株価
マツキヨココカラ&カンパニーとは

株式会社マツキヨココカラ&カンパニーは、マツモトキヨシグループとココカラファイングループを軸とする日本の大手ドラッグストア持株会社で、東証プライム市場に上場する企業である。2021年10月1日に両社が経営統合し、旧マツモトキヨシホールディングスから現在の社名へ変更、再び純粋持株会社体制に戻った。統合交渉は2019年に始まり、2020年の基本合意、2021年の最終契約を経て吸収分割や資本業務提携が整備され、マツキヨHDが親会社、ココカラファインが子会社となり新グループ体制が確立された。事業・管理の分割整理も行われ、MCCマネジメントが統合後の統括機能を担い、MKGとココカラFGが中間持株会社として配置されている。
両社統合後の最大の変化は、国内ドラッグストア市場で強力なシェアを獲得したことに加え、複数だったポイントや会員制度の統一が進んだ点である。従来はマツキヨ現金ポイントカード、ココカラクラブカード、イワちゃんカードなど店舗グループごとに別々の体系が存在したが、2023年6月に「マツキヨココカラポイント」として一本化が始まり、付与条件や還元設計が統一された。既存カードは継続して使えるが、統合手続きによりポイント合算やステージ統一が可能となり、顧客利便性が大きく改善した。オンラインストアも統合され、「マツキヨココカラオンラインストア」に一本化。公式アプリも改修され新アプリへ移行し、デジタル接点の強化も進んでいる。2025年にはイワちゃんカードも統合対象となり、全国で共通化が完了する流れにある。
ドラッグストア業界は食品・日用品・医薬品・化粧品を幅広く扱うことで安定需要があり、大型チェーン同士の統合が加速している市場だが、同社はそこでも特に都市型ドラッグストアの先駆けとして存在感を持つ。プライベートブランド商品(PB)、化粧品、医薬品に強みがあり、高粗利商品の割合が高い点が競争優位となる。店舗規模と調剤薬局ネットワークの拡張効果により仕入交渉力も強化され、オリジナル商品の利益構造にも反映されやすい。統合により購買ボリュームが増しポイント制度の一本化で顧客囲い込みが進むため、将来的には会員データ分析や販促効率化、ECシナジーが期待される。
一方、ドラッグストアは競争が激しく、ウェルシア、ツルハ、サンドラッグ、コスモス薬品など大手とのシェア争いが続く業界でもある。価格競争だけでなく、調剤の拡張、健康サポート機能、EC連携、アプリUX、PB強化など複線的な勝負になる。同社はPBと化粧品での収益強みを持つ反面、生鮮・食品比率の低さや地方展開の密度は他社と比較するとやや差があるため、今後の競争軸は「PBの育成」「調剤併設率の向上」「デジタル活用の深化」といった伸びしろが焦点になる。
総合すると、マツキヨココカラ&カンパニーは経営統合により規模とブランドを統合し、ポイント制度・オンライン事業・顧客基盤の統一で相乗効果を生みつつあるフェーズにある。医薬品・美容・生活必需品を扱うため景気耐性も高く、PB収益力が利益成長を押し上げる可能性もある。競争環境は厳しいが、統合後のデータ活用とブランド強化次第ではさらに存在感が増していく余地のある企業といえる。
マツキヨココカラ&カンパニー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3* | 951,247 | 62,276 | 66,721 | 40,545 | 96.0 | 28.3(特記) |
| 連24.3* | 1,022,531 | 75,705 | 80,499 | 52,347 | 125.3 | 36.7 |
| 連25.3 | 1,061,626 | 82,082 | 86,271 | 54,675 | 133.9 | 44 |
| 連26.3予 | 1,118,400 | 86,100 | 90,100 | 56,800 | 142.7 | 46〜48 |
| 連27.3予 | 1,177,000 | 89,500 | 93,500 | 59,000 | 148.3 | 50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 64,061 | -19,669 | -23,734 |
| 2024 | 63,506 | -22,760 | -18,273 |
| 2025 | 81,472 | -20,792 | -66,662 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 6.5% | 8.4% | 5.8% | – | – |
| 2024 | 7.4% | 10.1% | 7.2% | – | – |
| 2025 | 7.7% | 10.4% | 7.6% | 15.7〜22.9倍 | 2.15倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
マツキヨココカラ&カンパニーは、売上・営業利益・経常利益・純利益のすべてが毎年増加しており、財務数値だけを見ても安定成長を続ける企業だと分かる。連24.3では売上1兆222億、営業利益757億、純利益523億、連25.3では売上1兆616億、営業利益820億、純利益546億へと伸び、連26.3予では売上1兆1184億、営業利益861億、純利益568億とさらに積み増す見通しになっている。伸び方は急角度ではないものの、一度も崩さずに増加を続けている点を見ると、外部環境に左右されにくい事業基盤を持っていることが読み取れる。
利益効率の推移を見ると、営業利益率は2023年6.5%、2024年7.4%、2025年7.7%と改善を継続しており、ROEも8.4%から10.4%へ、ROAも5.8%から7.6%へと着実に向上している。単なる売上拡大ではなく、利益の取り方が効率化していることが評価点であり、規模と収益性の両方が伸びていることは投資家にとって安心材料となる。多くの企業は成長と利益率が逆行するが、この銘柄は両方を同時に上げているという点が特徴と言える。
バリュエーションでは、2025年の実績PERが15.7〜22.9倍、PBRが2.1倍ほど。PER15倍台は割安寄りの水準と判断でき、調整局面では拾いやすい。一方で22〜23倍付近はやや過熱気味の評価とも言えるため、利益確定の目安として意識しやすい。急騰しやすい銘柄というよりも、押し目で買いを入れて中期的に値が伸びるタイプとみる方が実態に近い。
総合すると、マツキヨココカラ&カンパニーは目立って大きな成長を見せる銘柄ではないが、利益と効率が継続的に改善し続ける安定成長株と位置付けられる。短期で値幅を狙うスタイルより、下に来た時に買い、数年単位で持つことでメリットが得られやすい。特に「下落時に拾って長く持ちたい」「利益率とROEの改善が続く企業を選びたい」と考える投資家とは相性が良い。一方で急激な上昇を好む投資スタイルには物足りる可能性がある。
結論として、提示された数字だけで判断するなら、3088は押し目を拾い長期保有で価値が出る銘柄と評価できる。PERが15〜16倍付近まで下がる局面は一つの買い場になりやすく、営業利益率やROEの改善傾向が続く限り、株価と配当の両方でじわじわと成果を得られる可能性が高い。
配当目的とかどうなの?
