株価
エターナルホスピタリティグループとは

エターナルホスピタリティグループは、かつて「鳥貴族ホールディングス」の名で知られた企業で、今も主力事業は居酒屋チェーン「鳥貴族」にある。国産鶏100%の焼き鳥を中心に、全品均一価格という強烈なブランド軸を持ち、大衆食としての焼き鳥を均一価格で提供し続けることで、焼き鳥チェーンの中でも抜きん出た存在を築いてきた。安さだけでなく、串打ちを店舗で行い鮮度を維持し、タレは本社工場で集約生産して品質標準化を行うなど、大量店舗展開と商品ブレを両立する仕組みを丁寧に整えてきたのが特徴で、チェーン化でありながら手仕事の温度を残した運営が強みになっている。
店舗展開は三大都市圏を中心に加速し、現在は北海道から沖縄まで24都道府県に広がる。都市部ではビル上階や地下など空中店舗を積極活用し、地方では路面型を中心とする柔らかい出店設計を行い、立地ごとに収益モデルを変える柔軟さも持つ。直営が中心だがフランチャイズ網も一部保持しており、新規募集は停止し既存枠と独立社員中心で拡張していく形式に変えている。これは乱拡大よりブランド管理・品質維持を優先する姿勢の表れとも言える。
エターナルホスピタリティグループは当初「鳥貴族一本で永遠に伸びる業態を」と掲げていたが、コロナ禍を経てその思想に変化が生まれた。居酒屋市場が営業制限や夜間需要減に直撃され、単業態の脆さが露呈したことで、多業態展開へと舵を切った。小型店「大倉屋」のテスト運用、焼鳥とは別路線の「TORIKI BURGER」立ち上げなどはその象徴で、焼き鳥一本の強さを残しながらも、飲食マーケットの風向きに対応できる柔軟な骨格を作ろうとしている。
ブランドの象徴は「∞(無限)」マーク。永く続く業態・永く愛される店を目指す理念が込められ、均一価格と国産素材へのこだわりもその思想の延長にある。焼き鳥の価格は時代と原価に合わせて段階的に上がりつつも、その一本の設計によって「鳥貴族はどの店でも価格がわかりやすい」という安心感が失われないよう維持している。外食価格が複雑化しがちな中で、メニューを見ずとも注文しやすい明快さは競争力そのものだと言える。
さらに最近は海外展開へのアクセルも踏み始めており、「YAKITORI」を世界語にするという挑戦を明確に掲げている。米国・アジアなど外食市場の大きい地域への出店を狙い、寿司ほど敷居が高くない鶏料理でジャパニーズフードを定着させる狙いがある。グローバル需要を取り込めるかは今後の大きな焦点で、ここが成功すれば国内チェーンから世界ブランドへと企業価値は一段変わる可能性を持つ。
総合するとエターナルホスピタリティグループは、均一価格・国産鶏・鮮度対応という明確な武器を持ち、日本の「焼き鳥文化」を量産と品質の両立で形にしてきた企業だと言える。これまでの強みは安定した大衆性とブランド力、これからの挑戦は複数業態と海外展開。成熟市場に安住せず、新しい需要へ伸びようとしている企業であり、その変化の過程に投資としての面白さが宿る段階とも感じられる。
エターナルホスピタリティグループ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(単位百万) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 一株益(EPS) | 一株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.7 | 20,288 | -2,433 | 1,968 | 1,134 | 97.9 | 4 |
| 連23.7 | 33,449 | 1,417 | 1,429 | 616 | 53.2 | 10 |
| 連24.7 | 41,914 | 3,248 | 3,261 | 2,127 | 183.7 | 29 |
| 連25.7予 | 45,300 | 3,040 | 3,030 | 1,800 | 156.1 | 46〜50 |
| 連26.7予 | 48,500 | 3,300 | 3,300 | 2,000 | 173.4 | 46〜50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位百万) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,720 | -1,204 | -587 |
| 2024 | 4,441 | -1,990 | -2,721 |
| 2025 | 2,492 | -2,694 | -689 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.2% | 8.9% | 3.1% | ― | ― |
| 2024 | 7.7% | 24.4% | 10.2% | ― | ― |
| 2025(実績) | 6.7% | 17.5% | 8.0% | 高値34.6倍 / 安値22.2倍 | 3.76倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
エターナルホスピタリティグループの数字を見ると、売上は334億→419億→453億→485億と素直に伸びており、右肩の成長基調がはっきりしている。一方で利益面は、14億→32億と大きく改善した後、30億〜33億と落ち着き、急拡大のピークから安定フェーズへ移った状態に見える。純利益も6億→21億まで跳ねてから18〜20億予想へと収束し、急回復後の定着期に入りつつある印象が強い。つまり、この企業は「回復から安定へ移行したタイミング」で、暴れ馬のような成長株ではなく、収益を出せる外食チェーンとして成熟に向かっている局面と捉えられる。
