株価
MonotaROとは

株式会社MonotaRO(モノタロウ)は大阪市に本社を置き、工場・工事などの現場で使われる工業用間接資材をインターネットで販売する企業。創業者は瀬戸欣哉で、親会社は同分野の米国大手 W.W. Grainger, Inc。企業コンセプトは「現場を支えるネットストア」。社名には MRO(Maintenance, Repair and Operations)、物が足りる、業界慣習を打ち破る桃太郎という複数の意味が込められている。
主な販売チャネルは自社ECサイトで、当初は法人向け「モノタロウ」と一般消費者向け「IHC.MonotaRO」を分けて運営していたが、2020年に統合。現在は個人・小規模事業者も含め幅広いユーザーが利用可能となっている。取り扱い商品数は約1,800万点以上にのぼり、工具、消耗品、事務用品、保護具、作業服、梱包資材など現場で必要なあらゆる資材をワンストップで購入できることが特徴。平日15時までの注文は原則当日出荷というスピード配送体制を持つ。
拠点は大阪で創業後、業務効率を考慮して兵庫県尼崎市へ移転。尼崎のプロロジスパーク尼崎3に約13,000坪の大型物流センターを構え、さらに東日本大震災後の需要増に対応するため宮城県多賀城市にも約2,500坪の物流施設を開設している。物流力の強化と在庫の幅広さが競争力の源泉。マスコットキャラクター「モノタロウ侍」を用いたテレビCM・ラジオCMも積極的に展開しており、ブランド認知度は国内で高い。
海外展開も進めており、韓国・インドネシア・インドの子会社を通じ同様の事業モデルを展開。海外向けECサイトも運営し、シンガポールやマレーシア、フィリピン、台湾、ベトナム、タイなどアジア各国へ国際配送サービスを提供している。日本国内の法人利用が主軸だが、個人・小規模業者の利用も拡大中で、低価格・短納期・豊富な在庫を武器に成長している。
MonotaRO 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万) | 営業利益(百万) | 経常利益(百万) | 純利益(百万) | 一株益(EPS) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連20.12* | 157,337 | 19,607 | 19,671 | 13,771 | 27.7 | 9 |
| 連21.12 | 189,731 | 24,129 | 24,302 | 17,552 | 35.3 | 11.5 |
| 連22.12 | 225,970 | 26,213 | 26,398 | 18,658 | 37.6 | 13.5 |
| 連23.12 | 254,286 | 31,309 | 31,538 | 21,813 | 43.9 | 16 |
| 連24.12 | 288,119 | 37,066 | 37,320 | 26,338 | 53.0 | 19 |
| 連25.12予 | 330,000 | 46,000 | 46,000 | 32,000 | 64.4 | 31〜32 |
| 連26.12予 | 373,000 | 48,900 | 48,900 | 34,500 | 69.4 | 35 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) | 投資CF (百万円) | 財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 15,483 | -12,535 | -5,514 |
| 2023 | 29,932 | -8,401 | -11,705 |
| 2024 | 28,662 | -3,582 | -13,339 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 12.3% | 25.2% | 16.9% | ― | ― |
| 2024 | 12.8% | 25.4% | 18.1% | 実績PER 高値平均 60.6倍 / 安値平均 32.2倍 | 実績PBR 9.84倍 |
| 2025(予) | 13.9% | 30.8% | 22.0% | 予想PER 35.45倍 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
モノタロウは、売上と利益が毎年増えている点がまず目につく。23年度は売上2542億、営業利益313億、純利益218億だったところが、24年には売上2881億、営業利益370億、純利益263億へと伸び、25年は売上3300億、営業利益460億、純利益320億とさらに成長予想が出ている。26年には売上3730億、営業利益489億、純利益345億と見込まれており、ここだけ見れば綺麗な右肩上がりで、事業規模が確実に大きくなっていることが分かる。EPSも43.9 → 53.0 → 64.4 → 69.4と増えており、利益成長が株主へのリターンにも繋がっている形。配当も16円 → 19円 → 31〜32円 → 35円と増配傾向で、利益拡大とともに株主還元姿勢も強まっている。
収益性を見ると、営業利益率は23年12.3%、24年12.8%、25年13.9%と改善が続き、利益体質は年ごとに強化されている。ROEは25.2% → 25.4% → 30.8%、ROAは16.9% → 18.1% → 22.0%とこちらも優秀で、資本を効率的に回せている会社。数字で見る限り、高収益で成長性のある理想的な企業モデルといえる。問題は株価指標で、24年のPERは高値で60倍超、安値でも32倍ほど、PBRは約9.8倍と決して安くはなく、成長を強く織り込んだ評価となっている。25年予想PERは35倍程度まで落ちるが、それでも一般的には割安とは呼びにくい水準で、利益が想定通り伸び続ける前提の投資になる。
総合すると、業績は綺麗な成長曲線で財務効率も高く、優秀な企業であることは数字が示している。問題はバリエーションの高さで、成長スピードが鈍化した場合には調整が起こるリスクも同時に抱える銘柄でもある。長期で見るなら増益と事業拡大が続く限り保有の理由は十分だが、新規で買うならPERがもう少し落ち着く場面や押し目があると安心度が増す。成長に賭けるなら持つ価値はあり、保守的に見れば押し目待ちという判断になる。
配当目的とかどうなの?