マツキヨココカラ&カンパニーの予想配当利回りは、連26.3で1.69%、連27.3で1.76%となっており、数値だけを見ると大きな魅力を感じるほどの配当水準ではない。平均より少し上、もしくは並程度で、高配当株として買われるタイプではないと判断できる。現段階で配当を主目的に投資するとなると、利回り面での満足度はあまり高くならない可能性がある。
一方で利益と資本効率は継続して改善しており、増収増益基調も維持されているため、将来の増配余地は十分に残されている。今は低く見えていても、業績が伸び続ければ数年後には利回りが成長し、保有期間に応じてインカムリターンが育つ可能性がある。つまり配当で稼ぐ銘柄というより、時間と共に配当が伸びていく余地のあるタイプととらえたほうが実態に近い。
結論として、マツキヨココカラ&カンパニーは現状では配当目的として強い魅力はなく、配当を軸に投資判断する銘柄ではない。ただし業績が今のまま積み上がっていくなら、将来的に配当が育つ可能性はある。今すぐ高い配当収入を求めるなら他の銘柄が向くが、成長と共に将来の利回り改善を期待しながら保有するという考え方なら十分選択肢に入る。
今後の値動き予想!!(5年間)
マツキヨココカラ&カンパニーの現在株価は2,832円。ここから5年間の株価を考える場合、カギになるのは利益率の改善が続くか、PB商品・調剤・ECの成長が利益に反映されるか、そして市場がPERをどの水準で評価するかという点になる。過去数年間の決算では増収増益が続き、営業利益率・ROE・ROAも右肩に改善しているため、企業としての収益体質は良い方向に向いている。大きく跳ねるタイプではないが、崩れず積み上がる安定成長型という性格が強い銘柄といえる。そのため、未来の株価も派手に振れづらく、良い場合はじわじわ伸び、悪い場合も急落ではなく調整という形になりやすい。
良い場合の未来は、現状の改善傾向がそのまま継続し、PB商品比率の拡大、調剤併設店舗の増加、ポイント統合による来店頻度向上などが利益に素直に効く展開。原材料や人件費の負担を吸収しながら利益率がさらに高まれば、市場の評価も上向き、PERは20〜24倍程度に維持される可能性がある。その場合の株価水準は4,200〜5,200円が見えてくる。短期で跳ねるというより、5年かけてゆっくり厚みを増していくイメージで、長期保有の報酬が最も大きい未来になる。
中間のパターンは、業績が現状ペースで伸びるが、利益率改善はやや落ち着く展開。増収増益は維持するものの、競合との価格競争やコスト負担で伸び幅は抑えられる。PERは16〜19倍で安定し、株価は3,100〜3,800円に収まる可能性が高い。購入後すぐに大きな利益は望みにくいが、持っていれば少しずつ評価され、数年かけて資産が増える形になる。高配当ではないため配当だけで維持するほどではないが、業績が崩れない限り損をしにくい性格が強い。安定を重視する投資家には心地よい動きを期待できる。
悪い場合は、原価高や人件費上昇、競争激化などで利益率が頭打ちになり、売上は伸びても利益が伸びにくくなるシナリオ。PB拡大や店舗戦略が期待ほど進まない場合、市場は評価を下げ、PERが14〜15倍へと収縮する可能性がある。その場合、株価は2,200〜2,600円への調整が想定される。急落ではなくじわじわ下値を探る形になりやすく、利回りも高くないため下支えは弱い。成長が止まれば魅力も薄れ、資金は他銘柄へ流れる可能性がある。
まとめると、マツキヨココカラ&カンパニーの未来は大きな波ではなく緩やかな階段状の推移が想定される。最も現実的なのは中間シナリオで株価3,100〜3,800円付近の推移。利益率改善が続くなら4,000円台へ、事業がさらに磨かれれば5,000円台も視野に入るが、逆風が続けば2,200円台もあり得るという幅の中で動く。派手さより堅実さを重視する投資家と相性が良く、押し目で拾って保有し続けることで評価を受ける可能性が高い銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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