利益指標を見ると、営業利益率は4.2%→7.7%→6.7%と改善後に安定帯に入り、5〜8%程度のレンジで落ち着く形が想像できる。ROEは8.9%→24.4%→17.5%、ROAは3.1%→10.2%→8.0%と非常に大きく改善しており、資本・資産効率が良い状態は維持できている。この水準は外食産業としては十分魅力があり、利益体質が脆弱ではないことが示されている。ただし、24%→17%とピークアウト感が見えるため、この後さらに伸びるかは事業展開次第になる。
EPSは53円→183円→156円→173円と上昇し、配当も10円→29円→46円→46〜50円へ着実に増加。利益成長が続かなければ無理な増配には限度があるが、現時点の数字だけなら株主還元姿勢は強く、長期保有で恩恵を受けやすい銘柄と言える。
総合すると、エターナルホスピタリティグループは急回復を経て安定的な収益力を備えた段階にあり、売上成長は続いているが利益の伸びは緩やかで、ここから大幅に跳ねるには新業態や海外展開の成功が必要になる。数字だけで判断するなら「大崩れしにくく、ある程度の成長も期待でき、配当も伸びているため中長期保有に向く銘柄」。伸び代は残るが、爆発的な上昇というよりはジワジワ積み上げていくタイプの企業価値の進み方になると考えられる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回り(2026・2027年度)が1.36%という数字を見ると、配当狙いとしてはかなり低めの水準で、インカムゲインを主軸に投資する銘柄としては魅力は大きくない。日本株の平均利回りは約2%前後とされるので、それと比較しても利回りは下回り、配当収益だけで保有価値を感じる銘柄とは言いにくい。むしろ、利益成長や株価上昇を取りにいくキャピタル狙いの方が現実的な方向だと考えられる。
配当推移を見ると10円→29円→46円→46〜50円と還元姿勢自体は強まっており、企業として株主還元を意識していることは読み取れる。ただし利回りが1.36%にとどまるということは株価が上昇している、または配当拡大ペースより株価の評価が先行している可能性が高く、配当だけを目的に買う場合の旨味は薄い。将来増配が続くなら話は変わるが、現時点での数値だけでは配当を武器にできる銘柄ではない。
まとめると、配当目的でエターナルホスピタリティグループを買うという判断は弱く、インカム投資の観点では優先度は低い。利回りの低さから、「配当を受け取り続ける」よりも「業績成長と株価上昇を期待する投資」の方が合理的に見える。配当はおまけ、メインは成長性と事業展開の拡張余地。そういう位置づけの銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
エターナルホスピタリティグループの株価は現在3,360円。売上は伸びているが利益は横ばい気味で、営業利益率・ROEも高水準から安定帯へ移りつつある状態。この構造から考えると、過去の回復成長で評価が進んだ現在がひとつの中間ポイントで、今後は海外展開・多業態展開の成長が株価の方向を決めていく可能性が高い。これを踏まえた5年の値動きを、良い場合・中間・悪い場合に分けると以下のようなイメージになる。
良い場合は、鳥貴族の店舗拡大が再度加速し、新業態「TORIKI BURGER」や海外展開が売上と利益を押し上げ、営業利益率が7%台を維持しながらROEが再び20%前後に乗ってくるシナリオ。このとき市場評価は一段上がり、株価は4,200〜4,800円を目指す展開となり、強気なら5,000円台に触れる可能性もある。大きな材料が出なくても実績の積み上げで評価され、緩やかに上へ抜けていくイメージ。
中間の場合は、売上成長は継続するが利益は30億前後で安定し、新規業態もそこまで急成長しない流れ。この場合は市場の評価がすでに織り込まれており、株価は3,200〜3,600円程度の横ばいレンジで動きやすい。大きな急騰はないが下値も固く、環境が悪い年は3,000円近くまで調整しつつも、数年かけて戻すような落ち着いた値動きになる。
悪い場合は、競争激化で利益率が下がりROEが10%前後へ低下、海外・新業態が十分に成果を出せず売上は増えても利益が伸びない展開。この場合は評価が縮み、株価は2,600〜2,900円までじり下げになる可能性がある。最悪では2,400円台も視野に入るが、基盤事業の強さから大崩れよりも緩やかな下落で止まりやすいと考えられる。
まとめると、現在の3,360円は「過去の回復を織り込んだ中間点」にあり、ここからの上昇は新たな成長が鍵となる。一方で事業の安定性から大幅下落リスクは大きくなく、緩やかに持ちながら成長の芽が育つかを見ていく投資も成立する。大きく儲けたい投資よりも、成長の芽が出たときに評価が上乗せされる中期保有型に相性が良い価格帯と言える。
この記事の最終更新日:2025年12月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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