株価
ウイン・パートナーズとは

ウイン・パートナーズ株式会社は、医療機器販売を主軸とする企業グループを統括する持株会社であり、心臓カテーテルを中心とした低侵襲医療分野に強みを持つ会社である。医療機器を単に卸すだけでなく、手術の前準備から術後のフォローまで医療現場と密接に関わり、医療機器の適正使用支援、症例に応じた機器の選定サポート、緊急時の立ち会い、未使用品の回収や返品・補充・在庫管理など、病院側が本来抱えやすい煩雑な業務まで広く支えることで、ただの商社ではなく医療機関のパートナーとして機能している点が特徴的といえる。ウイン・インターと東北を地盤とするテスコが統合して生まれたグループで、首都圏と地方それぞれに強みを持つネットワークを背景に販路を広げてきた歴史があり、現在は全国規模の医療機器供給網を持ち、大口病院を含む多くの先進医療機関へ製品と支援体制を届けている。
医療機器販売の中心は虚血性心疾患領域で、狭心症や心筋梗塞の治療に用いる心臓カテーテルやステント、IVUSといった冠動脈治療のスタンダード製品群が売上の大半を占めている。さらに心臓律動管理、心臓血管外科、末梢血管疾患、脳外科などへ製品領域を広げており、ペースメーカや植込み型除細動器、PTAバルーン、末梢血管用ステント、脳血管塞栓コイルなど取扱ラインナップは多岐にわたる。循環器分野で確立してきたポジションを土台に、治療領域を拡張しながら依存を分散しようとする動きが見える。
また、単なる医療機器卸売とは異なり、マーケティング支援や診療圏調査を行い病院側に集患施策を提案したり、設備投資の相談に乗ったり、人材強化や技術導入の支援も含めて経営全体を支える姿勢が強く、病院運営の課題に踏み込むことが売上の安定と継続性を生んでいるとも考えられる。
物流面でも動きがあり、新しい物流センターを核に大口顧客への供給効率を高め、首都圏営業拠点の物流を段階的に集約する計画が進んでいる。物流の合理化は医療機器の安定供給にも直結するため、営業活動だけでなく医療現場の安全確保にも影響する部分であり、同社の競争力強化の一手となっている。生成AIを業務効率化に活用し始めている点も、将来的なオペレーションの高度化や現場支援のスピードアップに結びつく可能性がある。
まとめると、ウイン・パートナーズは心臓カテーテル領域における強固なシェアを背景に医療機器販売を行いながら、医療現場の手術前後の流れに深く入り込み、病院経営面のコンサルティング的な支援まで包含する事業モデルで成長してきた会社といえる。販売と支援が一体化しているため医療機関との関係は継続性が高く、製品だけでは競争が起こりやすい医療器具市場において、同社は提案力・現場密着力・物流・経営支援を武器に独自の強みを築いている。
ウイン・パートナーズ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(一株益) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 70,854 | 2,470 | 2,472 | 2,047 | 72.0 | 50(記念配含) |
| 連24.3 | 77,064 | 2,626 | 2,649 | 1,835 | 64.4 | 50 |
| 連25.3 | 81,410 | 2,808 | 2,837 | 2,019 | 70.5 | 52 |
| 連26.3(予) | 83,500 | 3,000 | 3,050 | 2,050 | 73.8 | 53 |
| 連27.3(予) | 85,500 | 3,200 | 3,250 | 2,200 | 79.2 | 53〜54 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 445 | 1,916 | -1,162 |
| 2024 | 3,043 | -219 | -1,445 |
| 2025 | 2,058 | -2,173 | -1,826 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.4% | 8.9% | 4.6% | ― | ― |
| 2024 | 3.4% | 7.8% | 3.8% | ― | ― |
| 2025 | 3.4% | 8.3% | 4.3% | PER 高値平均 19.6倍 / 安値平均 14.1倍 | 1.58倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ウイン・パートナーズの数字を見ると、売上は770億から814億、そして来期予想で835億と、急成長ではないものの右肩に少しずつ伸びている。営業利益も26億から28億、予想で30億と緩やかに増えており、経常利益や純利益もほぼ同じ水準で安定している。利益が毎年上ぶれするタイプではなく、山がなく谷も浅い、じわじわと積み重ねるタイプに見える。ただし営業利益率は3.4%で3年連続変わらず、売上が伸びても利益率が改善していないところを見ると、事業構造を大きく変えるフェーズではなく、既存基盤を維持しながら安定的に収益を出している印象が強い。もし収益性改善が進み利益率が4%台に乗れば市場評価も変わる可能性があるが、現状の数字だけを見ると大幅な利益成長シナリオまではまだ見えない。
ROEは8.9%→7.8%→8.3%と推移しており、資本効率としては及第点レベルで、良い企業とまでは言いにくいが投資対象として悪くもない中間ゾーン。ROAは4.6%→3.8%→4.3%でこちらも安定圏、低水準ではないが高効率というほどでもない。ただし両指標とも下へ崩れずにキープしている点はプラスと見て良い。無理な投資で利益が痩せている感じもなく、過剰なリスクを取っていない印象もある。守りが強く、医療機器という需要安定業種であることを考えると、株価が暴騰するよりも堅実に推移しそうな企業体質だと感じる。
2025年のバリュエーションを見るとPERは高値平均で19.6倍、安値平均で14.1倍、PBR1.58倍という水準から判断すれば、明確な割安株とは言えないものの、過度な過熱感もない。業績の伸びが小幅に続くのであれば14〜19倍のレンジで評価されやすく、業績や医療機器販売の安定感を評価する長期資金が入り続ければ下値は硬い可能性がある。一方で事業構造は劇的には変わらないため、利益率が改善しないままならPERが大きく上へ振れる理由も見えづらい。成長期待で買うというより、安定性と一定のリターンを得たい投資家向けにフィットするタイプに映る。
総じて数字だけから判断するなら、この銘柄は急成長を狙う銘柄ではなく、比較的安全に資金を置きたいときの候補になる部類だと思う。売上と利益が毎年少しずつ伸びており、ROEも安定帯にあり、医療需要の持続性も追い風になりやすい。ただし営業利益率が横ばいで改善が見えないことから、短期で株価倍増や爆発的に評価が変わる可能性は高くない。堅さと安定を取るのか、成長期待を取るのか、自分の投資軸次第で評価は割れる銘柄だと感じる。数字だけで見ると、攻めるより守る投資としての相性が良く、じっくり持って配当と緩やかな成長を狙うタイプの投資判断が適していそうだ。
配当目的とかどうなの?