モノタロウを配当狙いで持つという視点で考えると、正直なところ、配当利回りはそこまで高くない部類に入る。予想では25年が1.37%、26年でも1.54%程度で、数字だけ見れば高配当株とは言えず、利回り重視の投資家が積極的に選ぶ水準ではない。増配基調ではあるし、EPSが増えている分、配当余力も拡大しているのは好材料。ただ、それでも利回り1%台という数字は、配当を主目的とする投資では物足りなさを感じる領域だと思う。
もし長期保有で「これからさらに成長し、株価が上がり、それに伴って配当も年々増えるだろう」という期待を重視するなら、配当狙いというより成長株として保有しながら結果的に配当も付いてくるという考え方の方がしっくりくる。キャピタル目的が主で、配当はおまけというポジションになる。逆に、毎年の配当をしっかり欲しい人や、3〜5%の利回りを狙いたい投資家にとっては、現状のモノタロウは候補として弱い。より配当利回りの高い銘柄は市場に多く存在する。
つまり、この株を選ぶなら配当で稼ぐというよりは、今後の業績成長と株価上昇を期待しつつ、配当はあくまで追加のリターンという見方が現実的。配当利回りだけで判断するなら魅力は薄いが、成長と増配の両方を中長期で追うなら保持する意味はある。配当目的単体なら検討優先順位は低め、成長+配当ならアリ、という立ち位置になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
モノタロウの株価が今後5年間でどんな軌跡を描くかを見るには、まず前提として業績の成長ペースがどこまで維持されるかが最大の鍵になる。直近の数字だけ見ると売上・利益とも毎年成長見通しで、EPSも増加し続けていることから、本来なら株価が伸びやすい環境にある。ただし現状株価2,262円は、やや成長を織り込んだ水準で、投資家は「伸び続ける未来」を前提にこの株価を受け入れているとも言える。伸びれば報われ、鈍ればしっかり下げる。その分岐がはっきりする銘柄でもある。
まず良い未来を描くなら、物流能力を強化している現在の投資がうまく効き、配送効率が高まり、海外展開も軌道に乗って顧客基盤が広がるケース。企業の調達改革や省力化が追い風となり、間接資材のEC化がさらに普及することで、業績は年率10%前後の成長を維持。EPSは現在水準から1.5倍前後まで伸び、PERが30〜40倍程度で推移するなら株価は約4,000〜6,000円も視野に入る。国内市場が頭打ちになっても、アジア圏での展開が加速すれば伸び代はまだある。物流とデータを基盤に取扱商品数をさらに拡張し、IT化が浸透しきっていない業界の隙間を取り込めるなら、5年で株価が倍近くになることも現実味はある。
中間の場合は、成長は続くが過熱が冷めて評価が落ち着いてくるシナリオ。売上は右肩だが成長率は徐々に鈍化し、物流投資の負担や競合の追随により市場シェアの伸びが緩やかになる展開。EPSは伸びてもPERは現在より下落し、成熟企業寄りの評価に変わる可能性がある。この場合、株価は3,000〜3,800円前後で落ち着き、派手ではないが堅実に伸びる銘柄となる。保有していれば配当もじわじわ増え、売らなくても耐えられるタイプの投資になる。急成長ではないが長期で見て報われる、いわば「優良企業の順当着地」という未来。
悪い場合は、調達コスト高騰や物流投資負担、市場の価格競争、既存企業のEC化加速などが重なり、利益率が頭打ちになるケース。EPSが伸び悩むとPERは縮小方向に働き、成長前提で買われていた分の評価剥落が起きる。PERが20倍台まで縮むと仮定すれば株価は1,700〜2,200円あたりで横ばいか緩やかに下方向。カタログ出荷型からデジタル調達への移行が進む一方、他社も同じ市場を狙ってくるため、モノタロウが価格競争に巻き込まれると利益が削られる可能性はゼロではない。そうなると成長株から収益維持型へと性質が変わり、株価は勢いを失う。長期では持てるが大きな値幅は期待しづらい未来。
まとめると、今の株価2,262円という地点から5年後を想像すると、企業としての成長余力はまだ残るものの、市場は“継続的成長”をすでに織り込んでいる側面も強い。つまり、この銘柄で大きく利益を狙うなら、成長が止まらないことに賭ける投資になり、逆に安定収益や高配当で稼ぐタイプではない。伸びれば報われ、止まれば重く下がる。上か下に大きく振れやすい株、という理解がしっくりくる。
この記事の最終更新日:2025年12月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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