し目を拾いに来づらい。
ブロンビリーの株価は、今後5年間で大きく3つの方向が考えられる。業績成長が継続し、利益率やROEがさらに改善するような良い展開になれば、株価は5,500〜7,000円まで伸びる可能性がある。最も現実的なのはその中間シナリオで、増収増益は続きつつも改善ペースは落ち着いて推移し、株価は4,500〜5,200円程度のレンジで推移する形が想定しやすい。逆にコスト高や競争環境の悪化などで利益が鈍れば、市場評価が低下しPERが縮み、株価は3,000〜3,500円まで下落する可能性もある。
まとめると、ブロンビリーは配当ではなく成長と株価上昇を期待して保有するタイプの銘柄であり、現時点ではPERが高いため押し目の局面で拾い、長期でじっくり持つ運用が相性が良い。短期で大きく狙うというより、成長とともに株価を育てていくスタンスが向いている銘柄と言える。正直、今回の将来の株価は結構楽観的に出しましたが根拠はあります。
この記事の最終更新日:2025年12月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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