ウイン・パートナーズの予想配当利回りが連26.3・連27.3ともに4.1%という数字を見ると、国内株の中では比較的高めの部類に入り、配当を目的とする投資としては検討余地がある水準だと思う。3%台だと可もなく不可もないという印象だが、4%を超えてくると資産を置いておく意味が生まれやすく、特に預金や国債と比べた場合には魅力が見え始める。ただし利回りが高いだけで飛びつくと危険で、本来は利益が成長しながら配当も伸びていくのが理想。今回の数字では売上と利益が毎年少しずつ伸びているため、大きく無理をして配当を維持している状態ではなさそうで、その点は安心材料になる。
営業利益率は3.4%で3年横ばい、純利益も20億前後で大きな跳ねはないため、配当が今後劇的に増えていくイメージは現状の数字だけでは描きにくい。つまり、高配当株の中でも「今後どんどん増配していく」というタイプではなく、「安定的に4%前後をキープしながら淡々と利益を積む」ような配当スタンスに見える。もし企業が利益率改善に成功したり、高付加価値製品で収益が伸びれば配当余力は増えるが、現時点ではそこまでの数字は見えていない。良く言えば堅い、悪く言えば大きな伸びが期待しづらい。
配当目的だけで考えるなら、利回り4.1%は悪くない。銀行に置くより増える可能性があるし、医療機器という業種柄、極端な業績変動が起こりにくいのも保有の安心感につながる。ただし株価の大幅上昇を狙うよりは、あくまで安定収益+じわじわ育っていく配当を受け取るスタイルが向いている銘柄に感じる。長めに持つ前提なら相性は良く、短期間での値動きに期待するなら物足りないかもしれない。つまり配当目当てで考えるなら「割と悪くない」。ただし飛躍を求める銘柄ではないので、腰を据えて保有し、増配機運や利益率改善が見えてくるまでは気長に構えるスタンスが合うと思う。
今後の値動き予想!!(5年間)
ウイン・パートナーズが現在値1,290円として、今後5年間の値動きを考えると、業績が緩やかに成長しており利益も毎年少しずつ伸びているため、急成長よりは安定型の株として推移していくと考えやすい。配当利回りは4%超で安定しているため、相場が荒れた時でも一定の買い需要が支えになる可能性がある。一方で営業利益率が3.4%で固定されている点、利益成長が大幅でない点から、将来の値上がりは業績次第で差が出やすい。そこで5年後を良い場合・中間・悪い場合に分けると次のように見える。
良い場合は、医療機器需要の伸びや病院向け支援ビジネスが拡大して利益率が改善し、ROEも10%前後まで乗るような展開になれば、市場評価も高まり株価は上方向に動きやすい。順調なら現在の1,290円から1,700〜1,900円程度まで視野に入り、場合によっては2,000円台にタッチする可能性もある。この場合は配当を受け取りながら株価上昇も期待できるパターンになる。
中間の場合は、現状の利益ペースを維持しつつ売上が少しずつ増える今の路線が続く展開で、配当利回り4%前後を維持しながら株価は1,350〜1,550円のレンジを往復しやすい。利益率が改善しなければ大きく跳ねる局面は少ないが、逆に崩れにくい安定株として働く可能性がある。長期ホールドで配当を積み上げれば、株価が大きく動かなくてもトータルではプラス収益になりやすいケースだと思う。
悪い場合は、医療機器の価格競争や病院経営の悪化で利益が伸び悩み、ROEが7%台を割り込むような展開になった場合で、この場合は株価が下値を探る可能性がある。業績が横ばいまたは微減なら1,050〜1,200円付近まで下がるリスクがあり、もし配当が維持できても利回りの高さだけで支え切れない場面があるかもしれない。ただし需要安定業種のため、大暴落よりはじわじわ下がる形になりやすい。
総合すると、この銘柄は爆発的な株価成長よりも安定を求めた長期向きの株で、配当をもらいながら業績次第で上昇を狙うスタイルが合う。5年間というスパンで見れば、大きく化ける可能性はあるが現状の数値では確定的ではなく、期待よりも安定を重視した投資で向いていると感じる。
この記事の最終更新日:2025年12月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す